リモーションのオリジナルマフラーを取り付ける

 正式名称をRimotion ノートンタイプ SRスリップオン サイレンサーというんですね。今になってみると、ちょうど1年前(2001年)の4月、ムック本「SR」の最新号の中にこのリモーションの広告を見つけ、早速電話で問い合わせをしたんです。
 すると、そのままで装着可能ですよ、そんなに効率はよくないですから... 、とのこと。価格も19,800円だったんで、思わず1本発注したんです。送金はしたものの待てど暮らせど送られてこないんです。ようやくその年の4月の末、専用ステーを追加製作中だから数日おまちください、というはがきが来て、その後すぐに送られてきました。
 内容物は、マフラー本体とクランプ、それにディトナ製のスタンドストッパーのセットでした。やや、このマフラーはどこかで見たことがあるぞ、と僕のトライアンフのをシゲシゲと見たところ、全くの同一品ということが分かりました。若干の違いは、リモーションから送られてきたものはメッキが厚く消音が強化されているように見受けられました。おそらくイギリスのワッセルの製品ではないでしょうか。

 その頃の僕のSRはキャブレターのセッティングが考えている方向と全く逆の方へ行ってしまい、ホワイトブロスのスーパートラップシステムにはフィットしているのですが、ちょっといじると性能は愕然とする結果になってしまい、こんなクリティカルな結果では満足に乗れない、としていたところでした。
 それなら、送られてきたこのマフラーを早速装着してテストしたのですが、ホワイトブロスのスーパートラップシステムよりももっとひどい結果で、すぐさま取り外した次第です。ちょうどWebでのお仲間うちのKEIさんからもマフラーの容量不足だろうか?との判断をいただきました。
 結果として、そこから1年間、キャブレターのセッティングに意識を集中して、昨年夏辺りからクワイエットバッフル(コア)を入れてのセッティングでようやくOKになっていました。リモーションのマフラーは新品同様でそのまま保管をしていたところです。
 ところが、本年(2002年)3月23・24日に五色台で開催された四国自動二輪交友会にSRで出かけた折、どことなく調子が一定しないという感覚が走り、その原因が何なのか突き止めようとしていました。そこから1か月後の4月20・21日はトライアンフで徳島は御所温泉へBritish Runのミーティングに出かけました。家に帰って2週間後、トライアンフはメインジェットを#275に上げて調子を取り戻したのですが、トライアンフで感じたことは、このマフラーは結構静かではあるが、排気の効率はなかなかいいものを持っているのではないだろうか、ということでした。

 SRにホワイトブロスのスーパートラップシステムを装着している現在、四国自動二輪交友会でのツーリングで感じた???のことは吸入と排気のセッティングは出ているが、エンジン自体の発熱とか、排気のスムースな流れ、それに対する吸入の対応などが一時的に崩れると、それに対処するまでが長いのではないか、という結論に至りました。(このことがリモーションのマフラーに変更しても尾を引くのですが... 。)
 また、エキゾーストノートというものはライダーの意識を狂わせます。つまり、「音が速い」という感覚になってしまうんです。特にスーパートラップでは登りなどで負荷がかかると、相当な排圧を伴って熱い排気が増大した音量とともに出てきます。高速などで85〜90km/hで走っているときは、4000rpm程になります。完全な連続音になって今度はスーパートラップの特徴で排気音が静かになってくるのです。その時点でも上り坂になると、相当なパルスの振動が加わります。平坦になるとまた静かになる。こういった変化が出てきます。このことは排気システムだけではなく、キャブレターの特性も加味されるのは事実です。
 しばし自問自答の日々が続きます。最終として、精神安定上からこのままで効率を落とすことなく排気音を小さくするにはどうすればいいか、ということに至りました。もう一点は、端っからノーマルのマフラーは効率がいい、ということに着目してみることにしました。
 去年とは違うし、現在のホワイトブロスのスーパートラップシステムでのセッティングは一応出ている。しからばリモーションのマフラーに換えてもいいのではないか、と考えてテストしてみることにしました。エキパイをノーマルに戻すため若干の不安はありましたが、ホワイトブロスのスーパートラップシステムでもトルクバルブを装備しているので、その内径から判断すればノーマルのエキパイの内径と変わらないと判断しましたのでOKだろう、とやってみました。
 

2002年 4月28日(日)くもり一時小雨
 午前中に1時間かけてホワイトブロスのスーパートラップシステムからリモーションオリジナルのマフラーに交換する。
 黒く煤けたトルクバルブがコロンと落ちてくる。熱にさらされた様子は感じられないから、クワイエットバッフル(コア)を装着すれば、このトルクバルブは外した方がいいのかもしれない、と思わず考えてしまったが、もう遅い。
 ネバーダルでピカピカに磨き上げたノーマルのエキパイを装着する。排気口のガスケットとの収まりもホワイトブロスのよりは数段精度がいい、流石に純正だ。
 リモーションのマフラーはマフラーとして、独特の考え方で製作されている取り付けステーは仕上げ共々秀逸で、多くのマフラーメーカーは参考にすべきではないか、と思う。
 ディトナのスタンドストッパーはこの手のものの中では一番丈夫だと思う。厚さがフレームにぴたりと収まるのは気分がいい。ホワイトブロスのに添付されるものは、若干の加工が必要である。
 熱的に苦しい接合部分などにはモリブデングリスを使用した。オイル分が飛んでもモリブデンは残る。それを利用した。本来はスレッジコンパウンドやスーパートラップの耐熱グリスを塗布した方がいいのだろうが、まモリブデングリスでもよかろう。
 ちょうど宇和のT君宅へ行く用務があったので、テストがてら走行を開始する。不思議なことだが、キャブレターはスクリウ調整をはじめ全く触っていない、ホワイトブロスの時のままだ。
 往路はどうも調子が出ない。音量が抑えられているのは精神安定上好ましい。信号待ちなどで止まって気付くと1100rpmでアイドリングが安定している。スーパートラップの時は少しばかり50〜100rpmの範囲で上下していた。その点からすると、排気効率もなかなかのものがあるようだ。
 帰路は歯長峠を走り、三間〜広見へ抜けるコースを採ることとした。少しずつマフラーがエンジンに馴染んでいく様子が分かる。接合部に塗布したグリスの焼ける臭いが消え、マフラー内部が焼ける独特の臭いが支配し始める。何かが違う。何だろうこの静けさは。それほどのものなんだ。ま、変化というか、全体のバランスがよくなってきているのだろう、という感じで走行を終えた。
 
 さて、こういったインプレッションなのですが、細かくマフラーを見てみますと、まずは排気ガスの位相反転機能が2段階に渡って装備されていることです。バッフル板に扇形にカットしたものを位置をずらして2か所仕切ってあるわけです。
 各部屋は分厚い鉄板とパンチングメタル、それに消音材がセットされています。最終は数本のパイプが纏められた排気口になってますが、最終バッフルの排気口の口径がセンターパイプは全体、周囲のパイプはその半分を全て通過する方式です。
 したがって、排気ガスはスワール状に最終出口まで導かれるのではないか、というのが推測です。したがって、効率はよくない、というのは当てはまらない、と思います。重量も結構あって、消音機能もノーマルのエンド部分と比べても遜色ないものと判断しました。

 ライディングフィーリングは実にすばらしいものです。スーパートラップでは連続音になる回転域でもわずかですが排気のパルスが感じられます。SU(CV)キャブの特徴がモロに現れます。2000rpmを下回るところからSR500特有のシャクルような回転を始めます。これがVMキャブの時は顕著でした。私のSR500はキャブレターを少々改造していますので、そういった点が少し強調されているのかもしれません。改めてノーマルのマフラーの偉大性を感じ入った次第です。
 わずかしか走行していませんが、なかなかいいフィーリングなんで、このまましばらく使ってみることとして... 、としたその矢先、またまたSRの初期型から起こっていた疑問(つまり古傷ですね)が出てきて、またしても悶絶状態に陥ることになるのです。
 これについては、また次回にレポートをしてみたいと思います。

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