逆転の構図
昔、こういった題名のドラマがあったのを思い出します。SR500にホ
ワイトブロスのスーパートラップ(以下スーパートラップ)を装着して以来、9年目
に思わぬエポックメーキングを見つけたときから始まって、2006年11月にT-140Vのキャブレターセッティングで思わぬ方向から上手く行った結果か
らすると、世間一般に言われているマフラー交換に伴うキャブレターセッティングは、一部分間違っているのではないか?、と感じ始めました。
このいきさつについて、順に説明したいと思います。
SR500の最初からの経緯
1997年であったと記憶していますが、雑誌の記事を鵜呑みにしてスーパートラップを装着し、ディスクを6枚、キャブレター(純正BST34)のパイ
ロットジェットを#47.5、メインジェットを#165に各々増大しました。
それから、2001年の6月頃までスッタモンダやっていたことがわかります。その後、リモーションのマフラーとかノーマルに戻したりとかやっていたとこ
ろです。
現在はノーマルのマフラーに戻していますが、スーパートラップの改造からキャブレターの面白い動作に気づいたのが2005年の5月でした。
残念なことに、これまた雑誌の鵜呑み…、とまでは参りませんが、このときまで散々な目にあっていましたので、バイカーズステーション誌でのFCRのキャ
ブレターセッティング記事の番外で、山本(本山)エンジニアリングのオーナーの考えを一読して、キャブレターセッティング方法での間違いに気付き、
SR500のスーパートラップで実験をしたところです。
その結果は、排気効率を落としてキャブレターの各ジェット類はそのままの状態で、「パイロットスクリューを絞ってやる」こととしてOKになったところで
す。
T-140VのSUDCO MIKUNIの経緯
これは、単純にAMALのキャブの貼り付きとエンジンからの熱でキャブのフロート室の燃料がおかしくなることからでした。もちろん、その頃のセッティン
グでも少しばかり濃い状況でした。
ミクニに交換するときに悩んだのは、その口径です。これまた雑誌の受け売りみたいなもので、今でも、もし34mmにしていたら…、と感じるところですが
32mmで十分であろう、と決定して交換したところです。
ところが、その本質を見極めないまま、インマニの長さを無視した改造を行ったため迷路に入り込み、7年後の2006年11月にようやく本領発揮になった
次第です。
もっとも、これには点火システムとの兼ね合いもありますから、何ともいえませんが、現代のCDI点火で電子進角送致を持っているオートバイとして、通常
なら各ジェット類の番手を上げるところですが、キャブの状況によっては下げなければならない、ということに気付かされたところです。しかも、下げる方向を
サゼストしていただいたのは、古いオートバイ使いのベテランからだったので、(実際は間違いでしょうが)私のやっていることが通常の行われる方法であった
ことが確認されたので、幾分かは気分が楽になったところです。
その結果は、別項で記していますのでご一読ください。
ミクニBST-34のキャブ装着のSR500では
それでは、SR500の場合はどうなんでしょうか?。スーパートラップの場合の確認は出来ました。が、ノーマルマフラーではBST-34のSUキャブを
使用し、パイロットスクリューの戻し回転は2回と1/2を要求しています。
当初は別に気にも留めなかったのですが、この手のスクリューは通常のVMキャブとは違って、戻し回転が多くなると燃料の供給割合が大きくなることとなっ
ています。
つまり、SR500ではエンジンが温まって後の再始動の簡便さ、通常使用範囲での排気系を考慮した選択、それにSR400との共通化を狙って、この数値
が決定されたのではないでしょうか。ノズルが違うSR400でのパイロットスクリューの戻し回転は1回と5/8ではなかったか、と思っています。
このことから、抜けの良いスーパートラップに対してキャブのジェット類をアップして臨んだはずなのに、バスッバスという音が出たり、派手なアフターバー
ンが鳴ったりするのはなぜだったのだろう、と
いう疑問点に対して、ある程度の答えが出たのではないか、と考えるところです。
つまり、スーパートラップという、ある程度特殊なマフラーではありますが、排気の方法が特殊なだけで、構造はいたってオーソドックスなマフラーであるこ
とを忘れていたのではないか、
ということです。逆に先に記したように、SR500に対してのキャブレターということで、BST34の設定が異常値ではなかったか、と考えられるように
なってきました。
このことをベースとして、再びリモーションのマフラーで「パイロットスクリューの戻し回転を減すことが正しいかどうか」の確認をしようと考えたところで
すが、これは中止しました。
理由は簡単です。エキゾーストパイプの長さが純正のエキパイでは短すぎるからです。
確認するため
このことについては、一部紹介をしていますが、総じてSR400/500、とりわけSR500では、最低でもキックアームのピボット部分より後ろでマフ
ラーと接続しなければ、パフォーマンスが得られないことになります。その付近としたのは、接合部分に40mm程度のマージンがあるからです。微妙ですが、
後ろへ行くとトルクが若干上がりますが、3000回転以上でのバランスが少し悪くなる、といえます。逆に短くなると、回転の上がりが速くなりますが、頭打
ちも速くなる、といった具合です。
できれば、古いスリップオンのスーパートラップでのエキパイ接合部から後ろの長さを計り、どの程度マフラーの中へエキパイ(とエクステンションパイプ)
が
入り込むか?、が重要となります。
しかし、入り込む長さを6cm辺りから切り詰めていく方法をやらないと、実際には結果が出ない、ということになりますので、あくまで参考の長さ、としての
数値です。
SR用4インチのスリップオン形式メガホンショートスーパートラップのエキパイとの接合部分がパイプ状になっていて、キックアーム後ろのスイングアーム
ピボット部分にまで延ばされているのがお解りと思います。エクステンションパイプ仕様のスーパートラップも同様だろうと思います。
そういったことから、今回は再び、エンドキャップ方式の古いスーパートラップを持ち出して、古いディスク、新しいディスク、スーパーサウンドの加工ディ
スクなどで実験してみ
ることとしました。
確認1
2006年11月25日(土)くもり時々はれ
珍しく天候を記しました。理由は、降りそうで降らない雨と、比較的気温が高いためです。おそらく一月前の天候です。そう、一月前はトライアンフT-
140Vのキャブセッティングが佳境に入っていた頃です。その頃の天候に近いわけですから、願ったりかなったり。というところで、天候を記したところで
す。
さて、まずは、古いスーパートラップのディスクを4枚用意します。理由は「ディスク4枚がエキパイ径に匹敵する」を忠実に守ったからです。
真面目にPLOTが国内でのスーパートラップの総代理店のようになっている今では、古いディスクのことなどは蚊帳の外でしょうが、後方へ45°で排気
ガスを放出するタイプでも古いディスクの大きさで判断すべきで、今の一般的な一回り小さいディスクでは若干この定義は当てはまらないのは当然です。
さて、ここでいきなりエンジンを回すのは避けます。別に問題はないんですよ。でも、少し前の報告を読んでいただいた上で、今回のねらい目を注目すれば、
キャブレターのパイロットスクリューはいじらないとなりません。まずは1回と1/2回転戻しとします。
前回、このオールドスリップオンのスーパートラップを装着したときとはまるで違う世界がやってきました。レスポンスよし、立ち上がりよし、ポンポンはた
まに出ますがバスッバスは一切出ません。ディスクの汚れもありません。
半分、私の理論に合致した結果が出てきました。残念ながら、SR500用のスタンダードディスク枚数の8枚を装着するには旧タイプのディスクのストック
がありませ
ん。やむをえずオールドディスクでのテストを終えることとします。
確認2
次は何をするか?。そう、スーパーサウンドのディスクを用いるのです。ご存知のようにスーパートラップにもアキシャルフローという、後方排気化したディ
スクが主流になっていますが、それより前にPLOTがリリースしたスーパーサウンドのディスクをテストすることとしました。これは早々と後方排気システム
を採用しいています。
スーパーサウンドのディスク組み合わせはトライアングルディスクが5枚、その後に遮蔽板のディスク、そして円盤のディスク6枚。これがフルエキの基本で
す。
PLOTへは電話問い合わせがOKだった時に2回も電話しました。その時、担当者が発したことばは「SR500ですか、400ですか?」とい
うフレーズでした。私も「スリップオンとフルエキではディスク構成が異なりますね?」と聞きましたが「そのとおりです」との返答を受けていますので、あく
までスーパーサウンドのフルエキSR500用をメインにします。
遮蔽板に8mm径の穴を開けて用意したのですが、残念なるかなセンターボルトサポート板が、トライアングルディスク(の組み合わせ6角形)の辺より大き
いため、私自身の
セッティングをやらなければなりませんでした。
まずは円盤ディスクを5枚。そしてトライアングルディスク5枚、遮蔽板の次に円盤ディスク3枚としました。
いざ発進です。レレ〜、排気音が静かなんです。回転を上げても破綻がありません。素晴らしく心地よい音、まさにスーパーサウンドです。ショートコースで
したが、帰りはスズキのセルボに追いつくために少し引っ張りましたが、スピードダウンしてもポポンは出ますがバスッバスは本当に出ません。
もし、今後やれるとしたら、ごく一般的なスリップオンのスーパートラップにこのディスク(トライアングルディスク5枚、遮蔽板の次に円盤ディスク6枚)
を装着してみたいと思いました。
結語
以上が全てです。SR500のBST-34キャブレターモデルにポン付けの場合は、パイロットスクリューを1回と1/2回転戻しとし、そこから少し絞り
込むようにした方が結果が良いようです。
一応、スーパートラップでの結果が出ました。SR400では一切このようなことはしなくても、マフラー形状をした、あらゆる製品を取り
付けても上手い具合に事が運びます。が、何度も申しますようにSR500では、全く逆のことが起こります。
そういったことで、これまで多くの無駄な時間を費やしました。が、今回の実験で全てがで出たようです。
フルエキも良いのですが、スリップオンも捨てたものではない、ということと、できれば、センタースタンドストッパー部分がマフラーに溶接されているもの
を根気よく探せば、必ず存在するものと思います。
というところで、元の3GWのマフラーへ戻し、パイロットスクリューを2回と1/2回転戻しにセットしました。このマフラーが今のところ、私の
SR500にはフィットしているように感じます。