早速10月3日の夜、クワイエットコアを外して、スーパーサウンドと入れ替えをしました。午後10時頃までかかっての作業は久しぶりのことで、拙宅が飲
み屋街に近いことから、汗まみれと手を汚しての作業ですから、家の前を歩く酔客からは怪訝な顔で見られたのは言うまでもありません。
10月4日(木)
仕事が終わって、夜のとばりが包む中、テストコースを走らせます。薄暮時が短いながら、薄暗さが続く上に街明かりが明るいこの地方独特の道路事情から、
市街地を出るまでは気を許せません。
三間街道へ入ってしばらくの間、若干ですが排気の抜けが良くなったのが感じられます。当然、トルクのかかる部分での排気音が大きくなるのですが、それで
も破綻がありません。どうやら、クワイエットコアを外したことの効果は理解できました。と同時に「パワーダウンは最小に、音量を落とす」という相反するこ
とを一定行っているライディングスポット製のクワイエットコアの優秀性を感じたところです。
が、どうしても発進時のアクセルワークの難しさと低速時のカッタルサが消えません。スーパートラップ改で残る問題は何でしょうか。しばし消去法で吸気か
ら排気までをトータルで見直すこととしました。
点火型・点火プラグを除いて問題なし。吸気系・純正エレメントも問題なし。排気系・上のとおり。じゃ、吸気の一部に問題があるのではないか。いくらスー
パーサウンドのディスクでもノーマルよりは排気の効率が高い。そのためにカッタルサとかモタツキが出るのではないだろうか。
かつて、T-140VのSUDCO
MIKUNIの32mmVMキャブのメインジェットでさんざん苦労したことを思い出した。結局ストック状態のパイロット側は一切さわる必要がなく、メイン
ジェットのみさわることで解決できた。
スーパートラップ改でも、始動性は良好だし、アクセルを開いても燃料供給系統は常にダイアフラムが上がりニードルも上がるから、アクセルワイヤーでキャ
ブレターを作動させている時はメインジェットから燃料が供給されている。
ここが負圧キャブとVMキャブとの大きな違いなのです。そう、わずかではありますが、ノーマルの#162,5という特殊サイズから#2.5上げた
#165に変更するだけで解消する、と考えをまとめたのです。
しかし、リバース型のメインジェットは製造がラフです。ことに六角のメインジェットに比べると、肝心のジェット(ノズル=穴)部分は精度がいいのです
が、外の仕上げは結構ラフに作られています。燃料を吸い上げる最初の部分にバリとか取り付けの際のデッパリやガタが付いたままでは燃料吸入率が悪くなるの
は明白です。
この件に関しては以前に
(その1)・(その2)とし
て報告しておりますので一読願うとして、あのときの加工(やり過ぎだったかな)とは違って現状のままからエッジなどの面取りを主に行った形成外科的な修正
です。後述しますが、意外な結果をもたらせます。リバース型のメインジェットでどこかが指に触るようなら面としかこうすることをお勧めします。
もう一点、「点火プラグの状態からガスが濃い」と思われることがありますが、これも若干注意を要します。
3つのプラグの違いをとくとご覧ください。
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これはノーマルの吸気とキャブレター仕様、ノーマルマフラーで
3000km走ったBPR6ESです。
碍子が赤っぽいのはガソリンの状態でいろいろ変わるらしいので、無視しています。おそらく、今のAIS付きのSR400よりは濃い状態であろうと思います
が、これでも希薄燃焼気味に方向付けられているのです。
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手前勝手にノーマル(3GW)のマフラーエンドに穴を開けて走っ
ていた
頃のBR7EVXです。マフラーエンドに穴を開けただけで長い下り坂でグ〜ッ、パ〜ンと大音響が出る始末。急遽7番にアップしたのですが、これでパーンは
消えました。
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最近まで使用していたSF-426Cです。くすぶり気味?。普通
はそう
感じられるでしょうね。
しかし、意外や意外。それが原因ではありません。一番上のBPR6ESと比べると二股の電極以外違いが判りますか?。
答えは後ほど。
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どうでしょうか。BPR6ESとSF-426Cとでは碍子の突き出し長が違うのです。燃焼室の形状などを無視すると、圧縮された混合気の中心部分で点火
させるのが効率が良いということは理解できます。が、古い形式のエンジンにはそれが当てはまらないことがあります。
今ではNGKのPタイプに統一されていますが、XS650、TX650などは最終モデルを除いてB6ESが標準仕様でした。当時はガソリンも有鉛でした
から、そこそこ、大きい火を長く飛ばしてやる方向性だったのでしょうね。
が、私も持っているGX750がリリースされた1976年からヤマハの方針は一気にフォーサイクルエンジンには電極突出型点火プラグに変更されたので
す。SRの前身XT500はBP5ESが標準でした。理由は一つ。点火がコンタクトポイントで6V仕様だったからに他ありません。
もし、古いスタンダードな点火プラグを使用しているオートバイに電極突出型の点火プラグを使用するのであれば、1番熱価を下げよ、というのが鉄則のよう
です。
これは
「ドライサンプがくちをきく」の
ページに出ていますので参考までに。
このことを逆手に受け取って使ったのがBR7EVXです。XT500でもBP5ESじゃないか、お前の考えとは少し違うじゃないか!、とおっしゃるで
しょ
う。
確かにそうですが、マフラーエンドに穴を開けただけでもガスが薄くなる。だったら点火時期を遅らせる効果を狙ってBPR6ESから換装したわけです。
結果は良好でした。ということは、燃焼室内の混合気が薄くなるのと同様だから、本来ならBPR5ESを使えばいいはずですが、同様の効果を狙うのならスタ
ンダード形状のプラグを使うのも大差ない、ということです。このことはSRの吸排気系はクリティカルだな、ということが判った次第です。
もちろん、電極突出型の点火プラグは燃焼室の中へ入り込んで点火しますから、燃焼効率は良くなります。反面、中心部が盛り上がったようなピストン形状な
どでは、逆効果に陥る面があるのも事実です。
また、点火プラグの装着時にもSRの燃焼室内へはストレートに入りません。どちらかというと、吸入バルブ側の方へ斜めになってねじ込むように装着するは
ずです。したがって、電極の向きを考慮しない通常の取り付けでは、L字電極側の中心碍子の後ろがすすけるのは致し方ないことに感じるのです。
となると、電極の突出度合いも長ければいいものでもないんだな、と感じるところです。したがって、SF-426CやデンソーのW20EPUは電極が少し
長いタイプですから、場合によっては早期点火気味になっているのじゃないか、とも感じられるのです。その点、NGKの通常のPタイプは中庸を行く者に感じ
ます。これは私の
ト
ライアンフの記事で確認していただければと思います。
そこで、今回は抵抗が入っていないBP6ESをチョイスしました。
10月6日(土)
朝は遊子の段畑での芋掘り。SRで行くことにしました。メインジェットは交換していません。アップダウンの県道が続くと、途端にアクセルに付いてこられ
ないカッタルサがイライラを呼ぶのですね。
段畑での作業でクタクタの帰路、三浦で次のコーナーをサッとアクセルオンで行こうとするのですが、どうしても1速落とさないとならない状況になってきま
した。後ろの自動車がサッと近づく。タマラン。決して遅いのではないのですが... 。
最後の無月の峠の下りで、ババッと大きな音が出ました。トンネル内で加速していたから、2000回転付近からアクセルを戻したときに出たわけです。一瞬
「2J2に3インチのスパトラを付けていた時代」を思い出しました。
あのときはアイドリングからジワリとアクセルを開いて2000回転付近になると、「イッ」とエンジンが止まっていたのです。比較的速いアクセルオンだと
この
部分を通過するから、エンジンは止まりません。
この原因がエキパイの長さにあることは、スポーツショップ矢島の3インチロングスリップオンスパトラを装着したとき判りました。それ以来、私個人の考え
ですが、
SRではキックアーム以後
でマフラーと合わさることが
リプレースマフラーとしての鉄則、と確信しているところです。
エンジンが冷えた午後2時、メインジェットを交換します。相変わらずの暑さ。今は確かに10月なのですが...
。燃料タンクを外し、アクセルワイヤーを外し、キャブを斜めにしての無精取り替え。わずか20分で完了です。
早速テストコースへ出向きます。変化はすぐさま感じられました。家の前からスタートしてすぐに、アクセルに付いてくることが確認できました。道路工事中
の朝日町、和霊町の通りは4速へ入れたままで車線変更などアクセル操作のみでOKです。オー、なかなかいいゾ。
マナーの悪い原付の7人ほどの1列を三間街道の直線部分でようやくでパス。速度域は80km/h近くになっています。アクセルをオフにしてもボボッとい
う音は聞こえません。
水分(みずわかれ)の分岐点の下りも、須賀川ダムサイドでの下りも全くOK。柿原で降りてワタナベへパーツを発注した後、帰宅しました。
下にスタンダードのBP6ESを紹介しますが、ようやく、ここまで追い込むことが出来ました。
以上が結末です。確かに一面では異端な方法での改造です。私はスーパートラップのディスクは切欠のある
旧
タイプのものが最高であろうと考える者です。
が、今ソレを求めることはなかなか難しいものがあります。止むなく今のディスクを使用するのですが、取り付けビスと受けのインナーコアの製作精度から歪ん
で取り付けられる可能性が多いのも事実です。
この点、20°排気としたスーパーサウンドのディスクは若干精度が向上していると思います。私は未だアキシャルフローのスーパートラップのディスクを使
用したことがありません。私自身の経験ですが、現実にアキシャルフローへ移行するのであれば、現在のインナーコアにスペーサーを装着する必要があります。
セラミックウールの調達から相当な出費になります。
リスクは手を下した方が持つとして、アキシャルフローに移行する前に、私が行った改造をやってみられるのはどうでしょう?。SR400ならあまり苦労す
ることはないのでしょうけど、それにしても、わずか100ccの排気量違いだけですがSR500はなかなか手強いですね。
というところで、ひょんなことシリーズの総てを閉じたいと思います。ご一読ありがとうございました。