SR500
のフロントフォークの整備
オイルシールとオイル交換
コトが起きたのが、2013年9月18日、宇和島道を通って西予市まで
走ったのですが、西予市までの最後のトンネルを抜けた後、いやにセンターラインへ車が寄っていくのです。風があるわけでもなく、何かおかしいな〜?、フロ
ントフォーク、あるいはタイヤ交換か、と思っていました。
停車してフロントフォークを見ると、あ、わずかですがオイルが漏れています。あー、もう1万キロ以上走っているから交換かもしれない、がオイルが漏れる
のは少しおかしいな。もう少し硬いオイルにするか、あるいはバラシだ。どっちにしても、フォークレッグは抜き取らないと何も出来やしない。
どうして、ボトムのドレンボルトをなくしてしまったのだろうか。不可解だ。そのくせ、1万キロ毎の交換を要求している。その都度バラしてスラストメタル
も交換か、とアホくさいこと考えてしまいます。どっちにしても、オイルシールは交換です。
ところが、10月になっても天候が残暑気分。連日日中は30℃を超える有様です。それゆえ、随分と作業が遅れました。もっとも、その間はフロントフォー
クのオイルの銘柄をどれにするか、十分に考える時間があったのは助かりました。
交換までに、順序立てをしなければなりません。理由は、現在のマニュアルに記載してあるようなオイルシールの打ち込み方法は、専門ショップへ持ち込まな
ければならないからです。しかし、インナーパーツを外すためには、ショップの作業場所を占有しないとならないので、同じ事ですが、拙宅の青空工房では出来
兼ねる整備になるのです。
というところで、順にバラしていきます。
- ケーブル類を外す
- フロントフェンダーを外す
- フロントホイールを外す
- フロントフォークを外す
- オイルを抜く
でバラシは完了です。
オイルを抜いたフォークレッグはオートショップワタナベで分解して、オイルシールを交換していただくことにしました。
ここまでは、10月2日の涼しい午前中(?)に1時間程度で作業終了です。バラシはいいのですが、組み付けにミスをしないよう、順序立てて各パーツを点
検
整備します。
気付いたのは、ステアリングの動きが少し渋いのを見つけました。バラシの時点では、三つ叉のトップボルト(ナット)はそのままにしておきます。
ブレーキワイヤーの外皮が少し傷ついていたので、擦れても大丈夫なように組み付け時にスパイラルチューブを巻くこととして、後はそのままで異常ありませ
ん。
この間、天候不順が続くため、残念ながら数日間足無しの状態でカバーを掛けておく必要があります。ま、仕方ないでしょう。幸い車体カバーも良好ですから
大丈夫の様子です。
気温もやや下がってきた10月14日、いよいよ組み付けです。
順序立ててやることとして、次のようにやろうと計画しました。
- フォークオイルの量
- トリプルツリーの点検
- フォークの取り付け
- ホイールの取り付け
- ケーブル類の取り付け
SRのフロントフォークの組付けでの一番の力仕事が1番目になります。これには、どなたかの記事にもありましたが、寸切りボルトのジョイントを用いま
す。それに17mmのソケットレンチのコマをかぶせ、後は力とタイミングとの絶妙なマッチングで取り付けるのです。
まさに、エイッ、で息を止めて左手で持ち上げるようにして右手の掌で工具を押しつけてフォークと工具を上手くねじ込む、という具合なんですが、こればか
りは口で説明は出来ませんし、サービスマニュアルのように簡単にはいきません。
その前に、注油するサスペンションオイルです。
ATFは、初期性能はフォークオイルとほとんど同じ動作をします。若干柔らかいかもしれません。ところが、劣化が進むと、あっという間にダメになりま
す。
私が使っているハイパープロのオイルも同様です。急激にダメになります。
このような状況から、今回はヤマハ純正の10番のオイルを使用することとしました。オイル量は指定では188cc近くですがコンマ1などという数字をメ
スシリンダーで測れるとは思いません。
そのため、185ccをメドとしました。台所用のメジャーグラスで水を計って清酒の容器に入れ、テーピングしたあと乾燥させて、この清酒グラスを利用し
て計量しました。
目分量かもしれません。マニュアルには、規定量181.5 +/-
4(cc)かもしれませんが、最終は油面(188mm)で確かめよですが、数ミリの差は気にしないことにしています。仮に高さが3mmとするとπrイhで
すから、内径33mmとして2.5cc程度になります。油面より、この量の方が問題かもしれませんが、いかがでしょうか?。私は気にするほどではない、と
考えるのです。
というところから、ゲージのテープは185cc程度として注油して、軽くストロークさせ、油面調整。1mmも違わないは言い過ぎかもしれませんが、
1〜2mmの誤差でキャップを止めました。
後先になりましたが、今回、現行モデルに装着してあるダストカバーを装着することにしたのですが、これが大変。おかげで、左の親指がこのとおり内出血し
てしまいました。
ダストカバーの2段目ほどが挿入ラインになります。これ以上はオイルシールストッパーがあって入りません。が、そこのかみ合わせが上手く行かないので
す。結果からで、残念ですけど被害甚大です。
体重掛けてストロークさせると、幾分硬いかな〜、という感じですが、ま、この程度でしょう。
作業をしていくうちに、MWIさんから教えていただいた、SRの誕生日がステム下面に記載がありました。
1996年6月18日のようです。もう、16年も経過しました。隣のトップシャフトのカバーは、私のモデルには未装着でしたので、今回のダストシール同様
に後付けですが、今のモデルに装着されているものです。
フロントフォークをトップブリッジの穴に少しはいる位置で、ステムの12mm頭のボルトを締めた後、フロントフォークのキャップを確実に締め込みます。
ステムのボルトを一度解いて、フロントフォークを通常位置まで入れて、トルク管理をしてステムのボルトとトップブリッジのボルトを締めつけます。
フォークの突き出しはトップブリッジの面とツライチ、と指定がありますが、ブリッジの取付穴は面取りがしてあり、フォークのトップも面取りがしてあっ
て、合わさる面の周囲は凹むのです。そのためにツライチになりづらいのが現状です。
そこで、私は目検討ですが、フォークの面取りの下側がブリッジのトップと一致する位置としています。この方法は、かなりの確率でイケルのではないか、と
思います。
しかし、これはこれで、数ミリの誤差が出ます。これまで、多くは申しておりませんが、私にとってのマニュアルは次のムックによるものです。
エイジュウプロによるXJ-1200Rのシューンアップというか整備なんですけどね。微妙に参考になるのです。そのために、フォークレッグの取付は、ホ
イールのスピンドルが両方の脚の穴にスンナリ入ればOK、ということになります。
次は、フロントホイールを装着する前に、ここで、ステアリングを左右に切ってみて、スムースであればOKですが、ステアリングヘッドのロックナットがシ
ングルのモデルは、これからが難しいのです。
もし、ステアリングがセンター位置でカッツン、と止まる場合は、先ほど止めたトップブリッジにボルトを緩め、ロックナットのリングを少し緩めなければな
りません。しかし、22mm頭のトップナット(ボルト)が締まっていない場合も考えられます。で、トップブリッジのフォーク取り付けボルトが締まっている
場合、トップボルトを50Nmぐらいで締めつけて、カッツンがなければこれで完了ですが、それでも、カッツンが生じる場合は、フォーク取り付けボルトと
トップボルトを一度緩め、ロックナットのリングを少し戻してやります。その後トップボルトを強く締めてカッツンがなければOKとなり、フォーク取り付けボ
ルトを規定トルクで締めつければ出来上がりです。
おそらく、今のモデルのようにロックナットのリングが2つのモデルは、この調整の必要は無いと思います。
しかし、グリスの関係もあって、あまりにスムースにハンドルが切れるように調整すると、普通のベアリングですから、レースにキズが付く場合もありますの
で、この調整はカンと実際です。
走行中、路面の少しの凹みでフォークからカツン、と音が出た場合などは、フォークのダンピングではなく、この部分からの音かもしれません。正常であって
も、一度調整をお願いします。
もう一点、フロントホイールを取り付けた後では、重量が加わるため微妙な調整が出来ません。ホイールを取り付ける前にやってほしいと思います。
あとは、バラシと逆に組み付けをしてほしいと思います。
せっかくバラしたのですから、スピードメーターにはインナーに赤さびが出ていれば、それを軽く拭った後、グリスを塗布してください。
私の場合は、ブレーキワイヤーの外皮がメーターケーブルとの摩擦で薄くなっていたので、スパイラルの保護を加えております。
午後2時過ぎよりテストコースを走ってみます。ギョギョ〜、フロントがいつもより硬い。
なにこれ?オイル量が多すぎる?、いや、ダンピングが強すぎる?失敗かな〜、と思いつつ、スティンキーのシートに交換しているので、この点はクリティカ
ルに感覚が強くなってきます。
しかし、これも数百メートルの間だけのことでした。和霊大橋を過ぎると、特徴あるハイパープロの走り心地が戻ってきます。これまでは、パッタン、パッタ
ンとなっているかと思うと、コーナーの立ち上がりがネバ〜、っとなったりで、妙な感じでおかしい感じでしたが、走りながら「これってXT500の走り方
だ」と気付いたのです。
もちろん、SR500の前身モデル、ということもあるのですが、この感覚を極力抑えてしまったのがSRではないでしょうか。私はやらなかったのですが、
XR500のフロントホイールを21インチから19インチに落として、フォークの突き出しを大きくして乗ると、この感じが掴めるのではないでしょうか。
詳しい人はもうお判りと思いますが、車重を別にして、SHIMA
498というレーサーがこれに当たります。オカシイかもしれませんが、この感覚を誰もが味わえたのがXT500であった、と記憶の一つが夜身勝手来まし
た。
後日、BORE-ACEのマスターに問い合わせたのですが、オイル量ではダンピングの関係は変わらない、とのことらしいです。私のような感覚は、ハイ
パープロのスプリングが入っているからかもしれません。それじゃ、ということでノーマルのスプリングに変更すると、私の体重ではダンピング不足になってし
まいそうです。で、フォークアシストを組むと、これが消える。
とはいえ、シートが違う、ハンドルバーが違う、おまけにスプリングが違う。加えてエンジンのクランクマスが大きくなって、斜体上下のバランスが下側寄り
になっている、という状態の私のSR500ですから、総合バランスを取るには、なかなか難しいものです。
とりあえず、現在のフロントフォークオイル量184ccで得た簡単な結果、としておきましょう。