テスト走行
事前にフィルター装着後にエンジンを回していますから、始動に関しては何も言うことはありません。この時点で何か違うとなると、これまでの点火系が何か
おかしかったのではないか、と察することは出来ますが、体感できるような製品はそうあるものではない、というのがもっともたるところでしょう。
さて、まずは燃料を補給します。仕事でのホンダ・タクトの燃料をことを前述しています。この走行テストでもガソリンの統一性を図る必要があります。こと
に最近は原油高から、いたずらに安いガソリンを使用するとなると、メーカー間での内容が異なりますので、いみじくも個人のウェブサイトの記事ではあります
が、少々注意を要します。
今回は、春のBritish Runの帰路からずっとコスモを使用しているので、今回もコスモを給油します。
以前も数回記載しましたが、SRとほぼ同型のエンジン形式を持つXT500に一度大協石油のガソリンを入れたことがあります。ものの500mも走らない
うちに、白煙を吐くようになってしまったのです。
時は2月でしたので、水蒸気かな?と思いましたが、排気口(アップマフラーのエンド)へ手をかざすと、わずかにオカシイ臭いがしました。
それで、数十キロ走ったのですが、どうも気になる。
かつて、こういったガソリンメーカーの違いで、オートバイは性能を発揮できないことがある、として、レギュラーガソリン同士、違うメーカー2社のガソリ
ンを100ccずつメートルグラス内で混合すると、モヤモヤ〜っとした状況になり、混ざったかな?と思う間もなく、上下に分離したのを、今は無き内田自転
車商会のYさんが示してくれました。
下へ沈んだガソリンと上に浮かんだガソリンとはどう違うのか?。燃えやすいか燃えにくいか...
、その判断はオマカセしますが、大協石油で数十キロ走った後、別のメーカーのガソリンを入れた途端、普通に走れるようになったところです。
このガソリンの不思議は項を改めて実例を記載したいと思います。
さて、一路テストコースへ。気温が少し上がってきました。オイルが少しダメかな?、という状況ですが、現在はBPの10W40の鉱物油です。夏を前にし
て、間もなく交換時期ですが、粘度から来るエンジン音が少しずつ変わります。そういえば、昔は共石(現ジョモ)がヤマハの純正オイルを造ってましたよね。
SDクラスの20W40でした。この地方では10W30は使えなかった。ことに夏は... 。
務田の坂を過ぎる頃から予想が的中し始めました。まだ有頂天にはなりませんが、これまでよりも素敵な状況になってきました。
三間街道は平坦ですし、先行するワゴンRが60km/h平均で走ってくれます。本来なら、もう少し速いペースで...
、と思うのですが、別枠での取り締まりを恐れてのことですから、それに従いました。
が、走行しつつ、「今5速だよな?」とすると2000回転ほど?。でも、そこへ至っていません。ギア比は変更していませんから、メーター誤差を考慮して
もこれは少しオカシイ。ことに、SRのホワイトメーターはシフトアップの時のクラッチを切った際にピッと針が上がるぐらいワイヤー作動のメーターにして
は、良好なピックアップですから、回転数はそうおかしくはないはずです。
タコメーターもですが、スピードメーターにしてもワイヤーの状態も良好ですし、タイヤ交換後でも別にオカシイ速度表示をやっている気配はありません。
何だろうな?。どちらかというと、エンジンの回転が後追い、つまり、ピストンを完全上死点で一気に点火し、最下部まで強い力で押し下げようとする、小ぶ
りちゃんのフライホイール効果で上死点へ持って行かれる。そして点火し、最下部まで... 。
この動作の連続運動をエンジンがやっているような感じがしてきたのです。
もちろん、点火は上死点手前何度ということは解っているのですが、上死点を通過する直前に火が入り、そのエネルギーが持続しているため、ピストンを最下
部まで押し下げる。したがって、上死点まで上がるのにジャマになるものが無いため、スムースに上がってくる。とまぁ、こういった感覚でしょうか。
須賀川ダムまでの緩い登りは振動もなくスムースに進みます。カンリンの「こぶりちゃん」で抑えられてはいますが、若干の揺するような振動が乗っかって、
いつもとは違うスムースながら力強いという相反する走行をやっているような、そんな状態でした。
下りになっても、これまでは「こぶりちゃん」の逆効果で、アクセルを戻しづらかったのですが、今日は、ある程度絞っても急激なスピードダウンが来ませ
ん。相変わらず大きな爆発を伴って、ピストンが最下部まで押し下げられているような、そんな状況で帰ってきました。
考 察
冒頭、いきさつは記載しました。纏めてみますと... 、
- スーパーサンダーコイルでは、オレブルの指定を無視して装着すると、エンジンは暴れ気味になる。
- ノーマルコイルに戻すとイイのはいい。しかし、私のSR500に関しては強い火は出るが、出方が単調すぎる。
- ノーマルコイルにスプリットファイアを取り付けると、イイのはいいがスムース気味に変化する。ノーマルとの大きな変化は無い。
- この時にスパトラ改を純正3GWのノーマルマフラーに変更。調子はいいが、ノーマル然としている。
- ツインコアの良くない点をウェブ上で見つける。この意見はオカシイと思う。
- ボアエースさんのサイトで、点火プラグに優しいプラグコードとして紹介してあるのを見つける。
のようになります。
まず、ツインコアの悪い点がどうして出るのか、しばらく判らなかったのですが、ツインコア独自では相当に大きいものを支配しているように感じています。
しかし、「点火プラグに優しい」とはどういったことか?。そしてすごいコードなのに、良くない、というものが出る。このオカシイ現象が何であるか?。こ
の答えを出すまでに時間はそうかからなかったのです。
先に簡単に申し上げてますが、T-140Vでのことです。ツインコアからテイラーへ交換しました。途端に力強さが増してきたんですね。コイルはダイナコ
イルです。
とすると、私のSR500はどうなんだ。思い当たるのは点火コイルがノーマルではないか。各パーツの比較からすると、ツインコアは全く悪くない。発電と
点火系への供給電流値が良好であれば、ツインコアの良否の出方は点火コイルではないか、と考えが及んだのです。
確かにバカらしいことかもしれません。でも、待ってくださいよ。
◆
本当に点火コイルの状況によって差が出るだけでしょうか?。
ツインコアをノーマルのプラグキャップにそのままねじ込むのは至難の業です。出来ない、と申し上げておきましょう。
仮に出来たとすると、ツインコアの性能からすると、それは凄まじい結果になると思います。
が、ツインコアの製品版をみると、汎用コードはプラグキャップの形状が異なるもののみのリリースです。ケースの能書きにはキャップの状況は記載されてい
ません。
Vチャージャータイプの方ですが、ベベルギアのドゥカティに装着された方のサイト
[DUCATY
Bevel Enthusiasum]で、装着後の抵抗値測
定で15KΩであった、と記載がありました。
そうか!、私は閃きましたね。おそらく、ツインコアの凄まじさをある程度抑えつつ、高性能化を生じさせるためには安全策を採って、
ツインコアのプラグキャップの抵抗値は
15KΩに設定されたのではないでしょうか。
通常、プラグキャップの抵抗値は
5KΩ〜10KΩです。その車のプラグコードをツインコアに交換しても、スムースさのみが発揮されるだけで、一般ユーザーが感じる、ある程度のゴツゴツ
感、力強さを伴った加速感は感じ取られないことになるわけです。おまけに最近は他車への配慮から抵抗入りの点火プラグの使用は避けられません。
したがって、点火コイルの容量が
大きいものでなければツインコアの美点というか良い点は見いだせない結果になるようです。
強力な点火コイルに対しては、作
動させる強力な電源が必要です。したがって、プラグコードを変更した程度で、大きいを通り越して絶大なパワーアップが認められることは一切無い、とすべき
です。
で、SRにシングルのダイナコイルにツインコアを用いたとしても、私は激変しないと思います。テイラーのコードではゴツゴツ感が強調されるかもしれませ
ん。
アース端子が出た旧タイプの点火コイルで実験したことはありませんが、アースもう一本とって、ボディーに共締めすると、いい結果が出るかもしれません。
この旧タイプの点火コイルの外側コア(コの字鉄芯)を今のノーマルコイルに取り付けることはできません。
結 語
ようやく、スーパーサンダー点火コイルに陽の目を見させることが出来ました。決してエポックメーキングではありません。
このコイルをリリースしていた当時、オレブルの藤原御大は、
「これからは点火系が
重要である」と申されたことを雑誌で知りました。これは間違いではありません。
トランジスタ点火を実験されていたのですが、あらゆる面で一般化しないため断念されたようで、スーパーサンダーの点火コイルもディスコンになりました。
しばらく後にツインプラグ化の改造も終わりました。
それから7年の歳月が経過しました。スーパーサンダーは燃料と空気との結びつきを促進させる装置として、再び名前を冠していましたが、これまたディスコ
ンになりました。
取付は水平位置を保つよう、そうしなければ性能が発揮できない、となっています。傾斜しながらコーナーを切るオートバイは常時水平を保てません。ポンプ
で燃料供給を一定化している自動車とは違い、自然落下式のオートバイで、入り口と出口のみに傾斜を付けて燃料供給しているのがオートバイです。
私はオートバイに対して効果が大きいとは認められないと思います。この燃料供給に関してはある程度の実験を行っていますので、いずれ報告いたします。
現在、ノーマルのプラグコードの
ままで使用されている上で、コードのみ交換するのなら、細手のシリコン外皮のコードで導通性が良好なものに交換するだけでOKではないか、と思います。
そして、ここが重
要なんですが、プラ
グコードの曲がりを少なくするためにキャブレター側からプラグコードを出すなど、ある程度の長さを保つことです。
想像ですが、常時点灯方式から電源供給は強力なACGがまかないます。が、抵抗入りの点火プラグの採用、希薄燃焼化に伴う方策のための対策として、点火
時のみ力を出す方式の小さい形状の点火コイルの採用とプラグコードを短くした結果がBST34のキャブレターを使用したSRの最終点でしょう。おそらく
「当たらずも遠からず」であろうと思います。
始まりと終わりとがちぐはぐになりましたが、私のSR500の点火系はようやく終焉を迎えたように思います。
私の行った今回の実験をSR400へ応用させることはできますが、結果は異なるものと思います。その理由は先に申し上げましたとおり、SR400と
SR500は似て非なるオートバイだからです。たかが100ccの排気量差ではありますが、ストロークの差、フライホイールの重量差、ピストン(トップ)
形状の差と圧縮比の違いなど、エンジン自体が別物なのです。
間もなくSR400という現行モデルも生産終了が言われております。ガソリンの高騰は別として、排ガス、騒音などの環境規制をクリアできない、と言われ
ております。(ヒンクレー)トライアンフのボンネヴィルがキャブレター様のインジェクションを用いています。なかなかおもしろいことと思います。SRもそ
うなるはずでしたが、基本設計の古いOHCエンジンでは騒音やら補器類やらの関係から、エンジニアも「もはやこれまで」とされたのではないか、と思いま
す。
「もしも」はキライですが、ほどよく今のSR400に似た新しいSR400がリリースされることを望みつつ、今回の報告を終えます。