BORE-ACEのSST-1を装着してみる

こ とのはじめ
 前回まででディスク5枚とアルミエンドキャップで一定の成果を出すことが出来ました。これは5月と6月、月の始めの土日に数回にわたって確認できたとこ ろで す。
 排気の効率とサウンドとの関係を考えてみたところ、当初のステンドームとオープンエンドではキャンつき音が大きくなって、押し殺し気味のサウンドではな くなってくるのも確認し、そのためにアルミのエンドキャップを装着したわけです。
 が、排気を何とか後方へ持ってくることは45°排気のスタンダードなスパトラのディスクでは出来ないことですし、かといって、これまでのメガトラップ (オレブルの呼称)のように排気をため込むような方法は好ましくありません。もっとも、延長した当方の改造スパトラでは不細工になってしまいます。
 スーパーサウンドのディスク装着の状況から、アキシャルフローディスクでも後方排気と効率の関係からは、少し疑問視せざるを得ません。
 どうしてもスタイル上は一歩譲りますが、何かを装着して後方排気という面を強調したい。しかも軽いものから、ディスクを一部包み込む方法が一番いいであ ろう、と判断しました。

どの製品にするか
 パフォーマンスと後方排気の関係からすると、以前にWMがリリースしていたSSTがありますが、これはスーパートラップのディスクを3インチより小さい ものにして、排気をダム的にためて後方へ送り出すというシステムであったように思います。
 即時ディスクの交換が出来ない点などからして、難しいものが在ったような気がしますが、実際目にしたことはあるものの、ディスクのパフォーマンスの比較 は出来ないため、あくまで私の想像でしかありません。
 話は前後しますが、そういった考えが私にあったもののBORE-ACEさんのSSTを見た時には、興味を引かなかったというのが本音です。2009年5 月1日のメーデー集会の時、例のシリンダーヘッドフィンの取付ナットがお湯を沸かす一件で電話をした際、このSST-1について少し状況を聞きました。
 ディスクは独自開発の38mm(1.5インチ相当)径。エンドキャップはディスクは(最低枚数は3枚なので)4枚以上(のところへ任意設定。残りのディ スクはその後に装着 したまま。アウターはジュラルミンに近い軽量設計... 。
 結構ラフながら、いつもどおり不思議な性能を発揮するようだ、と感じたところです。
 ところが、音としては歯切れがよくなるし、第一にスピードが上がる、という返答でした。私の方はスパトラのディスク決定がまだの状態でしたから、その場 はそのままで終えたわけです。
 稚拙な考えですが、ディスクのスリットを通った排気ガスはアウターのテーパーになった内部壁面に当たって後方へ排気される。また一部は予備ディスクに吸 い込まれて再び後方から排気される。取付ボルトの水滴型穴からも排気は送り出される... 、とこのような仕組みであろうことが解りました。
 こういったことがスピードアップに貢献しているのかもしれない、と考えて少ない小遣いを工面して購入し、テストしてみることとしました。

BORE-ACEにしては...
 6月22日の午後に送金しました。ここの製品については少しは在庫があると判断できるため長くても2日で到着、と甘く見ていたのですが、あにはからん や、ディスクの製造が追いつかないとのこと。そして、バックオーダーも若干抱えていることから発送が遅れる、との返答をいただきました。
 予定がまるで狂うため少し頭に来ていたのは事実ですが、ま、我慢します。若干ですが、私と同じ考えを持っていらっしゃる方が居るのかもしれないと思うと 嬉しくなります(爆)。
 6月26日の金曜日、ようやく到着しました。いつもながら、アウターのアルミ製品はワンオフの量産品(?)です。切削の技術など素晴らしいものがありま す。
 


私の予 想が外れたのは、次の写真によって判明しました。

  


 つまり、ディスクはディスクとして、アウターケースにボルト止めの方式だからです。そ のため、ディスクの交換はSST-1そのものをスパトラのマフラーから外した上で、ディスクを交換しなければならない、というわけです。
 これについては、次のように考えてみました。

ディスク枚数
 まずはディスクです。1.5インチディスクですが、「3枚以下での使用はし ないこと」とありますから、4枚以上を標準とします。ということは「4 枚がエ キパイ径に匹敵する」という通常のスパトラのディスクと同じ考え方と排気効率と考えてよさそうです。

 

 そうすると、迷うことなく「5枚から始めればいい」ということでしょう。ということは、SST-1はディスク5枚+エンドキャップ+空ディスク5枚。い わゆる中庸の装着方法ということでしょうか。
 内部処理として、若干の面取りとWD-40を吹き付けてぬぐい去っておくこととしました。WD-40は事前の酸化防止策です。

装着に関して
 翌27日(土)朝から装着に取りかかります。製品精度が高いためか、装着には若干のなじみの時間がが必要です。このことは、任意の枚数をセットして走行 していただければ概ね理解できると思います。
  1. ディスクは5mmのキャップボルトで止まりますが、菊座ワッシャーがアルミに食い込む状態が決まるまでは若干キツメ(通常のボルト締めのトル クで締め一 息強く締める程度)に止めます。それ以上になると、ディスクの状態からスリット確保の出っ張りへの負担が徒になってディスクの変形が出るかもしれないから です。加えて、ディスクは3本のボルトで止めることも要因に加わることもあろうかと思います。
  2. スパトラへの取付ボルトは結構SST-1が振動す るため、長いままで装着するのが好ましいように思いますし、トルクは純正指定の0.75kgでOKです。
ディス クは取付が安定するまでは、緩みが多少出るようです。

 当初のディスク位置から、任意のディスク位置への変更は、エンドキャップの位置で決定し、残りのディスクはエンドキャップの後ろへ持ってきます。

 


5枚でのテスト

 はやる心を抑えて、早速エンジンを回します。オー、幸か不幸かインナーコアの内径そのものがディスクの穴に合致しますので、ダイレクトにディスクへ導か れます。
 また、拡散した排気ガスは、ケースの3つ葉のクローバーのような部分に当たって渦が出来るように感じます。
 排気音はスパトラのボソボソ音が消えています。どちらかというとバッバッバッバという音からパッパッパッパという音に変わります。純正サイズのスパトラ では、もっと歯切れのイイものになるかもしれません。
 それでは出発です。最初の信号から... 。レレ〜、スーッと行くんですね。イヤ不思議。もちろんクラッチのググググッという音はあるのですが、それでも発進がこんなにスムースになると、1速で もっと開けられるようになるぞ、と感じたところです。
 信号が青になります。考えどおり2000近くまでスーッと上がります。一息入れて2速。そこから2000、と確実に5速まで行けます。いや、これはいい です。
 当然60km/h近くになってますが、音もそれほどうるさくは感じません。もっとも、マフラーが鳴っているのではなく、最終のディスク部分から音が多く 出ている、というこれまでのマフラーとは違うものに変化しています。
 5速での低回転域での守備範囲が若干よくなりました。これも特筆ものでしょう。多少交通量が多いので、申生田の登り下り、光満街道、水分の下りなどいつ もと大差ない。唯一違うのは、速度が全体に速い。これが感じなのかどうなのか?。頼りはメーターと自分のフィーリングです。
 帰宅前、丸山の下りから丸穂へ入って時速30km/h程度を4速で... 、これまではこんなにスムースに走るのは3GWのマフラーの時意外、ここんとこ無かったわけです。
 同時に何か、交換マフラーでこういった走り方をしたのは... 。
 そう、今は無きスポーツショップキジマの3インチのロング管スパトラを装着したときに非常に近い、と感じたわけです。
 しかし、「満足感」が沸かないのです。この不思議さを何とか。考え方は間違っていない。でなければ、こういった走りはしない。何か割り切れないものがあ るようです。

再びディスク枚数
 この5枚の状況から、4枚にするのか?6枚、8枚にするのか?。ずいぶんと悩みました。4枚にすると音は静かになりますが、バックプレッシャーに悩まさ れることになるのではないか。いくら1.5インチディスクであっても、全く別物であること。
 このことから4枚装着は止めとしました。
 では、8枚ではどうか。これは通常のSR400/500のスパトラ指定ディスク枚数です。が、この8枚というのは、メガホン内部にたっぷりとウールが詰 め込まれた中でやるとOKでしょうが、これにはメガホンマフラーは使用できないことになります。
 というと、6枚という線が出てきます。確かに机上の考えでしかありませんが、これまでのように、ディスクを交換できる状況ではないのが現実です。
 SST-1のディスク1枚の効率はスパトラの純正より、もっとストレートであり、クリティカルに影響が出てくるように感じます。
 ということから6枚でやってみることとしました。

 

ディスク6枚
 その日、午後からディスク変更します。写真でも示しているとおりの作業がありますから、少しばかり時間を食います。落ち着いて作業をすることがカンジン です。
 エンジン始動。若干音は大きくなりましたが、顔をしかめるほどでもありません。いざ発進。スルスルスル〜。なんじゃこれは?。5枚より走りやすいので す。これは驚きです。ということは、バックプレッシャー関係からすると6枚は必要なのではないか、と感じます。
 が、BST34のキャブですから、信号が青になるまでのアクセルのオンオフは控えます。で、スタートすると、イイではないですか。まぁまぁの気分ではあ りますが、これまでとは異なる走り方をします。
 吉田医院の右コーナーで、リアのK70がズズッときました。オー、これはXT500の走り方だ。昔こんなんだった。決して倒しているのではないのだけ ど。トレッド(グルーブ)が外へ張り出していないタイヤの宿命かもしれません。
 異変は再び来ます。和霊大橋への左カーブ。これがスムースなんです。エッ、4速?。信号待ちからすぐの左なんですが、加速がスムースですからいつの間に か4速へ入っているといった具合です。
 申生田の登りはバックプレッシャーがかからない分、穏やかに昇ります。こんなところでも自動車はアクセルを踏むのですが、飛ばしても下りから次の光満街 道への入り口で詰まってしまうのですよ。オートマ全盛の今はガソリン消費などは考えないのでしょう。
 光満街道は、カンリンの重量フライホイールの効果が若干ですが現れてきました。一定回転域での一定スピードを保つ力が大きくなりました。ともすると、 これは下りで逆効果になっていたのですが、水分からの下りが楽しみです。
 務田の坂までもこれまでの4速よりも5速での支配が大きくなってきました。
 いよいよ、三間街道へ入ります。途中、遅い軽四をパスします。そのまま5速でグワ〜っと行くと90km/h。そのままにしていくと100kmまでジワ リーっと上がっていきます。この時の音は静かなんです。
 心を静めて、再び60km/hまでの間へ針を戻します。イライラもノンビリもありません。この不思議な感覚はなんでしょうか?。
 永野市の交差点を避けて、近永から水分への道を採ります。いいです。30km/hの細い裏道ですが、音はそれなりにもストレスがないのです。これも特筆 ものです。

 水分までのダラダラの登りは若干の向かい風の中ですが、快調です。やはり、ロードがかかったときの1500回転付近の音。これさえなければほとんど満足 なんですがね〜。
 たしかにBORE-ACEのマスターがおっしゃるようにスピードが上がっているような、そんな感覚が支配します。一番いいのはストレス無しにソコソコの スピードを維持できること。よほど遅い四輪以外は、その後ろで走っていてもストレスを感じないなど、色々な面での変化が現れます。

 水分の下りへ入っても、思いっきりではないのですが、とうとう5速のままで喫茶店の横まで行ってしまいました。ゲゲ〜、ブ レーキシュー交換しなきゃならん。ディスクかな〜、とブレーキのプアーさが出てきます。そのため、最終の右Rへ行くまでに、急にシフトダウンして、いつも より遅く最終の右 Rの出口付近で5速へ戻した次第です。
 下りも快調そのもの。車重と少しのアクセルオンでドンドン下っていくのですから。柿原の信号からトンネル内へ入りますが、音もそんなに大きくありませ ん。ロードがかかったとしても、エンフィールド(500)の2/3ほどの音ですし、ショートストロークのSRではパ・パンという音が出ないのです。それぐ らいの音 量です。

 帰宅して、ほっと一安心。当面はこの6枚でやってみることとします。早く梅雨が明けてほしいところです。





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