BORE-ACE クーリングフィン TC33-S

 僕の記憶が正しければ、このパーツを見たのは2010年3月1日ではな かったか、と思います。BORE-ACEのホームページのトップが変更されて、 Macでは上手く表示できず頭に来ていたところでもありました。
 何気なくスクロールしていくと、これがあったのです。私は一瞬声を失いました。まさか、こういったことを考えるとは。マスターの坂本さんはコワイ方だ。 悪魔ではないか(爆)
 様々なことが頭を過ぎりました。ところが、「近日発売」でしょ。残念とも何とも言えないものが支配したのですね。
 ふと思い出したのは、チェーンテンショナーの時でした。これも発表と同時に電話したのですから。ちょうど、その時と同じ気分であったのです。つまり、写 真を見て「ピーン」と来たのですね。



 SR500のエンジンはSR400とは全く異なります。強いて言うとXT500のエンジンとも似て非なるモノです。生産終了前のSR500になります と、SR400とずいぶん共通なものもありますが、根本は全く違うものですからSR500乗りには物足りないものが出てきますし、ずいぶんと良くなった部 分が多いが、結構手を入れなければならない部分が多いようにも感じます。
 まずは、発熱を以下に抑えるか、ということにあります。が、モンキー・ゴジラ並の大きさなら大丈夫ですが、通常の7段・5段のオイルクーラーはやはり冷 えすぎます。それゆえ、オイルラインを変更して、シリンダーヘッドへのオイル供給量を変化させるBORE-ACEのオイルラインを装着したのが最初でし た。
 これも、前後のロッカーへオイルを多く供給する必要性から、ツインラインが必要でした。それほど発熱量が多いのです。が、冷えすぎも少しばかりダメにな る。この板挟みでした。自作のクーリングフィンも夏場は結構効いているようにも感じます。
 つまり、この部分は相当に熱が出やすいし、それを逃がす手立てがない、と言うわけです。したがって、お飾りは別として、フィン付きのカバーでは対応でき ないのです。
 ただし、何度も言いますが、ごく普通の状態のSR500でしかわからないことであろうと思います。

 こんなことがあって、たまたま松山出張の3月4日にBORE-ACEさんへ電話を入れたのです。ダメもと結構という気分でね。「早〜、エー。」第一声で す。MANROUさ んよりは遅いでしょうが、何とかなりませんか。「アー、大丈夫ですよ。カラーは?」エッ、カラーバリエーションがあるのか?。でもエンジンがシルバーだか ら、これはシルバーだ。無地でいいですよ、と。
 「ありますよ。1コ送りますよ」一瞬安堵しました。金額のことすっかり忘れていましたが、ゼヒ、ということにしました。
 話をすると、SRのエンジンで、この部分は相当な熱を持つとのことでした。そのため何とかしたいから、という結果から生まれたパーツとのこと。
 モニターではないのですが、レポートしますよ、と申し上げて電話を切りました。

 何と、翌5日に現物が届きました。物流業界のスピードアップは凄まじいものがあります。
 この小さなパーツに対して数十倍の箱ですから。もっとも保険の関係で、パッケージはある程度の大きさが必要とのことらしいです。若干のバリ取りをした 後、天候が回復したら取り付けようと目論んでありました。



 3月6日は天気予報通りだと午後から回復らしい、と出ていました。日曜日は松山出張で天気も良くない。ということは6日が狙い目ということ。祈りまし た。幸いにも雨は午前中で上がり、曇り空ながら作業ができるまでに路面も乾いています。午後2時より早速作業開始。

 純製のキャップをはずして、真ちゅうブラシできれいにしておきます。Oリングは異常ありませんので、モリブデングリスを塗布して、そのまま再使用しま す。わずか20分で作業終了です。

 

 エンジンを始動します。ものの3発蹴って始動できました。この時はこのキックを踏み下ろす回数に気付いていなかったのです。
 えらく静かにエンジンが回ってます。スパトラ改のサウンドもまろやかです。2段チョークも既定の30秒を守って通常のアイドリングに。気温は17℃程度 です。これも安定しています。ナナ、ナンダ〜、どうして安定しているのだ?。不思議な感覚に陥りました。



 一応、クラッチが切れることを確認して、エンジンを止めます。

 支度に10分程度。再始動を行いますが、ナナ、ナント、チョークを要求するんです。驚きましたね。
 ともかく出発。クワー、ギアが入らない。困りました。確かにクラッチは切れているのに、どことなくギアが入りづらいのです。
 ともかく、ある程度の回転数を合わせると入るところがあるので、テストコースの帰りにオートショップワタナベでクラッチを分解することにしました。

 さて、光満街道で、最初の変化がやってきました。梅林口から少し行くとタイトなコーナーが続くところがあります。
 この間の竜神スカイラインで隼を飛ばすようなことはできませんし、50km/hが最高速ですので、そういった感じでのことです。前に四輪車が居ると、こ れまでの大半の場合は4速へ落していました。
 ところが、今回は5速でもストレスないのです。ヤバー。確かに1500回転付近ですから5速なんです。4速へ落すと、回転が2000近くへ上がりますか ら、間違いなく5速なんです。この回転域(1500程度)で前後へ揺するようなギクシャク感が影を潜めているではありませんか。SR400並みとはいきま せんが、スムースさが増したのを確認できました。

 務田の坂を下りて、三間街道へ。アレレ〜、飛ばしてなんかないのですが、60km/hでの速度域がべらぼうに速く感じます。5速の回転数は、わずか 1600回転程度。
 アクセルのツキ(反応)が良くなってきているので、右手のひねりがシビアになります。つまり、いつもの開度でアクセルをひねると、80〜90km/hへ 行ってしまうんです。ヤバイのはヤバイのですが、気持ちいいのです。パイロットスクリューのみ2回と5/8回転戻しぐらいにして、キャブも何もいじってま せんよ。

 近永の交差点から右へ曲がるとき、いつもだと少しばかりもたついて、ダメだな〜、と思っていたのですが、今回はツー、ガチャ、ツー、カチャと前後に少し 揺するようなショックをともない、加速するときは、わずかにフロントフォークが伸びるような、そんな感じのシフトをごく自然にしてるんですよ。

 水分の下り坂へさしかかって、一瞬どうしたものか、と悩みました。
 最初の右コーナーは5速。次の喫茶店の横を通る右の後左のコーナーでは4速から3速へ。そして最終の大きい右Rで5速へ。
 これが、今までの操作でした。ところが...。
 5速のままで全てを通過しそうになったのです。ヤバー。今度はブレーキを多用してしまいます。喫茶店横へはやはり4速へ落した方がいい、と判断しまし た。ブーッ、ボッボッボといったマフラー内部の音もしません。ブーボボボボだけなんです。エンブレ自体が効いていないような5速ですから4速へ落さざるを 得ないのです。

 こんな調子で、残りは一季の下りです。自動車がどうしてアクセル踏まないでも、ある程度の速度を維持して坂を下るのはどうしてか?。

 これまで、さんざん悩みましたが、今回ばかりはそんなことはお構いなし。自然に車重で下っていくのです。しかも、アクセルは開け気味ですので、ヤバいの です。
 坂を下りて、柿原の一般道へ。ここでもいつもと違って、ツー、カチャのシフトをやってます。ごそごそ走りません。全く今までとは違う世界です。

 オートショップワタナベでのクラッチ分解は20分程度。どこも異常はありませんでした。
 となると、やはりピボット部分での調整か。17mmのスパナでロックナットを解除して、プラスドライバーでクランクケースのポチマークにフィットさせる ように締めこんでOKとしました。

 帰りは市道から国道56号線を走って帰ります。このストレスのない走り方は何だろうか?。何度も自己質問と回答をやりながら帰ってきました。

 その夜、いろいろ考えました。マスターの考え方は、先にリリースされたクランクケースのブローバイガスの溜まりを多くするシステムを簡易にしたものでは ないか。つまり、今回つけた70〜80ccの溜まり増の効果が表れているのではないか、と考えたのです。
 では、シフトが渋くなるのはどうしてか?
 クラッチは大丈夫でしたから、内部のギア関係とオイルサンプの状況であろう、と思うのです。
 ご存知のように、SRはオイルタンクを別に持つドライサンプ方式です。しかし、ヤマハとしてのドライサンプは半ウェットサンプ方式を取っています。その ため、クランクケース下部へはオイルが溜まっていることになるのではないか、と思うのです。
 つまり、逃げきらないクランクケース内の圧はわずかですが、オイルを一定自由にさせないことに生かされていたのではないか、と考えました。
 ということは、内圧が少なくなることによって、オイルが自由に動き回ることができる。これまで、クランクケース下部のみに溜まっていたであろうオイル が、自由に散布されるようになったため、クラッチの切れ方も若干変わったのではないか、と思うのです。



 3月8日にマスターへ電話。私の報告を申し上げたのですが、案の定、というか、マスターの考え方が合致したということでした。

 次なる手は...、ということではないのですが、オイル交換した後の状況、と四国自動二輪交友会でのツーリングを兼ねて報告をしてみたいと思います。


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