ひょんなことから...(最終章)
楽しみつれづれという私のブログでSR500に装着している改造スパト
ラのモディファイ(?)の結果を紹介したところですが、改めてSR500の項で報告をします。
ことの起こりは次のようなことからでした。確かにスパトラのディスクをスーパーサウンドのものにして、途中の遮蔽版に10mm径のボルトのナットを袋
ナットにして好結果を得ていました。その時のエンドキャップはスパトラのドーム+アルミのエンドキャップにしていました。
その状態で過不足なかったのですが、何というか、どうも鼻づまりの状況が強くなってきたのですね。ことに、加速する段ではモワ~っとする感じが強いよう
に思われ出したんです。
もちろん、通常走るのはスパトラのマフラー部分全体の制振作用などはかなり効いていまして、リゾネーターというか、排ガスの整流作用など結構いいものに
なっていることは十分感じられていたことでした。
が、どこか抜けが悪い気分が抜けなく(笑)なってくるんです。私の考えた排気の流れは、以前、別項で申し上げていますが、その部分、そう、排ガスの流
れが円形ディスクを通過した後どうなるか?、の考察はドームのエンドでないとスパトラのカーボン関係の処理(スパークアレスター)までは考えていなかっ
た、といったところでした。
それでは、スーパーサウンドのマフラーが相当変色するのはどうしてでしょうか。ことにスリップオンタイプはSRですと、エクステンションパイプ部分、マ
フラーエンド部分の焼けが非常に強いものがあります。
不思議かもしれませんが、BSTキャブ仕様のSR500での原因究明は簡単です。それは排ガス対策のため、混合気全体を薄くしているためです。冬期に
ノーマルマフラーで走って、エンジンを止めるとチンチンチリチリという音がすることでもお解かりのように希薄燃焼は相当発が大きくなる要因です。
もう一点は、火の流れがある程度制御されているにもかかわらず、不十分な混合気で高回転域を使うと規制を受けた部分は熱がこもるため、焼けざるを得ない
ことになるからです。
その上にスーパーサウンドのマフラーエンドは上部にフードがかかっている形状ですから、高温の排ガスは一部放出が阻害されることになるわけです。私の経
験では、スーパーサウンドはSR400でも同様の変色をするようです。
なぜ、このようなことを記載したかというと、トライアングルディスク(▼+▲)の長辺から排出される排ガスは20°の角度で排出されて一部が内側に回り
こむようにスワール(渦巻)状に円形ディスクに入り込む、と同時に、入り込んだ排ガスがスリットから出るという脈干渉を繰り返して...
、最終はエンドキャップで纏められる、というのがスーパーサウンドのディスク状態ではないか、と思うのです。
では、吸収し切れなかった排ガスはどうなるのか?。同時に排ガスの熱はかなり残るのではないか。そのために、ステンレスのマフラーの隔壁部分の周辺が熱
変色するのではないか、と考えたのです。
ましてや、私の場合は改造インナーコアのスパトラなので、ある程度排ガスの流れはマフラー内で良好と思いますが、それでも通常のスパトラのディスク
(45°放出)とは明らかに流れが阻害される可能性は高いとであろうことは想像できます。
ステンドームは完全にスーパーサウンドのディスクに入ってしまいます。そのため、○枚の円形ディスクの排気効率は○枚−1となります。
ドームのエンドキャップで用を為しているのに、オープンエンドキャップが本当に必要かどうか、誰もが考えることでしょう。
ともかく、アルミのエンドキャップをはずし、オープンエンドを装着して実験を開始します。
いやはや、驚きましたね。これはスゴイです。決して凄まじい変化はありませんが、かなり効果はあるようです。
一概に「このように変わった」と判断できるところは、まず音です。これまでの、ある程度くぐもった音から少しばかり効率のよい音に変化したように感じま
した。
続いて、エンジンが温もった時点でのアイドリング数が上がりました。キャブレターの調整は行っていませんので、これまた排ガスの流れが良くなったのでは
ないか、と想像できます。
走行しますと、ピックアップは変化が無いのですが、スタート時の回転の上がりが速くなりました。カンリンの重量フライホイールのため回転の落ちが若干ト
ロイのですが、各段での引張りがアルミのエンドキャップの時と違って鋭くなっています。
かなり排ガスの流れの効率が良くなったように感じました。
そして、寒い日が続くのですが、午前中の最初の始動からしばらくの間、ディスクから出る水滴が結構少なくなりました。これは排ガスの流れの効率か、ある
いはオープンエンドにしたため、排ガスの温度が下がったためか、明確ではありませんがともかく変化は大きなものでした。
これらの結果からAAAさんがリリースしているスパトラにはオープンエンドが装着されている理由が理解できたように感じました。
次なることは、スーパーサウンドのエンドキャップを装着して、スパトラのオープンエンドが装着できるかどうか?。これを確認したと思います。
2007年も暮れが押し迫った日、階下の部屋へ降りてスーパーサウンドのエンドキャップを探します。以前、遮蔽板代わりにしていた奴は黒くなってしまい
使い物にならなりません。今回は以前ヤフオクで購入したスーパーサウンドのエンドキャップを流用することとしました。
ここで、少し困ったことが起きました。それは、スーパーサウンドのディスクにスーパーサウンドのエンドキャップは見事に装着可能なのですが、その上にス
パトラのオープンエンドを装着するとエッジに上手く収まらないのです。ということはスーパーサウンドの20°排気とスパトラの45°排気によるエッジか
ら、わずかに角度が違うためでしょう。
したがって、今回はプロトのグラファイト製ガスケットを2枚用いて、完全に段差を無くして装着することとしました。
結局前年にやったのはこれだけ。他に記載していますが、年始はミゾレの中のサイクリングや1日にテレビが昇天するやらで大変でした。おまけに天候が悪い
のです。青空工房としては手を出すのは危険と感じて、年末年始の休み中は作業を止めました。
この間は何をしていたか?
そう、自問自答をしておりました。どうかすると、改造が改悪になってしまう確立が高いのですが、SRのスパトラ関係は、今のところ購入当時に比べて上手
く行っていると思っています。そもそも、スパトラはどういった状態にあるべきなのか?ということから、次の2冊の写真集を見てみました。
そこにあるのは、1900年のデイトナスピードウィークでのハーレーです。少し見づらいのですが、今のオープンエンドとは少し違う、そうステンドームの
中央に穴を開けたタイプのようなエンドが装着されています。ディスクの枚数は30枚程度でしょうか。
問題はディスクの焼け方です。相当効率よく燃焼が行われているように感じます。もちろん降るスロットルの部分もあるでしょうが、この重いハーレーを軽々
とライディングする。つまり、ビューエルのようでもあり、それでいて体重移動等、ライダーは相当苦戦を強いられる中での状態ですから、私は、こういった燃
焼状態を目指す... 、と言いたいのですが、そうも出来ません。
が、これに近づけると、今度はキャブの問題が出てきます。したがって、中庸を行くとすると、今の方法は結構良好な結果を示してくれるんです。
スーパーサウンドに関係したサイトをのぞくと、多くはスパトラと同じに扱っているようです。そのため大ミステイクをやらかしてしまうのですが、大半のレ
ポートでは勝手にディスクの枚数を減らしたりして、元に戻して良くなった、というものが多いようです。
このことをスーパーとラップに応用すると、SR400なら良くなるのですが、SR500ではもっと苦しみが増します。おそらく、私のようなインナーコア
からの改造をやらないとダ
メだろうと思いま
す。そして、アキシャルフロータイプになっているのであまり関係はないでしょうけど、通常のディスクを使用するには、アクティブの指定のないもの以外では
ドームのステンエンドとオープンエンドを使用することをお勧めします。
もう一点、スーパーサウンドでの遮蔽板以後の円形ディスクはダミーです、と言い切っていらっしゃる方がいらっしゃいまいたが、これは間違いであ
ろうと思います。答えは後ほど。
ということから、アクセルオフのときにボボッという音、パフパフというをいう音を極力出さないようにしてセットするのは、結構骨折りなんです。
その対処は、BST34のキャブならパイロットジェットを#165に上げ
れば、ラフなアクセルワークをしなければOKでしょう。その上で、書中のハー
レーに近い燃焼効率を目指すとなると、私と同じような改造をされたスパトラなら、結構いけるのではないか、と、その写真を見ながら考えたところです。
そんなことで、作業を行ったのが1月13日。運良くお天気になってくれました。オイルクーラーを装着していますから、若干気温が低いと不安になりますが
10℃を超えましたので、一安心です。その日の午前中に取り付け作業を行いました。
まずは、装着前にスーパーサウンドのエンドキャップは完全に指紋や油汚れを拭き取っておくことが必要です。そうしないと、黄変が始まってからでは、この
油脂のムラは取り除きようがありません。
いつものようにモリブデングリスを塗布して組み付けます。最終段階のトルクは0.4kgとしました。わずかな差ですが、指定の0.45kgより、ディス
クの納まりが良いように感じました。同時にトルクは星型の締め付け順なら一発で決まります。
後ろからオープンエンドの裏は側を覗くたとき、ハッとしました。オープンエンドの底とスーパーサウンドのエンドキャップの斜辺との間にダムが出来るので
す。もしかしたら、これは排気の整流に一役かっているのでは...、という感じを持ったのです。
午後から試走をします。本日は午後6時から同級生との一杯会があるため、午後4時までに何とか結論を出したかったため、少々段取りを考えて走行テストを
行いました。時間の関係からコースはショートコースです。
エンジン始動。スパトラのエンドキャップのときより、バランスのいい音がします。これは凹断面の球で排気を受けるか、台形断面で排気を受けるかの違いで
しょうけど、スーパーサウンドにはスーパーサウンドのステンエンドで受けるべきであろうことが解りました。
余談ですが、当初、アルミエンドのキャップのインナーは遮蔽板と同じものが使用されていました。今でも同様ではないか、と思います。こういった点をプロ
トからダイレクトでリリースしている各車種専用のスーパーサウンドは、ステンのエンドキャップならそれは踏襲すべきであろうと思います。
エンジンを始動して、今回はオープンエンドの後ろからは排気が出てこない、と感じたのです。スパトラのステンドームでは分散して排ガスが散っていたよう
に感じましたし、この段階で、ステンドームはそれなりに機能していた、と確信します。
ところが、驚くべきことを発見したのです。それは後ろから横へ手をかざしたときでした。あれ~?、サイドは排気の強さが違う。もしかして?、と手の甲を
かざしてみますと、ナナ、何とトライアングルディスクの最初の1枚目の向きに準じて排気が流れているんです。
たまたま、私の場合はホイール側、下側、それにホイールと反対側に流れているのです。少しずつ手の甲を後ろへずらしてみると、その▲の面が緩やかになっ
てくるのです。
思ったとおりです。円形のディスクは▲の辺に流していた排気ガスを感じることが出来ない排気をコントロールして受入れ、放出をしているのではないか、と
想像できるんです。
したがって、私は円形ディスクは単にスペーサーだけではない、と断言していいと思います。こんな状態ですからやりはしませんが、トライアングルディスク
だけでディスク構成すると、まずおかしい音と排気状態になって、走らなくなる可能性が強くなるのではないか、と感じました。
早速走行してみます。最初はもたつきますが、数キロメートルも走らないうちに、加速感がいいことに気付きます。アイドリングは1000rpmに上がりま
した。回転が力強くなります。エンジン自体の振動は少ないのですが、ハンドルバーなどの振動は少しばかり大きくなったように思います。
坂道で若干バフバフ音が出ますが、これは燃料が少なくなったときに起きる現象です
から、今のところ防ぐ方法を私は知りません。
最終は大人気なかったのですが、同じ乾式クラッチを使用したホンダのNSR250と勝負しましたが、そう引け目を感じるほどではなかったし、フッとアク
セルを戻してスムース走行に切り替えるのもラクチンになってきました。
一応の成功を収め、帰宅したのですが、本来のスーパーサウンドではどうなんだろうか?。再びスーパーサウンドを手にして実験を開始してみることとして、
考えを巡らせます。
最初に困ったのは、スーパーサウンドにも専用のオープンエンドがあるということです。運良く、先に購入したスーパーサウンドにはこのオープンエンドが付
属していました。
上手く説明は出来ませんが、ディスクの中央を通った排気ガスを絞り込んで放出するスパトラのオープンエンドと違って、スーパーサウンドのそれは、送り出
された排ガスの一部をトラップして元に戻すような、リバースコーンのような機能を持たせている形状なんです。
センター部分は奥へ入り込んでいますから... 。
ウ~ム、エンドキャップの上に円形ディスクを5枚ほど乗せる?。これはバカやってるようでなりません。
逆にエンドキャップの代わりにオープンエンドを乗せる!?。おそらく音は大きくなりますが、スパトラ改の時に感じた排気の流れが一層後方へ導かれるので
はないか?。これは試してみる可能性があります。
2008年1月19日の土曜日、作業を開始しました。およそ30分、交換完了です。エンジンを始動したとき、ビックリしましたね。
音が静かなんです。ところが、バックプレッシャーがかからない分、アイドリングが上がります。そうそう、パイロットジェットを#165へ2.5引き上げ
ていますが、若干ガスが濃い状態のような感じです。その代わりエンジン自体に掛かる負担は軽減されていることは確かでしょう。変化の少ない負圧キャブ
(BST34)でも希薄燃焼気味でリリースされているのはエンジンそのものに対しては良くないように感じます。現在のSR400は絶対的な発熱問題など、
相当に苦しい環境で動かされ続けているように感じます。
排気の流れを確認するため、掌を排気口へ当てると、ビックリしましたね。センターホール付近からも後方への流れが確認できるのです。仮に円形ディスクの
みでレーシングマシンに装着した場合は、結構凄まじい効果を発揮するのではないか、と考えられました。
走ってみて、結構良い状態です。これはイケルかもしれない。ショートコースを一回りして帰りの和霊町の直線で、ドブ板走行してきたシンプソンヘルメット
のCB400F+ヨシムラと競り合いました。途中で城山の裏側へのルートを取りましたので、国道56号線の最終コーナーで対面したところです。帰宅前の最
後の信号、排気音が変わり、異例に大きい振動が始まり出しました。
どちらかというと、マフラーで排気のコントロールが出来ない。5速で3500回転程度を2分ほどです。内部のグラスウールが総て後ろへ持って行かれたよ
うな、そんな現象です。
私の経験から、これでは高速道路は走れない、と感じましたね。つまり、普段の走行ではガスが濃い状態でスムースな走りが出来ているが、高速道路を
90km/h程度で走ると、途端に振動が大きくなって燃焼効率が促進されるものの、乗れたものではない。おそらく夏場は... 。
結果はトライアングルディスクの後に遮蔽板があるにもかかわらず、バックプレッシャーがかからなくなってしまいます。おまけに、インナーコアに段差が
あったり、最終プレートにも段差があるなど、マフラー内に少し加工してある製品にもかかわらず、グラスウールの状態は単純でしょうから、どうしてもエンド
キャップは必要で、ある程度深さのある物が必要であることが理解できました。ところが、こういったパーツはスーパーサウンドの場合無いのです。強いていう
とアルミのエンドキャップぐらいの深さが必要です。
同様に当初私が考えたとおり、円形ディスクはリゾネーター的役割を果たしているのだ、ということが確認できたところです。
というところで帰宅。エンジンの冷めるのを待って、スパトラ改へ再び戻しました。
今回の実験で、「適応車種SR400/500」となっているものでも、最適機種はSR400である、と断言してもイイ、と感じたところです。
スーパーサウンド自体、フィットさせてあるのはSR400で、最近リリースされているのは現行のAI化されたSR400専用であることは明白です。
最後に番外編として、次のことを申し上げて、終わりといたします。
再びスパトラ改に戻したときに不思議なことを感じました。いわゆる、ノーマルのエキパイと、それにまつわるモロモロの件についてです。
ことは2J2のSR500に遡ります。エキパイとマフラーのジョイント部分がどうしてもきっちりと装着できないのです。マフラーはエキパイの数ミリ後方
にクランプされるのです。が、2H6のSR400は見事に決まっていたのです。
それから18年後の96年6月リリースの私のSR500も同様の位置でクランプされていました。よく言われるのは「500と400ではエキパイの内径が
異なりますよ」と言われています。私もそれを信じて紹介しました。あながち間違いは無いまでも、これは嘘ではないか、と感じます。
理由は2J2でも2H6でも私の1JNでもマフラー(3GWまで)だけは400/500共通なんです。ね、ここまで言って判る人はスゴイと思います。
ここからは項を改めて記載をすることとして、私なりにSR500に対してのスパトラのことをひとまず終えることとします。