あえてコージーシートを再び

 コージーシートの関連で、止めにしたのは2006年の10月頃でした。 取り付けに改善を要すること。そのために、タンク取り付けボルトが当たる部分に穴を開けました。そのとき水分が出たのを記憶しています。
 しかしながら、あきらめの最大の理由は、エアクリーナーボックスへの空気の流入量が阻害されることにありました。
 この理由は、前回記した最終段階で、オレブルのスポーツシートを取り付けたときに、明確に感じられたことです。それ以後、ノーマルシートを愛用していま した。
もちろん、頭の中ではコージーシートを忘れたわけではなく、ことに、トライアンフのT-140Vのシートの修繕をサゴウ工芸にお願いし、受け取って装着し たときに、どことなくコージーシートの感触に近いものを持ってましたから、コージーシートも同じはず。何とかすれば何とかなる(?)、と意識を持ち続けて いたところです。

ほんのきっかけ
 これまでは、吸入空位の流入という最大の疑問がありましたが、同時に、どうしてもリアの取り付けボルトがスムースに入らない。穴(ナット部分)を探るこ とは出来るのですが、ねじ込みは非常に硬い。という現実も存在していました。
おそらくは、シートベースの製品ムラで、ダンパー部分が水平になっていない。同時にタンク取り付けボルト部分を穴あけしても、この部分の余裕はできるが、 リア部分はリアフェンダー、リアのシートレールのどこかへ接していることになるのではないか、と考え込んでしまうのでした。
 この解決策は... 。
 そうなんです。フロント部分はガタガタぐらい。当初は、こちらの金具の肉厚を上げる方法が一番ではないか、と考えていました。もっとも、ノーマルシート でもガタがありますから、実のところ、そう気にする必要はなかったのですね。
 となると、リアの取り付けダンパー部分を若干持ち上げればいい、ということになるんです。そのパーツをどうするか。これが次なる問題だったんですが、こ の解決はコージーシートを再び使ってみようと決めたきっかけから始まります。
 冒頭、サゴウ工芸で修正してもらったT-140Vのシート修正が非常に好ましい結果でしたし、着座のフィーリングがシートの厚さは違いますが、コージー シートと非常によく似ていたからです。
 2006年の12月にT-140Vの点火システムと電装周りを完全に近代化させてしまいました。そのときに電装ユニットを取り付けるときの穴あきユニ バーサルのアルミ板を使用しました。
 その穴の位置がSRのシーと取り付けダンパーの立て込みボルト位置と同じではないか、ということが閃いたんです。

まずはパーツ
 早速DIYショップへ出向き、アルミのプレートを4枚購入してきました。同時に、SRのシートレールに当たる部分のダンパーも見つけることができまし た。おそらく、このパーツで行けるはずです。アルミ板の厚さは2mmで表面はアルマイト加工です。



取り付けてみる
 お見事、無加工でダンパーの裏側、シートベースとの間に挟んでナットで共締めしました。結果は...。
思わずにやりとしましたね。見事です。
 わずか、2mmの高低差ではありますが、思わぬ違いが出てくるものです。改めて、ボルトオンキットは無修正で取り付けできる、とはイコールではない!、 ということを感じ入った次第です。



 次の問題は、前側にある位置決めの金具です。ここのガタは無視してもいいのですが、この金具は、コージーシートの場合、プレスした金具の補強を兼ねた エッジが立った部分が下側になります。つまり、車体側のダンパーラバーの下側は面ではなく線で接することになるわけです。



私は、この部分は面で当たるべきではないかな、と感じたのです。面で当たれば、万一の場合ダンパーの損傷も少ないし、シート装着のとき、この金具のダン パーへの入りがスムースになるのではないかな、と考えたんです。
 そうすれば、金具を裏返しにして、シートベースとの隙間に、先ほどのアルミ板を入れ込めば、シートベースにも傷がつかない。で、やったんですが、デイト ナもイラつかせますね。リアのダンパーのボルトと間隔が違うんです。
 止むを得ず、アルミ板の一方を金切り鋸でカットして、もう片方の穴を丸ヤスリで広げてOKとしました。金具を装着すると、見事にダンパーのいい位置に滑 り込みます。

 

 フロント部分は自然のガタはありますが、ノーマル並に押さえられており、簡単な修正でしたが上手くフィットしました。
 ひとまず無難に装着できるようになりました。

  

走ってみる
 エンジンを始動する前に、シート後端周りの状況を確認します。取り付け時にも感じましたが、わずか2mmの下駄を履かせただけなのに、シート後部のエグ リの空間が広がることに少々びっくりしてしまいます。
 エンジンを始動して、しばらくの暖気した後に走行を開始します。レレ~、これまでのコージーシートのときとずいぶん違う感じを受けました。おかしいほど なんです。
 夜の会議があるため、高光までのショートコースをこなし、オートショップワタナベでハンドルスイッチの取り付け角度を変更して帰ってきました。
 エンジンも見事に反応します。ギャップを通過しても振られること無く、内部ウレタンの硬さも十分に機能します。おかしいほどに快調のうちにテストを終え ました。

最終考察
 おそらく前回に報告したコージーシートの欠点については、「お前はウソを言ってる」と思われたやもしれません。特にそういった反応がないのは、コージー シートの装着率が低いのだろうし、あるいは、エアクリーナーをはずして乗っていらっしゃる方が多いのかもしれませんが、コージーシートでの吸気効率が悪く なることとは別に、取り付けボルトのスムースな収まり具合の確認ができたことは、やはり、シートベース形状がよくない、といわざるを得ません。
今回のコージーシートの修正は、少しばかりエポックメーキングなものでした。最初に燃料タンク取り付けボルトの当たる部分に穴を開けた後でも、シートの取 り付けにはコツを要していましたから。単に2mm厚の下駄を履かせただけで、これだけ変わるのか?という摩訶不思議な現象に、何とも表現しづらい影響を与 えるシートベース形状というものが存在するのだ、ということが解りました。
 この点の確認のために、再びコージーシートの後部を見て見ますと、製造年月日と思われるプリントがある部分が3cm程度の広さで平らになっていることが 判ります。この部分より前は、若干少なめですが、ドーム状のエグリがあります。その前部分(着座位置)が、ほぼ平らになっています。

 

 私の推察ですが、プリントのある平らな部分がリアフェンダーを覆うため、シートレールが2/3ほど隠れて取り付けられるのです。したがって、ドーム状の エグリ部分に空気の流れが悪くなる。取り付けボルトも入れづらい。その結果、エグリから前の平らな部分がエアクリーナーボックス上部にあるダクトの取り付 け部分への空気の流入を阻害していたのではないか、という考えが、あながち間違いではなかった、という確認が出来たようです。
 この点を考えると、純正シートのベース形状は相当に考え込んで作られている、と改めて感じます。最初期のSR500の純正シートでは、コージーシートの プリントがある後部の平らな部分がありません。鉄板のプレスのベースの後端部を含めて、シートベース全周を30mm程度折り返して、その部分でシート表皮 をフックで止める方法がとられているはずです。
 これらの点から、エアクリーナーボックスを装着したSRに取り付けるリプレースシートはエグリが比較的大きいもので、無理なく取り付けボルトがねじ込め るものでなければダメだ、ということになります。
 もう一つ言わしていただくと、アシストグリップ(ループ)の取り付け部分のシートレールが全部隠れないリプレースシートで無ければダメだ、と感じます。
 ノーマルシートの取り付けと同じ方法を採っているリプレースシートで、取り付けボルトのネジ込みが難しいものは、ぜひ下駄を履かせていただきたい、と思 います。そして、その後、シートレールが見えるかどうかの確認を取っていただいたら、私の言わんとするところがお判かりになるのではないでしょうか。
 これで、ひとまずはOKになりましたから、今後はもう少し品のいい下駄(スペーサー)を製作しようかな、と考えているところです。


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