逆転の構図2(その1)【諦めからのはじめ】
SR500
スーパートラップを諦める
2011年11月下旬。仕事で少し寒くなった日中、仕事でヤマハ
ジョグを走らせます。ツーサイクル時代の後期モデルで、少しだけスパッとしたところがあるけれど、サスペンションがいただけない、といういつもながらの走
りです。
走っていると、ずいぶん慎重にライディングしているのがわかります。片側二車線の直送路でも30km/hでは速いと感じてしまうのですから。それでも速
いと感じてしまうのです。
ふと、GR50にノグチのチャンバーを装着して走らなくなったのを思い出しました。もちろん、シリンダーヘッドの水冷化キットは大成功でしたし、アルミ
ホイールもバランス上なかなかの結果でした。
話を戻して、こういった思い出とともに、SR500のスパトラ改用のエクステンションパイプの変更と吸入側が変わったことと合せて、2009年に実験し
たスーパートラップのことを申し上げたい、と思います。
そ
れから
BORE-ACEのヘッドレスポンスを装着して以来、何とも不思議な気
分になってSR500に乗っています。確かに「前へ引っ張られるような...
」は確かにあります。私の場合、顕著に現れたのは燃料タンクのサイドストッパーの上側を通していた最初期のポジションでした。
以後、ホースを少し長めにして、マイルドな今の状態に落ち着いていたところです。あのウヮーウヮーっと前へ行かせるフィーリングがスポイルされてはいま
すが、ギクシャク感がないことは変わりがありませんでした。
どうして、この感覚が生まれるのか?、しばし疑問を投げかけてみました。以下に私の考えを記します。
こと、SR500は当初VM34の加速ポンプの装着されたキャブレターが装備されました。どうしてこれを先に申し上げたかは後ほどとして、新設計のシリ
ンダーヘッドは吸気バルブがXT500より大きくされています。また、XT500では装備されていたブローバイガスのオイルキャッチが外されています。
この時点で、加速ポンプの付いたVM34であれば、ブローバイガスなど一緒に燃焼させることができる。あるいは、オイルを一部燃やすのだから、加速ポン
プの付いたキャブレターにしたのではないか。
ところが、ピストンはXT500用のエンジンと新しいマフラーの設計上、日本国内においてはヤマハの想像域に到達することはできなかったようです。
これらを払しょくするために取られた方策がBST34のキャブとブローバイガスのキャッチタンクであろうと思います。
この方法を講じたことで、若干のマイルドさとエンジン動作の確実性が増したように思うのです。
私の1JNは1996年モデルで、最後のバックステップ付です。購入当初から相変わらず走らないオートバイには変わりなかった、と感じるようなものでし
た。
ホワイトブロスのスーパートラップから何から、Sick'n SRを何とかする以降数々の奇策を講じてきました。
最終はついこの間の2011年8月に施したBORE-ACEのオイルクーリングフィンであります。
今年の夏はかなり厳しいものがあって10月下旬になっても日中は半袖で十分という状況でした。
このパーツは信じられないような冷却効果を生み出します。これによって、オイル粘度の変化が抑えられ、シリンダーヘッド最頂部で作動する部分はかなり改
善されるのではないか、と思います。9月の終わりに、一応の確定的なものを出そうとしたのですが、天候不順から休暇が雨という生憎の状況が多く走らせるこ
とができませんでした。
加えて、いつにない高温が続く秋でしたので、テストの最終が10月初旬にずれ込んだところです。
再びディスク枚数
10月中旬にヤフオクを見ていますと、おかしな記述が目に入りました。それは、ハーレー用のスーパートラップのところです。「音はうるさいものではな
く、ディスクを20枚程度はさんで十分に消音されています」と。もう一つは「枚数を多くするほど音は静かになります」の二つの表記でした。
私、ふと20年ほど前の1JRのSR400の一件を思い出したのです。たまたま、ホワイトブロスのスーパートラップを装着していました。それが事故車で
入ってきましてね。新たに新車として納入するとき、同じくホワイトブロスからのスパトラ装着をしたのですよ。通常の8枚でセットしたのですが、その後、
ディスクを全てはずして乗っていたのですね。
これが独特の音がしてましてね、ボトボトボトボトという音で連続音になるとボーッという音になり、音量は確かにあるのですがうるさくないのです。
このことと、先ほどのディスクの枚数の件が合同になり私の頭の中がグルグル動き出したのですよ。
この時は気付いていなかったのですが、当然エンジンの動きも加味されるわけでしたので、最初の実験の後、もしかして、という気分が支配しました。
最初の実験は2番煎じでした。つまり、BORE-ACEのSST-1にライディングスポットのクワイエットバッフルを装着してSST-1のディスク8枚
でやったのです。
これがうるさいのなんのって...
。つまり、排気口を小さくすると、それまで押しだされた排気はバッフルの後ろで反射して迷走するからうるさいのだ。この確認が取れました。そのために、
スーパートラップではクワイエットバッフルを装着するとディスクは4枚以下で使用、としているのでしょう。
ただし、純正に近いクワイエットバッフルはこの限りではなく、ましてやスーパークワイエットバッフルはこれらのものと趣を異にします。
いずれにしても、自動車用のキラーとは違うんだ、ということです。
それでは、ヘッドレスポンスを装着する前の8枚での使用時を思い浮かべますと、素晴らしいのですが、どうしても下り坂でボボッボ、という音がするので
す。したがって、急にエンブレなどかけると悶絶状態になって、パーンが発声する可能性が無きにしも非ず、でした。
で、ヘッドレスポンスを装着して、ノーマルマフラーでしたが、このエンブレがかかった時の状態が急激に来なくなったのですね。強いて言うと坂の下りでエ
ンブレがかかった状態でも、スムースに進んでいくことが確認できたのです。
私は装着していないので不明ですが、バックトルクリミッターのような感じでしょうか。
10枚では
しかしながら、(排気側のロッカーボックス容量増大キットと)ヘッドレスポンスを装着してかなりの改善になっているのだから、SST-1のディスクの枚
数を増やしてやると結構面白くなるのではないか。排気音の変化を抜きにして、唯一乗りづらくなるのはバックプレッシャーが無くなるため、トルクフルではな
くなるのではないか、ということだけでした。(それは間違いである、と後になって気付くのですが... )
2011年10月23日(日)夕刻。SST-1の取り付けボルト交換を含めたマフラー交換作業をやってみることとしました。当初8枚の1.5倍の12枚
でやろうとしましたが、どうもリゾネーター効果が薄い、と考えて10枚でやってみることとしました。SST-1のマフラーへの取り付けは5×8のタップで
ネジ山を切り替えしたので、タップをもう一度通してカーボンなどを落として仕上げます。
残念ながら夕刻が近く、ショートコースでとどめましたが、一瞬、アッと驚きました。「前へ...
」の感覚が鋭敏になってきました。こりゃとんでもないものになっている、と感じたのです。鳥越峠までの登りも50km/hを得ていれば5速でシャクルこと
もないため、非常にフレキシブルです。
高光への下りもボボッボもなくブーという音だけで下ることができました。
唯一の問題は、どうしても音が大きくなることだけです。やはり、スーパートラップのインナーコアの排気口にディスクを合わせているので、排気ガスは拡散
しない。そのため、ディスク枚数が増えると音量が大きくなる、が当てはまるので、スーパートラップのディスクとは異なる、ということではないか、と思いま
す。
結構な結果を得て、次は1枚へして9枚でやってみよう、と考えたのです。