再びBORE-ACEのパーツについて

 シムズクラフトさんのMタイプエキパイの性能確認を「いたずら心を」と 題 して5回報告してきました。
かなりのところまで追い込むことは出来たのではないか、と考えています。
 そんな折、2009年3月BORE-ACEさんのホームページに再び「これは〜っ!?」というものを見て、一瞬心が動き、電話で確認をさせていただきま した。
 お互い、腹の中を探るようなものですけど、マスターがおっしゃるのは「直ぐには効果が出づらいパーツですからね」という、いつもどおりの回答で、オイル ラインのような明快な返答が帰ってくることはありませんでした。
 腹の探り合いと表現しましたが、会話は明るいし、対面で話をしていないためでのこと。ご心配なく。

 さて、数日間私なりに考えたのは、今回「これは!?」と思ったのは、このパーツの取り付け場所と、それで得られるであろう効果です。この確認をどう取れ ばいいか?。解ってはいるのですが、今一歩のところが出せないでいました。

 私の推論は次のようなものです。話は先に購入していたシリンダーフィン、増量オイルフィルターキャップ、フロントのオイルラインを装着し、和歌山で起 こった結果のことから、昨年11月の気温の高い初冬、BORE-ACEさんへ30分程度電話をして後ろのオイルラインを装するに至り、その後、冬の期間も SR500を走らせたところ、エンジン自体のアバレが少ないことから、これはシリンダーフィンの効果ではないか、と考えたのです。
正に、こんなちっぽけなものが...?でありました。
 おそらく、シリンダーヘッドフィンも、効能はこのときと同様に「直ぐには効果が出づらいパーツですからね」というものであるのなら、私が人柱(爆)に なって実験をしたようなものです。

 残念ながら、昨年(2008年)英車を愛でる会で和歌山へ出かけて以来、気温の上がった月は無いため、冬のシーズンに入っては、やや、ではありますが、 前述の効果のようなものは感じ取れましたが、何処がどのような変化をしたか、の確認が出来なかったところです。
 そろそろ、春を迎える2009年3月、冒頭のパーツを見つけたのです。「感動した」。小泉劇場みたいですが、まじ、「これは!?」だったのです。
 もし、冬をまたがなければ、こんな回りくどい言い回しをすることは無かったんです。(汗)
 何というか、私の心の中に「ある物」が出てきたのですね。その推論は次のとおりです。

 シリンダーの放熱フィンの効能は理解できました。が、シリンダーヘッドの(エンジン自体の)フィンに関しては十分だった、と感じていました。
では、和歌山で起こった「カンカン、カリカリ」はどういった理由からか?。
それが解ったのはロックハートのオイルクーラーを外して、オイルラインを2本、それとブリーザーにクーリングフィンを装着してからでした。これによって何 が解ったか?。
あれって、冬に入ったときではなかったですか?。そうなんです。
がですよ、気温の高い日があって、心なしか、シリンダーヘッド周りの異音が少なくなった。最初はそうも感じなかったのですが、走るごとに、この効果は確認 されましたし、その上に冬場もオイルの循環が悪いような気分にもならなかったので、これは、確実にオイルラインの変更による効果であろう、と確信したわけ なんです。

 SRのシリンダーヘッドカバー部分をじっくり見ていただきたいのです。この部分の前からの風の流れは純正の燃料タンクの形状と合わさって、かなり阻害さ れるのではないか、と思われたのです。
 もう一点は、フィラーキャップの上側から覗いて結構な隙間があることに気づきます。
 私が考えたのは、シリンダーヘッドカバーの上部を覆う燃料タンクの底の部分をカットする以外、この部分へのいかなるときにでも通風できるようにすること は結構難しいものがあるのではないか、と考えました。
 したがって、オイルの温度上昇の件以上に、この部分の通風不足からエンジン内部で起きる金属同士の熱膨張と収縮が一定ではなくなるため、このカンカン・ カリカリ現象が起きるのではないか、と考えました。

 このため、SR500であっても、シリンダーヘッドフィンの熱を逃がす方法を考えれば、シリンダーヘッドの造形はこのままでも大丈夫と判断したのです。
それ以上に、シリンダーに関しては当然のごとく、右側にあるフィンの方が今以上の長さと枚数が必要ではないか、とも考えました。こと、500においては。
 こういったことから、以前シリンダーをコの字型の数本のバレルを合せて、左右をスプリングで止めるシリンダーフィンの増設キットをどこかでリリースして いましたが、ディスコンになってしまいました。
私の予想では、どうしてもそのキットでは、面でシリンダーと接するため、熱が増幅され、風の通路はまだしも、放熱には対応できなくなるのではないか、と購 入を見送った経験があります。
 そういったときに、BORE-ACEさんのシリンダーフィンを装着したのです。しかし、どうして右側だけに装着するのだろうか。これは、おそら く...。このことは後ほど。

 BORE-ACEのマスターもココんところは明確な答えを出しませんでしたが、少なくとも歪を起こさせない目的もあるのですよ、とのカタログ説明から装 着に至ったのです。
残念ながら、そのときはマスターのおっしゃるとおり、十分な効果は感じられていません。
が、先に記したように、冬に走ったときに(表現が適切ではありませんが、あえて)異様な状態になったことから、シリンダーフィンは熱に対する放熱以上に歪 を抑えることが少し理解できたように思ったところです。

で、今回の増設のシリンダーヘッドフィン。次のように考えてみました。
それは、SR400/500のエンジンはシリンダー及びシリンダーヘッドの右側はカムチェーンとテンショナーが装備される前後に大きい縦長の穴が内部に開 けられています。
 ところが、この部分の外側をとくとご覧ください。こと、シリンダーはフィンも小さく枚数も少ないわけです。デイトナがリリースしていたビッグシリンダー にはこの部分もフィンを持った状態で、シリンダー自体が円形をしていました。
そして、このカムチェーンの通る穴。本来なら、この部分もエンジンの一部として、放熱上はフィンを大きく数も多くすべきではないか、と考えたのです。
その放熱と補助目的の一部、歪防止のためにシリンダーフィンの装着となったわけです。
 したがって、この件がBORE-ACEさんの考えと合致しているのなら、今回のシリンダーヘッドフィンはロッカーアーム等に対しての歪の出具合を何とか 最小に抑えるシステムではないか、と考えたのです。
 ならば2週間も購入をためらう必要があるのか...?。所持金が底をついた給料前ですから夜のお酒を10回分セーブすればいい。それをセーブするには少 々…。かといって、お金をかき集めるのも嫌だし、チョット中途半端なときに発注となったのですよね。(大汗)
 この点をクリアーして、根本の熱対策の証拠のようなものを何とか確認したかったのです。そのときでした。
3月15日の日曜日、たまたま市内のM書店で「オールドタイマー誌」で連載中の山田輪盛館のリリースしたホスクDBD500の再生記事の中で、シリンダー ライナーを鋳込むシーンを見たのです。何とチェーン駆動のOHCエンジンですが、チェーンの通路もシリンダー側と同じほどのフィンがあり、シリンダー自体 が2.5気筒ほどの幅があるのです。
 これを見て、私の考えは間違いではない、と判断し、ようやく発注したわけです。



 さて、いつものように送られてきた物をしげしげと眺めます。エッジなんか一見面取りをしていないような状態ですが、指を切る不安は一切ないものの、今回 は増設フィンの段差部分のみカーッターの歯を軽く当てて面取りをしておきました。シリンダーフィンはそのまま装着。仕上げはいつもながら流石としかいえま せん。
 先に電話で話をしていたのですが、シリンダーヘッド右側のトップナットとワッシャーを外し、付属のジュラルミンナットに替えて、2kgのトルクで締め付 けを行います。
まじめに2kgのトルクでアルミニウムのナットを締め付けるのですから、強度など少々不安があるのですが、前回のオイルラインへのクーリングフィンの時と 同様、「何度もナット部分をダメにして強度を導き出した」とマスターもおっしゃってましたから、大丈夫であることは間違いがありません。それでは、純正の メッキ鉄ナットにすればいいのに、とおっしゃるでしょうが、これは熱歪の関係から、付属のジュラルミンナットに交換するのが好ましいところ(という想像) です。

 いつもの余談を一つ。
 先日、 スーパーサウンドの改造遮蔽板からボルトを取り外そうとして、結局袋ナットを外せずボルトをねじ切ってしまいました。この部分は六角形の通路を 通ってくる排気ガスにさらされるところでもありますから、どうも熱によってこの部分がダメになるのではないか、と感じました。
 で、古いTX、XSの650のエンジンにはこの袋ナットがずいぶんと使用されています。私の浅学な考えからすると、この部分を袋ナットから普通の高強度 のナットに交換された方がいいのではないかな、と感じたところです。もっとも、下側のオイル漏れ防止のワッシャーを通して上ってきたオイルのキャッチとし ての袋ナット、ということも考えられますが。

 さて、取り付けは、先に一段目のクーリングフィンを5×25mmのキャップボルトでヘッドフィンに仮装着した後で、クーリングフィンをシリンダーヘッド へ装着。
その後、増設フィンの取り付けボルトを増し締めして終了…、となるのですが、そう巧くことは運びません。トルクレンチがセットできないのです。そのため、

1.燃料タンクをはずします。
2.トップのナットを外します。
3.ボルトのサビを取り除き、モリブデングリスを軽く塗布します。
4.シリンダーヘッドフィンを付属のジュラルミンナットで2kg/cmのトルクで取り付けます。
5.増設フィンを装着します。
6.燃料タンクを装着します。

と、以上の手はずを取ります。

 わずか20分程度。注意はほとんどありませんが、3については、先に取り付いている鉄のワッシャーは利用しないので外しておくようお願いいたします。
 当然、スタッドボルトなどはサビなどをきれいにしておくことが必要です。
 また、インジケーター部分のサイドが隠れてしまいますので、事前にアルミの白粉なども除去しておくことが必要です。

 走行テストなどをしても、結果を得るのは、まじめに無理。
 とはいえ、何らかの答えを出すため、四国自動二輪交友会へ出かけるため、高知は桂浜までの往復路程がテストとなる、と踏んでいたのですが…。

 雨の上がった2009年3月20日の午後、とにかく走ってみることにしてエンジンを回しました。天候は晴れ。衣類不足のため、ワイシャツの上にフライン グジャケットというちぐはぐな組み合わせでスタートします。

 エンジンがおかしい。これまでのおかしげな振動は姿を消し、異様なまでの硬質なパルスの整った振動が私を包みます。以前ですと、このクそぼろエンジン が…、と思っていた、そんなような振動だったのですが、そんな甘いものは姿を消して、一言で言うと「つまらないエンジンになった」という感じ方です。
 ウォブル?。いや、むしろフィン装着前の方がウォブルめいたエンジンの振動ではないか。何というか頭でっかちのエンジンにある特有の振動であったように 感 じでいたのですが、今回は全く異質な振動です。
 走りも、何か異常。後述しますが、車体とエンジンとが一体化したような、そんな状態になったのです。今何がどうなっているのか解らないようなエンジンの 振動です。ヤバイなー、と感じましたよ。パソコンのプリンターヘッドがおかしくなって、突如作動しなくなるという、あの状況によく似ています。
 少し確認してみたい、と思って、今回は務田の坂を下りて、旧三間街道へ向かうこととしました。

 音は静かです。パワーの出方も変わりないのですが、何となくSR500全体が、これまでと違う車両、それに乗っているような、そんな気分になってきまし た。
 5速が非常に使いづらくなってきて、4速で引っ張って5速へ入れなければどうすることも出来ない。ノンスナッチでは測定できない。5速1600回転程 度。
 速度は最低線で60km/h。これなら大丈夫ですが、乾式クラッチのカチャカチャ音がめっぽう大きくなる(ではなく、実際はエンジンの騒音が消えて、そ う 感じる)ので、抑えた排気音より気が引けます。
 かといって、エンジンの振動がどことなくクラッチ関係の不安定さを消しているようで、(ヒュンヒュン言う)大きいスパーギアのバックラッシュ音が少なく なっているようにも感じました。

 決して良くなったとはいえないし、悪くなったともいえない、何だか割り切れない気分のままで帰ってきました。割り切れないとはいえ、何かある、と考え、 シ リンダーヘッドフィンは外さずにおこう、としたところです。
 その上に、明日からの四自交の準備が出来ていません。加えてエンジンフィーリングがこのザマ。エ〜イ、ノーマルの3GWのマフラーに変更してやれ!、と マ フラー交換です。
 エンジンを回しただけですが、感じはいいです。が、どことなく2J2のSR500のような感じでエンジンが回ります。この段でメインジェットを #162.5に落とすのかよ〜。
 これで走って…、では遅すぎる時間です。ひとまず、丸穂温泉へ行くことにします。お風呂に入りながら考えたのは、改修スーパートラップで一番良かったの は、排気を抑えてやった、最初のスーパークワイエットコアに装着変更したときではないか。シムズクラフトさんがていねいに改修してくれたスーパートラップ で出向くべきではないか、と考えがまとまり、十分な時間はないものの、明日早朝から再びスパトラへの変更作業に取り掛かることとして、本日は終了。

 翌21日、絶好の日和。明日は雨など考えられませんが、雲の流れはレーダーで確認済みですので、ともかく山小うどんの朝食の後、7時過ぎから取り掛かり ました。
 今回はスーパークワイエットコアとスーパーサウンドのスリップオンタイプの組み合わせで行くこととしました。そのときです。ライディングスポット製のク ワイエットコアの後ろに妙な排気の影が…。
再び、考察を行うのですが、これは後ほど別項で…。

 カッパの用意は途中でビニールのカッパを購入することとして、まずは出発。やはり私の頭の中から昨日の違和感を消せない。急激にアイドリングが上がりま す。またしても不思議な現象。
 エンジンがこんなに変化するものか?ワケが解りません。かといって、何とか走っている様子もなく、まずは、こういった状況からの旅になりました。

 鬼北の夢産地まではソロ。好天ですので気分もいい、という状態。が、決して忘れちゃいませんよ、エンジンの異様さは…。
 320号線も終盤。右手に広見川を見ながら快調に走って…!?。そのときです。フト、フロントホイールのスピンドルに目がいきました。ステアリングの三 つ又から下が揺れていないんです。え〜?、ATFのフォークオイル流用って持たない、と結論を出そうかな、としていたときでもあったため、この光景には驚 きました。
 そして、これまで気がかりなほど微動するメーター類が静粛を保っているではありませんか。そんなバカな。おかしげなメーター指針の動きもありません。何 かしら昔、ドカの900SSに乗ったときスミスのメーターの動きで、どちらがどっち?という経験によく似ています。
 ビビビビっと動いていたメーターがブレない。指針の動きもスムース。不思議な現象を経験しました。
 硬質の振動がようやく落ち着いて、ダダダダダダダダという排気の音もいい気分です。
 そういえば、ハンドルバーに来るビビビビ〜という振動も大きい硬質なものに変わっています。

 まさか?。全く今までとは違う。そう、ただでさえカンリンの重量フライホイールとダイシンの乾式クラッチになっている私のSR500ですが、これまでと は全く違う、何と言うか、かなりまとまりが凄まじく良くなったSR500になったような感じになってきました。

 この現象は、夢産地から桂浜まで続きました。意気揚々で到着。明日の雨に備え、クラッチへ防水対策を施して終了としました。

 22日、帰路は雨中走行になりました。幸い粒の小さい雨で助かりました。相棒のW650の水はねが酷いので、車間を少し開けざるを得ません。
 が、快調なエンジンが少しずつ悪くなってき始めます。アイドリングが急激に下がります。エンジン自体が温まるまでの間ではありますが、少々驚きます。冬 場はウォーミングアップに少しばかり時間がかかるかと思いました。これが放熱の効果でしょうか。
 梼原近くになると、雨も上がって来るのですが、やはり、エンジンが何処となく重い。おそらくスーパークワイエットコアの悪い面が出てきたようにも思いま す。
 同時に、リアタイヤが限界近くになってきました。スリップラインが間もなく出ます。早々に交換しなければなりません。フロントとのマッチングから、 K70にしてみようかな、と考えます。K501の時と同じように、センターよりサイドが引っかかるうえに、溝の長さが短い。コーナーでおいそれと倒せない ので、ペースが落ちるわけです。
 それでも12時前に帰宅できました。
 凄まじいエンジンの変化。それに伴う車体全体の変化からSR500という、市販のSR500とは違う SR500に進化したようにも感じたところです。

 私のブログに拙文をしたためたところ、シムズクラフト(おっちゃん1号)さんから応答がありました。が、SR400ではどう出るか不明です。私のような 結果になると、少し疑問視されるとは思いますが、おそらく夏期になってのテストがどうなるか?。これはその時点でのことでしょう。
 が、今回はこれまでのSR500とはエンジンが全く異質な動きをすることから始まります。フロントホイールスピンドルが振れませんし、メーター自体と メーター指針がブレません。車体の挙動がこれまでとは異なるのです。おそらくこれはSR400でも体感できるのではないでしょうか。

 ともかく、すごいパーツが出てきたものだ、と記載して、この項を終わります。

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