SST-1から再びスパトラへ(その1)

 2011〜2012年にかけての冬は21年目の真冬日の多い年に当たり ました。あまり好ましくないことは重なるもので、バッテリーが上がったまま、オイル交換もできず、でSR500はじっと寒波に耐えていた、というところで す(爆)。

 前回、少しだけクワイエットバッフルを入れたらどうなるか?、というところの思いつきでテストをやって「ダメ〜」の結果でして、元の6枚に戻しておりま した。このSST-1のディスク枚数の決定は別項をご一読願って、次なる実験の足がかりはこのクワイエットコアとSST-1そのものにあったわけです。
 また、おかしげなことを言う、と思われるやもしれませんが、ま、ご一読ください。

 2011年の年末、ダイレクトで境内へ入れるようになったお寺へお墓掃除へSR500で行きました。最終の坂をセカンドで上がりますと、通りかかった知 人に「大きな音」と言われました。そういったことはないはずと思いましたが、どうもうるさいらしいのです。
 このことが気がかりで、走行を少し控えていたのですが、天候などの影響で継続して考えをまとめるに至らなかった、というのが本当のところです。
 2012年の二月も終わりに近づいた頃、第37回の四国自動二輪交友会のことが気になって申し込みを躊躇していた件もケリガつきましたし、 MacBookのバッテリーですったもんだあったのも落ち着き、久しぶりのライブ(演奏)も上がりながらも終えることができ、仕事が年金支給月でバタバ タ、と落ち着きのない面も収まって来た時のことでした。ふと、SRマスターブックVol.2に目が行きました。
 少し気になったのがAAAのマシンです。このマシンには自社製のスーパートラップマフラーが装着されています。気になったのはディスクの枚数です。
 以下は私の予想ですが、当たらずも遠からじでしょう。
 まずは、いつにないディスク枚数の少なさです。インナーコアが古いタイプですと8枚程度です。インナーコアがフラットなものですと2枚増の10枚程度で しょうか。私、最初はこの枚数に見向きもしなかったのですが、今のSR400を念頭に置くと、ハッと気付いたのです。
 ここまでで気付く人はSR500のエンジン機構に長けた人であろうと思います。

 言い回しが長くなりましたが、SR400ではマフラーを変更しても常にそこそこ動くのですが、SR500では全く動かなくなる。BST34のキャブでは 一層顕著に現れる。つまり吸排気系の状況がモロに来るのです。
 マフラー変更でうるささを別にして、アクセルオフのときボボッとかパパッという音が出る。ホンダのエイプなどがアクセルオフのときブーと言ったままで通 過するのとは違い、ブー、ババッバとくる。
 この時、ガスが薄いのかな、と思うため、パイロットスクリューを触り、メインジェットを上げたり、すると、今度はガスが濃くなりすぎる。しばらく走ると ディスクの枚数を増やした方がいいのではないか、とか良からぬことを考えてしまうのです。

 私もこれまで随分とこれに悩まされてきて、ノーマルマフラーへ変更したのですが、今度はエンジンの回転は安定するも、どことなくカッタルイものに変わっ てしまうのです。時として、信じられないような振動を伴うこともあります。

 そこで、私はシムズクラフトさんへ私の考えを訴え、スパトラのマフラー改造を試みました。
 一定成功しましたが、やはり、何かが足らない。ディスクを変更したり、キャブを触ったりしましたが、これだ!、といったものは見つけられずにいました。
 これはSST-1でも変わらなかったのです。

 最終は2011年にやってきました。さんざんやった挙句、BORE-ACEのヘッドレスポンスに行きつきました。
 ノーマルマフラーへ戻していましたので、何とかキレを求めたかったのです。ひとつはエキゾーストのロッカーボックスの容量拡大で、とんでもない状況を掴 んでいましたから、エンジンの機構的には、この部分にはかなりの内圧がかかるんだな〜、とうすうす感じ取っていたのも事実です。

 ヘッドレスポンスを装着して一変しました。レシプロ戦闘機のエンジンにメタノール噴射装置を装着したようなものでしょうか。スーパーチャージャーとも違 う、ググッと前へ出る気分を感じ取ったのです。
 今になって思い起こすのですが、この状態から推測するのは、圧縮比の低いSR500のエンジンですから、排気効率を上げてもBST34のキャブではいく らいじっても一定を保つ性格は変えようがない、と思ったのです。
 が、この時はまだそれを感じていなかったのです。
 しかし、ヘッドレスポンスの状況は理解できていたので、この時点でSST-1を再装着して、ディスク6枚という線を出していた次第です。
 また、SR500のエンジン特性として焼き玉エンジンのことを例に出してもみました。

 これらのことを踏まえて、話を今に戻しましょう。これらのことを踏まえて、私の考え方から始めることといたしましょう。

 AAAのSR400はエンジンが改造してあり、500ccを超える仕様にしてあります。ところがEFIはタイミングなどを変更したまま、動作は燃料噴射 のままです。この状態で、いつにないディスク枚数の少ないスーパートラップになっています。
 もしかして、今まで大きな間違いをウノミにしていたのではないか、と考えたのです。その第一点はスパトラのディスク枚数の計算値から出された「8枚」と いう枚数を金が玉条としていたフシがあります。もちろん、簡略な計算値でも同じような「8枚」ははじき出されます。
 しかし、これは間違いではないか、と思うようになったのです。長くはもうしませんが、SST-1を再び装着する際に8枚を基準に上は12枚、下は5枚程 度まで実験をし、ほぼ5〜6枚でいい状況になることを確認なしています。もちろん、BST34のキャブには何ら手を加えていません。エアクリーナーエレメ ントをK&Nのリプレースタイプにして吸入効率が上がったのは確かですけれど。
 このことによって、SST-1のディスクを確定していました。

 そこへAAAの車両の写真でのスパトラのディスク枚数です。マフラーはテーパーのショート管が基本になっています。私のマフラーは15cm延長したもの を使用しています。後側ですが、M型エキパイの長さ延長も加わっていますが、ノーマルのサブチャンバーの容量程度を稼いでいる、としています。
 そこから出したSST-1の6枚のディスクですから、そこそこの性能は確認できていると感じます。

 で、そこを基本にしてスタンダードのスパトラのディスクでやっていないことと、今回の雑誌上で見たAAAのディスク枚数がOKなら私のSR500でも同 様のことが起きるのではないか、と思いついたのです。

 が、受けのインナーコアは5mm×0.8のタップを立ててネジを切り返しております。ディスクの6つの取り付け穴は純製の≒4.8mmボルト径のままで は5mm径のボルトは入らないのです。ディスクは軟なようで実際は硬い、という困りものですから、揃ったディスクに、まとめて穴を拡大しようとボール盤で やるのは危険です。かといって、電動ハンドドリルでは後ろの出っ張り部分をカットしてしまうことになり、ディスクが使用できなくなるのです。
 ということで、西予のT君にお願いして、標準のディスク8枚に1枚ずつ6か所の穴を拡大していただくことにしました。全部で48か所です。
 今回は使用しているディスクです。結果が良ければ新品のディスクを用意して穴を開け替えしたいところです。
 40分程度で作業完了。帰りはバスになりました。



 家に帰って早速取り付けるのですが、SST-1で経験しているように5枚から開始です。並びはディスク5枚+ドームエンド+オープンエンドとしました。
 一応、円周に沿ってオープンエンドへボルトの頭が接する程度まで時計周りにねじ込んでいきます。
 次は星型の締め込みとして1・3・5・2・6・4の星型の締め付けをやって、次に対角線上に締め込みます。 
 何とまぁスムースに取り付けることができることか。やはり次回は新品のディスクでやってみたいと思います。
 締りがスムースですからついついトルクを忘れてしまいますが、トルクレンチで0.7kgf/mをかけようとすると、どうもマズイ気がします。
 特にキリカケの無い今のディスクは取り付けボルト穴の出っ張りのバリ部分が命ですから、あまりに強いトルクですと、これが変形する前に周囲のディスクが 変形してしまうのです。同時にディスク間のギャップが均一でなくなると同時に45°の排気ガス放出の開放角度が狂ってくるのです。この修正はなかなか難し く、通常は新品のディスクを購入することになるのですよね。
 ということから、0.45〜0.5kgf/mで十分ではないか、と思います。私はさんざんやっているため、締め込みが硬くなって少し閉め込む程度として います。
 取り付け後は、こんなのでいいのかな?というほどスタイルは穏やかです。

 エンジン始動。なんだ、これは〜?。ノーマルに比べて若干の音量はありますが、ポコポコという音がわずかに混ざった排気音でアイドリングを続けていま す。期待が大きく膨らむのです。

 午後5時過ぎ、夕暮れ前で寒さが強くなります。ショートコースだけでも走ろう、と身支度を整えます。
 発進。いきなり来ます。エッ、これってアリ〜?。ほんの10m程度ですが、グッと前へ引っ張られるのです。最初の信号待ちの時、いきなりアクセル開けら れないぞ、と決めてジワーっと上げます。とはいえ、ササッとスピードが上がるのです。時としてカチカチという音が聞こえます。後で気づいたのですが、ヘッ ドレスポンスがロッカーボックス増設キットに当たっているようでした。振動の出方がこれまでとは違っています。
 カンリンの重量フライホイールのせいではありません。明らかにエンジンのパワーの出方がスムースなのです。ノーマルマフラーの振動によく似ています。驚 きです。
 とにかくスムースかつ力強い。これまでにない感覚です。加えてコーナーを回るとき、リアタイヤがススッと滑り始めるのが良く分かります。そうですね、舗 装路でXT500を少し寝かせ気味にコーナーを回る時に感じるような感覚です。ただし、リアタイヤがK-70だからかもしれませんけど。
 ともかく快調。和霊大橋のカーブも申生田の上り下りも異常ありません。光満街道へかかるとき、これ以上走りたいのと思うのですが、寒さ対策をしていない ために左折して鳥越の峠を下ります。グーッとエンブレがかかるだけで、ババッも出ません。
 高光の信号待ちの後、左折して56号線を帰ってきます。和霊大橋の信号待ちで原付の若者が歩道を通って停車中の自動車に当たりそうになったり、私の後ろ からCBRの250がすり抜けて行ったりでマナーの悪さに閉口します。CBRの場合、私が左足を大きく横へ出していればどうなったか?。ミラーを見ていな いのが悪い、とは誰も言わないでしょう。

 旧ローターりーの交差点以後、スピードを出そうとはしていないのですが、何とも不思議な感覚で速度が自然に上がる。そういった気分で帰ってきました。
 さて、次はどうなるのか。まずやらなければならないのはバッテリーの交換、その後のオイル交換と点火プラグの交換。これらのことが終わってからいよいよ 本格的なテスト開始です。





 

inserted by FC2 system