い たずら心で(その9)
悪夢を体験し た後で

 前回、スーパーサウンドのトライアングルディスク7枚+遮蔽板+円形 ディスク9枚で結果が良かった。この報告をしました。それから何やかやあって、こと仕事面でのイライラはピーク。この2週間で酒の量は増えないものの、代 金が大きく膨らむ店への出入りが多くなってしまいました(爆)。
 あれから2週間後の4月29日(昭和の日)この組み合わせでのテストをやったのです。

突 如異変が襲う
 エンジン始動後、異変に気づきました。ヤバイというよりはおかしい。エンジンの回り方がおかしいのです。私もアホですから、キャブのスプリングをカット したことを忘れてしまっていたのが一因ですが、それにしても前回の状況とは大きく異なります。
 急遽、テストを中止し引き返したのです。正直なところスプリングを変えただけでこんなに変わるのだろうか、とも思いましたが、それ以上に何かがおかし い。とてもこれまで気分上昇のSR500とこの連載方向とはまるで違うSR500になってしまっているように感じたのです。
 何がどう違うのか。ともかく、これまで調子が良かったときの最低線でやってみるのが良いのではないか、と考えて、ライディングスポット製のクワイエット コアはそのままに、旧タイプのスパトラのディスク5枚でやってみることとしました。
 ここ数日間、寒い日が続いていますが、エンジン始動はいつもどおり。早速走るといいではないですか。登りなどで、少しばかり排気のバランスが崩れるよう な状況はありますが、過不足なくテストコースを一周できました。

 何か迷路に入り込んだかな?、とは思いましたが、再びスーパーサウンドのディスクでやってみることとしました。
 で、今回はトライアングルディスクの間に円形ディスクを挟みこんでやってみることとしました。
 エンジン始動後、ダメ。円形ディスクそのものはスパトラのディスクと違い、ディスクの内側のフランジ部分での反転とスワール化は関係の無いためでしょう か、円形ディスク自体は用をなしていないのかもしれません。
 直ちにディスクを外しました。

 少し考えて、どうするか?。また、中古ディスクの中から状態のいいものを選び出す必要がるため、スパトラのディスクからチョイスする作業を行いました。
 そのとき、

スーパーサウンドのトライアングルディスク4 枚+遮蔽板+円形ディスク7枚。

クワイエットコアを外してやったらどうだろうか?


 この考えがフト浮かんだんです。

 さっそくやってみて、テストは久しぶりに南へルートを採り南楽園から北灘、下波(したば)から帰るコースを走ることとしました。
 なかなか調子が良いじゃないか。たしかに津島町へ入る頃まではそう感じました。が、津島から北灘へ入るころ、何だかエンジンが重くなってきたように感じ 始めたのです。不思議な現象です。
 走っていたのが急に走らなくなってくるような、なんとも表現しがたい走り方なんです。下波から三浦の道を走るときは絶対速度が遅いもので、そんなに気に はならなかったのですが、無月のトンネルを抜けた辺りで、下りにもかかわらず、いつものような速度アップが出来ないことに気づきました。
 国道が混雑していたため、寄松(よりまつ)から裏道へ入ったのですが、股座に妙な熱さを感じ始めました。
 新田町の交差点で信号待ちのとき、燃料タンクのサイドが妙に熱を持ったような、そんな生暖かいものが包んだのです。同時に、エンジンが妙にカサツク。そ ういった症状を見せだしました。そこから2回ほど信号停止をやって帰宅したのですが、エンジン全体が異常乾燥しているような状態になっているようで、少し ばかりのオーバーヒート状態であったようです。

 帰宅して、センタースタンドを立ててしばらくしてからのことでした。

BORE-ACEのシリンダーヘッドフィン取り付けのジュラルミンナットのトップ部 分の深みで、

お湯がシュンシュン

と沸いているではないですか。


 晴天が 続いているので、雨上がりに起きる拙宅の外壁の割れから落ちる水滴ではないようです。
 本日、午前中からの走行では初めてです。それより、この製品を装着して初めてのことです。何がどうなったのか全く不明だったのですが、一応、ウエスの先 を丸めたものでお湯を吸い上げて事なきを得ました。

 どうして、そうなったのか?。仮説を立ててみました。

 この日 は燃料はほぼ満タン状態からのスタートで、南へのルートは3リッター程度使用しています。それでも、タンク内の半分から上の位置は確保している量 です。
 天候は晴れ。午後から気温が20℃手前まで上昇しております。シリンダー側のブリーザーはBORE-ACEのクーリングフィンを装着しております。
 走行中、初期の段階では、エンジンもオイルも温度が結構一定であること。排気の効率が悪くなり、排ガスが充満してくるにつれて、エンジン内部が悶絶状態 になり、エンジンがヒート気味になる。シリンダーフィン付近の熱はシリンダークーリングフィンで上昇される。今までだと、これはここまでである程度気化し ていた。
 ところが、シリンダーヘッドへのクーリングフィンを追加したため、気化した空気に含まれる水分が一層増加される。
 走行中は、ステアリングヘッド部分から空気の流入があるが、ストップすると流入が止まる。
 気化した空気は逃げるところが無くなると同時に、年流タンクの下側で(タンク内の燃料によって)急激に冷却され水滴に変わる。その水滴が、燃料タンクの 溶接部分を伝わって、たまたま受け皿的になったジュラルミン ナットの中に落ちてきた。

 以上の仮説です。そんなバカな?、と思いましたが、他には考えられないのです。

 そしてもう一点... 、

 走らな くなってきた原因は、スーパーサウンドのディスクは基本的にスーパーサウンドのためだけにある、といえると思います。
 SR500では、スーパーサウンドでは排気が思うように行かない。そのため、エンジンが異常に発熱する。つまり、この時点で軽いオーバーヒート気味に なってし まう、ということではないでしょうか。

 エンジンが冷めても、シリンダーヘッドから下の部分は土が乾燥して埃のように付着しているようで、かなり苦しい状況を物語っているようでした。
 この時点でスーパーサウンドのディスクを外したのですが、案の定ススの多さと熱変色があるので、かなり効率が悪いことは確実のようでした。まさ か?... 。これは先の件と同じく後ほど。

 さぁーどうする?。スーパーサウンドのディスクは使わないことで止めにしたのですから、残るはスーパートラップのディスクを使用せざるを得ない。この際 だから、ベーシックな4枚から始めてみよう。そして、完全なクワイエットコア化したライディングスポット製のクワイエットコアを装着してやってみることと しました。
 「お前、以前に6枚単位ってたよナ〜、あれは間違いか?」とおっしゃられるのは重々承知をしております。が、今回はシムズクラフトで改修したスーパート ラップのメガホンを使用していますから、これそのものは、通常のスパトラとは別物であり、むしろ汎用のロングタイプのスーパートラップの容量程度。した がって、4枚でも十分にOKではないか、と考えたのです。
 それに、クワイエットコアを装着した場合は4枚までで使用してほしい旨が以前のスーパートラップ(この頃は3インチが主)の説明書にありましたから。
 こういったことで、まずは古いタイプのディスクでやってみることとしました。



 夕暮れが迫っていましたが、確認だけで終えようとエンジン始動。いいですね。サウンド的にもいい音です。ステンドームのためサウンドも丸くなる。
 もしもですが、この部分がセンターキャップのようにもう少し深いドームエンドであれば、もっと深みのある音になるのではないかな、と思いました。



 さて、出発。最初の信号から来ましたね。青になる手前、スロットルに来ますよ。ジワリと上げると上手くいきます。
 出発。良いです。久々に和霊神社前まで全て青信号。こんなことは久しぶりです。ということは、速度域がオーバー気味、というわけでもありません。たまた ま青信号の時間帯にフィットしたことにとどめます。
 申生田の上り下りもサウンド的にもトルク的にも非常に好ましい気分です。
 光満街道も苦も無く...、ではなく5速の守備範囲が若干広がってきました。急激なスロットル操作をしなければ多少の固有のギクシャク感を伴ってスピー ドが上がっていきます。これは素晴らしいです。
 4速へ落としたのは1回だけで自動車の多さに対しては良好な結果ではないか、と感じたのですが...。
 どうして、ここまで来てしまったのだろうか?。鳥越の坂から引き返すショートコースを走るつもりではなかったのか、と後で思い返す始末。一気にテスト コースを走ります。
 残るはフン詰まり現象とそれに伴う熱ダレがが起きないようにする方向へ持っていっているかどうかの確認が残っています。
 三間街道で前の軽四を追い越しします。速度としては90km/h程度。5速のままで引っ張りますが過不足なくスピードが上がります。なかなかいい状況で す。
 永野市の交差点から右折して水分までの登り。若干の風が来ますが、そのままでOKです。なかなかいい状況です。
 例のコーナーにかかるのですが、4速に落とさないとスピードダウンできないために止む無くそうします。
 今のディスクは4枚ですよね。これって一度実験してるじゃないか。どうしてエンブレが効かないのだろうか?。
 私もバカですね。このときになって初めて先の改造を思い出したんです。そう、キャブのピストン押さえのスプリングをカットしたものを装着したままにして いたのではないですか。
 このディスク4枚は通常のディスク4枚とはまるで別物の世界になってしまいました。
 夕暮れがせまっています。丸山の坂を登り帰ってきました。

 この日はこれで終わることとしました。幸いにも連休の初めはどうやら雨もない様子。確認してお終いにしようとしたのですが、そう上手く行くはずがありま せん。

原点に立ち返って
 5月2日、朝からいい天気で、ことが一段落しているため、まずは走って、その後オイル交換をしようとしました。いつものようにエンジンを始動してスター トするので すが、何か割り切れないものが来るのですね。
 城山一周で帰ってきました。2日しか過ぎていないのにこれだけフィーリングが違うのだろうか?。訳が分かりません。確かに前回は夕暮れが近い時期に走ら せました。あの時はどうだったのか?。はっきりしているのは、今回と同一。唯一違うのは今は午前中、ということと、エンジン始動して最初の走行というとこ ろだけです。

 まてよ、最近ライディングスポット製のクワイエットコアの内部パイプにカーボンの付着が多いように感じる。シムズクラフトさんでマフラーは延長しても らって、インナーコアも延長。グラスウールも追加していただいたんだ。したがって、排気の流速と量は変わらないものの、クワイエットコアを単独ものに改造 しているので、マフラーの容量がアップしているため、消音以上に排気の流れを阻害しているのではないか、と考えたのです。
 じゃ、どうなのか。その確認をするため、ライディングスポット製のクワイエットコ アを外して、12枚のディスクから再びやってみたのです。

 エンジンを始動します。ン、音が以前よりも丸い代わりに排気の流速が速いようにも感じる。これはディスクの上に後ろに手をかざしてみると解ります。まさ かとは思いましたが、メ ガホン後ろに同じ径のパイプを追加して容量を稼いだのはもちろんのこと、排気の流れを纏めて排気口へ送っているのではないか、と思われたのです。
 たかが15cmてはありますが、これだけ変化するだろうことは予想外のことでした。
 残念ながら、純正マフラーのサブチャンバーが在りませんので、排気ガスは通常より速い流れであろうことが想像できます。ノーマルのスリップオンメガホン のスパトラなら、そこを如何にして制御するか、が問題なのですが、シムズクラフトさんで改造された今のスリップオンメガホンでは純正マフラーの3/5程度 のマフラー容量となっています。この容量なら「3枚以上で使える」ということになりそうです。
 したがって、ディスクの枚数はクリティカルに現れるのではないか、と考えました。12枚という結構な枚数、が、「いたずら心で」は、ここから始まったこ とも事実です。バカらしい実験ですが、以上のような考えがあったもので、前段としてやったまでのこととして記載しました。
 案の定、全く走りません。が、3速30km/h程度で走ると上手く走るのですが、カンジンの中速域は全く走らない。それほどヌケが凄まじいのです。
 そこんところ、40km/hで連続音で走っていますと、軽四のニイチャンが追いかけてきましてね、逃げるでもなく帰ってきたのですが、最期の交差点で 去っていきました。彼もSRに乗っているのかもしれません。

インターミッション・オイル交換
 というところで、スタンダードの8枚にするか、と考えましたが、どうやら音とバックプレッシャーの関係からダメだろうと考え、セオリーの4枚でやってみ ることとしました。
 いい時期でもあるため、この時点で先にオイル交換をして、それからディスクを4枚にして午後から走ることとします。
 今回もBPのヴィストラ10W40のミネラルオイルです。通常ですと半合成オイルの方が好ましいようなのですが、SR500には部分的にも合成オイルを 使用するのなら上限を50程度にしないと、流動性ばかりを追う今のオイルよりはエンジン形式からは鉱物油の方が好ましいのではないか、と思います。こう いった時に15W50程度のオイルがあればいいのですがね。



 オイルが抜けるまで、ディスクのチョイスとエッジの修正をやって、ディスク間が均一になるよう4枚をチョイスしておきます。

 一つ、下の組合せ写真をご覧ください。
 先にも記載しましたが、旧タイプのディスクはセンターキャップ方式であればマフラーのメガホン部と合わさって素晴らしい効果を発揮します。



 が、現在は全てが▼の切り欠きのないものに変更されています。そして、逆にセンターキャップ方式では不細工になります。



 拘りも含めて、若干ではありますが現在のボルト装着方式では、旧タイプのディスクでは、▼の切り欠き部分が災いして排気の流れが均一ではなくなるのでは ないか。
 センターキャップ方式であれば、この部分でディスクの位置決めが確実になりますし、ボルト穴はあるものの、その部分も排気が流れるため、効率は変化しな くなる、と私は見ています。
 もちろんスタイル上もディスクの方がエンドキャップより大きいのですから不細工、ということもありますね。そのため、現行のディスクをチョイス、修正し て装着したわけです。

本当に最終仕様か
 日中は気温が上がります。ま、致し方在りませんね。若干の不安はあるものの、エンジンをスタート。いいですね。不思議なことに、始動性も良くなると、ク ラッチ関係が静かになります。微妙な点ですがドライクラッチに故感じることかもしれません。
 キュルルル〜、という独特のクラッチ接続音でユルユル走ります。不安定さが無いのです。不思議です。連休ですし、自動車の多い国道をいつもどおり走りま す。可もなく不可もなく... 。
 申生田の上り下りも可もなく不可もなく... 。で、光満街道へ。どことなく違いが出始めました。人気のある松本のソフトクリーム屋さんの横へ出る前のカーブから5速のままで走るんですね。それ以降、 前 に自動車が居なかったので、5速のまま苦労せずに務田の坂を登り切りました。

 三間街道へ入って快調さが増してきました。いつもより大きい振動がハンドルバーに来ます。これまでですとピストン行程の2倍で振動が来ているような感じ だったのが、ピストン行程どおりにやって来るようなものに変わっています。
 私は銃器に詳しくないのですが、機銃掃射ではなく、飛行機の12.7mm機銃のような、タタタタタタという感じになってます。同様にクラッチハウジング の揺れが少なくなっています。もちろんオイル交換後ということもあるでしょうが、そればかりではないように感じます。

 70km/h程度まではそれこそ400なみです。ようやく、スコスコシャリシャリという音がエンジンから聞き取れるようになってきました。そろそろカム チェーンを調整しなければなりません。
 ということは、ノーマルの3GWのマフラーはイイのはいいのですが、役不足であるのかもしれません。

 時間の関係から永野市の交差点を外して近永より水分の坂へ入ります。グルーブのため、リアタイヤが振られます。タイヤパターンによってはこれが起きるの で、要注意です。空気圧一つでも変わりますから、どうしようもありません。
 燃料が少なくなりました。バスッときます。リザーブへチェンジして水別れの下り。イイです。残念ながら大分ナンバーのローレルがブラインドコーナーで速 度を落とすので、上手く下りを走れませんが、気分がイラツクこともありません。
 丸山の坂を登って帰宅しました。

 エンジンをストップさせる前、アイドリングが落ち着いているのを確認。例のナットの水(お湯)も確認できません。これを確認してキーをオフにしました。

 ようやく終わったように感じます。言いようのないものがこみ上げます。後日、書店でTAC出版が出したSRのメンテナンス本を見かけました。中身は最近 までのSR400がベース です。高価ですし、内容も二番煎じ物が多いため購入は止めにしましたが、SR500で私のようなバカなことをやっていてホームページで紹介している人も少 なくなりました ね。
 SR400もリリースが止まると急激に雑誌などが出なくなる。30年間も連綿とリリースされてきた車種でありながらこの調子ですから、SRったって人気 の度合いは自 動車のごとくではない、というのが我が国の現状でしょうか。

 が、これは幻のように終わってしまうのです。バカな話ですが、事実です。多くのイジクリSRユーザーには全く関係の無いところでの話。それゆえ、 SR500では一層鮮明に現れてくるのです。





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