こんなことで変わるのか

 9月も中旬を迎えると、ずいぶんと朝夕が涼しくなってきます。この時点 までに、SSTのディスク10枚の確定と、オイルライン、クーリングバレル、クーリングフィンの効果の確認が終わったと判断しました。
 前回のオイル交換以来、長距離は走っていないのですが、テストコースを2回ほど走ると70km程度になりますから、1日の走行距離は短いものの、月分の トータルからすればかなりの距離を走っています。
 シリンダーヘッドからのおかしな音は出ませんし、わずかにカムチェーンが伸びているだろうか、といった具合です。
 そうそう忘れていましたが、バルブクリアランス(簡単にタペットの調整)は大きい方の数値に合わせたままで、ここ1万キロ程度は一切触っていません。カ チカチという音は出ていません。
 チェーンテンショナーは、別項で記載しているとおり、私のSR500にはなかなかの効果を発揮する、と感じています。以来、このことが顕著になってきた ことは同項の終わりに考え方を申し上げました。再掲載すると次のようになります。

 帰って、ミクニが採用している丸型のメインジェットの欠点のようなも のが浮上してきたのです。
 この件は「Sick'n SRを何とかする」で報告していますが、「液体の中で筒を通しての吸い上げが一定なら、液体の入り口は広い方がいい」と私は確信しています。
 となると、燃料の吸い上げはダイアフラム抑えのスプリングを弱くしていることから、おそらく...、と思ってしまいました。

 さて、SSTでもオリジナルのスパトラでも、どことなく言いようのないエンジンのスムースさに欠ける点が感じられていました。
 どこといって、おかしいものではないのですが、突き詰めていくと、おかしい、と感じるようなものです。それが何であるか?。
 SSTのディスクを8枚にした時から、アクセルオフのとき、少しババッという音が付きまとってきだしたのです。今のところのキャブレターは、ダイアフラ ム(スライドピストン)の抑えのスプリングを弱くして、メインジェットのみ#165にして、2.5アップ。パイロットは触っていません。エアスクリュー戻 し回転は2回と1/2の標準です。

 通常ですと、みなさん「薄い」とおっしゃるものです。が、私はそうは思わなかった。逆に濃いのではないか、とね。
 理由は、負圧のキャブレターは完全にオフ=全閉になることはない、ということではないか、であります。スロットルに比例するのはキャブのピストンより後 ろのバタフライを操作します。アクセルを絞るとバタフライが先に閉じて、その後でスライドピストンが下りてきだす。その時までに燃焼室に入った混合気に無 駄火が飛んで音が出る、という考えです。
 もう一つは、T君の言い分ですが、燃焼室の形状によっても音は出る場合がある、というのです。ナルホド。
 SR500は400に比べてピストンヘッドが平らで圧縮比が低いですものね。

 こういった状況の中、少しでも燃料を送り込んでやった方がいい。とすると、
 これらのことが考えられました。でも、今のセッティングで、極端にバランスが崩れているわけではないのです。ずっと前のスパトラの時のように、点火プラ グの碍子に黒い影ができることもありませんから。
 となると、単純に燃料供給だけではないか。かつてのメインジェットの交換テストのことが浮かんできました。メインジェットの一定の穴径以上は、そんなに 変化しないことは経験上理解しています。
 ヨシムラのピストン装着時のボアアップにしても、キャブレターはノーマルの#162.5から#165にするだけです。
 では、一体何が?。
 フト考えたのは、レーコー(アイスコーヒー)をストローで飲むときです。私の好みは径の小さいタイプですが、1Gの大気圧がかかっているのなら、径の大 きい方がコーヒーが余計に流れる。これは当たり前。
 では径をそろえてみると、吸い上げ口が広い方が効率がいいはず。つまり、ラッパ状にした方が効率がいいはずだ、と気付いたのです。

 再びメインジェットを眺めつつ、過去の報告を読み返したのですよ。何と、我ながら恐れ入りました。Sick'n SRを何とかするで2001年の冬から2002年の夏にかけて6回ほどBST34のキャブレターについて様々のことをやっているではないですか。
 残念ながら、これは我がSR500の排気系などが煮詰まっていない状態でのことで、やっていることは間違っていないものの、ノーマルへ戻してしまってい たようです。
 現在、二番煎じのようですが、スプリングのカットをやって、結構いい結果を得たこと。その次は...。
 もうお分かりでしょう。メインジェットの加工です。おそらく、前述のババッという音に対しては、燃料補給がスムースである必要からのことです。本来な ら、先にPOSHの#165のメインジェットでやってみる必要があるはずですが、もうはやる心は抑えられません。3個ある改造#165の中から、削った ロート状態が一番スムースなものをチョイスして装着してみました。



 2009年9月13日、日中は夏の気配の中、燃料タンクを外してメインジェットを交換します。作業は1時間程度で終了。スタビ気味の握りの太い短いドラ イバーを持っておくべきでしょうか。それともFCRのように、キャップスクリューに交換すべき かは検討課題です。

 チョークを引いてエンジン始動。1段でも2段でも変化がありません。「ややっ!失敗かな?」と思いつつ、チョークを戻して...。
 ア〜ラ不思議。アイドリングが都合のいい800回転付近で安定しているではないですか。これには驚きました。
 走りそのものは変わりませんが、吸い上げの効率というものがわずかに向上しているように感じす走り方をするのです。私が敏感なだけかもしれませんが、ソ ンの数日前まではミクニ純正の#165のエッジ及び(−)ドライバーが入るスリットのエッジをスムースにしているだけにもかかわらず、同じ口径のメイン ジェットの吸い上げ口をロート状に拡大しただけにもかかわらず、かなりの変化し確認できました。

 いつものテストコースを走りますが、良いことばかりではありません。いえいえ、深刻な問題ではないのです。むしろ本来こうなるべき結果が出てしまったと いうか、少々表現が難しい問題が出てきたわけです。

 出てきたのは、テストコースの近永の出口から水分へ入る交差点で右折して加速したときでした。
 回転がグワーっと上がるのですが、加速はあまりしていないのです。後ろの車が追いついてくるのですから... 。そんなバカな?。焦りましたね。2速、3速。この辺になると、以前ですとシフトのショックが大きかったのですが、今はそれが出ません。そのため余計にア クセルをひねる... 。このバランスが悪いのです。
 下りでは、ババッがパパッに変わっています。通常のエンブレですが、かつてのようにカンリンのフライホイールの逆効果のようなものが出てきたのです。私 もバカではないのですが、SSTのディスク10枚の良さばかりが支配して、ノーマルマフラーの時のことをすっかり忘れてしまっていたようです。

 賢明な読者の方はもうお判りだと思いますが、この時点でSSTのディスク10枚の効率の高さが裏目に出てきたのです。つまり「ヌケ」が良すぎるのです。 となると、メインジェットを#170にして、そのジェットも吸い口をロート状に下降するのか?。
 再び疑問が生じてきました。が、簡単なメインジェットの加工でこれほどの変化を生じるということは、単純にミクニのメインジェットの中でも、この丸形の ものは、吸い上げの効率は良くない。したがって、このタイプのジェットを使用しているキャブレターのオートバイは、私の実施した加工で、結構良い結果が出 るのではないか?。
 ダイノジェットのことが思い起こされますが、セロー用はあってもSR用はない。すでにSRでBST34は装着されていない。となると加工しかない、とな るわけです。

 しかし、キャブの変化に伴って再びSSTのディスクに対しての疑問が生じてきました。季節は2009年秋。よりよい物にするため、今少しのところへ来て います。
inserted by FC2 system