SR500 10年目の新たな展開
その1  3GWのマフラー

 2006年初旬、ホワイトブロスのスーパートラップの改造とその後のテ スト結果に一応の満足を得て日々SR500を使用していたのですが、本年の梅雨は長雨が続き、7月下旬に梅雨明けをしたものの、この地域の気候からすれ ば、実際は甲子園の高校野球が始まる頃まで長引いたところです。
 その間、もう一台のトライアンフT-140Vの電装がおかしくなって、そちらの方へも取りかかっていました。SR500はリアタイヤを交換して車検を受 けたまではよかったのですが、日中の気温が連日30℃を下回らない有様のため、長い距離を走らせることに躊躇していたのが現実です。
 2006年は新しいSR400もリリースされるなどして、結構面白かったのですが、この地方ではトンとお目にかからぬ状態でしたし、夏のツーリングライ ダー自体大きいインラインフォーのオートバイが大半を占め、昔のようにのんびりしたツーリングや、オフロードモデルにテントまで搭載して走っている姿など はすっかり姿を消してしまっていたように感じました。
 加えて、私の体のほうがそろそろガタが来たような現象になってしまい、オートバイに触れるなどの気分が全く沸かなくなってしまい、雨に濡らさないように 注意を払っただけの状態が多く続きました。
 このような状態で、9月を迎えたわけです。

 9月2日の土曜日、本屋でオートバイ関係の雑誌を立ち読みしながら、くだらない記事ばかりだな~、と思っていました。日記にも記しましたが、はっきり申 しまして、雑誌社が一部イニシアチブを取ってアンケート調査などしたりすることも無いし、新製品紹介とか、メーカーに(ゼニ)貰ってんじゃないの?、な ど、よからぬ気分をめぐらせたりしました。別枠での編集雑誌を見ても、工具とかガレージが無いと、このとおりは無理だな、と思えたりもしてきました。
 少々コトは飛びますが、AppleのノートパソコンPismo用に小さい折りたたみ脚のちゃぶ台を買って、少々雑な脚の取り付けを変更した結果、なかな か良い状態でフィットするのを確認したときのことです。
 同様に液晶を交換した結果、G4のCPUカードを搭載しているにもかかわらず、元通りの快調さに加え、勝手知ったる機種ゆえ、そこそこの整備を施しなが ら数年間に渡って動かせていることに、改めて感心したりしていたとき、フト、現状での私のSR500の全体を思い起こしてみました。
 どうしてSR500に振ったのかは我ながら定かではないのですが、これまでの「Sick`n SRを何とかする」や「SR手掛け帳」で紹介したもののうち、完全に上手く行ったのは何だろう、と思ったところです。確信が持てるのはハイパープロのサス ペンションキット、カンリンの重量フライホイール、ダイシンの乾式クラッチ、ロックハートのオイルクーラー。この四つぐらいではないか、と思われたんで す。
 最近ではシートについて報告いたしました。シート一つであの調子ですから、現実に何をどうするか?になると、私のSR500をトータルで考えたとき、上 記4改造をそのままにして、もう一度私のSR500を見つめなおすと、もしかして、という感じが浮かんできました。
 この時点では、明確なものは判りませんでしたが、ライディングするとき、SR500がSR500らしくない、ある種の違和感を感じたのです。もちろん、 改造での成功例4点はそのまま装備しての状況でのことです。
 とにかく、おかしいと感じたのは走行時の車体のバランスの悪さです。ことに、段差のあるところを通過するときなどは、確実にフロントフォークがカツンと 音を立てて振られます。このことは、フロントフォークのオイルが劣化しているためかな?、と感じていました。それに付随して、シートの項でも記しました が、どうしても、フロントに荷重できないままでのライディングポジションになってしまう。それを防ぐために少しフォークの突き出しをやると操舵がクイック になる。つまり、重量マスが集中するエンジンを基準にして、ほぼ前後に50%の配分のSRなのに、妙に後部に重心位置がより過ぎているのではないか?、そ して、それ以上に左右の重量配分が悪いのではないか、と感じたのです。
 このことは、スリップオンのスーパートラップが結構な重量を有していることでもお解りのことと思います。消音効果だけではないものを持っているようで す。

 そして9月に入って、そろそろ花園村への準備にかからないとならないことに気付きました。T-140Vで行きたいのですが、電装系の克服は、日程上どう も間に合いそうにもありません。となると、SR500で出かけねばならないという次第です。
 この点から現在のSR500を点検すると、どうやらノーマルの排気システムに戻したほうがいいのではないか、と感じ始めました。

 もう一点、気になっていたことを思い出しました。それはヨシムラのピストンキットです。以前の鋳造ピストンがしばらくの間生産がストップしていたので す。サイクロンマフラーがリリースされているのにどうしてかな、と感じていたのですが、今年の夏前にワイセコと共同開発のピストンを秋にはリリースでき る、というカタログを見たわけです。
 9月ともなれば秋口じゃん、とヨシムラのウェブサイトを見たのです。ありました。一瞬、「これならイケル」と妙に確信めいたものが私の心を捉えたので す。
 カタログの最後に、「ノーマルキャブの場合メインジェットを#2.5上げること」の記載がありました。もしかして、ノーマルのマフラーでもイケルのでは ないか、とフト感じたわけです。

 4年前、SR500で花園村へ出向きました。帰路、和歌山港を前に頻繁にエンジンがストップし始めました。この経験が非常に嫌なものを私の残しました し、ホワイトブロスのスーパートラップを何とかしたい、として、ほぼ1年かかって今の状態に持ってくることが出来たところです。
 しかし、前述のようにどこかおかしい。それが排気システムなのかどうかは不明。ただし、ヨシムラのピストンを組み込んでもノーマルの排気システムでもイ ケルようだ、ということが緩やかに結ばれてきました。
 それなら、この際だからノーマルのエキパイとマフラーに戻しておこう、と決めたところです。
 非常におかしなことでノーマルの排気システムに戻すことにしたのですが、今回ばかりは少し考えさせられました。

 9月3日の日曜日、午前中に交換作業をすることとしました。まずは階下(といっても1階)に置いているエキパイに使い古しのペーパーを軽く当て、ネバー ダルで磨いてやります。フト、シリンダーヘッドへの取り付け部分を見て驚きました。
 写真では見づらいのですが、エキパイの内側の下部がわずかに盛り上がっているのを発見しました。SR400のエキパイとでは根本が違いますが、明らかに 排気の流れに気をつけている設計ではないか、と感じました。これはトルクバルブと同じ効果をこのエキパイで行っているのではないか?、と感じたのです。



 もう一つ気付いたのは取り付けフランジがシリンダーヘッドに対して平行ではない状態で取り付く、ということです。最初のマフラー以上に、今回のマフラー はエキパイとの合わせ目が少ないのにも驚きました。すでにSRの本体そのものがSR400がメインなのだ、ということを思い起こされたところです。という ことは、今のSR400は希薄燃焼のため、トルクをアップさせるため、エキパイの長さを若干長いものに変更しているのではないか、と感じられるところで す。
 このようなところで、少しばかり苦労して取り付けを完了したのですが、サイドから眺めてみますと、やはりスタイル上でのトータルバランスは優れたものが 存在するように感じました。

 日中はまだ夏の雰囲気ですが、午後2時ごろから走行テストを開始しました。キャブレターのパイロットスクリューの戻し回転を正規の2回と1/2回転とし ます。
 1か月ほどそのままにしていますから、キック5回でエンジン始動。まずまずの結果です。2段チョークを30秒ごとに戻します。この時点のアイドリングは 900回転程度ですが、油温が上昇していないので、このままの回転数としておきます。
 まずはテストコースへ。走り始めてすぐさま変化に気付きました。クラッチのつながりはともかく、走行性能などはホワイトブロスのスーパートラップと同じ 状況ですから、あの改造が、いかに上手く行ったか自画自賛をしたところです。
 務田の坂を上がり、いつもの平坦路ですが、スピードのノリがホワイトブロスのスーパートラップのときより、わずかに劣ります。ピックアップが悪いという のでしょうか、そういった気分ですが、大きくスポイルされたものではありません。
 小さいと思っていた排気音もSR400と較べると格段にドスが効いたものとして私の耳に聞こえます。
 近永で、ガソリンを補給したのですが、スタンドに入る折の段差でフロンとフォークがクシュッという音を発しました。あれっ?。これほど作動していたか な?、と思いましたが、ま、気にも留めないまま再び須賀川ダムへ向けて発進します。
 次の変化は道路の水切りにかかったときでした。ホワイトブロスのスーパートラップのときと較べてウォブルが少ないのです。これはどうしたことでしょう。 確かにK-300はセンターに回転方向にグルーブが3本入っています。これが路面のグルーブと干渉するために起きるウォブルです。
 下りのエンジンブレーキをかけたときもパスパスッといった音もせず、快調な状況で帰ってきました。もしかしたら、油温の上昇で各部の変化などが現れるか もしれない、と思い、今度は南に進路を取り、久々に北灘(きたなだ)から下波(したば)を通るコースを走らせました。
 北灘湾へ入って、結構アイドリングが上がってきました。が、一応1000回転か1200回転程度が最も安定しているため、今の気温などからすると 1000回転のほうが都合がよいとして、セットしました。
 下波からのちょいとしたワインディングも常にハンドルバーへ上体を乗せるようにしなければ、よからぬ方向へ行ってしまいます。直進性が良くなったこと と、コーナーへの入り始めのちょっとしたタイミングがダイナミックになった、ということでしょうか。
 いよいよ最後の無月(むづき)の坂を上ります。不思議なことに、5速でごくスムースに上っていくではありませんか。いやはや驚きました。長堀からは少し ばかり交通が込み合います。若干ブレーキングの回数が増えますが、フロンとがつんのめるようなそぶりは一切ありませんでした。むしろ、作動がフワフワ気味 になっていますから、やはりフロントフォークのオイル交換をしなければならないようです。



 このような状況で帰ってきたのですが、少しばかりの疲れとともに、興奮がいっしょになっている状態でした。が、これは軽い脱水状態になっていたようで、 その後の私の体の修整が大変でした。
 しかし、ほんの1時間程度の走りでしたが、後々になってノーマルマフラーの凄まじさを味わった次第です。反論はありましょうが、2J2のマフラーは少々 いただけない、と感じています。3GWのマフラーはなかなかいいものを持っているように感じるところです。
 加えて、SR400では、こんなことは一切関係の無いものだろうと思います。それがSR400の完成度が相当なものだし、おそらく多くSR500エン スーの方が反論されるでしょうけど、本来のSR400/500は400がメインであろう、と確信するところです。
 車体を見回してみますと、エキパイが黄色くなっているのが判ります。オレブルのスーパーサンダーという強化点火コイルを装着しているためか、点火時期が ほぼ固定ですから、点火の状態はノーマルコイルよりも強力になっていることがわかります。ただし、この製品はディスコンになっています。
 すると、ヨシムラのピストンキットを組み込んで圧縮比を10:1程度にしてハイオクガソリンを使い、ノーマルのマフラーで走ってみるとどうなるか?、そ の走行状態が、おぼろげに想像ができるようになってきました。

 モーターワークスイマムラのマスターもおっしゃっているように、うかつな改造をするのならノーマルに戻せ、ということでしょうね。そういえば、古いSR 関係の雑誌を紐解いてみますと、モトサロンの記事で「スタンダードが一番」として、ユーザーから改造してくれ、と言われると、主にライディングポジション とか、影響のない軽量化に止める、とされていました。
 SR400はマフラー変更しても、それなりに走りますが、500では、マフラーに止まらず、キャブレター内部からエキゾースト関係、これらが絡み合って 出てくる結果に対処しようとなると死ぬ思いをすることになるはずです。これを楽しみにすることに対して、私は反対です。
 それゆえ、今回のヨシムラのピストンを見たときの閃きのようなものは、おそらく、間違いのないものだ、と思ったところです。

 現状ではキットが34,500円。シリンダーボーリングが15,700円。かつて、このSRの改造を多く行った近所のショップにお任せするとして費用が 20,000円。合計70,000円程度でいけるのではないか。ウ~ム、少しばかり触手が動き始めました。立ちはだかる問題は公共下水道への接続工事費、 それにT-140Vのシリンダーヘッドのシングルキャブ化の2点のみ。これをクリアしてから作業開始となれば、今年の冬かな、と感じている今日この頃で す。

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