再びオイルラインをやってみる

こ れまでのこと
 BORE-ACE、最初は騙しかと思った。コンセプトは理解できる。 が、こんなのはもっと安くできるはずだ、と思っていたんだ。確かにオイルラインなどは国産(PLOT)のスエッジラインを使用するなど、かなりのものであ る。アールズなどのアルミよりはいいものができるような気がしてきた。
 が、アルミの加工など、実際手にしたところ、これは!、と驚いたところだ。何とも不思議な気分と同時に、これは変わるぞ、と感じた。そして、実際にもす さま じい変化を伴ったところだ。これが2007年の7月下旬。
 ロックハートのオイルクーラーを装備していたのは事実だが、ともかくこのオイルラインでへっhかすることは確認できた。
 が、ここがつらいところで、すべてに10諭吉は出せないし、ちょうど、僕のSR500も疑問と、その解決に道が見えてきた時期だから、小誌にも報告して いるとおりのパーツを組み込んで一段落させておいた。
 排気系はシムズクラフトのMタイプエキパイが思いのほかいい調子であったため、マフラー変更へ目は向かず、この際だから再びオイルラインの変更追加を考 えてみることとした。

 まず質問したのは、例によってカムチェーンテンショナーのワンオフ化である。これはスケッチを送ることとして、ついでにオイルラインを発注することとし たのだが、その前に初期型SRとXT500のオイルラインのようにも取り付け可能か?と聞くと、大丈夫とのことであった。

取付前に
 これまでのオイルラインには放熱フィンを入れることとしました。2008年の冬はSR500に対して結構触ることが多くなってきました。2008年12 月16日に発注して入金すると、何と翌日届きました。相変わらずすばらしい仕上がりです。今回は装着に少しばかり考えさせられるパーツが含まれます。
 それはインレット側へのオイル供給はバンジョーが8mm径なので、それを10mm化するアダプターの作りが巧妙なのです。ちょいとした知恵の輪で、 シムズのMタイプエキパイでも紹介した風車のホイールと同じで、どういった仕組みでクランクケース側はアダプターを止めることができるのだろうか、と考え 込んでしまったほどでした。
 で、これまではエキゾースト側へ純正のオイルラインとBORE-ACEのラインが共用になっていました。それを取っ払うのですが、エキゾースト側は取付 アダプターがあるため、戻りのオイルラインの一部が留まったままとなります。このことは、ロックハートのアダプターを外したときに確認しています。
 そのことも含めて、取 り付けボルトのオリフィスがインレット側の純正よりも若干径が細くなるので、(シフトの回り止め用スプリングを入れる)裏技はどうやら難しいようです。と いうこ とはBORE-ACEのスエッジラインはオイル供給量を考えてのオリフィスかもしれないと感じます。
 放熱フィンはクランクケース側より、前面から風を受けるシリンダー側へ装着することとしました。



まずはブリーザーホース
 12月20日、昨日の忘年会の酒は進まなかったし、8時からの樺崎の清掃も気分よく自転車で出かけました。少し遅くなったパンの朝食の後、作業に取り掛 かりました。
 まずは、久々に燃料タンクをはずします。ガソリン補給をしていなくて良かったところです。シリンダーヘッドのブリーザーホースの一部(2cm程度)を カットして、 チューブ状のクーリ ングフィンを装着。流石に純正ホース。この部分は熱が加わるのに柔らかいままには少々驚きました。
 タコメーターの取り出し口など異常はありません。ロッカーカバーの白い粉を落としておきます。タンクの無いほうが作業性がいいため、続いてオイルライン の取り付けを行うこととしました。
 仕上がりは戻りのオイルラインと若干干渉しますが大丈夫であろうと思います。



いよいよオイルライン
 厄介ですが、最初にシリンダーヘッドのインレット側のロッカー。このボルトを交換します。BORE-ACEのアルミのボルトは保管しておくこと。 10mm 径のフランジボルトとクラッシュワッシャーでこの部分の純正ボルト代用が可能だからです。



 続いてクランクケースのオイルライン取り付けをはずします。元のクラッシュワッシャーは1枚を使用します。純正オイルラインの強度の関係で、必ずシリン ダーヘッ ド側からはずすこと。
 ここから、インレット側ロッカーへオイルラインが通るのですが、先に8mmのバンジョーを10mmに変更するアダプターを装着します。このアダプターの 取付は説 明書どおりに、少しばかり丁寧に行うことがカンジンです。
 


 当初の計画どおりにクーリングフィンを介してスエッジラインを取り付けたのですが... 。




 いかがでしょうか、結構スペシャルな感覚がするのは私だけではなと思うのですが... 。
BORE-ACE製品のトルク管理と加工の高さについて
 大きいコマーシャルではないが、今回、指定の締めつけトルクは無視した。「それはいけない」というのではなく、「その必要がない」とすべきかもしれな い。
 ある程度の経験から勘が働く僕とし て、たとえば、スエッジライン指定のトルクは1.2kgである。が、今回のようにアルミのクーリングフィンを介しての締めつけでは、バンジョーを先に取付 けるため、このトルク管理が出来ない。
 が、安心してほしい。たとえば、ロッカー部分の取付アダプターでもクーリングフィンでもレンチで締め込んでいくと、それ以上行かなくなるところがある。 そこからチョイと力を入れるだけでOK。
 信じられないかもしれないが、今回は少なくとも4か所で経験している。ヤワなアルミだとガクンとなるが、BORE-ACEの製品ではそこまで行かなくて も、確実に同じように硬くなる瞬間が味わえるため、トルク管理をやらなかっただけのことだ。

 エンジンを始動して、(オイルが吹くのでクランクケースが少々よごれるけれど)オイルの回りを確認するためクランクケース側のバンジョー取り付けボルト は手で緩められる程度にしておきますく。

そう巧くは行かない
 燃料タンクを装着するも、タンクの取付部分へ届かないではないですか。何と、オイルラインが燃料コックに干渉しているのを発見。アチャー、ダメでやん す。無理すればこのままでも いいのですが、 せっかくのシリコンホース+ステンメッシュが曲げられるとよろしくない。そもそもの原因はスエッジラインのホース取付部分がアールズなどに比べて長いこと に原因があります。しかし、いわゆるカシメ部分は独特の加工がしてあり、スエッジラインの方が好ましいと思える部分でもあります。
 散々考えた挙げ句、クーリングフィンをクランクケース側へ移動することとしました。

 

確認すると
 エンジン始動。「ワァー!」一瞬叫んでしまった。クランクケース側のバンジョーからオイルが多量の泡と共にドバーとあふれ出てきてしまったのです。思わ ずエン ジンを止めましたが、後の祭り。クランクケースの下側までオイルが垂れてしまいました。
 オイルの回りは大丈夫です。同時に、あれだけオイルが噴き出して来るというのは、初期型のオイルポンプにはガスケットの装着が必要であることと、純正の オ イルラインはあまりに内径が小さすぎるのではないか、と考えた次第です。
 同時に、BORE-ACEのオイルラインは2本キット(今回のもの)をベーシックとすべきではないか、とも思いました。
 装着終了後の姿を見て、乗車の感覚が少し伝わってきました。心なしか、これまでのエンジンフィーリングとは違うような感覚が支配してきたところです。
 これまでの作業に2時間程度かかっているではないか。少し早めの昼食にして、午後から走行テストを行うこととしました。

走行テスト
 午後2時半、再びエンジンを始動。焦りましたね。アイドリングが低すぎる。乾式クラッチの音がベラボウにうるさい。ということは、シリンダーヘッドへの オ イル回りが良くなったってことか。不思議な世界です。
 セオリーどおりのウォーミングアップでは心もとないため、5分程度のアイドリングを続けます。気温は朝ほど低くありません。15℃以上になっています。
 タコメーターの針幅一つ分低い回転数ですが、大丈夫と判断して走行開始。国道へ出る最初の信号で運良くストップ。青になると飛び出します。旧加速は止め にしました。オ イルの状況がイマイチだからエンジンを回す気がしないのです。
 変化がきたのは光満街道へ入ってからでした。XT500、SR500と連綿と続く5速2000回転でのギクシャク走行。これが少しばかり軽減されてい る気分になったきたのです。加えて、トルクがアップしたかな、とも感じました。
 シムズクラフトのMタイプエキパイの作用もありますが、この相反する状態に何かしらおかしな気分になってしまいました。何がどうなっているのかがつかめ なかった のです。

 三間街道、タコメーターを見て愕然としました。メーターが壊れている?。一瞬我が目を疑ったのですが、そうではなかったのです。何と速度域だけですが、 前の自動車が 60〜70km/hで走っている。それに追いつくでもなく離れるでもないところでの当方の速度ですから、速度計はOK。エンジン音からしてもタコメーター が おかしいとは感じられません。およそ100回転ほど低い回転域でエンジンが回っているのです。
 水分までの上りは以前よりトルク感が増したように感じました。パルス音も若干パッパッパッという音が大きく聞こえます。これはM型エキパイだけのせいで はな い。グルーブの切ってある路面は少しだけ揺れを感じ出した。トルクの大きさと428のチェーンがフィットしなくなってきたのかもしれない。こんな思いが浮 かんできたのです。
 ともかく、今までとは違うものが走行性に出始めてきたのを何となく感じる、というのが偽らざるところだったわけです。

 水分からの下り。残念ながら前を箱バンが塞ぎます。しかし、次の危ない喫茶店横の左コーナーがあるため、最初の右コーナーで1速落とすはずなのですが、 そのま ま5速で入ります。
 さすがに速度が遅いため、最終の右コーナーへ行く前に1速落とさざるを得なかったのですが、ともかく下りでも違うことが起きる可能性が十分に感じられま した。

 ダムサイドの下り。いつもですと強烈なエンブレがかかったような気分になるはずですが、わずかにアクセルを開けてやっているだけでスムースに坂を下って くるんです。急激なス トッピングができないドラムブレーキのため、あえて60〜70km/hをキープするものの、下りも快適に降りてきました。
 下り坂最後の信号で右折して、オートショップ ワタナベへ。柿原の旧道を走ります。3速、4速でも非常にスムースです。
 トライアンフ用のブレーキホース(スエッジライン)の確認をして、帰宅しました。
 帰宅してエンジンの音を聞いても乾式クラッチのうるささだけが残ります。カムチェーンのシャラシャラ音、わずかに鳴るバルブの打音。今までのSR500 のエンジ ンとはまったく違う音がそこにありました。

 本当にすさまじい変化です。何がどうなったのか。これから迎える春、気温の上がる夏、そのときにどういった変化が出るか、結果が出せるまでにはしばらく 時 間がかかることでしょう。
 とにかく、久しぶりに大きく変わったSR500になりました。しかも良いほうに大変化です。最高の2008年のクリスマスプレゼントになったのかもしれ ません。









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