夏を前に
お題目で書いたように間もなく2009年の夏を迎えます。私の’96製
SR500もBORE-ACEのオイルライン他のキットを装着し、ややですが熱関係を逃がせるようにも感じているところです。
もっともこの記事自体は今夏を通過しなければ結果が出ない、と思われますが、以下の改造は2008年の秋から始まったのです。この件はすでに花園での英
車を愛でる会の帰路、和歌山市へ入ったとたんにカンカンカラカラの音がロッカー付近から発生し始めたからでした。
すでにBORE-ACEのオイルフィルターキャップ、シリンダークーリングフィン、フロントへの8倍供給オイルラインを装備しているにもかかわらず起
こったことで、やはりSR500ではこのことが発生するのだろうか、と考えた所です。
四国内へ入ってからはそういったことは一切なかったので、おそらく、エンジンの発熱と外気温の高さが相乗したときに発生することであろうことは予測でき
ていました。
最初に
このことを受けて変更したのは、オイルラインの全面変更です。BORE-ACEのオイルラインキットは2本仕様に変更しました。
その理由のひとつはフロント周りへ8倍(オイルの戻りラインから供給)の量を与えても、オリフィス径が元通りではほとんど影響ない、と判断したからにほ
かありません。事実、初期のSRではXT500と同様のオイルライン配備でした。私が思うのは、SR400ではこういったカンカンカラカラはあまり発生し
たとは聞いていないところです。
私にとっての、この嫌なカンカンカラカラの発生原因は、XT500のエンジンを高速型に変更されたSR500のロッカー周りなどにその対処ガされていな
かった結果ではないか、と判断しました。
それ
じゃ、スリッパーとかの材質、カムの表面処理など変更された新しいSR500なのにどうして?。
もっ
ともたるところですが、BST34キャブに変更されたもう一つの盲点である完全燃焼と騒音防止。
このために、再びエンジンの発熱量が多くなった。その
ために発生することがある、と私は考えたのです。
最終モデルのSR400(RH01-J)のエキパイとシリンダーヘッド部分、マフラーとエキパイの接合部分の変色が多いと聞きます。ムック本などをご覧
になるとたまに出ているようですが、少ない混合機で完全燃
焼をするようにされたエンジンの発熱量がいかに大きいかを意味しているのではないかと考えます。
そのために、8倍供給オイルラインそのものをエキゾースト側へ、通常のオイルラインをインレット側へ供給する2本ラインに変更しました。
今のところ、高温下(30℃近く)での走行で、股座付近が熱くなるおかしな現象が起きた時もカンカンカラカラは聞こえませんでした。
最初に考えたこと
オイルクーラーを外し、オイルラインの強化、放熱関係パーツの追加。それでも不安は隠せません。カンカンカラカラという音表現ですが、2J2時代の時か
ら味わっている非常に嫌な音のため、私としてはこの音を出さないようにしたいのです。
もし、トライアンフのロッカー周りの音を聞くと、本来はカチカチとい
う音とカチャカチャという音がまじりあって聞こえるし、この音がある程度出ないと、ギャップが狭まって調子の出ないエンジンになるのですが、それとはまる
で異質の、どちらかというとエンジンが壊れるのではないか、という気分が湧き上がる音である、と自分自身で思ってしまうのです。
ではどうするか?。何とかしてオイルを冷やせばいいはず。後付けで様々なオイルクーラーは出されていますが、現在のオイルクーラーの大半は冷えすぎ傾向
にあるようにも感じます。
通常のSR500なら、低い圧縮比にもかかわらず、発熱量の多いエンジン。その潤滑と発熱を抑えるためのオイルを少ない容量で賄うわけですから、この部
分をある程度妥協するには、オイルを自然に冷却する方法を採るのが最善であろうと思います。
それをアマチュアがやろうとするのですから、この点は試行錯誤でした。オイルタンクを増設してダウンチューブの横に装着する方法。アルミの冷却フィンを
ダ
ウンチューブに装着する方法などなど。
これらは、一部製品化されていますし、オイルタンクについては、クランクケースの供給側だけで増量するにはライン増設などから難しいと結論付けました。
現
在のところ、大半のオイルクーラーはオイルの戻り側のラインの中へ組み込まれています。
となると、ダウンチューブのオイルタンクへの冷却フィンですが、ダウンチューブへダイレクトに縦のフィンを溶接(あるいはロー付)するにはリスクが大き
す
ぎます。が、この方法は熱伝導の良い金属板で加工するのなら、間接的に接するようにすると、なかなかなの方法ではないか、と考えたのです。
で、最初の試作は銅パイプを縦に並べたものをダウンチューブに装着しました。一定の結果は出せたのではないか、と思います。残念ながら気温が低くなる季
節
へ移行する頃でしたので十分な結果報告ができないままになってしまいました。
新たな試作
銅パイプの縦置きから考えていたことは、何とかこれをクーリングフィン化したいということでした。
計画倒れにはなりましたが、内径38mmのしんちゅうパイプを半分に切ったものにしんちゅう、あるいは銅板をL字にしたフィンをボルト止めしようとした
こともありましたが、パイプが想像以上に重く断念。
銅板にL字フィンを溶接ということも考えましたが、ハンダごてが入る隙間を確保しずらいことなどから断念。
結局1.5cmの銅板で山折り谷折りのヒダを作って、それを銅版にハンダ付けしてダウンチューブをある程度包むようにホースバンドで止める方法を考えま
した。
これが少しばかり失敗をしましてね。ま、試作段階だし、一応の試作としてフィンの部分を同針金で銅板に固定したものに、ハンダを流すことで一体化すると
いうアバウトな方法で作業を行いました。
ただ、銅板が半円の円弧とすると、うまく収まらないので、若干Ω状にして取り付けたため、銅板の材料不足からベース部分を継ぎ足すという無様な結果にな
りました。銅板が結構なお値段なんです。
いかがですか?結構いいでしょう。ま、作業の粗さは宇和のT君にも指摘されましたが、テスト次第でどうなりますか?
この結果は秋口にでも報告します。
BORE-ACEのシリンダーヘッドクーリングフィン
別項で報告していますが、このパーツが出た時「これは!」と感じましたね。考えることなく発注。その記事と追加フィンについては別項で記していますの
で、ここでは割愛します。
さて、増設のフィンですがフロント部分だけであったので、リアも装着したほうがいいし、加工上、完全なヒートシンクを使用したほうが放熱効果が得られる
のではないか、と考えて、これまた宇和のT君にお願いしましたところ、うまい具合に結構いいヒートシンクをいただきました。それを半分にして縦方向に2個
取り付ける方法を採りました。
若干武骨になりましたが、この部分は未加工です。クーリングフィンから持ち出し部分を出したようになっていますが、風の当たる部分は結構広いので、効率
はいいようです。横から見るといいのですが、全体像からすると少々武骨です。若干加工を必要とします。
さっそくテストをやったのが、翌日の5月10日、前回お湯が沸騰したときとほぼ同じような状況の天候下で走行テストを行いましたが、かなりの効果があっ
たように感じます。
「感じます」では...と言われるでしょうけど、測定器などがありません。したがって、本当に感じとして、右脚の膝上にこれまでより熱い空気がやってく
るのを感じたのです。
確かに、冬場ですが、シリンダーへのフィンを追加したときは、足首から上の部分に温かい(熱い)空気の流れが感じられました。
BORE-ACEのヘッドフィンを装着したとき、空気の流れの変化はあまり感じられませんでしたが、それ以上に、エンジンの振動が硬質なものに変化した
のには驚いたところです。
その後、取り付けナットの奥の部分でお湯が沸く事実を発見。BORE-ACEさんも経験済みのことを知り、ある程度の仮説を立て、それについては先に報
告をしています。
それから、アルミサッシレールのヒートシンクを装着し、その発展版として今回のパワートランジスタ用のヒートシンクを改造して装着したところです。
その感じをメインに、ある考えが浮かび以下のようにまとめてみました。
時代を35年ほど前に戻していただきたいと思います。ヤマハのTX750というオートバイをご存知でしょうか。このオートバイは不人気でしてね。私は手
が
出せなかった。当時、ノートンコマンドが同じく750ccで、アイソラティックスマウントと称するエンジンを主として、大半の振動物をラバーで逃がす。し
かもメインフレームとスイングアーム、サブフレームをパートで接合されるというものですが、CB750に対して、この大きさで750cc?と思わんばかり
のオートバイに対し、無骨で異常に上下長が短く薄いエンジンに一抹の不安を感じたものでした。
オイルフィルターもカートリッジでしたし、潤滑もドライサンプではありましたが、その発熱量たるやすさまじいものがありました。若干ですが本橋ヤマハな
ど
から純正のオイルクーラーが入手できたのですが、ほとんどの方は装着せずでした。
発熱の原因はおそらく、横方向のみのシリンダー・シリンダーヘッドの冷却フィンでなかったか、と思うのです。
もう少しシリンダーのフィン間隔を広くフィンの横張が大きいもので、クランクケースなどに余裕度があったら、素晴らしいエンジンになっていたのではない
か、と今でも考えています。
前書きが長くなりましたが、このようなことからBORE-ACEさんのシリンダーヘッドのクーリングフィンは下へ増設するものはシリンダーヘッド取り付
け
におけるひずみ防止の強度補助とクーリングの意味合いでの致し方ないフィンの切り方であろうと思います。
で、再びエンジンのフィンの話になりますが、ツーサイクルエンジンをイメージしていただければと思います。各メーカーが競っていたモトクロッサーが好例
だろうと思います。シリンダーはすでにアルミが大半でしたし、スリーブに代わってニカジルメッキなどが出現し始めたころです。
その頃、シリンダーヘッドの外観は独特の形状のものが多かったように思います。中でも、フィンの高さと、いかに空気に触れさせるか。同時に泥をいかに付
着しづらくするかが課題であったように思います。
私の記憶ではシリンダーヘッドに水平方向のフィンを切っているものは見たことがありません。
これが、BORE-ACEのシリンダーヘッドクーリングフィンに対して縦方向への追加フィンを思いついた一件です。
もう一つは、これまた古い話ですが、BSAのビクター441のエンジンを改良したCCMのモトクロッサーです。
このエンジンの外観を見て、最初は嘘ではないか?と...。
私が習った空冷エンジンのフィン(英語のバレルの方が好適ですけど)「風の当たる面積を広くすることが肝要」でした。が、CCMはそのフィンを何箇所か
カットしていたのです。これにはビックリしましたね。それ以上に好調な結果を知ると、余計に不思議さを感じた所です。
で、最近になって感じたのは、エンジンのフィンをイタズラに増設しても、風の通り道の状況、エンジン自体の重量バランスなどから、簡単には行かない、と
いうことでした。
こういったことを思い浮かべたものですので、今回のお湯の沸いた一件からBORE-ACEのシリンダーヘッドのクーリングフィンは、その本体のうえ側は
上下方向のフィンを装着したほうが好ましいのではないか、と考えたところです。
当初は、先の報告で申し上げたとおり、アルミサッシのレールを加工したトランジスタのヒートシンクを装着したものでしたが、ことのほか効果が大きいよう
に感じました。これは本当に不思議なことでして、お湯の沸騰とほぼ同じような条件下でテストした結果がそれを物語っています。
同時に、見てくれも加味する必要があるため、宇和のT君に相談を持ちかけたところ、大きさは手ごろで、結構効率のいいヒートシンクを頂戴することがで
き、それを加工していただいて装着しております。
残念ながら、一度ですが、お湯が沸く条件で走ってはみたものの、風が強かったため、それには至らなかったところです。
現在は前後のボルト止めだけにしておりますが、ヒートシンクのプレート部分をBORE-ACEのヘッドクーリングフィンに装着しているので、外へ少しは
み出した格好で少しばかり不細工です。
一部3mmの両ねじで固定できるようにはなっているので、前後を一体にして、フィンの縦方向を少し削ってみようかな、と考えているところでもあります。
以上、今夏を乗り切る方策は一応整ってはきましたが、実際にテストしなければ、こればかりはどうかということが判明しません。再びオイルクーラーを、と
いうことも考えられるのですが、ホント、冬も嫌ですが、夏も結構気をもむも季節のようでもあります。