SSTのディスク7枚への道

 前回(メインジェット交換)の結果から、何がどうなったのかをずいぶん と時間をかけて検証しました。その第一はガスが濃いのか薄いのか、ということでした。付随して出てきた問題はディスクの枚数の問題です。
 メインジェットの改造版装着で燃料の吸入効率はかなり向上したと思われます。「思われます、ってか?」とおっしゃるのはよく解るのですが、こればかりは 測定機器が無い上に、私の勝手な思い込み、とも受け取られることもあり、として私の感覚から来る事象として「思われます」としたわけです。
 この二つのコトについて考えと実際をやってみることとしました。

 メインジェット改造版(以下 改造版)の交換後のことは、前回に記しました。逆の検証になりますが、改造版装着後では、若干ながらバスッというマフラーからの音は少なくなりました。こ のことから、改造版の効果は出たな、と思ったのです。
 ところが、バックプレッシャーの無さが一層顕著になってきました。
 ということは、ガスの濃い・薄いの問題は#2.5単位の番手チョイスでなければならない、と言い切るわけにはいかないのです。少なくとも#5番単位での 増減ですから。しかし、ほぼ良好な燃焼をしているのなら、そんなに大きくする必要はないはずです。
 ただ、燃料の吸入効率は、改造版のように加工して初めて指定の番手になる、と言い切っていいと思います。
 混合比はほぼ良好となのに、バックプレッシャーの少なさはどう説明すべきか?。
 そうそう、改造版装着後はアクセルのツキも回転の上昇度も若干速いものになってきました。古いSRに乗っていた関係から、立ち上がりが速くなったという ことが解るだけで、FCRに変更したような激変ではないので、かなりシビアな感覚でのことから言えること。この点お間違えないよう。
 とすると、エンジンの回り方が良くなったことから... 、ではなく、バックプレッシャーが無いから、燃料の吸入効率が上がった、ということでしょう。となると、最終はSSTのディスク枚数で出せるのではない か、と判断したのです。そうはいっても... 。
 
 これまでやったことは次のとおりになります。純に表にしてみました。

5枚
  • ノーマル然としている
  • 変化は感じられるが、満足感が得られない
6枚
  • 比較的良好なパフォーマンスを示す
4枚
  • パフォーマンス上の意味合いがない
  • ヌケが悪い=ガスが濃いのか?
8枚
  • これまでで最高のパフォーマンス
  • ベストマッチとするかは疑問
10枚
  • これまでで最良のパフォーマンス
  • 想像とは違い丸い排気音
  • 少し走らせづらい
9枚
  • 中途半端
  • パフォーマンスは8枚に近い
  • サウンドは10枚に近い

となって、10枚でしばらくやってみる、としたわけです。

 しかし、今回のメインジェット交換で思いもよらぬ結果を得たので、ノーマルのBST34キャブレターの基本は大きく崩す必要は無い、と判断しました。し からば、SSTの場合ガスが濃い薄いの微妙な判断はディスクの枚数に委ねた方が賢明である、と判断したのです。

 キャブレターもスプリングを弱くし、メインジェットを#2.5アップし、吸入口を広げただけで、エアスクリューの戻し回転などはいじっていない状態で、 10枚で相当のパフォーマンスを得られたのですから、当たり前のことですが、排気の全てはSSTのディスク枚数との関係がスーパートラップのディスク枚数 以上にあるのではないか、と考えたのです。
 少し元に戻って、スーパートラップのSR400/500におけるディスク枚数の基本は市販品に見られるとおり8枚のようです。何度も繰り返しますが、こ の 8枚はSR400でソコソコの結果を得られると思います。500ではそうは簡単にいかない。過去、何度も経験しました。100cc排気量の大きい SR500、ことに国内仕様車では全くダメ。6枚にしようと10枚にしようと、これだ!、という結果にはならない、であっ たわけです。
 しかし、BORE-ACEのSSTはディスク枚数の微妙なセッティングをせざるを得ないことを思い知らされました。再び上の表を見ると、キャブレターも あまり手を入れていない。極ノーマルから少しだけパフォーマンスを上げたい。この2点を得るためには... 。

「7枚」 「7枚」 「7枚」

 嫌な奇数です。最小公倍数、最大公約数の考えから外れる... 。バカな考えを巡らします。されど、この枚数はテストしていません。もしかして、もしかして〜。7枚を試すことを前提に、しばらく使用した10枚の検証を してみることとし て、SSTを外してみました。

 外した写真がこれです。アゼンとしました。




内部のディスク取付用のクローバー型フランジ部分をとくとご覧ください。前回10枚にして以来この部分は触っていませんから、排気のカーボンが付着する状 況からすると、排気ガスはスワールしているようにも思えます。

 それに、もう一つ、下側に位置する2か所が煤けています。とすると、SSTでは、マフラーエンドへ向かって、マフラー上方の風の流れは排気とともにエン ドキャップ以降のダミーディスクに吸い込まれるのではないか。とすると、SSTの場合はマフラー上側へ位置するフラン ジをホイール側へ向けてやった方が排 気効率がわずかながら上がる、ということになるのではないか、と考えました。

 もう一点は次の写真です。いかがでしょうか。



 エンドキャップの手前数枚がカーボンの付着が少ないでしょ。その位置がどうやら7枚ぐらい。

断っておきますが、この写真結果から7枚の文 章を起こしたのではないことを先に申しておきますね。

 このカーボンの付着が少ないのはどうしてか?。私は10枚のテスト期間が長かったから得られたことではないか、と思います。
 6枚では全てにカーボンが着きますし、8枚でも同様でした。こと、この手のディスクでは、キャブレターのセットを濃くすることでエンジンがある程度安 定しますし、パフォーマンスも上がるはずです。
 が、それを無視して、キャブのセットはスプリングカットのみでやった。その時は8枚。それから10枚にして、9枚にした後10枚にした結果ですから、 ディスクの入 れ替えをやったにしても、カーボンは付着することに間違いはないはずです。
 しかし、カーボンの着き方からして、これからやろうとしている7枚は好結果が出るのではないか、ということが予測されまし た。

 2009年9月19日、前回の想定からディスク7枚でテストしました。
 午前中は翌日の孫の運動会の準備など何やかやあって、朝早くからディスクの取付のみを終えておきました。若干燃料が少ないのが気がかりです。午後3時過 ぎから走ることとしました。
 セオリーどおり、チョークを1段引いてエンジン始動。10枚に比べると、パチャパチャという高周波の音が若干加わりますが、6枚ほどひどくはありませ ん。
 通常のアイドリングになると、音量は10枚の時より小さくなりますし、この時はパチャパチャ音は加わりません。
 最初の信号が青になって、サーっと... 、いや、いつもクラッチミートと、2速へアップするときのタイミング合わせのために、無意識に1速でアクセルを開けなかったのでしたが、今回は1速の保持 範囲が長い。オカシイのですが、そうしていても2速へのタイミングがおかしくなることはない。
 一瞬、チェーンテンショナーの影響かな?とも思いましたが、10枚の時はすでに装着済みだったのですから、これは違います。
 ということは、期待が持てます。
 申生田の登り下りでも、問題ありません。光満街道へ入るとき、これまでですと、遅い車に襲いかかるような乗り方をしなければならなかったのですが、これ が影を潜めています。気にすることはない、というような気分です。
 したがって、何か全く違うSR500に乗っているのではないか、むしろ、SR400に近い乗り味というか、SR400のマフラーをヌケのイイものにした らこんな走り方になるのではないか、と感じましたね。
 そのためか、無意識に走っているだけ。大本神社からの長い直送路でも、何もすることがない。こんな感覚は初めてです。近永から右折して水分へ入ります。
 若干の上り坂だけど、何もすることがない。アラを見つけ出すのをどうすればいいか?。こんなバカなことを考えながらの走行でした。
 帰って、何ともエポックメーキングな結果であった、と思ったのですね。不思議な気分が支配します。わずかにディスクの枚数変更だけなんですがね。

 その夜、少し考えを巡らしました。SSTの集大成というか、総括めいたことは出せないと思います。それが出来るのはノーマルの排気システムだけ。仮に私 のSR500では、現在の所メインジェットとダイアフラムのスプリングが違うのですから、同じにはなりません。
 こんな中でのディスク7枚。これが良いのか悪いのか?。その決定は私自身の感性との一致のみ。正に哲学者の言い分です。
 が、ディスク枚数決定の時のことを思い出していました。
こんなことで変わるのか?
再び疑問が持ち上がったのです。それは次によります。

 これまで、当初の6枚の時を除いて、以後、SSTの取付を下の写真のようにしていました。




 主に見てくれだけで決定していたのですが、この取付ですと時計 の短針に例えると、排気の放出は10時30分方向、3時30分方向、それに7時30分方向から排出されるこ とになります。
 おそらく10時30分方向から排出される排気は10時と12時のSST取付ボルト穴からの排出に際して、走行時の流れる空気が入り込むことから排気を押 さえつけられる。それに、マフラーを延長していることからリアホイールが回転する際に発生する乱気流にも排気の流れが影響を受ける。
 これらのことが考えられました。

 たしかに、ディスクの周囲はシュラウドのようなSSTのカバーがありますから、こんなのは微妙なことだ、と無視されるのが常ではないか、と思います。

 では、60°反時計回りに回転させて、当初の取付状態にすると、次のように考えられます。1時方向、5時 方向、そして9時方向となります。位置として30分の違いがありますが、それ以上に、マフラーの外部分への排気の流れが多くな ることになります。リアホイールの影響は9時方向の排気の流れだけとなります。



 古いことで申しわけありませんが、ホワイトブロスのスパトラのインナーコアが30°ズラしてあるのは、以外にも取付ボルトの影響を考えてのことかもしれ ません。
 参考までに、こちらのサイトを ご覧ください。取付穴の影響もあるのだ、ということがお判りになると思います。



 六角のSST取付ボルト穴に対して、120°間隔でのディスク取付ボルト穴と、それに位相する排気部分。排気部分はディスクの1枚目に影響があるのみ、 と思われますが、SSTの取付ボルト穴がティアドロップ状にあるわけですし、余分なディスクはダミーだけではなく排気の整流と空気の呼び戻し効果もあるの ではないか、と再び当初の考えが頭の中を回ったのです。

 2009年9月26日。土曜日ですが予定が一定しません。本日も、ボイラー設置の事前調査があるため午前中しか走らせる時間がありません。
 物は試し、早速テストを開始します。午前9時。チョークを2段引いてエンジン始動。相変わらず3発で始動。すぐさまチョークを1段戻して30秒。チョー クを戻して1分程度アイドリング。若干パチャパチャ音がしますが、これは暖まると気にはならなくなる範囲です。
 最初の信号から、光満街道まではこれまでとほとんど同じです。やはりSSTの取付変更程度は無視してもよかったかな、と思ったところです。秋の交通安全 期間中だし、午前中ということもあって車は少ない状態です。が、工事用のダンプと荷物輸送のトレーラーに前をふさがれました。
 チェッ、といつもは思うところですが、今日はどうも違う。4速のままで右手の操作だけで務田の坂を登り切りました。アレッ、何でスムースなんだ?。
 三間街道へ入ると、途中スズキのワゴンRが入っただけで、そのまま10m程度の車間距離を保ったまま、5速ホールドで走りきりました。ちょっとアクセル を開けると、ジワーっと速度が上がってきます。スパッとした切れ味はありませんが、許容範囲です。
 どうしてだろう?。この確認は水分への道で解るはずです。
 近永から水分への道に入ります。この細い道も、いつになく静かで歯切れの良い音量音質で走ります。
 本通りに出てくると、困った軽四に道をふさがれますが、いつもと違ってドライバーの状態がよく判ります。「下手」と。これまでですと何とか前へ行きたく なっていたのですが、今回はそういったことさえ感じられないのです。
 下りのカーブにしてもいつもと違うライディングをしています。結局最後の左カーブになる前で1速落として4速にしただけ。それでもサーッと行ってしまい ました。いや、本当にディスクの向きを変えただけで... 。
 まさに、キャブのメインジェットの時と同じく、「こんなことで変わるのか」と思いつつ帰ってきました。

 おそらく、私の考えが正しかった、と言えるかどうかは判断できませんが、7枚というディスク枚数は正解かもしれません。今後は、この状態でしばらく使用 してみることとします。


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