SR500用スリップオン・スーパートラップの選定(その1)

 相当古いことで申し訳ありませんが、1978年の10月頃だったと思い ますが、2J2のSR500を購入してすぐさまブルックランズから3インチのスパトラのセットを購入しました。この3インチのディスクも4インチのと同じ く、過去のものには外周に凹の切欠があって、そこで位置決めが出来るようになっているため、いまだに持っている次第です。それに、当時は4インチモデルが 無かった、という事実も存在します。
 これはエキパイのエクステンションパイプの取り付けが思わしくなくって、長い間は使いませんでした。例のスエプトバックのエキパイがブルックランズより 発売され、それも使用しましたが、どうも思わしくなく、その後リリースされた、(今は無き)スポーツショップヤジマの3インチのロングタイプを取り付けて 好成績を収めて いました。これが、私とスーパートラップの付き合いの始まりです。
 最近は排気ガスの関係からアキシャルフロータイプが一般化したのが2006年のことであったと思います。同時に、今までのインナーコアを要したタイプは かなりの数が消えたのでは なかったか、と思います。
 実のところ、私も古いステンレスサテンタイプを持っていますが、ノーマルエキパイとのフィット感がイマイチのため現在のところ使っていません。
 私の持っているこのタイプは通常のインナーコアとは違い、リバースコーンが入れられているようなエンドで、ディスク取り付け側にパンチングメタル状の板 が取り付けられているコアが用いられていて、メガホン部分とはリベット止めに なっていますし、クワイエットコアが入らない仕組みになっています。したがって、通常はディフューザーディスクを8枚で使用するようになっているものと思 います。

 2006年も暮れになったとき、古いメッキの4インチスリップオンの、全くのデッドストックを入手することが出来ました。なぜそれと判るかといいます と、
  1. 旧タイプのディスクが全く新しい。
  2. メガホンのエンド部分がメッキのままで、使用された様子が全く無い。
  3. エキパイとの接合部分の奥へ指を突っ込んでも カーボンが付かない。
このことからデッドストックと判断しました。
 同じく、ノーマルのエキパイ付きの現在ものの4インチロングタイプを入手できました。手持ちのものと比べてある種の疑問が生じたところです。

 

 



 スーパートラップの古い関係記事を読み返しますと、面白いことがわかります。まずは、 当初の3インチから紹介しますと、「4枚でエキパイ径に匹敵しま す」、とあります。ところが、比較的新しいものになると、3枚などという記述もありますが、私はどうも納得できないでいます。
 過去に紹介していますが、4インチのディスク の新旧を比べていただければ、そのことは十分に理解できるのではないでしょうか
 私の持っている、もう一本の古いキャップ方式のスパトラでも示していますが、今回デッドストックで同様のものを入手したとき、付属のディスクが4枚しか なかった、というのは、今の小径ディスクに比べると、旧タイプのディスクはかなり効率がいいのではないか、と感じるところです。

 もう一点の疑問はエキパイの長さです。3インチのときは相当に苦労しました。先に記し ていますが、再びブルックランズからスエプトバックタイプのエキパ イを購入したのですが、上手い位置でカットできず、普通にアクセルをひねったところ、2000回転付近で「ウッ」と息が詰まるようにエンジンがストップす るのです。
 それゆえ、スポーツショップヤジマのスパトラを取り付けたのでした。そのときから、マフラー(メガホン)部分の容積以上にエキパイの長さを検討しないと ならないな... 、と思いつつ、SR500からは遠ざかってしまったところです。

 1996年、私の45歳の誕生日を機に、今のSR500を購入します。聞こえはいいのですが、今のSR500は徳島への交通手段のために止むを得ず購入 したところです。
 翌年の春にホワイトブロスのスパトラを購入しました。しかし、昔日の製品のように、フレームへの取り付けがあったエキパイ、そして、絶妙な角度でアップ したマフラー部分は消えていました。
 そこから9年間かかって、ようやく、このシステムの結果が出たところです。その上に古いスリップオンスパトラにプロトがリリースしているスーパーサウン ドの組み合わせディスクでテストした結果、旧タイプのディスク4枚とでは、ほぼ同等の結果が得られたところです。


上から順に解説しますと
  1. まずは旧タイプのスリップオンです。
  2. 次がサテンのステンレスのロングタイプ。
  3. 次がエキパイ部分が長いロングタイプ。
  4. 一番下がホワイトブロスのメガホン部分。
 比較のために、リアステップと共締めのサポート部分を同一位置にしております。
 そのために、エキパイ部分が長いタイプは、WBのメガホン部分と同じタイプですので、スパトラのショートタイプを加工したものと思われます。

 次なる疑問は4インチのスパトラの形状です。上の写真と表のとおり、まじめに外見からだけなら、3タイプほど違いがあります。一つはエキパイ取り付け部 分からテーパーになった モデル。次がショートタイプにエキパイのエクステンションパイプを組み合わせたモデル。次がエクステンションパイプを溶接しているタイプです。
 個々に見ていきますと(WBを除いて)、まず、そのものがロングタイプのものですが、どうも、エキパイとの装着部分のみがエキパイ部分で、その後はマフ ラーという構造に 思えます。当然、内部には隔壁などもありませんし、どこまでエキパイが入り込んでいるのか、を確認してみることにしました。
 なんと、24cm〜27cmもエキパイ取り付け部分からマフラー内へエキパイ部分が続く(入り込んでいる)んです。
 つまり、短いエキパイを通ってきた排気ガスがマフラーに導かれた瞬間、一気に拡散するのではなく、常々私が申し上げているように、エキパイの長さが非情 に重要になっている、ということではないでしょうか。
 このことは一応置いておき、エクステンションパイプを追加したタイプを検証しますと、メガホン部分に入り込むエキパイ部分は10cmほど入り込ん でいるはずです。それゆえ、効率から考えると、このタイプはなかなかの性能を発揮するかもしれません。
 ところが、古いタイプでもそうですが、エクステンションパイプが溶接してあるタイプは、上の二つとは状況が若干異なっているのです。
 エクステンションパイプをメガホンに一部分だけ入れて溶接しているのではなく、少なくても、メガホン部分に数センチから数十センチ入り込んでいるのが判 ります。
 つまり、排気ガスはマフラー内に入って初めて分散されるわけです。しかも、本体はショートタイプですから、マフラーエンドとの間も比較的短い、と言うこ となんです。エキパイの径は別にして、このタイプの抜けは良いのかもしれません。

 以上が、私が実験を繰り返して得られた結論です。そうじゃない!、と反論される方も確かにいらっしゃいます。
 端的に判るのは、最近のスーパートラップの動きです。ことに、ロングタイプはインナーコアが異なっています。おそらく、冒頭申し上げた小さい孔が多数開 いたエンドバッフルを用いるタイプでしょう。これなら上手くいくかもしれませんが、音のレベルとか排気効率の関係などからSR500にはどういった結果に なるか、何とか手持ちの古いサテンのタイプをテストしてみたいと思います。

 もう一点は、リプレースマフラー全体に言えることですが、エキパイを含めての全体のマフラー容量が不足しています。以前に私も稚拙な方法で、ノーマルマ フラーの総容量を出してみましたが、それに比 べて、スーパートラップを含めて、リプレースマフラーの容量は2/3程度以下にしかなりません。
 それで、音を出すな、にパワーを上げよ!、という相反することをやっているのですから何をかいわんや、ということになってしまうのです。

 このことと相反することはハーレー用のスーパートラップの883とか1200のスポーツスター系の2本出し4インチロングタイプのラインアップを見てい ただけると、マフラー(スパトラのメガホン)部分の長さ(=容量)もある程度必要ではないか、と考えるのです。
 ワンオフするのは金銭面などで難しいのですが、SR500用として、現在のロングタイプスリップオンのメガホン部分を20cm程度延ばして、ディスクの エンドがタイヤの外周近くに来るようなモデルというのを考えるのですが... 。

 そこで、スーパートラップの開発の話を出さなければならないわけですね。モラー博士が開発した排気システムで、エンジンの最高回転域での騒音を抑えつ つ、なおかつ効率のいい排気システムを開発した。その応用として、発電機の排気部分に使われたため、今でもドームタイプのエンドキャップに、森林警備隊の お墨付 きがあるのがお判りと思います。
 ここまでくると、ちょいと反応が早い方はスーパートラップの効率について、私の言うことが理解できるのではないか、と思います。
 つまり、排気の流れをある程度まとめて、それを排気の脈圧を利用して外へ出す。その際、脈圧が感じられなくなるレベルがパワーピークである点。そして、 その時の排気音が通常より低い、ということになります。
 最高回転数がパワーピークポイントというエンジンには有効となるのですが、そうはならないのが世の常です。そ の妥協点がスーパートラップの開発であり、効果がある車種(エンジン)用にリリースしているショップの考え方ではないでしょうか。
 SR用として同じスーパートラップなのに、ショップによって製品が変 わるし、特性も変わるというのは、こういったことから起こることなんですね。
 そして、ツーサイクルエンジンや、4サイクルでも並列四気筒などのエンジンでは、スーパートラップの効果があまり得られない、ということになってくるの です。どうしても、という方々のためにはインターナルのスーパートラップがリリースされている次第です。
 四輪自動車のサイトですが、なかなか面白い実験をされている方がいらっしゃいました。アドレスを紹介しておきますので、参考にしてください。http://www.geocities.jp/ja22ws/spt/index.html

 ここまでは、経験から申し上げたことで、再度確認のために、次からはボチボチ当方の実験結果を報告することとします。



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