SR500 用スリップオン・スーパートラップの選定(その2)
/// ベストは無い ///

 あれから1か月ほど過ぎたのですが、2007年1月の初旬にスパトラを 取り付けようとしたところです。ところがですよね、よほどホワイトブロス(以下WB)の印象がオールドスパトラの良さ以上に支配しているようでならない気 分が支配し始めるのです。たとえば、バリバリッという音が大きくて、オールドスパトラのバッバッバッバと言うような音ではないんじゃないか、という気分の ような、そんな感覚です。

 とりあえず、サテンのスパトラの取り付けに及びました。薄いアルミ板でスペーサーを作ったまではいいのですが、結局ノーマルのエキパイと上手く フィットしないんです。鉛板の0.5mm厚を叩いて薄くしてまでガスケット作って装着するのはイマイので止めました。この部分だけを太くする加工までやる 必要はないので、ま、(未使用のまま)早々にお蔵入りさせたところです。



 次なるはダイレクトに装着できるショートタイプのスリップオンなんですが、ここに及んだときに、例のバリバリ音の方が多いような気がしてなりません。お まけに、このタイプのエンド位置ですと、リアブレーキのカムに当たります。ま、ディスク8枚で装着をしてエンジン始動すると、案の定、アイドリングを少し だけ高めに設定をしなければならないし、結構下が不足してしまっているような感じにしかならない走行状態ですし、何しろうるさい。アクセルオフ時のバッバ という音も若干大きいように感じました。
 後で気付いたのですが、どうもぶつけた車両に取り付けられていたようで内側に入り込んでいるように感じたところです。
 しかし、いい発見もありました。若干上げ気味にアイドリングの回転数の設定変更はしなければなりませんが、エキゾーストパイプの長さは私の考えどおり、 キックアームのピボット部より後ろでメガホン部分に合体しなければならないことがわかりました。
 こいつの曲がりを修整しようかな、と思っていた矢先、1月末にエンドの付いていないエクステンションパイプ付きのスリップオンを格安でゲットすることが 出来ました。



新しい(?)スリップオンについて
 新しいスリップオンはことのほか使える状態で、ディスクも8枚標準でやってみることとしたところです。スパトラのディスクの問題点は後述しますが、最初 ごろのインナーコアのエンドのカシメナットの状態が悪く、トルクが均一に掛けられないため、ディスク間のスリットが不均一になることで、これが欠点でし た。
 つまり、新品のディスクを装着しても、はずして次に取り付けるときは若干変形しているのです。これが唯一の欠点ですが、現在のコアを装着すると、この点 は改善されます。インナーコアが変更できるタイプのスパトラなら、アクティヴから購入されると良いかと思います。おまけにアキシャルフローのディスク取り 付けが基本になっていますので、ディスク取り付け面はフラットになっているのではないかと思います。
 前回紹介したサイトで ディスク取り付け穴のナットにタップを通しておくよう指示されていたのはディスク変形を防ぐためだろうと思います。今回は取り付けの(カシメ) ナットの状態は良好でした。
 次は変形しているエンド部分の修正です。スパトラのステンレスは比較的柔らかいのですが、エンドの隙間に-ドライバーを入れてこじるようにすればOKで した。
 エキパイとの合わせ目は若干閉じていたのでバイスプライヤーで握って少し広げればOKになりました。この部分のバンドは純正品を使用します。
 この際でしたのでガスケットを新調しました。これが結構な値段ですけれど、数十回抜いたり挿したりしても大丈夫ですから、接合部分が純正サイズなら、排 気漏れに対しては純正品を用 いるべきではないか、と考えます。

ディスクについて
 それでは、このスパトラのディスクをどうするか?。スパトラを取り巻くあらゆることが頭の中をめぐります。その中でも白眉はスポーツショップヤジマの3 インチロングタイプスリップオンのことが第一に挙げられます。次いでオールドスパトラの一件。この2つのことの状況をボルトでディスクを止めるタイプでは どうなるのか、の検証をすることとしました。
 その前にWBのスパトラの件があります。ここから、遡っての実験のほうがいいのではないか?ということが閃きました。
 早速WBからディスクをはずしま...、レレ、硬いのですよ。折れることはありませんでしたが、長期間使用しない時ははずしておくべきであることが解り ました。
 当然、ディスクが変形していますので、新たにエキパイ部分が長いスリップオンのディスクを流用しました。上手い具合に8枚使用できます。
 エンドキャップをアルミのものに内部にドームエンドを忍ばせて取り付け。エンジン始動の後暖気。そしてアクセル操作してみると、オフのときにホフッホ フッという音が若干気になる程度で、総じて良好でした。
 が、走行を開始すると、やはりウルサイ。これは45°排気の欠点かもしれません。一応の結果を得たのですが、やはり次を目指すんですよね。
8枚の標準でやってみることとします。どうして6枚にしない?と言われるでしょうが、過去WBでそれを試したときダメだったし、その仕様のままで乗り続け てひどい目にあっているので、6枚の実験はしないことにします。もっとも、400だといいのかもしれませんが。

2007年2月4日のこと...
 とりあえずはSR500の標準であるディスク8枚でやってみます。
 エンジン始動後、状況が解ります。回転も上がりますし、アクセルへの反応もそれなりのものを持っています。
 走行しますと、良いのは良いのですが、サウンドというか何か割り切れないものが私を取り巻いて離れないのです。表現するとパッパッパッパッといったもの です。
 ディスクを減してやるのは当然のなりゆきです。この場合は4枚でしょう。6枚はSR400のフィット枚数です。この6枚は、かつてWBのときに散々困ら された枚数です。

 そういったところから、当初WBの故郷アメリカへフロント・リアともディスクブレーキのSR500が輸出されていた頃、私の持っているオールドスパトラ のエンドを使用してエキパイの内径から設計されたWBのスパトラはそれなりの仕様で使わなければならない。それは同封の説明書にも記載があるとおりです。
 エキパイがストレートになって、フレームへの固定もなくなって、現在はディスコンになってしまいました。国内でそれモドキはリリースされていましたが、 す でにアキシャルフローが一般になっている現在では、SR自体もAISが装着されていますし、400ccしかリリースされていないのですから、2003年モ デルまでの400用にも500用にも適当な枚数は 存在しない、というのが私の持論です。

 ま、4枚でやってみます。エンジン始動から走行状態まで、エ〜、こんなものですか、というのが偽らざるところです。
 8枚でもそうでしたが、BST34の負圧キャブレター仕様でのノーマルSR500には、過去のスーパートラップを装着した場合には、どうやら排気効率 が良すぎるような気がしてなりません。

再び迷路か?
 ン〜、どうも思わしくありません。真面目にやるとして、8枚の結果から「ウルサイ」を何とか止めることとして、過去の思いからすれば、やはりクワイエッ ト コアは必要なことです。
 が、クワイエットコアも様々な物がありましてですね、調子の良かったのはスーパークワイエットコアが一番良い結果を得ていますので、これを使用すること とします。
 クワイエットコアを使用する場合、ディスクは4枚以下で使用することが決められています。が、今はディスクが小径化していますし、こういった定義上のも のは無視されているのが現状です。ましてやアキシャルフローのディスクになっていますから、単に効率を求めて音だけを小さくする方向なら、何でもいいがま かり通っているのが現状でしょう。
 しかし、通常のメガホンタイプなら、排気をメガホン内で押さえ込むとペチャペチャ音が増すことになってしまいます。ことにシングルシリンダーのビッグボ アエンジンでは顕著になります。すると、絞っているはずの音が逆にうるさく感じられるのですね。
 もちろん、メガホン部分がステンレスですから、鉄+メッキの音質より甲高い響きになってくるのも、その一因かもしれません。

 で、エンジン始動すると、結構押さえられた音になるんです。走行しますと、これがいい。不思議なことですが... 。
 ただし、しばらく走っていると音がイマイことに気づきます。2500回転付近は良いのですが、その前後は何とも言えない音になってきます。何というか、 ポコポコッといったような音が加わったような... 。

 私の望んでいる音は、バリバリでもなく、バッバッバッバッバという雰囲気の音を目指しています。連続音になるとババババババ〜となるような、表現はまず いですが、カワサキのエストレヤの音の大型化したような音とでもいいますか、そういったものにしたいんです。
 したがって、どういった方法でバリバリッとかいう音を押さえ込むか、ということになるわけなのに、気抜けの音です。
 一度聞いたことがありますが、ヨシムラのカーボンマフラーのサウンドでしょうか。それに近いものの、もう少し張りのある音も近いと言えます。この辺の音 です。
 おそらく、SRユーザーの大半の方には私の音づくりは今は流行らない音であろうと考えるところです。

 再びオールドスパトラでの音を思い出しました。メガホンの内部構造が若干違うものの、一定排気効率の高さを得た上で、押さえに押さえたWBよりも、ス カッとしたものであった。これは走行中もか変わらなかった、という結果でした。
 ということは、ボルト止めの今のスパトラに比べて、ボルト止め方式のエンドキャップの容量不足であろうか、と思われました。

WBのディスク構成で
 若干インナーコアの状態が違いますが、WBの最終仕様のディスク構成で今回のスリップオンスパトラに装着してみることとしました。

 まずは、エンジン始動。ま、良好ですが少し調子がおかしい。走ってみますとWBをポン付けしたときのような気分によく似ています。
 再び、「(WBを付けた)ここから全てが始まったんだ」と、頭の中が逆回転を始めました。サスガにパンパンという音はしなくなりましたが、走行状態から すると、キャブレターの調整をやる必要があるな、ということは... 。
 そう、また、あの辛いながらも、やった結果がコロコロ変わっていた時を思い出してしまいました。唯一解っていたことは、ジェット類は変更しなくてもいい よ、ということでした。となると、やることは二つ。最初はパイロットスクリューを開いてやってみる。次は2回と1/2回転から絞ってみる。この2つの方法 をやればいいわけです。

 両方向2回程度ずつでやったんですけどね、アイドリング時はOKでも走行時は走行時はダメ。走行時はOKでもアイドリング時は、ややダメ。バカみたいで すが、スーパークワイエットコアと最小ディスク構成でも、通常のスーパートラップは、やはり一定エンジンの回転域が高めのセットをしなければならない。す なわち、基本はレーシングマシン用、ということになるところです。

 バカいっちゃいけないよ。

 もう一つ忘 れてはならないこと。

 SR500であること。

 SR400をけなしているのではないんですよ。極端にいいますと、排 気から始まって、何をどうしてもSR400はそれなりに結果が出るのですが、 SR500ではそうはならない、というか、事が上手く運ばないのです。
 わずか100ccの差です。が、(併売されていた頃までの)エンジン周り各パーツを較べていただければ、内部に使われているパーツが結構違っていること に気づかれるはずです。
 ことに、マフラーは同じでもエキパイの内部は違う。クランクが違う。シリンダー、シリンダーヘッド、ピストンが違う。キャブレターも全く同じですが、ノ ズルやジェットは異なる。
 それでも、私がコトバでSR500での苦労を申し述べてもSR400に乗っていらっしゃる方には理解出来ないことではないかな、と感じています。
 これも古い話ですが、モーターステージを興される前の廿枝氏がWMの雑誌CMで「SR400は素晴らしいオートバイだ」と 記されています。SRの基本は 500じゃないか!。私は反論したのですが、実際のところ、SR自体は400がメインだ、ということが真のエンスーというか、モータージャーナリストには 理解されていたのじゃないだろうか、と想像できます。
 同時に、私も今所持しているSR500を購入するとき、400にするかどうか、相当に迷ったところです。
 それほど、SR400は当初から完成されていたオートバイと言えるのではないか、と思うところです。

スーパーサウンドのディスクを当てはめてみる
 また辛い思いをするのか、と思っていた矢先、オールドスパトラのもう一つのディスク構成のことを忘れていました。たしか、あの時は古いディスクと今の ディスクでの違いはどうだったのか、というところから始まった。それをヒントとして実験したわけです。
 その項の終わりに、「もし、今後やれるとしたら、ごく一般的なスリップオンのスーパートラップにこのディスク(トライアングルディスク5枚、遮蔽板の次 に円盤ディスク6枚) を装着してみたいと思いました。」という一文があります。
 それだけ、オールドスパトラこそが、真にSR500/400にフィットしていることが解ったし、その時の結果から、スーパーサウンドのディスク装着も捨 てたものではない、という結果を得ていたということでした。

 早速やってみることにしたのですがね、ここでも要らぬ考えが出てきましてね。スーパーサウンドのトライアングルディスクの後の遮蔽板の代わりに、スパト ラのステンドームエ ンドを持ってきたんですよ。
 エンジン始動します。ウ〜ム、何かちょっとね〜。妙に割り切れないものが出てきます。
 そんな気分があるものの、走行テストを開始します。
 何と何と、サウンドが少しずつ丸くバッバッバッバというものになってきて、全体としてはパワーはある程度上がるが、頭打ちも早く来るな、ということが得 られました。
 パワーの件は語弊があってはならないのですが、マフラー全体の重量差から来るものもありますが、全体としてアクセルを開くときにモコ〜っと来る感覚がい いんです。

 しかし、割り切れないものっていうのは何が原因だろうか?。この要因が解るまで、そんなに時間はかかりませんでした。それは、スーパーサウンドのディス クの排気角度は20°です。ところがステンドームはスパトラのディスクにフィットさせてありますから、トライアングルディスクで絞られ、おそらくスワール 状態で遮蔽板に当たった排気をどうするか?。ステンドームエンドではそれを周囲へ拡散させるためだけになっていているのではないか、と考えたのです。そう すると、リゾネーター的な丸穴ディスクの効果が発揮されていない。
 フロー映像が無いので何とも言えませんが、ディスクの上に手をかざすと、状況はよく解ります。逆に45°のスパトラのディスクは相当に排気が周囲へ拡散 されていることが理解できると思います。

 となると、遮蔽板をスーパーサウンドのものに戻して、トライアングルディスク5枚、遮蔽板の次に円盤ディスク6枚とし、スーパーサウンドのアルミエンド の付属のディスクに、スパトラのアルミエンドキャップを使用して装着しました。
 スーパーサウンドのディスクにしてからは、キャブレターのパイロットスクリュー戻し回転など一切手を付けていません。
 スタイル的には、スーパーサウンドのディスクが20°開放ですので、枚数は合計13枚なのですが、視覚的には相当多くの枚数が装備されているな、と感じ ます。迫力満点ですがネ〜。

 

 それではエンジンを始動します。
 気温のせいもありますが、2段チョークもノーマルマフラーの時と同じように回転数が変わります。アイドリングは正にノーマル状態です。サウンドも先のス パトラのエンドの時より若干押さえられ、力強さが加わったものになってきました。
 エンジンが暖まっていないので多少のギクシャク感はあります。コースはいつものところとします。三間へ入るとようやく調子が出てきました。少しだけ硬質 のサウンドになります。本来ならキンキンキンという音が、スーパークワイエットコアを入れているため、パンパンパンという音が加わってきます。これはステ ンメガホンのためか、と思いますが、どうもいただけません。
 須賀川ダムの下りで数回ボボッと来ますが、ポンポンは発生しません。途中、アイドリングを標準の1350回転近くへ上げました。私のSR500にはカン リンのフライホイールが 装着してあるため、1000回転ぐらいでOKなのですが、やはり、排気の効率がノーマルよりも上がっているのだろうということから、少し高めということに なります。



 これで一段落です。しかし、もう少し気温が上がった時の状態が不明です。おそらく大丈夫とは思いますが、2007年の暮へ至るまでの実験になるのでしょ う かね。
 ほぼ1日を費やしてのスリップオンのスパトラテストでした。それにしても疲れました。スタイル的にもなかなかのものを持っています。が割り切れないの は、「SR400専用」の感じが強い。というより、SR500用はSRというオートバイに人気が出始めた頃からスーパートラップのマフラーは存在していな い、と言っても過言ではないという確信めいたものが芽生え始めました。

 この私の考えを確実にするためにはどうするか?。確かにスリップオンタイプはSR500に一番フィットしていることは明白ですし、エキパイの長さも、ク ランクケース後部より少し後ろまで必要、ということも確認できました。
 それでは、SR400用と何がどう違うのかを得るための実験はどうすればいいか?。まだまだ、実験は続くのではないか、と思っていたのもつかの間、思い もよらぬ結果が待っていました。それはまたいずれ。


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