バルブクリアランス調整

 私ね、この部分はあまり触りたくないのです。どうして?、それはあまり に過酷な部分でもあり、そういった設計になっているからに他ありません。何がって?
 エンジンですよ、エンジン。この部分、古くは焼き玉エンジンにまで遡りますよね。旧態依然なんです。この部分ははっきり言ってOHVから始まって、 OHCの初期時点で確立されたのではないか、と思います。
 もちろん、映画Uボートでのハンスが居る機関室でのディーゼルエンジンなどでは動いている様子が解りますけど...



DVDのUボートより

 機構は詳しくは知りませんが、ハーレーダビッドソンの油圧でアジャストするバルブクリアランス、というのもあります。航空機のレシプロエンジンを見れ ば、どういった状態であるかがお解りになると思います。低圧縮低回転の航空機エンジンではそうそう調整を要するものはない、と思います。特に星OHV型エ ンジン など前後に2列ある物など1気筒2バルブですから、かなり大変です。
 昔の整備兵ですと、全てを暗記し、個体差などを機種使用パイロットに意見を聞いて整備を進めていたのではないでしょうか。マフラー無しですからエンジン は爆音になっています。いわゆるタペット音など聞こえるわけはないはずですから、飛行時間数で算出して「○○時間ごとに点検」として、その数値を出してい たのだろうと思います。

もの凄くやりづらい
 SRはこの点がもの凄くやりづらいのです。1日に2〜3台をコンスタントにいじることが出来るメカニックなら簡単ですけどね。
 この点、「どうしてかな?」、と私も散々考えました。出した結論は何だったか。それはベースが『XT500であったから』ということでした。整備スタン ドを使用すれば、いとも簡単にできるところなんです。アライメントが違うSRでは言わずもがな、なのであります。



CB750はどうだったかな
 話が前後して申し訳ありませんが、おなじみのホンダCD750の調整はどうだったか?、ご存知のように、点火プラグの交換さえ大変な機種です。おなけに SOHCエンジンは8個のバルブ調整を必要とします。これの解決をホンダはどうしたか?
 おそらく、調整修理はHONDAのディーラーへ、の道を模索していたのかもしれあせん。実際は、当時この地方でCB750を購入するには、現金か、 ショップの短期月賦、あるいは手形という始末、とてもじゃないけどホンダのいうような方法は採れなかったのが事実です。
 したがって、どれをどうすればいいか、CB750のKシリーズのノウハウが一般にもわかってきたのは10年ほど前からなんですよね。

この面もKawakaski Z1が変えてしまった
 カワサキのZ1が発売されたとき、エンジン部分に注目が行きました。以後、インラインフォーのエンジンの大半が右へならえになったでしょ
 そうなんです。1気筒辺り4個のバルブを持つDOHCエンジンのこの部分の調整を簡単にしたのはカワサキのやり方でした。「シム交換方式」なのです。驚 きましたね。これなら簡単ですものね。以来、エンジンサイドから見ると前後に2つの丸いカバーがあるエンジンばかりが目立ってきたでしょ!!

こういった状態でSR
 さて、こういった状態だから、私はこの部分をいつも弄りたわすのはゴメンなんです。
ここからバルブのクリアランス調整が始まるのです。

何時バルブクリアランスの調整をするのか
 いや、これは「調整をすればいいのか」となるはずです。それほどの部分です。SRマスターブックにも○○kmごとの調整、とは出ていません。エンジンリ ビルトのところでこの調整記載があります。
 私の想像ですが、これはディーラーがやる仕事である、と決めているようにも思えるのです。もちろん、サービスマニュアルには記載がありますけどね。同様 にカムチェーンの調整も同じだろうと思います。
 というところから、1万キロ程度、としておきましょうかね。

実際はどうか?
 私の場合、異様な音がし始める頃が替え時かな?、と感じています。もちろん、調整幅がありますから、詰めれば音は出なくなるかもしれません。そして、そ の調整幅、この範疇にあっても音が出る場合があるのです。
 実は、ここに気付かなかったのです。こんな表現すると叱られますかね。この前に調整をした結果から申し上げますと、まずはエキゾーストから
 経験上から広い方へ合わせるのですが、調整しろから0.02mm程度の差は出てきます。そのために、0.15mmのフィラーゲージが抜けづらい(キツ イ)位置でロックするとして、ゲッ、ロックナットがきつくなってる。そんなバカな?実は、これが問題だったのですが... 。
 インレットは0.1mmのゲージで調整しました。インレット側からは音は出ていません。この点、ギャップがどうのこうのはトライアンフのように音でわか るのが良いのですけど、総じて「音が出ないで調子の良い調整」が国産車ですから、ついつい気になるのですよね。
 で、エンジン始動すると、おかしい、以前より音が大きくなってる。そんなばかなことあるものか?、インレットは快調じゃないか。
 思い切ってエキゾースト側を外してみると... ギョギョギョ!?、アジャストボルトのセンターが虫食いを起こしてる。これほどのものなの?、当たり面は良好なのに...



 残念ながら保有パーツがないので、先に記した通りの方法で、そのまま組んでおきました。

パーツから
 私のは4XのXV750のアーレンキータイプのを使用しています。車載工具にある■のアジャストボルト専用パーツを使用しなくていいようになってます。 お勧めなんですけどね。
 実のところ、素人目にはこのパーツの善し悪しがわかりません。「全体に焼き入れがしてあって、ロッカーアームに当たる部分は鏡面加工がしてある」程度の ものです。
 当たり面は非常に綺麗で、若干減っているかな、の状況です。この辺が微妙なんですよね。当然ですが、ロッカーアームも減っていると思います。しかし、私 のSR500にはモデルの時代(1996年)からして、ロッカーアームには硬いチップが使われている上に、アジャストボルト同様の処理がしてあるはずです から、大きく減っているとは考えられま せん。



 そういったことから、アジャストボルトとロックナットを取り替えます。パーツナンバーの末尾の00が示すとおり、パーツの変更はありません。
 ということは、鏡面加工してあるところの深部はスが入っている?、ということにあります。というところから、パーツの見極めがつかないのです。BORE -ACE、オレブルからアジャストボルトが出ていますが、どうでしょうか?
 次回音が出始めると調整し、場合によっては交換時期なので、この時にやってみたいと思います。



再調整
 新しいアジャストボルトを組み込んで、エキゾーストは今回0.07+0.06mmの0.13mmとして、羊羹をきるより少しキツメでセットしましたイン レットは0.1mmで同様のセットをします。
 で、エンジン始動すると、最初は音が出るものの、ほんの数十秒後、オイルが行くと止まります。よし、この調整しろでイケル、としました。
 おかしさはすぐにやってきます。おかしかったキャブレターが回復の兆しです。エンジンは回るのですが、どことなくおかしい。今まではパイロットスク リューの戻し回転を1回と3/4程度にしておきましたが、これではどうも走らないように感じます。たかがバルブクリアランスだけで?
 いや、マジそうかもしれません。一応 2回戻しとしておきました。あれ?、エキパイが黄変している。一時期黄変しましたが、これがくすんだ色になっていました。よくわかりませんが、このアジャ ストボルトでこれだけ変わるのか?
 まだまだ、確認が必要のようですが、その都度シート、燃料タンクを外しての作業はゴメンです。今回はこれまでとします。
 どうかSR400/500のユーザーはアジャストボルトにお気を付けアソバセ。バルブクリアランスが全てではありませんが、以外にエンジンにとっては変 調をきたす部分でもありますよ...


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