SRはそんなにいいものではない!?

 2005年5月下旬、購入後9年を迎えようとしている私のSR500 は、コージーシートを取り付け、ホワイトブロスの排気システムの成功で快調のうちに初夏の南予路を走っています。今は発売されていない機種とはいえ、そこ そこストックのままでもSR500は乗ることができます。
 もちろんSR400とは格段に違う、大きい揺するような振動と5速での低速域(50km/h近辺)ではギクシャクした乗車感覚など、SR500そのもの は、いつまで経ってもSR400とは違う一種のラフさというか、未完成さを持ち合わせたオートバイです。
 もちろん、SR400のオーナーはこういったところに憧れるのかもしれませんが、今流のオートバイで免許取得された方なら、おそらく、「SR500はそ んなにいいものではない」と感じることになるのではないか、と感じます。
 「それなら、お前さんはどうしてSR500なのか?」、と問われることと思います。
 私の脳裏に確実に存在するのはXT500の幻影です。ギクシャクするところとか、振動など、SR500のバックステップ付モデルはXT500によく似て いるようですし、最終モデルに至っても、同様の乗り味でなかったか、と感じています。
 こういったオートバイに乗っていることが、古くからのオートバイ乗りにはおもしろいのかもしれないなぁ、と懐を大きくしてSR500を愛用しているとこ ろです。

 私のSR500は結構汚いままにしてあります。特にフロントフォークのアウターをはじめ、バフがけ+クリアー塗装の部分は、かなり白い粉を吹いたままで す。一部パーツのメッキ部分はさびが出てきています。
 とにかく放っておくとあらゆるところにサビとかが浮かんでくるんです。ミラクリエイト塗装の燃料タンクにしても、内部のサビはございませんが、下部のえ ぐり部分など、塗装の薄いところはサビが浮かんできます。
 このようなところが見受けられるようになると、SRっていうのがかなりのコストダウンの結果による価格設定なのがよく解ってきます。

 ムック本などで、SRというのは長年作り続けられていて歴史のある名車だ、と記載されていますが、私はウソだ、と決めています。
 そりゃ、20年以上も前の基本設計を崩さずに継続生産されている大排気量のオートバイとしては、ある意味では名車に違いないことは明白です。
 オートバイ屋さんで新品のSR(400)が納車されるとき、SRという1台のオートバイを長く乗っている方からすると、今のSR400に乗るユーザー が、50000km走行とか、10年以上乗り続けるのだろうか?、と、フト感じるところではないでしょうか。
 私も、一時期SRから離れたときもございました。ちょうどRZV500が85万円で発売された1985年に、もう新車を購入することもないと決めたので す。
 にもかかわらず、その時から11年目にして新車を購入というときに、再びSR500にしたいきさつもあります。振り返るとこの年は1976年にトライア ンフを購入して20年目、ということにもなります。
 現在SRに乗っていらっしゃる方には、意識の中にSRというものが有り続けていた、という様々な理由もあるでしょうし、どうしても調子が悪くなって、2 台目もSRというオーナーさんもいらっしゃるでしょう。
 しかしながら、多くのSRユーザーが50,000km程度乗っていらっしゃるかどうか... 。10年以上愛用されているかどうか?。
 語弊があるかもしれませんが、多くの場合は改造(悪)パーツを取っ換え引っ換えした挙げ句、売却... 。あるいは、インラインフォーの速いオートバイなどに乗り換えされるなど... 。
 ファッションを含めてSR関連雑誌などが衰退したり、若いオーナーの年齢層が上がったりすると... 。
 私の知る範囲や経験からすると、このようなことにより、SRから離れるユーザーが多いように感じているところです。
 じゃ、これだけのネガティブな要因を抱えながらのユーザーである私が、どうしてSRに乗っているのか?、との問いに対して明確な答えが出せないのも、ま た然りなのです。
 確かにメーカーとしてはコストを抑えられるところは確実に押さえています。異常とも思えるほど押さえられています。一部はまるで原付と同じ、というとこ ろまで見受けられます。
 私と同じように野外にカバーを掛けて保管されている人が、外装などのチープシックな面を一番感じることかもしれません。

 どうしてSRを愛用しているのか?、の問いに明確には回答できないし、ネガティブな要素を持ちながらも乗っている。そんなユーザーが言うことは、ちょい と信じられない、とは思いますが、少しばかりお付き合いください。

 購入後間もなく、「人より違うSRに」と早速手を入れられるのがSRユーザーの多いところでしょう。支払いローンの始まる前より数万円を出費してマフ ラーを換え、大きい音量に薄い混合気で走り回す... 。
 全てとは申しませんが、こういった方向に進むのは、ごく自然の成り行きでしょう。メーカーも「SRとはこのようなオートバイです」とは取扱説明書にも記 載していないし、整備手帳と記録簿は別にして、オーナーズハンドブック的な定期的な整備条項も記載がありません。売ったお店は「整備を行う」、乗る側は 「乗ることに集中する」という、四輪車的な策がSRにも適用されているのが現実でしょう。
 まぎれもなく、簡単な整備ノートには「オイル交換は6000km走行時毎に」というのが記載されていることを何人のユーザーが知っていることでしょう か?。
 現実として、こういった数値は一般ユーザーの一般的な乗り方をメーカーが推定して長年テストを繰り返してきた結果から導き出されたものであることは確実 です。
 これほどまで練り上げられてきたSRですから、まずはストックのままで乗ってほしいのです。改造(悪)パーツはそれから検討しても十分に間に合います。
 
 こういったことから、私としてはストック状態で1000km程乗ればチープシックなところ、オーナーのライディングに満足がいかないところが必ず出てく るはず、と確信しています。
 そうやって出てきたところを、まずは処理してあげたい、と感じるところなのです。
 先ほども申しましたが、関連雑誌でも、「SRのどこがどうなっているから、この部分へ手を入れてやればよくなる」という類の記事が非常に少ないのが気が かりなところです。

 ちなみに、私が施した最初の処理はランプハウスの内部処理でした。これは実に簡単で効果が高いので実施されるとよろしいか、と思います。
 WD-40をランプハウスの裏側に吹き付けて、軽くウエスで拭うのです。そして、ウエスにWD-40を吹き付けて再度ランプハウス内を拭えば、かなりの 効率でサビを防ぐことができます。
 残念ながら、同じメッキパーツでも、テールランプのステーとヘッドランプ部分とでは、メッキが大きく異なりますから、テールランプステーの裏側は結構サ ビが出てしまいます。
 
 機関の整備状況からすると、ともかく「最初の1000km走行時までは無理をさせないこと」に徹してほしいと思います。その期間は、5000回転以上は 上げないことです。ゆっくりとSRというオートバイを味わって頂きたいのです。
 そして、1000km点検時、必ずオイルフィルターと、クランクケース下部にあるドレンのストレーナーを清掃してください。オイルは少しグレードの高い 10W40で十分です。
 特にクランクケース下部のオイルストレーナーの清掃は「絶対」に行う必要があります。この部分をヤルとやらないとでは後のエンジン性能に大きく影響しま す。

 ところが、SRを取り巻くものは、ともかくカスタムっていうコトバに代表されるパーツ、それを付けた写真、紹介する雑誌などが多いのが現実です。
 私は、こういったSRを取り巻く環境が逐次嫌になってきています。カスタムと称して、大きく改造されたSRがどことなく可哀想に感じてしまうのです。
 この手の何某かは別項で申し上げていますし、私も一部その方向へ流されたのも事実です。

 2005年初夏、デイトナのコージーシートを取り付け、WBとスーパーサウンドの組み合わせの結果から、改めてSRというオートバイの基本をもう少し詰 めた方がいいな、と感じているところです。
 特に、シート交換、それに伴ってハンドルバーを変更して走った結果と、フトしたきっかけから、点火コイルを修正し、再び排気関係で楽しんだことなど、自 分流のSRにするのは、ダイナミック状態でのライディングポジションの煮詰めと、SRのウィークな面に手を入れることが基本ではないだろうか、と思い、こ ういったことがやり続けられることが、SRから離れられない要因かな、と感じたところです。
 キャブを変えたのですごく良くなった、とかではない、もっと真に末永くSRというオートバイとつきあうためにはどうするか、ということまで含めて、これ からもアレコレやることを小誌で紹介していきたいと感じています。
 

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