ようやく走るようになった

 前回までにやれることは大半やった。今回は別項のメガトラップを一読願うこととして、いよいよ、という気分になってきた。どのようにやっても、僕自体の考えでは、この辺が個人が行う最終ぐらいではないだろか、と感じるのだ。もちろん、これを機にSR400の新型なんかに乗るわけはないし、このまま500ccの国内仕様のままで末永く乗っていきたい、と考えているところだ。
 前回までのおさらいをしてみたい。メガトラップを装着するまでのキャブの仕様は、下記により、前号に出したとおりだ。
 
項      目
内               容
 パイロットジェット  #47.5
 ニードルジェットクリップ  上から2段目
 メインジェット  #185
 パイロットスクリウ戻し回転数  2回と5/8〜3回と3/4ぐらい
 プラグ  BPR6ES
 マフラー  ホワイトブロス・スーパートラップディスク8枚
 吸気状況  エアクリーナーカバー穴開け加工

 この時点でクワイエットコアを装着した。メガトラップの項での報告の通りである。

 何度試してもいい具合にならない。雑誌などには低速域でアクセルに乗った、ガスの状態をリッチ(エンジンが快調で十分な加速をするような気分)になるようにすればいい、と記載がある。本当のところ、この気分に一向に到達しない。トライアンフではまともに走らせるために、点火システムを交換し、キャブレターを交換し、点火コイルを交換し、ありとあらゆる方法を採って、ようやくにして走るようになった。現実にはもう少しメインジェットを上げた方がいいようにも感じている。
 話をSRに戻して、これまでのことを何とかしたい、つまり、音と走行性のことに集中したかった。とにかく、SR400のような軽い走りしかしないのである。ちょっとセッティングをミスると、これが、て〜んで走らなくなってしまう。オーディオの世界で音の性質をいう「ドン・シャリ」なのである。真ん中の状態、つまり「気分良く走れる」が、なかなか出てこないのである。ホワイトブロスのスーパートラップを装着して、それに関係する諸々のか所を触れば触るほど良くなって行って、それを過ぎるとガタンと落ちる。このパターンの繰り返しであった。特に吸排気系に限っては顕著だった。
 こういったものを挙げてみると次のようになる。
 

項      目
結         果
問    題    点
 スーパートラップ  ノーマルとは比べものにならない排気効率  音量が問題
 トルクバルブの装着  排気の安定性が得られる  セッティングが微妙に変わる
 スーパーサンダーの装着  何時いかなる時でも強力な火花が出る  点火プラグに影響を及ぼすかも
 テイラーのプラグコード  取り回しがスムース、導通良好  電流量の増加が点火プラグに影響
 Uマグの装着  燃料がスムースに流れるように思う  ノーマルキャブでは取り付け位置が制限
 キャブレターの改造  スロットルレスポンスは向上  オリジナルセッティングは全く変わる
 
 このことから関連づけられることは、排気と点火系、それにキャブの改造を加えたことによる吸気の関連がノーマルのごときではない、というものになってきているように感じた。
 カンリンの重量フライホイールなど、こういったエンジン性能、動力性能に関連づけられなくもないが、ここでは省く。

スーパーサンダーについて

 現在製造されていないものをここに出して申し訳ないが、僕のスーパーサンダー点火コイルは最後期の製品だ。この後、ツインプラグへの改造がスーパーサンダー(ツインコイル用)生産中止、となるように、それまでになる直前の製品だ。したがって、入手までかなり時間があって、そのためかしら、コイルのネーミングプレートがない。ライトグレーのかなり容量の大きいものだ。
 当初は、シリンダーヘッドの後ろ側から取り回す古いSRのプラグコードの長さの普通のコードが装着されていた。フェライトコアも装備されていた。指定は無かったが、雑誌The SRの古い号で、ノーマルのプラグキャップの抵抗にフィットさせてあるから、これを使うように!、とあったので、これを守っていた。
 その頃はスーパートラップを装着していたので、体感上大きな変化は無かったのだが、この点火そのものがすさまじいのだ。ノーマルコイルの時は少し始動をミスると、再始動に少々手こずったが、こういったことが一切なくなった。
 途中、プラグコードをテイラーの低抵抗のシリコンに交換したが、このことが、スーパーサンダーの効力を一層引き出すようになってきてしまった。
 逆に言うと、ノーマルのコイルで、コードだけを交換すると抵抗が低くなる。電流値が下がらないから、コイルの二次側で発生された電力が、より一層強力にプラグへ導かれ、そのために強力な火花が飛ぶ、という結果になる。もう20年も前になるが、黄色のシリコンコード「アクセル」がもてはやされたのを思い出した。
 装着した時点では、こういったことしか感じられず、プラグなどへの影響は眼中になかった、というのが偽らざるところだった。

キャブレターの改造まとめ

 考え方の基本は、負圧を大きく取って、スロットルレスポンスを良好にすることだ。方法は簡単。以前に報告したとおりだ。改めて、記載すると次のようになる。

 これだけである。が、これがとんでもないことになってしまう。この最近まで、点火コイルの関係と同様に気付かなかった。

 各ジェット類は、ホワイトブロスのスーパートラップエキゾーストシステムに対して、バイカーズステーション誌に出ていたオレンジブルバードの推奨値を使った。

これが当初のセットだった。ここからが悪戦苦闘、ようやく結論が出たのが最初に出した表の数値である。

 いよいよ、結論に入ろう。こんなことが起きるのかどうか、ここまでたどり着くまでに、再度何とか理由があってもいいのではないか。そう、どうも納得できなかったスーパーサンダーとの兼ね合いが分かり始めてきた。
 次の表の状況を見てほしい。

(写真部分をクリックしていただければ少し大きくなります。)

ごく初期、ノーマルマフラーの最終バッフルに穴を開けて試用していた時期のもの。
この後に、スーパートラップに変更することになる。
プラグは指定のNGKのBPR6ES
一時期の調整用に試用していたBP6ES。ご覧になると分かるが、中心電極の碍子部分の下は、ムラはあるが、まま濃い状態のようだ。
得てしてNGKのR(抵抗)入りプラグがはたしていいのかどうか、疑問になってくる状態だ。
が、碍子の奥は煤けているから、いい状態ではない。
一般にいう「上が薄い、下が濃い」となるのだが、そうかな、という感じもしていた。
悶絶状態になっていたときのBPR6ES。
下のBPR7ESとよく似ているが、中心電極の碍子部分が透明に近い感じになって、すぐ下の部分が黒く煤けているのがお分かりだろう。
いくら希薄燃焼とはいいながら、これはプラグもエンジンもよいわけがない。
一般にいう「上が薄い、下が濃い」となるのだが、エンジンがマイッタを出さないから、そうかな、という感じもしていた。
これでいいわけではない。
スプリットファイアのSF-426Cだ。上のBP6ESに近い状態。碍子の部分がNGKのグリーンプラグとか、デンソーのように長めだ。
悶絶状態になる少し前から長期に渡って使用していたプラグだ。イイのはいいが、このままの状態で使用していると、プラグが死んでしまう。それほど強力なエネルギーがスーパーサンダーから出ている、ということだ。
分かりづらいが、中心電極がずいぶんと減っている。
最終仕様のBPR7ES。
どうだろうか、金属部分のL型電極周囲が適度にカーボンが付着しいているが、中心電極の碍子部分が、ごく薄い灰色で、その色が中心部の深いところまで同じ色になっているのが見て取れるだろう。
一番最初に提示したノーマルマフラーの時と比べていただいても、プラグの自己清掃能力もグッと高められていることがお分かりだろう。

 写真はやや不鮮明だが、どうにか状況はお分かりだろう。プラグの先端部分で判断してはならないが、最終のBPR7ESでは、完全に奥の方まで薄い灰色になっている。このことからも、どうにか、僕のSRは完全になってきたのではないだろうか、と判断した。
 現時点でのテストは、2001年10月14日快晴、やや涼しくなった季節、午前中9時からの2時間、その中には自転車のロードレースの練習の先導まで含まれる。100km/hの追い越しから、35km/hの先導までを短時間にこなす、という、一般には過酷なテストを行った。

その時の仕様が次の表の通りで、その時以降、変更はしていない。
 

項      目
内               容
 パイロットジェット  #47.5
 ニードルジェットクリップ  上から2段目
 メインジェット  #180
 パイロットスクリウ戻し回転数  3回と1/2〜3回と3/4ぐらい
 プラグ  BPR7ES
 マフラー  ホワイトブロス・スーパートラップディスク8枚
 クワイエットコア  ライディングスポット製
 吸気状況  エアクリーナーカバー穴開け加工

 排気の火の流れが長いのかしら、エキパイの後部まで黒ずんで来始めた。エキパイ取り付け部分は青みが一層増した焼け方をしている。最初の頃と比べると、すさまじい変化である。アイドリングは1000〜1200rpmで安定している。針のブレが非常に少ない。もちろん、これにはカンリンの重量ホイールも影響してはいるが、とにかく安定している。これまでと違って、エンジン回転の安定性から来る何かがライディングを楽しいものにしてくれる。加速感も申し分ない。

 それでは、これまでにすることになったのは何が原因だったのだろうか。おそらくは、スーパーサンダーの点火コイルに変更したときから異変が始まっていたはずだ。それは途中使用しいていたBP6ESの焼け具合を見ていただいたらお分かりだろう。悶絶状態から抜けつつあった頃のプラグも同様の結果を示している。スプリットファイアではプラグコードをテイラーに変更してからのことで、電流が一層流れ良くなって電極の減りがすさまじい。
 それに、負圧部分をさわったキャブレターの性能変更が作用して、アマチュアの僕には少し頭をひねさせられた。負圧の量が増せばスロットルレスポンスは良くなるが、キャブレター自体の特性も変化させるから、排気の状態のみならず、マフラー変更から来る何某かを見いださねばならない。僕の場合は残念ながら記憶の範疇に無いからこういったことになってしまった、と感じざるを得ない。
 もう一つは、ヘインズのマニュアルなどに写真と文章の記載があるとおり、プラグの状況は、その昔、日本中で言われていたようなキツネ色には決してならない。冗談半分で、ライディングスポットのメカニックが言っていた狸色という状況もなかなか見いだせない。最初に出したBPR6ESと最終のBPR7ESの電極部分に赤みがあるのは、ガソリンによって変化する。ノーリードのプレミアムガソリンが出始めの頃は、レギュラーでは黄色い粉末のようなものがプラグに付着していた。現在でもガソリンの状況によっては色の変化は出てくる。
 強いて言うと、薄い灰色・白に近い灰色で碍子回りが少しばかり煤けていて、それが奥の方まで続いている状態が、現在のいいコンディションではないだろうか、と強く感じている。
 たとえば、スーパートラップにしたときはあまり変化無かったのに、スーパーサンダーに変更したときは、その時の印象だけが強く、スーパートラップに変更したときのことをすっかり忘れてしまっている、といった状態である。不思議なことなんだが事実だ。もう一点は、僕も変更した前と後の結果をよく記載しておけ、と述べてはいるが、肝心なフィーリングは残すことが出来ない。ここんとこが一番肝心なはずなのに、これができない。
 ここまで来て、最終で行わなければならないことがある。それはエアクリーナーのエアフィルターだ。K&Nは今のモデルに対応させたものは存在しない。できれば、以前のものに改造を加えて行うかどうか、あるいはディトナのスポンジフィルターを使用してみるか、ここが今後の課題となる。
 当然、また新しい年の夏に再びセッティング、ということも往々にして存在する。それがメインジェットなどの変更だけならいいが、SRの場合は結構時間がかかる。こういった点を考えても、FCRにするのが一番だろう。
 それにしても、よく走りはじめた。SR500を購入して5年の月日が経過してしまっているのだ。

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