ノーマルマフラーの薦め

 偉い難しい漢字を使ったりして... 、と叱られそうだけど、やはり「いいもの」のように感じる。むしろ、最適品だろうか。ただし、3GWのマフラーを1JNのSR500に装着しての場合だ。
 前もって言っておくけど、3GWのマフラーを1JRのSR400に装着した場合は効率が良すぎるようで、何かしらスムースすぎる嫌いがある。が、十分に 消音された、スタタタタッという音もなかなかいいものを 持っているから、こと3GWのマフラーのパフォーマンスは高いものを持っているのには間違いがない。

 最初っからノーマルマフラーを褒めちぎりたおしても何にもならない。それは、過去2J2などのマフラーでヌケの悪さをさんざん体験しているからだ。それ ゆえブルックランズの3インチスーパートラップからスポーツショップヤジマの3インチのロング管にしたものの、僕の思っていた「これだ」、というオートバ イとはほど遠いものであったことを第一として、諸般の理由で四国第1号車の2J2 SR500を売却した。
 そのつもりで、今持っている1JNのSR500に付いていたノーマルマフラーのエンドバッフル2枚に穴を開けたものを使用していたが、信じられないくら いガスが薄くなってパ〜ンという音を連発していた。

 次はホワイトブロスのスーパ−トラップ。これはさんざん楽しませてもらった。"Sick' n SRを何とかする"で、稚拙な報告をしたとおりである。インナーコアを改造したことで一応の成果は出せたが全てに渡って納得はできなかった。
 少し古いセンターキャップ方式の専用スリップオンも試したが、セッティングは楽なものの、ホワイトブロスと同様の結果だった。ただし、このスリップオン にやったキャブセッティングは、後述するとおりエポックメーキングな結果をもたらした。

 途中、リモーションがリリースしていたイギリスのトガ(だったかな?)のマフラーも試したが、やはりパ〜ンの音が出て失敗であった。

 総じてマフラーの容量不足とエキゾーストパイプの短さ、それとエキゾーストパイプがマフラー内部に入り込む長さがそれぞれの場合で微妙に異なることが不 調の要因を創り出しているように感じている。
 巷で見かける音が速いマシンでは話にならない!

 2004年6月末、車検を取得するため元に戻した。つまり排気部分だけ ノーマル仕様にしたところだ。手っ取り早くホワイトブロスにメガトラップを装着すれば車検はパスするんだが、トライアンフT-140Vのくぐもったような 音質だが、立派にエンジンをスムースに回し、排気側をコントロールしている様子を体験すると、SRのリプレースマフラー交換による虚仮威し的なサウンドが ど ことなく嫌らしいものに感じ始めだしたからだ。
 装着する段になって「ニードルクリップポジションを元通りとすべきか否か?」で悩んだが、フッと思いついたことから、下から2段目のセットのままにし た。フッと思いついたこととは... ?
 僕の SR500にはカンリンの重量フライホイールが装着されている。 軽いタイプのため、重いロングストローク用のトルクフルなものとは一線を画すが、力強 さとスムースな中高回転域を確保している。最初はこの重量フライホイールの関係からスロットルのオン・オフの時の応力が少しキツイため、これはキャブの セッティングがダメな のかな、と思っていたが、そうではなかった。
 そもそもは2J2時代の吸入側のセッティングなり、それ対応の排気側パーツでは1JNのセッティングには対応が出来ないようである。
 最大の違いは何あろう、ブローバイガス還元装置の変更だ。2J2の時はブローバイガスにクランクケースのオイルが混じり、それがダイレクトに燃焼室内部 に入り込む状況だったのが、1JNではオイルキャッチがXT500以来久々に装着された。ブローバイガスはかなり速い空気の流速でキャブレターに吸い込ま れていくから、以前のように濃けりゃ濃いままでのセッティングではダメになった。
 事実、1JNではブローバイガス自体は非常にクリアーであり、本来なら大気中に放出してもいいぐらいに薄いセッティングに感じる。メーカーでも吸入効率 を上げるためにエアクリーナーボックスの改善、クリーナーエレメントの変更などが行われ、充填効率を高くしているように感じたのである。
 したがって1JNのSR500の場合、排気を変更すると、確実にキャブレターを変更しないとダメである。ノーマルのBSTの負圧キャブではいかように改 造しても吸入が追いつかないのである。
 このことはキャブレターセッティングを含め吸入側をノーマルのままにして、ノーマルのマフラーで走らせてもガスが薄い、と感じてしまうのである。事実、 もう少し濃くしておかないと、エンジンの温度が非常に高くなる。
 そのことから、もう一点申し上げたいのは、SR500は標準で5段コア程度のオイルクーラーを装備すべきである。これはノーマルでも必要なアイテムだ。
 ここが肝だな、と思いついたのだ。

 ニードルクリップを下から2段目にしたままノーマルマフラーを装着した。ウワァー、なんだこれは!?。1速でも4000近くまで引っ張れる。4速の守備 範囲はいつもどおりだが、5速までよどみなく使える。こんな経験はこれまで無かった。
 どうもSR500というオートバイは一時期SRの生産を辞める、となりかかった時、日本では既に過去のオートバイに追いやられたのだろう。今とは比べも のにならないほど、当時の免許制度は大型オートバイの購入の伸び悩みに大きい影響を与えていた。
 現在ではヨーロッパも 400しかリリースされていないことを見ても、SR400が非常に優れたオートバイに昇華されてきているからだろう。(500には騒音、排ガス対策が施せ ないのも影 響しているが... 。)
 国内でのリリースは依然としてXT500のピストン、シリンダーのままだったし、ヤマハでも必要最低限の仕様でリリースせざるを得なかったのだろう。も しもカワサキのZ-1とZ-2のように、SR400との明確な分け方を採用していれば... 、と思われるが、今となってはもう遅い。

 余談が過ぎたが、1JNのSR500に3GWのノーマルマフラーはおス スメである。全くさわっていらっしゃらない方なら、キャブレターのニードルクリップだけ下から2段目にすれ ば、必ずやいい方向になると確信する。そして、お金に余力があればコンパクトなオイルクーラーの装着をオススメする。
 おそらく、多くの悩みから解放されるのではないだろうか。後方から付いて走ると、かなりの背圧を伴った排気ガスがマフラーエンドから放出されているのが お分かりになるはずだ。

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