SR のライディングポジション(その1)
状 況から純正シートに交換して

 2006年版デイトナのカタログを見ますと、コージーシートの品揃えが 随分と多くなりました。スタイルとしてはリアが丸くなって少し上がり気味のペイトンプレイスのシート形状に近いものがスタンダードになったようです。
 私のSR500にコージーシートを装着して、ほぼ半年になる2006年の5月頃、どうも違和感を感じるようになりました。シート自体に大きい不満は無い ものの、その形状と現在のステップ、ハンドルバーの関係から、リアフェンダーのRの立ち上がり部分へ尻が追い込まれる着座位置を強いられるように感じ始め たのです。
 どうも、純正のバックステップでは少しばかり相応しくないポジションになってしまうようなのです。もちろん、身長や体格の違いも大いに反映されますけれ ど、現 行のSR400のライディングポジションでは、シートを低くしても、あまり感じられる問題ではないのではないか、とも感じるところです。

 さて、どうして違和感を感じるようになったのか、といいますと、最近はテスト走行が主体ではありますが、トライアンフT-140Vに乗る機会が随分と増 えました。たまたまSR500に乗りますと、どうもしっくりこない。何というか人車一体という感じがしないのです。
 私の身長は174cmです。体重は82kg程度で、やや太り気味ではありますが、ハイパープロのスプリングを入れた純正リアショックの作動はなかなか良 好な動きをしています。
 フロントはバネレートがフィットしない、と思っていましたが、どうもそうではない。以前も記しましたが、フロントフォークのバネレートはフロントディス クブレーキの19インチモデルにフィットさせているのかもしれない、とも感じましたが、これも違う。
 現在のタイヤはダンロップのTT-900GPです。リアは本当に素晴らしい働きをします。その証拠に、一般走行で見られるようにサイドの張り出し以外、 均等に減っています。ところがフロント は、全く減りが少ない状況になっているのです。

 強いて言いますと、コージーシートに変更すると、ホイールベースが若干長くなったような感じがして、リアホイールを主としてコーナーを抜けるような味わ い なのです。フロントホイールは単に曲がる方向付けのためにだけ存在しているようなのです。
 オフロードモデル、あるいはSRの前身であるXT500に乗られた方がいらっしゃれば、お解かりと思うのですが、舗装路でのXT500ですと、フロント が21インチですから、方向付けをやって車体をサッと傾けますと、穏やかにカーブを曲がります。
 その引き起こしのときにちょっとアクセルをあおってやると、リアがススッと流れ始めると同時に直進に戻る、という動きです。この乗り味に近いんですね。
  もう一つ、コージーシートで考えられるのは、ライディングポジションの関係から、フロントに荷重されないようになっている、とも受け取られるのです。
 どうして、この乗り味になったのか?。あるいは、最近になってどうして気づいたのか、ということになるのですが、これは次のような原因であろうと思いま す。

 私のSR500はバックステップ付きモデルでした。それを48Uのパーツを使用して今のSR400と同じ普通のステップ位置にしたわけです。ところが、 このときの シートはノーマルのままでした。
 次に、カンリンの重量フライホイール、ダイシンの乾式クラッチとともにバックステップに戻しました。悪いことに、このときはすでに48Uのタックロール シートが装着されていた、という次第で、いろいろ手を入れて以降、ノーマルシートでの感覚をつかむには、まことに悪い組み合わせで乗っていたわけです。

 2005年の10月ごろだったと思います。小誌には報告していませんが、モトコのシングルシートを装着してしばらく乗っていました。確かに着座位置はリ アフェンダーのRの立ち上がり部分になります。が、それが何となく違うんです。この微妙なところは文章で表現できないところですが、純正のバックステップ とハーディーのハンドルバーとの組み合わせで、なかなか良いライディングポジションを提供してくれました。
 これがクリップオンハンドルなら、と思われるでしょうが、燃料タンク、シート、ステップ位置、トップブリッジなどを変更しない限り、SRにクリップオン はブサイク(解る人には判る)なのです。そのままなら、最低でもクラウザータイプのハンドルバーでとどめるべきです。
 残念なことに、今回の違和感を感じるまで、モトコのシートを装着したときのことをすっかり忘れてしまっていたのでした。

 小誌でも記事にしているとおり、スーパートラップの件も一段落していますし、現状では、このフロントホイールが用をなさない点のみに絞って、検討をして みたいと思います。

 2006年6月10日、梅雨入り直後、風が少しあって比較的涼しいくもりの土曜日にSR500のシートを交換することとしました。
 その前に、もう一度、コージーシートでのライディングポジションを確認してみることとしました。
 わずかにフロントフォークの突き出しを多く(8mmに)しているのですが、それでもトップブリッジ及びハンドルクランプの関係からか、純正のハンドル バーとほぼ同じ高さのハーディー製の低いハンドルバーでもフロントへの荷重は少ない、と実感しました。したがって、ハンドルバー回りの改造は、出来ないこ ととすれば、シートを交換するのが最適、と確信しました。
 もう一つは、バックステップの交換です。現在、ブルックランズ製のバックステップキットを持っています。2J2当時のステップなら、同社がリリースして いるシングルシートやBSAタイプのツインシート、それに燃料タンクをBSAやAJSタイプに交換して、マグラのクリップオンにすると、このステップキッ ト がフィットするだろうことが想像できます。
 しかし、私はあくまでノーマルのスタイルを大きく壊したくないし、その上で私の好みに仕上げるパターンからすると、上と後ろへ距離変更するバックステッ プの交換は難しいものとして、却下することとしました。

 実際、1年と6か月間取り付けたコージーシートはどういった状態になっていたのでしょうか。下に写真を示します。



 ご覧のとおり、ダンパーラバーをあてがっていたところがおかしくなっています。特にタンク取り付け部分の六角頭のボルト部分は完全にゴムが切れていま す。
 右の部分は貼り付けたダンパーラバーがズレています。
 これらの点は、現在の製品では改修が加えられているかもしれません。しかしながら、これほど綺麗な仕上げのシートですから、今後、これらの点の改善方法 を記載したいと思います。
 しかしながら、現時点でのコージーシートでのライディングポジションはいかんともしがたいものに変わりはありません。

 

 しからば、純正シートに取り替えることとします。長期間ヤマハの段ボール箱に保管していた純正シートは綺麗な状態でした。ベースは国内仕様のSRは鉄板 で す。そのため、シートの表皮を止める部分のツメが錆びて用をなさなくなるのが常となります。そのことを少しでも防止するために、ベース版にワックス処理を 施しておきました。その後、後部の取り付けダンパーを移動しておきます。

 純正シートを仮装着したときにアッと感じました。
 というのは、全体にフラットなんです。ところが、同じ純正ですが、樹脂製のベースを持っているヨーロッパ向けの48Uのタックロールシートでは、エアク リーナーボックス取り付け部分と、リアフェンダーの立ち上がり部分の橋渡しフレームレールの上にダンパーラバーを入れて、補強と安定性を確保して装着する ようになっています。
 装着して横から見ると、思った通り、48Uのタックロールシートではリアフェンダーの立ち上がり部分にお尻が収まるようになっています。
 つまり、着座状態は高さこそ違いますが、コージーシートと同じようにそこへお尻を持ってこなければならないスタイルになっているわけです。
 現在、国内でブラックスペシャルとしてリリースされているタックロールシートとは若干形状が違うと思います。また、ベースの材質などが異なっているのか もしれません。
 取り付け前に、こういったことが見て取れたために、再び考えを巡らせることとなりました。

 では、完全装着とします。あれれ?!、何かが違うのです。まずは実際の装着状況からして、取り付けボルトの入り良さったらありません。最終まで指でねじ 込みが出来るなんて信じられません。あっという間に装着完了です。
 装着してサイドから眺めてみますと、明らかに純正バックステップ付きモデル用というのが解るところです。

 

 いざ、跨ってみますとシートのグニャグニャ感が一気にやってきます。これが一般に言われる「ノーマルシート」としての、このシートが嫌われる点だな、と 感じる瞬間です。
 が、走り始めて直ぐに、このシートがただものではない、と感じ始めました。いつもの着座位置より前に移動させられるのです。おかしいな?、というのが偽 らざる感じでした。私の座高が低くなったのか、と思いましたが、どうも違います(笑)。
 ロータリーの信号で止まって足を出したとき、その理由が判明しました。というのは、コージーシートに変更して直ぐの時、今回と逆のフィーリングに陥って いた訳なんです。
 どうやら、コージーシートのときは、このノーマルシートの着座位置に腰を下ろすと、ハンドルバーにぶら下がる感じになってしまうのです。それが長い間 「定位置」に し向けられてしまう結果から、ノーマルシートに戻した途端、これまでがピーター・フォンダのキャプテン・アメリカ役のライディングをやったいた、というわ けです。
 その信号で止まっているとき、若干後に尻を移動してみました。ステップにある足の位置とハンドルバーの関連が少しずつ決まり始めました。
 いつものテストコースへ入れます。務田の坂まではこれまでのフロントが浮いたような動きは影を潜めていました。登りのコーナーということもあって、どち らかというと、パタンパタンと倒れ込むような感覚が強くなってきました。

 メインの三間街道へ入る頃には、知らないうちにフロントへの荷重が効いているライディングになっています。ほぼ50%ずつの車重配分が十分に感じられる と同時に、トルクがアップした感じになってきました。
 近永を過ぎて成川からの登りを前にして次なる異変がやってきました。何と何と、スピードに対しての回転数が相当に少ないのです。ガスが薄いとか、そんな ものではないのです。もっとも、こういった感覚にしたいため、効率の良いマフラーなどではキャブセットを少し濃いめにするなどのことになるのでしょうが、 改造スパトラの時と同じく、パイロットは1回と1/2回転戻し付近のままです。この状態で 点火プラグの焼け具合は凄まじいほど良好なのです。一体何が起こったのか?。
 ダムサイドの下りにかかっても、いつものようにスピードが落ちません。以前はカンリンの重量フライホイールの関係からだろうと思っていたのですが、それ にしてはトライアンフT-140Vと同じようにスピードが出ています。スパトラをここまでにしたのですから、下りでもパ〜ンという音は皆無だし、ババッと かバスッというような音は出てきません。
 平坦路で5速・50km/hでも少しばかり楽になりました。通常なら、この速度域から少し上なら、2300回転付近で60km/hなのですが、これが 2000回転ほどになっているのです。
 どうなってんだ〜?。

 というところで、ライディングポジション自体は良くなりましたが、新たに出現したシートに対しての疑問の検証と改善策については、またの機会に... 。
 といっても、すでにコージーシートを取り付けられている方もいらっしゃいますし、早くしなければなりません。何とか早い内に... 。



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