SRのライディングポジション(その2)
問題はシートベースの裏形状に...

 純正シートに変更しての走行性能の変化は一体どうして起こったのでしょ うか。確かにドライブチェーンの張り調整などは行っています。しかしながら、シフトフィーリングなどはあまり変わっていませんから、エンジンが動く要素の どこかに要因があるはずです。
 以前に記しましたが、私のSR500はエアクリーナー(ボックスとエレメント)を使用し、キャブレターも純正のBST 34、ジェット類も全くさわっていません。パイロットスクリウの戻し回転のみ、改造WBのスパトラにフィットさせるため1回と1/2内外としているだけで す。先の申しましたチェーンとスプロケットはRKシールチェーンの428、スプロケットはサンスターの鉄ドライブとアルミドリブンです。
 純正シートに変更して直ちに走りが変化したのは何が原因か?。この辺かもしれない、と、朧気な答えが出てきました。実際のところ、私自身がビックリして しまったところです。
 それは、「コージーシートでは、 空気の流通が確保されていなかった」ということだったのです。

 適正な混合気をつくるために、エアクリーナーへ導かれる空気の絶対量を確保出来るか否か、再びシートベースの形状と装着状態を検証してみることとしま す。
 エアクリーナーボックスを装備するためには、あらゆる空気の流通が確保できるダクト周囲の空間が絶対に必要になるはずです。
 まずは裸の状態です。エアクリーナーボックスへはラバーダクトがルーバー形状で後方へ向けて開けられています。ルーバーの部分は高さがおよそ2cmで す。
 エア クリーナーボックスを装備するためには、このクリアランスを保持した上に前後左右、あらゆる空気の流通が確保できるダクト周囲の空間が絶対に必要になるは ずです。
 このダクトは3GWですから、現在のSR400でも変更がないため、最低でも、このルーバーの高さの上に数cmのクリアランスが必要になります。


ノーマルシートで す。
●赤丸の部分が着座位置であり、前方がダクトの上に位置します。
●着座位置付近の両端にダンパーラバーがありますから、フレーム上からシートベースまでの高さは約3cmで、ダクト上のクリアランスと空気の流れる空間は 十分に確保されています。
◆シートベースの形状は、補強をかねて、シートサイド、後部ダンパーとの空間部分から空気が入り込む設計になっているようです。


モトコのシングルシートです。
●丸印が着座部分で、左右に開けられた小さい穴を結ぶ部分がダクトの上に位置します。フレームにシートベースがダイレクトに乗るように感じられますが、前 部のシート取り付け部分がキッチリとダンパーラバーに入り込みますのでフレームからシートベースまでの高さは、約3cmです。
◆写真では判断しづらいのですが、この部分はシートストッパー部分 まで、シートの表面側へ凹んでいますから、空気の流れは良好です。
◆強固で良質なFRPのシートベース合わさって、取り付けがリアフェンダーの取り付けボルトと共通なため、確実な装着が可能です。
◆ストッパー部分が空洞になっているため、エアダムとしての働きもある、とは言い過ぎでしょうか。

ヨーロッパ向け48Uのタックロールシートです。
●ノーマルシートと同様に、赤丸の部分が着座位置であり、前方がダクトの上に位置します。
■赤丸内のダンパーは、エアクリーナーのダクト部分に近いシートレールの上に位置します。
●シートベースの形状は、数本のリブが前後左右に射出成形されていますが、前部の装着プレート部分が低いため、燃料タンク取り付け部分のボルトが若干シー トベースに 当たります。
◆後ろのダンパーがリアフェンダーの真上に位置します。そのため、空気の流れは若干悪くなり、このことがキャブセッティングに影響が出るように感じます。
 

コージーシートです。
●赤丸の部分が着座位置であり、前方がダクトの上に位置します。
●フレームからシートベースまでの高さは1.7cmです。
◆ダンパーラバーは純正のリアのみで、途中のダンパー類は一切無いため、ノーマルシートの前部ダンパー部分がダイレクトにフレームの上に乗ります。そのた め、前項で記したようにタンク取り付けボルトの頭が保護のラバーシートを完全に切り取ってしまうほどになります。
◆リアフェンダー取り付け部分の凹み空間より後ろは低くフラットになっていますから、空気の流入量 を確保するには不十分な形状ではないか、といえるようです。

 いかがでしょうか。浅学な私の推察ですが、これがコージーシートからノーマルシートに変更してしばらく後に体感したエンジンの変化に対しての考察です。
 この考えはあながち間違っているとは言えないようで、ライディングポジションは別として、ペイトンプレイスのラフな作りのシートでも、シートベースの裏 側をご覧になれば、リアシート部分のえぐりと、モトコのシート同様に、前部のシート取り付け部分の厚みなど、エアクリーナーのダクト部分への配慮が、かな り考えられて造られている、ということが判断できます。
 今回ノーマルシートの意外な一面を知ったように感じたところです。



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