ホ ワイトブロスのスーパートラップ排気システムを考える(8)
・・ どうしてもステンドームのエンドキャップを使用したい・・

 最終章としてのスーパークワイエットコアとスパトラのディスクの組み合 わせは、相当にいい結果で進行していたところでした。
 見かけは、こけおどし的な16枚のディスク構成ですが、その性能と音質は信じられないほどのものを私に与えてくれていましたが、実効ディスクの最終に スーパーサウンドのステンエンドにスーパーシールを入れて使用していましたが、どうも少しのところでフィーリングが良くないのです。
 この理由がさっぱり判らなかったところですが、さんざんテスト走行をしたあげく、どうやらこのエンド部分に原因があると判断しました。

考 え方
 そこで、当初のスパトラの4インチディスクとセンターボルトのエンドキャップを組み合わせてみますと、最終の排気ガスはエンドキャップの絞った部分を逆 の方向へ戻って来る、という状況になるというのが解ります。
 このことから、ステンドームのエンドキャップには、スパークアレスターT-102としてアメリカ森林警備隊のお墨付きのカーボンコレクト機能を有するこ とがマトリクスされているところです。


 

 そのために、現在の4インチスパトラでは、どうしても、このステンドームのエンドキャップを使用したいんです。

 が、単独でステンドームのエンドキャップを用いるのはOKなのですが、私の考えのリゾネーター機能を持たせるため、ステンドームのエンドキャップの後に ダイレクトにディスクを取り付けようとすると、ディスクの内径にあるディンプル部分がドームの裾野に干渉するのです。これをクリアーすることが課題だった のです。

1.簡単にワッシャーをボルト穴1かしょに3枚程度挿入する?。
 これは無理でしょう。幅7mmの中央に5.5mm経の穴を持つワッシャーを探すのは困難です。

2.幅7mm、5.5mm経の穴を持つパイプを切断して使用する?。
 これは、カット面の水平を出すのが至難の業ですし、そういった規格のパイプがあるかどうか、も不明です。

3.プロトがリリースしているグラファイトのスーパーシールを二重に使用する?。
 これはいいように感じますが、プロトのスーパーシールは2分割ですので、接続部分が、取り付けボルトのトルクで押し下げられるため、後ろのディスクに少 し歪みが出るので、やはり無理です。

 こういったところで、最終判断として普通のアルミ板でスペーサーを自作しよう、ということになったわけです。

作ってみる
 で、作り方としては、スパトラのディスク1枚を用意して、スタンプ台のインキで若干厚めのケント紙にスタンプします。これを2枚用意し、1枚はスタンプ された形どおり、ていねいに切り抜いておきま す。
 切り抜いたものをディスクに合わせて大きさを確認します。OKなら、その型紙をアルミ板に貼り付けてケガキます。

 アルミ板の加工ですが、今回は西予のT君宅で、ボール盤を利用するホールカッターを使用し、切り取ってもらったのですが、少し荒削りになってしまいまし た。
 やはり、一般のアマチュアが行うとなれば、別項で私がトライアンフのスピードメーターギアの取り付けスペーサーの作り方を掲載しているので、この方法で 切り抜きを行った方が時間はかかりますが、成功率が高いようです。
 中央の穴を開けるとき、ケガキ線の内側(円の中側)の周囲に2mm径のドリルで穴を開け、穴どおしを結んでカットすることになりますから、裾野の高さ分 と加工する際の歪みを無くすた めには、アルミ板は、どうしても2mm厚でなければならないのです。
 穴あけが終わったら、エンドキャップに当たる側からヤスリでテーパー角をとって、ドームの裾野に干渉しないようにしておきます。
 仕上げはペーパーで行います。

表(後ろ)側の写真
 

裏(エンド)側の写真
 

 重ねるとこのようになります。



 何度も出しますが、今回の取り付け順は次のとおりです。今回は取り付けに若干工夫を凝らしました。



組み付け、その工夫とは... ?
 一つはディスクを合わせて、ボルト取り付け穴にオイルを差しておくこととします。
 想像でしかありませんが、意外や意外、カーボンがボルト取り付け穴に溜まって、ボルトがとりづけづらいこと。それに、モリブデングリスの熱変化でグリス そのものがボルトの溝に焼き付いたように残ってしまうようなのです。
 本来なら、ディスク、ボルトとも交換になっているところですが、これらの要因を取り除けばいいのですから、ディスク、ボルトとも洗浄すればいいのです が、これはサボタージュしています(汗)。
 ともかく、「詰まること」が一因ですから、この部分を無理なく通過させるには、オイルを差すことが最初の一歩かな、と考えてのことです。
 取り付け順にディスクを重ねておきます。ボルトには、いつもどおりモリブデングリスを塗っておくこととします。
 重ねたディスクに、ボルトを通して若干先端部が出る程度にしておきます。マフラーエンドに取り付けるとき、最初は数回ずつ均等にボルトをねじ込んで取り 付けることとします。
 取り付けボルトの締め付けは、スーパーサウンド指定の4.5kgのトルクとします。
 これが前日までに考えたことでした。

2005年5月15日(日)
 朝、6時半よりSRを引き出し、作ったスペーサーを使用しステンエンドの取り付けを行います。寝癖のついた髪の毛、腫れぼったい目、涼しいのに半袖の姿 に「変な奴」と通行人に見 られる始末。
 そりゃそうだ、昨夜は一杯やらなかったんです。少々興奮気味で、スパトラ本来の状況を「こうなる」と「間違いない」というばかりの確信が得られるまで考 えをまとめ上げていましたから眠れなかったんです。
 それに加えて、NHKテレビの「新日本紀行」の番組。ちょうど昭和56年放映のものと現代のものの組み合わせ。それに、この人は今何歳だろうか?、どう いった姿になっているのだろう?、という興味に対して、時代の流れが及ぼすものにえらく感心してしまって、入手して8年にもなるスパトラのこととがオー バーラップしてしまったからなんです。

 そんなわけで、目覚めすっきりとはいかないまでも、ボルトを通すまでは確実に昨夜の考えどおりにイケルことが解ったので、一気に取り付けに注意を払うこ ととします。
 その上えに、別項で私が申し上げていることのうち、片方の掌でディスクを支えることの重要性が理解できるところでもあります。
 ディスクの取り付け穴への注油は効果絶大。ボルトのモリブデングリスがそぎ取られることも少ないですし、このことも確信めいた予想どおりでした。ただ し、オイルは10W50程度以上の濃いめのエンジンオイルの方が好ましい、と思います。
 いつもどおりの三角プラス三角のボルト締め順とトルク4.5kgで終了。心なしかディスクも均一化されているように感じます。

 

 というところで、ちょい乗りは清掃作業場所の丸山まで。

ちょい乗りでは
 取り付けから1時間程度過ぎました。始動直後、たまたまオープンエンドから入った羽虫が勢いよく吐き出されてきましたから、リゾネーター機能は間違いな く働いているようです。
 オイルが暖まるまで数分間、出発してビックリ!。丸山の坂ではバックミラーの像に青い煙が見えます。「オイル漏れ?!」。違います。組み付け時のオイル が燃えてしまっているのでした。
 作業が終わっての帰路、アクセレーションがフォワーっと軽くなっているのです。心なしか、バックプレッシャー(排圧)が少なくなっています。でも、ノー マルマフラー、スーパーサウンドのディスクに比べて少ない、ということです。アクセレーション自体は的確になってきていますので、 気分は上々です。昨夜の考えは全てに的中しているようです。
 苦労が思い出されて、思わずウルルンになってしまいました(爆)。

 午後、いつものコースで走行テストを行いましたが、ワンダフルな一時でした。自画自賛手前、というものでもありません。どちらかというと、エクセレント に近いワンダフルなフィーリングでした。
 俄然、テスト走行のため、16日の松山行きは、このSR500で出かけることに決定しました。

2005年5月16日(月)はれ
 半分は出張なんだが、時間配分があまりに悪すぎて、SRで松山へ出かけることとする。そういえば9年前、SRを初めて徳島まで走らせた時によく似てい る。あのとき、本当にSRで出かけてよかった、と感じている。
 始動なり何なり、いつもどおりなので少々面食らっている。僕はね、改造、しかも、よりよい方向への改造なら、「確かに変わった」という、何らかのいい結 果 を得たいものだが、今回は、これがあまりに自然となっているので面クラウのだ。
 バカいってんじゃない、と感じたが、今回の改造の良いところは往復の走行時、いっさい変わることなく発揮されていた。
 そう、様々なことがアタマの中を通り過ぎて、これがSRっていうマシンなのか?、ということと、それに今までがおかしかったんだ、というものとが葛藤を していた。
 そう、バカげているよナ。特に最近の書籍には、SRで「こことここをさわったら、こうなってしまいました」ってことは記載しない傾向の雑誌群になってし まっているのだから... 。
 今こそ、僕は今回の改造結果のようなレポートが必要だ、と感じているんだが、実際はチェーンの耐久性など考えずにスィングアームを延長したり、ワイドの バーハンドルでお腹を圧迫したライディングスタイルにしたり、性能以前の思いっきりいじってるんだ、みたいな改造したり、もっぱら、そっちの方が盛んなの で、SR本 体の向上なんて二の次、というのが今の状況ではないだろうか。
 一説によると、ヨシムラのカム、ピストンやマフラーがディスコンになったのは、こういったところから来ているものらしい。
 そういったことからすると、僕の改造は少し行き方が変わっているのは事実だが、本来はこういったチューニング行為こそが本筋であるはずなんだけれど も... 。
 ともかく、僕にとっては信じられないほどのパフォーマンスを示すのである。この事実は、いくら文章で記載してもダメだろうから、この辺で終えておく。

 と、いったところで、これまで合計10回にわたった今回の改造記を閉じ よ うと思います。何度も言いますが、このことがフィットする最低条件はSR500である こと。ホワイトブロスのスパトラを装備していることの2点です。
 この2点が満たされていれば、私の改造の状況が解っていただける、と確信するところです。
 ただし、文章表現ですし、私のとおりに改造実験されたからといっても、「期待と実際とが大きく異なる」事実は存在します。ここのところはお許しくださ い。
 強いて言いますと、排気音は小さい。特性はノーマルとほとんど同じ。ただし、なにかが違う、その違いは少しずつ理解できるようになる... 、といったところのものですから、ここだけは理解願いたいと思います。

 さて、この実験は一定成功なんですが、もう少し追い込んでいく必要が あります。
 というのは、今のところ、ノーマルキャブレターとWBのスパトラ+スーパークワイエットコア+リゾネーターディスクという、この改造では、しばらくの 間、パイロッ トジェットのスクリウ戻し回転をSR500の標準、2回と1/2回転(400では1回と5/8回転)戻しの標準値のまま、からわずかに閉め込んでほ しいのです。
 BST34のキャブレターを解っていらっしゃる方なら、パイロットスクリウは締め込んで、SR500なら1回と1/2回転ぐらいの方が気分よく走らせる ことが出来ます。
 少し閉め込んでテスト、あるいは、逆に開いてテスト、という繰り返しですから、この調整結果の発表までには、しばらく猶予をいただきたいと思います。

 私としては、これまで報告してきたことを「やってみよう」とする方がいらっしゃれば大成功。「なるほど」と感じていただける方がいらっしゃれば満足、と いうと ころで終わり、次は上記の調整結果を報告したいと思います。




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