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チェーンへの思い入れ
僕のSR500は購入後7年目、2003年6月末で30000kmを越
えようとしている。通勤に使うことでもないし、たまに乗っても100km程度。年に1度は600km程度のツーリングっていう使用状況だ。
27000km走行の辺りから、心なしか走行自体がぎくしゃくしてくるような気がしてならない。最初はいいんだが、しばらくすると、どうも駆動系の
ショックがおかしな感じになってしまう。20000km走行時、音が大きくなってきたダイシンの乾式クラッチの異常かと思ってメーカーに電話をしたが、異
常ではないとのこと。そんなこんなで、ちょっとおかしい状態のまま走っていた。
何気なくドライブチェーンを確認したところ、少しばかりびっくりした。チェーンの張り具合はすこぶる良好。純正チェーン(D.I.D
製)は、この伸びに
対しては相当に強いものを持っているようだ。
そのチェーンで見たものは各リンクが水平になっていないところが出現している点だった。決してサビによって発生しているものではない。手が汚くなるのを
覚悟でさわってみるともっとびっくりした。何と横に相当動くのだ。
30000km持ったから元を取れたろう、というなかれ。スタンダードで装着しているトライアンフのT-140Vのレノルドチェーンなどは均等に延
びるから、交換するときは横揺れも相当なものだから、この辺が限界だな、と分かる。それでもリンクのピンには堅いグリスが残っている。
チェーンと同様にスプロケットの性格と形状も違うが、トライアンフの場合ならスプロケットの山は尖ったままで、山の頂上が低くなる。国産の場合は段付き
の山が尖るとスプロケットも交換になる方法と異なるにもかかわらず、チェーンはチェーンとしての仕事をトライアンフの方がきっちりとこなしているように
感じてならない。
もう一点はT-140Vの場合はプライマリーの裏側にドライブスプロケットが存在するため、同じ50サイズのチェーンでもプレートが厚いとクランクケー
スにふれる可能性が出てくるのだ。そのため、レノルドかレジナのプレートの薄いタイプ、国産なら一般のノンシールタイプでプレートの薄いチェーンでなけれ
ばダメだ。
こういった点を考えに入れてSRのチェーンを考えるといくつかのことが浮かび上がる。
いつも出るのが520サイズへのコンバートだ。これはチューンしたSRなら必要かもしれないが、チェーンの重量の点などから少々不利な面が出るのではな
いか。その証拠にかつてのSRは530のチェーンを使用していた。そのときのゴツイ感じは必要ない。
そういったことから、少しばかり考えを変えて、428サイズでもう少し強靭なものをチョイスしてみることとして、オートショップ・ワタナベのマスターに
すべてをお願いした。待つこと暫く、タカサゴのGP428XWというチェーンだった。SR400(500)用にリンク数までそろえてある。金額もかなりな
ものだし、ま、性能は価格に比例すると考えよう。
「ところでスプロケットは?」とのマスターの問いに、そのまま使う、と応えたところ、「すばらしいチェーンを使うのだから、スプロケットも交換すべき
だ」とマスターが言う。オ〜オ、またしても出費を強いられる。基本的にアルミのドリブンスプロケットは嫌いなんだが、428サイズではどうしても限定され
る。しからば、気にしていたサンスターのスプロケットとすることにした。鉄製があるはずなんだが、428サイズでは無理、やむなくアルミのドリブンとなっ
た。
2003年7月12日(土)雨がいつ降るかわからない中、チェーンとスプロケットの交換をする。
チェーンとスプロケットの交換。だからどうなんだ、と言われても、こればかりは使用前、使用後の走行フィーリングの変化はライダーしか感じられない。い
くら口で言っても文章で表現しても、当を得るのは難しい。
まずは、リアのドリブンスプロケットから交換する。スプロケット自体のルックスは昔のXT-500のもののようでカッコイイ。純正のノッペラボウが妙に
おかしい、と思えるようになる。確かにサンスターって歯磨き粉のメーカーだろ?。事実その通りなんだ。このメーカーのOEM商品はなかなかの優れもの、と
通の間ではささやかれている。
こういった異種事業に思われるメーカーのものだが、僕には違和感がないのだが、そうだな、ちょうど40年前ほど昔だろうか、我が家にはクラブの自転車が
あった。
中山太陽堂というコスメチックメーカーで、おおよそ自転車なんて作る?と感じていた。しかし、現実にクラブの自転車はなかなかの良品であった。コスメ
チックメーカーが自転車をリリースする。歯磨きメーカーがスプロケット作ったって違和感ない、と感じていた。実際にはどうだったのか、これがなかなか良
かったのである。
今回のスプロケット交換はロックワッシャーとダンパーラバーは交換していない。それよりも、ドリブンスプロケットの取り付けの甘さが気になっていた。
メーカー側として、どうもロックワッシャーでロックする位置を1か所にするために採った処置ではないか、と感じる。今回はロックワッシャーを交換しないか
ら、使っていない面を主にロックした。
ダンパーのラバーは弾力が残っている。ブレーキシューの減りと共に、次にシュー交換する際点検して交換したい。
次はドライブスプロケットだ。騒音防止のためラバーが張られた純正に比べると、相当に無骨だ。刃先の山の段もなかなか上手い仕上げが施してある。おかし
な話だが、ドリブンよりもドライブスプロケットの方が持ちが悪いようにも見受けられた。
ドリブン同様、ロックワッシャーは再使用。当然今までロックされていない面を使ってロックする。
次はチェーンの交換だ。カシメ部分を外してびっくり。Oリングがダメになっているのがすぐに分かった。どうやら一般的なシールチェーンは15000km
で交換し、30000kmを過ぎての交換で、チェーンとスプロケットを同時に交換するようにすればいいのではないか、と感じた。
カシメリンク部分に潤滑オイルをくれてやってカシメる。
リアホイールを装着後ブレーキの調整をして時間にして30分で交換終了である。
結果はどうだろうか、なかなかよろしい。若干うなりが出るが、張りすぎではない。初期の延びがある程度出て、その後に完全な調整をすればいい。
ストリートでは3速・4速を多用する。少し長い距離を走ると5速でのギクシャク感が減る。こうなってくると、ドリブンスプロケットの歯を3枚ほど落とし
たものを使えば3速・4速の使用頻度は変わらないが、準呼応速度域が高くなるのではないか、と想像している。
ま、しばらくは安心して乗ることが出来る。交換後数百キロ走ったが、なかなかいいフィーリングだ。こればかりは説明のしようがないが、次にやるときはド
リブンスプロケットの端数を落として、高速巡航域でのフィーリングを向上させるため、520チェーンへのコンバートが必要だろう、と感じる。