SR500のシート選び(2)

 コージーシートに決定!。ある部分、これは正解でした。ところが、思わ ぬ部分が見えてきて、その対処に閉口したところです。その顛末は以下のとおりです。
 前回と重複するところが多少ございますが、再度見直したためとしてお許しください。

シートを眺めてみる
 梱包は至って簡単。ビニールシートがかけてある本体が1個入っているだけのものです。外箱の段ボールはこの際ですから保管して、48Uの純正タックロー ルシートの保存用に取っておくことにします。
 仕上げは相当に綺麗です。通常ですとファイバー部分がシートベースの裏側になるため、そのままの形になって現れるのですが、これがゲルコートの鏡面仕上 げになっています。
 製造年月日(94  12  20)がホワイトでスタンプしてあります。SRのような人気車種とはいえ、このシートは発注後に製作するのではないか、と思われます。当然デイトナ のような大きいパーツメーカーですから、ベース部分はある程度の数を作っているはず。受注後、シートジョイの方で1個ずつ作るのではないだろうか... 、ということが考えられました。

 タンク下の取り付けヒンジ部分はすでに装着してありましたので、純正シートから取り外し移植するのは、後部のシート取り付けダンパーのみです。私の場合 は、車検証入れなどを元の位置にするためベルクロを両面テープで貼り付けています。
 付属している取り付けナットがフランジ付に改められていることが取扱説明書と若干違います。
 取り付けには若干のコツを要します。つまり、アフターマーケット製品につきものの若干の手直しが必要になるのです。


取り付け注意点
 以下に取り付け手順と対応を記載します。
  1. 燃料タンク下のダンパー下に入るヒンジ(ステー)の取り付けにガタがあるので、フランジナットをゆるめて、ステーの平行を出して、再び固定し ます。
  2. 後部取り付けダンパーを付属のフランジナットで取り付けますが、まずは指で動かない程度に取り付けておきます。(どのSRにも必ず若干のズレ が生じま す。)
  3. この状態でシートのヒンジをタンク下のダンパーに奥まで入れるようにして、純正シートを取り付けるときと同じように後部フレームの下から取り 付けボルトで止めます。(この時、ボルトの最初の部分が咬みあう時からキツイと思います。)
  4. ボルトが一定長さ入ったら、完全取り付けをすることなく、シートの取り付け状態を確認します。シート前部が揺れるようでしたら、若干シートを 押し入れてみます。
  5. ほぼ、真っ直ぐ取り付けが確認できれば、一度シートを外し、取り付けダンパーをスパナで「キツイかな」という程度のトルクで止めます。 (ギューギュー締め付けると、ベースが割れる可能性があります。)
  6. シートを完全装着します。
 この時点で走行してみて、再びシートの前部にガタがある場合が生じるかもしれません。おそらく、タンク取り付けの12mmの六角ボルトがシートベースに 接触しているはずで、シートベースのこの部分が少し削れてくれば、(主に左右の)ガタは少なくなります。この状況は、純正の輸出向け(48U)タックロー ルシートでも、同様の位置に傷が付きます。少しでもこのことを解消させるための方策は次に記します。
 また、シート取り付けボルトが若干堅めにねじ込まなければならないかと思われますが、コージーシートのベースがFRP製であろうと思われますから、ある 程度、制作時にひずみが起きることで、致し方ないこととしてあきらめた方がいい のではないでしょう か。
 もっとも、ある程度シートの盗難を防ぐ効果も持っている、と考えるのは言い過ぎでしょうか(爆)。

コージーシート取り付けに際しての若干の手直し
 コージーシートがどうも受注生産的なために、私のSRに対しては、取り付けに際して 少しガタが出たのではないか、と思われるため、全てのSRに取り付けるときの不具合ではないことを、あらかじめ申しておきます。
 先にも申しましたとおり、私の場合は燃料タンク下のダンパーラバーへシートのヒンジを装着する際に、燃料タンク取り付けのビスが当たって、フレームの シートレール部分と、シートベースとの間にガタが出る、という結果になりました。
 ノーマルのシートを見て頂くと、この部分はエグリが掘られていることにお気づきだろうと思います。このことをコージーシートで行うと、ヒンジ部分に下駄 を履かせることになります。
 けれども、一度シートジョイでトライアンフのシートの張り替えについて問い合わせをしたとき、マスターよりFRPで型を起こす必要がある、との返答をい ただいたことがありますから、シートベースが鉄製の純正シートと違い、コージーシートではおそらくFRPでしょう。
 となれば、純正(48Uの)タックロールシートのように、ダンパーをシートへ追加する方法も考えられますが、こんどはせっかくのコージーシートが台無し になってしまいます。
 あるいは、ヒンジにアルミ板で下駄を履かせて浮き上げる方法もあるにはありますが、シート全体を上へ持ち上げることになりますから、SRが道路の凹みな どに入ってライダーの体重の多くが一気にシートにかかった場合、ヒンジ取り付け部分近くからクラックが入るおそれも多分に出てきます。
 これらのことは、純正のタックロールシートのベースに無数のリブが入れられていることでもご理解頂けるのではないでしょうか。何もコージー シートだけでなく、シートベースを含めてFRP製品は「割れる」可能性が常にあるのだ、ということを頭の中に入れておかなければなりません。
 なんとか、簡単に行えるガタの解消方法はないものか?。解決策を見つけるまで、少しばかり期間が必要でした。

 総合判断から、燃料タンクの取り付けボルトから少し下がったシートレール部分に当たるシートベースに板ゴムを切り取って、両面テープで貼り付ければよ い、という方法を考え ました。
 ラバーの厚さは1mmを基本にして、暫時枚数を重ねることで、最適の厚さを求めます。その後に、燃料タンク取り付けボルトがシートベースに当たる部分に もラバーを貼り付けます。 
 最善の方法ではありませんが、以上の改修によって、取り付けがしっかりするようになり ました。

 後で気が付く何とやら... でして、シートとの両端に貼り付けられた1mm厚ラバーの位置をよく見てみますと、コージーシートのシート皮の厚さと同一ということに気づきました。
 シートベースに貼り付けられたシート皮の一部を取り付けヒンジのところまで伸ばしてカットをしてくれていれば良かったのに... 、とメーカーを恨みました。

 このように改修したコージーシートの裏はこのようになります。




実際に乗ってみると(ハーディーのハンドルバーのままで)
 いやはや、すさまじいものがあります。最初の「すさまじい」はシート選びを失敗したかな?、と感じたことです。つまり、想像以上にウレタンが固いんで す。体重80kgを超える私でも固い、と感じるのですから。
 しかし、100kmほど走行すると、これが大変化をし始めます。堅さは一向に変わらないのですが、臀部が安定するのです。
 お尻が安定、ということではないんです。腰から下が安定しますから上体もぐっと安定し、本来のホースバックライディングとしてのサドルの機能が漂ってき ます。当然、太もも 内 側も圧迫感がありません。
 むしろ、私好みのニーグリップを効かせたリーンウィズのライディングフォームが出来上がっているんですね。低いハンドルバーなのにどうして?。
 そう、ここからが新たな問題点として浮上してくるのですし、ここからベストに近いライディングポジションを得ようとする苦労が始まるわけなんです。

スタティックなスタイルとして
 手持ちのハンドルバーはSR500/400の純正、XS650の短いもの、GX750の短いもの、TX750の短いものなどを用意して取っ換え引っ換え やってみました。
 古くからのヤマハオーナーはお解りと思いますが、ハイフンで結ばれる中央の数字「26111」が ヤマハのバーハンドルを示します。SRなら1JN-26111-02となり、古い SRなら2J2とか3H6となります。XS650なら256です。GXですと1J7なんですが、ヨーロッパ向けが1T4で始まるため、この短いバーは 1T4-26... となります。GX750のII型は2F9という具合です。RZ250、350ですと、最初は1A0、1A1とかになるんですね。
 最終の2桁の数字が輸出国向けの形状になってきます。XS650ですと256-26111-02というものがフランス向けで360-26111-20が 後期のヨーロッパ向け及びTX650のヨーロッパ向けとなります。
 結果から申し上げますと、それぞれに良いものがありました。でも、スタティックなスタイル重視のものですから、レーシングスタン ドをセットして、またがってみて、手を掛けただけのこと... 、何とも言えません。

 まずは上からと、裏側からの写真をご覧ください。上から順にTX750の短いもの(341-26111-02)、次がXS650のヨーロッパ輸出用 (360-26111-20)そしてGX750の短いもの(1T4-26111-02)、そして私のSR400/500用(1JN-26111-02)と なります。



 これだけでは判断が付かないのでどういった点がどうなんだ?を理解して頂くためにハンドルバーの曲がり角度などをご覧ください。順番は上の写真のとおり です。

TX750のヨーロッパ向けハンドルです。
当時は、このハンドルバーが相当にはやりまして、本来のTX750が全く不人気なのに比べて、かなりの本数が出たようです。
スイッチボックスからの配線を通すために、 このハンドルバーだけ裏側に穴が開いています。
そのため、TX750の車体重量との兼ね合いもありますが、こけたりすると、ハンドルバーがどちらかへ曲がってしまう欠点を持ち合わせていました。
立ち上がりの角度から見ても判るように、非常にフラットに曲げが取ってあります。
SRに取り付ける場合は、もう少し立ち上がりが低ければ良いポジションが取れるようです。
XS650の後期モデル、TX650のヨーロッパ向けに装着され たハンドルです。
前期モデルでは、このハンドルバーは無くって、フランス向けの256-26111-02というハンドルバーしか存在しませんでした。このハンドルはカワサ キのゼファー400のものに近い角度でした。
TX-650をはじめ、XS650Eからディスクブレーキをフロントに装備していましたから、エンドの錘は装備されていません。
写真の角度でTX650に取り付けると、エンドは水平になりますが、TX750のハンドルバーより曲がりが深いため、腕が上がってしまい、手首が痛くな り、ハンドルの押さえが効かなくなります。
コージーシートのSRに取り付けると、ポジションとしては、ちょうど良いのですが、どうしても立ち上がりが高くなって、ぶら下がる感覚が強くなります。

GX750 II型のバリエーションです。当然変形ハンドルの取り締まりが厳しい時代ですから、TXの時と同様に車体検査を受けてのハンドル変更になりました。
ヨーロッパ向けにはポイント点火の1T4モデルがXS750としてリリースされたので、このハンドルが取り付けられたところです。
後年、XJ750Eのハンドルバーとして採用されたところからもお解りのように、取り付け位置の高いSRには好適のハズですが、コージーシートではスタイ ル上、何とも不思議なフォルムになってしまいます。
もし、国内のSRに、XJ750Eと同様の最初のヨーロッパ向け輸出のSRに取り付けられていた200mm径のヘッドランプなら、好適なスタイルになると 思われます。
このハンドルは振動係数から錘が溶接されています。
今更説明する必要もないと思います。真面目にノーマルシートで バックステップ付きSRにフィットするハンドルバーと思います。
ただし、ヤマハが推奨している取り付け方法である、クランプ部分をハンドルバーのローレットのポンチに合わせると、大半の人は違和感を感じるだろうと思い ます。
コージーシートでは、このハンドルバーで調整しようにも、ぶら下がり気味になってしまいます。

ダイナミックなスタイルとして
 たびたび私が出すことで申し訳ありませんが、これら各種のハンドルバーを装備して、SRそのものを眺めると上記の表中のようになります。中でも1T4の ハンドルバーはナカナカいいスタイルになります。
 が、人様が跨ったら ど ういったものになるのか?。ヘルメット一つを換えてライディングしてみるだけで、SRが持つ全体像が狂ってくる場合も往々 に して存 在するところです。
 そういったことからも、私の持論である「人が乗って美しいスタイル」としてSRを眺めると、やはりスタティックなスタイルとしてOKだった1T4のハン ドルバーは、無惨にもダメとしか判断出来ません。
 そのように出来るのは純正シートの時のみ!。しかも176cm以上の身長がある人でないとダメで、コージーシートではハンドルバーを押さえ込むことすら 出来ません。おまけに、XS650とかGX750とかとSRとでは、SRの方がバンドルクランプ部分が高いのです。スタイル上もスピード・タコの両メー ターが55°で突っ立っていますから、これらの兼ね合いからも、うかつなハンドルバーはスタティックな状況のとき以上にSRのライディングに受けつけませ ん。
 それかといって、車体構成上もフレームアライメン トなども、そのハンドルバー指定の車種と異なるところですから、一概にハンドルバーがダメと決めつけることは出来ないわけですし、アフターマーケットのリ プレースハンドルバーにしても同様のことになりますから、本当にハンドルバー選びは難 しいところなのです。
 それ以上に、私のはバックステップ付のSR500ですから、若干前傾気味でのライディングスタイルで押さえが効き... 、などと考えていくうちに、これらのハンドルバーでもう少し広がりがあって立ち上がりが低く自由度がある、という希望を適えるのは、これまで装着していた ハーディーのハンド ルバーではないか、ということに気づいたところです。
 結局3日間の悪戦苦闘でしたが、終わってみると堂々巡りでした。簡単そうですけど、1本を交換するには1時間程度必要です。おまけに取り付け角度の変更 のためにアーレンキー、スイッチ部分の取り付け変更にプラ スドライバー、両レバー取り付け角度変更のために10-12mmのメガネレンチを持参してのテスト走行ですから、今(2005年1月)の季節、雨のない昼 間の作業であっても寒さも手伝って厳しいものがあったところです。



現在の状況
 ハーディーのハンドルバーに落ち着いてしばらく後、再びチェンジペダルの角度調整を行いました。今のところ、ほぼ満足のいく結果で終わりましたが、今度 はステアリン グのベアリングの状態が少しおかしいかな... 、ということが感じられるようになってきました。
 これは、いずれ別の機会に申し上げることにして、コージーシートの変更を終了したいと思います。




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