さて、僕のSR500はエアクリーナーボックスのダクトを半分の長さにカットして、しばらく乗っていたところだが、この場合でも、結局空気はエアクリーナーエレメントの下側から入ってくる。エアフィルターの前はクランクケースブリーザーからのブローバイガスがキャブに導かれる部屋だ。ノーマルのダクトを装着したままだと、大容量のエアクリーナーボックスの空間を有効に使用していない、と感じる。
つまり、ノーマルの排気系では、この大きさのエアクリーナーボックスは必要ないのではないか、あるいは、必要ないため、ダクトを大きくして一部分からしか空気を取り入れないことにしていたのではないだろうか、そうしないと、ブリーザーからのブローバイガスの流入状況の変化で燃料との混合気の変化に対応できない結果ではないか、と考えざるを得ないアマチャンの判断である。
初期型はブリーザーからのブローバイガスが空気とが混ざり合ってキャブレターに導かれる構造になっていた。エアクリーナーボックスをはずしてK&Nのパワーフィルターに変更すると、クランクケースブリーザーからのブローバイガスも専用のフィルターを装着して、パワーフィルターに近い位置に装着されるように勧めているはずだ。
僕の持っているGX750はもとより、その2型は完全に空気の流れが纏められて、一気にキャブレターに取り入れられるチャンバー方式のエアクリーナーボックスになっていた。そこまでは行かなくとも、SRのエアクリーナーボックスは非常に大きいことは誰もが認めるはずだ。これを取っ払うよりは積極的に活用してやる方法を採ってもいいはずではないか、と思って、ダクトを半分にする方法を行ったわけだ。
「より一層ボックス内を有効に使うには... 」、サイドに穴を開けるなどはしたくない。考えを纏めた結果、実際の空気の流速は速いだろうが、緩やかなカーブを描いてエアクリーナーに十分に空気を満たすようにする方法を採ればいい。そのためには、半分ぐらいカットしたのではダメなようだ。半分にカットした場合はダイレクトにエレメントに吸入されるもの、と下側に回り込むものの二とおりになる。残りはディレーがかかったように上と横から入り込む、と結論づけた。。
いつも言っているとおり、これは改造である。いかなる場合も自己の責任で対処をお願いしたい。このことで、いかなることになろうとも当方は一切関知しない。
方法として、ダクトを空気取り入れの導入部分だけに限ることにしてはいかがだろう、と考え、大胆にカットすることにした。最初はオリジナル同様にスラントしてカットした。
走行はどうだろう。ウ〜ム、少し振動が多くなった。エンジン自体が少し活発になってきだしたように感じた。ところが、3000rpmぐらいからアクセルをスッと開けると、エンジンが一瞬ストールしかけて、そこから上がってくる。ジワリとやればいいのだが、どうも中高速域にかかるとガスが薄い、というより、一瞬悶絶状態になってしまうようだ。以前だと同じような症状を示すところが1000回転ほど低いところで出始めていた。
このこと以外は少しばかりスパルタンさが表面に出てきて、かなり気分がいいものになってきた。押し殺したようなストックのSRがかわいそうに感じだした。
そこで、もう一度纏めてみよう。
いつものショートテストコースを数回走行してみると、十分満足。この間までの希薄燃焼のような感覚は消えてしまった。
ところが、やはり、一気にアクセルワークを行うと、いつものところで回転が付いてこない。ノーマルSUキャブではニードルの種類、(ダイアフラム)ピストンカッタウエイの種類もない。現在メインジェットは#165、スターター(パイロット)は#47.5にしている。それでディスクが8枚のスーパートラップだ。どこまでをどのパーツが支配するか?。これはトライアンフのSUDCO
MIKUNIでも経験したとおり、ある程度のパーツの分担域はあるが、トータルで考えないとならない。
まずはニードルポジションだ。SRのSUキャブではこれが一番手っ取り早いチューニングだろう。クリップのポジションを1段下げてテスト走行を行う。少しばかり良くなった、と感じるが、どうしても、悶絶状態が出てくる。
次に、パイロットスクリウの戻し回転をセットする。
パーツリストでもお分かりのとおり、SRは400も500も何から何まで全く同じキャブレターを使用して、パイロットスクリウの戻し回数の違いだけでセットしている、というなかなかおもしろいものなんだ。
500の場合は2回と1/2戻しが標準だ。ここを 2回と3/4〜2回と5/8程度にセットする。これでテスト走行を行う。ずいぶんと改善されたように思う。若干のモタツキはあるが、悶絶状態はかなり出なくなった。
内燃機関はストックのままで、信頼性の高いパーツを使用して排気系にちょっと手を加えたSR500だ。排気効率がわずかにUPしても、吸入側もそれに見合わす方法を講じなければならない、ということだ。しかもノーマルの状態を保ってのこと。作業する場所は内田自転車商会さんだが、そこへ行くのも天気任せ、という、いつもながらの青空工房。今まで同様、こういった実験方法を採った次第。
今回の改造を一度お試しください、とは言わないが、何らかの策を講じれば、必ず善し悪し両面の結果が出る。それが即座に現れるものもあるだろう。しばらくして、こんなに変化していたんだ、というものもあるだろう。本当に様々だ。強いて言えば、今回の改造は後者かもしれない。
本当の結果はこの状態でしばらく走行してみなければならない。悶絶状態の解消方法を含めて、ストックのSUキャブを使用して、現状でのよりよい方向性を見つけだそう、と実験を開始し、一定の結果を得た。
こういったチマチマした作業を根気よくやらないとならない。一朝一夕で結果が出るものではない、と確信する。もちろん苦しみの連続かもしれないが、良好な結果を得ることを目標としているために、その悩みなどはクリアーできる。それがアマチュアの楽しみでもあるのだから。
[もどる]