ブローバイガス(考え方)

 Sicke'n SRを何とかする、でエアクリーナーボックスに何らかの加工をすることを紹介した。いずれも僕用のSR500に必要なため行った行為であるが、その時に気付いていながら気にとめなかった(?)ことがある。
 それがクランクケースブリーザーからブローバイガスがエアクリーナーボックスのどこへ導かれているか、ということである。事実として存在しているのはキャブレターの前である。それがどうだ、と言われる無かれ。僕は非常に重要である、と思う。
 幸いにも今のモデルになったベース、そうBSTのSU(CV)キャブ装着モデルから、オイルキャッチフィルターを通してエアクリーナーボックスへ入る方式になっていて、この効果は非常に大きいと思われる。それ以前のモデルではオイルキャッチフィルターがなかったために、直接オイル混じりのガスがエアクリーナーに導かれることにより、オイルもそのまま再び燃焼させられることになっていた。
 今のシステムの良さはXT500の時から僕は賛成であった。これが復活したのは良かったのだが、僕が考える最大の欠点は次のとおりだ。
 まずは、吸気の空気は冷たい。キャブレターを通った混合気も冷たい。特にキャブレターを通った混合気が暖められると多くのものが狂う。特にSUDCO MIKUNIを付ける前のトライアンフはこれに散々悩まされた。後年のハリス・トライアンフ、デボン・トライアンフなどがAMALのMK-IIをラバーインシュレーターを使用していたことでも、この熱による影響が分かるはずだ。MK-IのAMALは多くの場合エボナイトのインシュレーターを入れていたが、取り付けボルトを通してキャブレターに熱が伝わるのだ。夏場になると、フロート部分が熱くなる。このことが多くの場合無視されていた。一部のレーサーなどでは、キャブの前に熱遮蔽板を取り付けているものもある。
 ブリーザーパイプを通してのブローバイガスは大気中に放出、という前近代的なことが、ついこの間まで許されていた、というおおらかな時代のバイクでもあったわけだ。
 こういった点を頭に置いてSRに戻ってみると、もうお分かりであろう、エアフィルターで綺麗にされたフレッシュエアーがキャブレターに導かれる前に、暖まったブローバイガスがあって、空気と共にキャブレターに導かれるのである。ストリートバイクにはシビアに影響を及ぼすことはないかもしれないが、気分のいいものではない。
 その証拠に、SIMA 498では僕も好きな純正ラバーキャッチ部分を通して、キャッチボトルにブリーザーオイルが入るようになっている。エアフィルターに変換すると、みんな使っているK&Nのブリーザーフィルターもそういった理由からである。とにかく、吸入側は涼しくなくてはならない。ことSRではオイルと混ざり合ったブローバイガスの後からフレッシュエアーが来るエアクリーナーボックスの形状に納得がいかないのである。
 そこで、キャッチタンクで(スタイルとも)いいものはないかと思っていたところ、チャックボックスの製品にいいものがあった。が、装着にはどうやらエアクリーナーボックスをはずさなくてはならないようだ。
 今のまま簡単に実験できる方法は、メッシュの入ったビニルホースをキャッチタンクのホースと入れ替えして、チェーンケースの横へテープ止めして乗ってみられることだ。おそらく異変に気付かれるだろう。ブローバイガスがどういったものかは、ホースの端に掌をかざして、その流量とにおいを感じていただければ僕の言うことがお分かりだろう。
 もっとも、アフターマーケットのオイルキャッチタンクの効率がまた問題になることは確かだが。この点は気にしないでもいいように思う。おそらく、というところでお許し願いたいのは、スカチューンされて、クランクケースからのブリーザーフィルターを使用されている方でキャブレーションが完調なら、エキパイ取り付け口から奥はバルブステムの様子で分かるのではないだろうか。もう一点、その場合、これも、おそらくだが、プラグの電極周りのカーボンが少ないのではないか、と思うのだがいかがであろうか。あくまで「おそらく」という推定の域を脱していないけれども。

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