SRをバッテリーレス化する
 はっきり言ってこの方法は実のところ嫌だったのだ。アフターマーケットの製品を選んでそれを装着して、メンテナンスフリーのSRに近づける、というのがそもそもの狙いだろうけど、製品群を見ても帯に短し襷に長しで、本当のところ、どの製品が一般使用に際していい性能を発揮するか?、少なくとも5年間は大丈夫、っていうものもないし、事実として雑誌に紹介されたこともない。
 要は主に電気関係に使用する電解コンデンサーを完全密閉にして、SRのオルタネーターで発電された一部の電力をストレージしておけばいい。この方法だけだから、極端にいうと、パーツ屋さんで一般的な25WV、10000μFぐらいの電解コンデンサーのプラス、マイナスをフューズ端子のプラス、マイナスを通して回路に接続すると、最初こそ10回ほどキックすると、おもむろにエンジンは活動し始める。パーツにして数百円ぐらいだろう。
 が、この辺が素人の自作に対する思い入れ内容の限界点であろう。壊れる危険性、特にサージ電流だけでなく、電気的に壊れる可能性以外の状況にこのコンデンサーを陥れたときは、はたしてどうなるのか、など、エンジンが快調に回転するかどうかだけの確認だけで自作可能、のレポートはあるが、SRに装着して、あらゆる条件下で確実な結果を出した上での製作レポートというものは、いまだ僕は目にしていないのである。
 しからば、アフターマーケットの製品、どのメーカーの商品をチョイスするべきかずいぶんと悩む。と、「純正品が少々お高いがいいんではないかい?」と同僚のY君やオートショップ・ワタナベのマスターが言う。「純正?、それって何?」というと、「WRのものがフィットする。何度もやったけどね」という返事。
 フム〜、純正か、何、WR?、そんなバイクあったっけ?。僕は狐につままれたような気分になってしまって、早速車種選定から何から頭をフル回転だ。ようやく、そのパーツがDT-200 WRのコンデンサー、であることが分かった。WR、すなわち、水冷のDT200のものというわけだ。でも、アフターマーケットのものでもいいものがあるかもしれない。SR Web linkの中でも、ヤマハの製品を使用しているメンバーは少ない。本当にご存じないのか?、というのも事実だが。
 まずは、パーツを発注してみてからだ。パーツリストからもプラス、マイナスの2本のリードがカプラーになっているのは分かっていたし、バッテリーをコンデンサーに置き換えればOK、ということも分かっていた。問題はカプラーのメスの加工だが、これも、ま、大丈夫であろう。そういったところで発注をした。
 パーツとしては次のとおり

1NL-81965-01 コンデンサー

 この後、バッテリーに換えてコンデンサーを装着してバッテリーレス化することは、いかに純正品を使用するにしても改造にあたる。実施されるご自身の責任で行っていただきたい。

 カプラーは自作の道しかないが、簡単に製作できる。ジャンクのものを探し出しても、電気パーツショップで購入してもいいし、平ギボシのコネクターだけでも片方を絶縁しておけば大丈夫だ。問題は接続のリード線だ。こいつはできれば30芯以上のものを使用していただきたい。万一発熱してコンデンサーがパンクするのをある程度防ぐことができるし、道は狭いより広い方が電気のとおりはいい、っていうのはみなさんご存じのとおりだ。
 加工は写真のとおりだ。

   

 それでも、赤・黒のライン接続だけの簡単な取り付けが終わると、別に祈るような気分は一切無く、キーをONにしてキックを10回程度やればエンジンは始動する。チョークを戻してしばらく後、キーをOFFにする。一服した後、再びキーをONにしてエンジンを始動すると、いとも簡単にエンジンは始動することで、接続が完全という確認ができるはずだ。


コンデンサーのチップス
 いとも簡単にバッテリーレス化できた。気をよくして走ることができる、と感じるだろうが、さにあらず。どことなく調子の悪いバッテリーを装着した時のような感覚になってくるはずだ。始動性はいいが、どことなくギクシャクした感覚、バッテリーがいい状態の時はがんがん加速する。5速で走ってもある程度のギクシャクはあっても、そこから加速する。1速落とすべきかどうか、というようなときを思い出したいただきたい。バッテリーの調子が悪いとノッキングのような感覚が付きまとうはずだ。同じようなことがバッテリーレスにすると起きるはずだ。
 しばらくするといつものエンジンの回転、走行時の状況になっている。少なくとも2時間ほど走行していただきたい。どうしてだろう?。ここまでのことを気づかれる人は少ないだろう。しかし、事実だ。
 理由は今回の純正品を含めて、バッテリーレスキットの内容物は電解コンデンサーだ。この電解コンデンサーは極性がある。そのため、バッテリーに置き換えることができるのだ。プラスからマイナスへの電気の流れがあって、ごく一部をコンデンサー内部に蓄えておく。その蓄えで次のエンジン始動を行うことに使う。電気の流れをスムースにして、なおかつ一部を蓄える。この一連の動作をスムースに行うようにする。これが電解コンデンサー特有の活性化なのである。発電量、電流量こそ多いかもしれないが、電圧は12VDCだ。多くても15Vなのだから、100V仕様で使うコンデンサーの活性化は数時間かかる理由は納得できるはずだ。
 活性化が終わると、何かが変化しているはずだ。まずスムースさが向上しているはずだ。どうか、この現象を感じ取っていただけたら、セルモーター始動オンリーのバッテリーの状況をシビアに見つめられる一助になるのではないか、と思いここに記した。
 終わりに、この純正パーツを見て、どこかで見たことのある?、と思われた方は、少々蘊蓄のある方だろう。そう、ペ○トン何とかがリリースしているパーツだ。

 バッテリーレスにするのにどの製品がいいか腐心されている方は、一度ヤマハのDT200 WRのこのコンデンサーを使用されてはどうだろうか。今のところ不具合は起こっていないことを申して、報告としたい。

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