クワイエットコア再び(1)

 Sick'n SRの頃、クワイエットコアについて記載し、改造したものは保管してある。とにかく、あの頃はスーパートラップといっても、ディスクそのものの出来が良くなく苦労したし、初めての製品を久々に乗るSRに取り付けることで、結果がどういったものになるのか想像がつかなかった。
 今回どういったことで再びクワイエットコアを使ったか、というと、一つには排気音の大きさ、特に上り坂でトルクフルに登っているときは、かなりのパルスでパッパッパッパ、と乗っている者には気分いいが、鉄砲玉を連続で発射しているような音質に周囲は閉口する、この面だけでも何とかしたかったわけである。とにかく、ホワイトブロスのスーパートラップを使う上で、もう少し排気音を静かにしたい、これが最大の関心事だったのである。エンドキャップぐらいでは変化しない根本のものだ。
 少し前に紹介したが、キャブレターに施したダイノジェット風改造は、結構効果が感じられて、これはお勧めの方法、と確信した。もちろん、僕のSR500に対しての結果であって、他のSR全てにフィット、ということにはならない。この改造によってあらゆる回転域でガスが薄いように感じることはなくなった。とにかく、「音」を何とかしたい。
 日記にも記しているが、リモーションがリリースしたリプレースマフラーも「音」の面では良かったが、性能はイマイチ。キャブのセットがホワイトブロスのスーパートラップシステムにフィットさせようとここまでに至っているのに、再び吸排気系をノーマルに戻してなどは出来ないと感じ、また元のホワイトブロスに戻した。セッティング云々はあるけど、ホワイトブロスのスーパートラップのパフォーマンスから抜け出られない。そういったものをこのシステムは持っているようだ。
 ここで前回のクワイエットコアはどのようなものであったか、を思い出してみよう。ことはディフューザーディスクにプレートを溶接し、その中心に内(直)径20mmほどのパイプを15cm程度の長さで取り付けたものだ。このパイプ部分がマフラーのインナーコア部分に入るわけだ。で、その最先端は排気ガスを10mm程に絞り込む詰め物が溶接されていた。そういったラフなものであった。

 取り付けてすぐ、多量のカーボンがディスクから排出され、詰め物の部分から切断して使って、若干良くはなったが、どことなくフィーリングが悪く、プレートの周囲に穴を開けたり、パイプを極端に短くしたりしたが、何にもならなかった。

 その間、スーパートラップ販売の最大手PLOTはスーパートラップ止めてスパーサウンドに力を入れているし、今回オートショップワタナベでACTIVのカタログを見ながら、別枠で新しい規格のスーパートラップのカタログを見つけた。そこに「当社で開発した... 」の一文があったので、ACTIVが今のところ力を入れているな、と感じたわけだ。また、ある程度セッティングが出ていれば、ディスクの枚数も変更することなくそのままスクリウ調整だけでも行ける、とWR400に装着しているオートショップワタナベのご主人も言うし、ACTIVもそうまで言うのなら一つ購入してみよう、と発注した次第。
 
 2001年 6月16日に届けられた製品は、前回の取って付けたような製品ではない。全てステンレス。先端に詰め物もないパイプは内径約12mm、長さも10cm程度だ。プレート部分、パイプの表面は若干のポリッシュ仕上げである。「これは... 」と思った。
 パイプの(内)直径こそ違うが、前の製品から詰め物部分をカットした時の仕様ではないか。本来はメガホン内に入る部分がロート状になっていて10mmほどの内径、エンド部分は内径20mm程度のテーパー状になっているはずだ。ちょうどE.A.Rのインナーコアに装備されているようなものが本来の形状だ。しかし、コストなどの関係から、今では4インチ用のこういったテーパーになった製品がなかなか見つけられない。
 しかし、今回の製品を最初から「これは... 」と感じたとき、もう装着して「走ったモード」に僕の頭は切り替わっていた。

 それでも取り付け前に若干だが行うことはある。パイプカット(変な意味じゃないよ)後の始末はやはり荒い。そのためにエッジをヤスリなどで面取りしておく。最終はペーパーで仕上げるほどの注意を払うべきだ。流速の速い高温の排気が一気に狭められて出入りする部分だから、出来る限りスムースにしておくのはお分かりであろう。
 さ、インナーコアの後にこのクワイエットコアが装着される。現在はステンレスエンドキャップを使用している。エンドキャップの前の1枚からは排気ガスが抜けないため、クワイエットコアを装着前はスリットから考えてディスクは9枚装着している。それでは、クワイエットコアを装着し、スリットを8とすると、ディスクは何枚装着するか?。答はN-1で8枚だ。
 なぜか?。それはディフューザーディスクを加工した製品のため、クワイエットコアの後ろは排気スリットになる。最終ディスクの後ろは排気スリットにならない。クワイエットコアを1枚のディスクとするからである。
 また、ディスクはカーボンなど除去しておくこと。そうしないと、測定器のないアマチュアとしては排気の状態を掴む一つがキャンセルされることになる。

 これから少しばかり悩む。どちらにしてもキャブのスクリウセッティングを行わなければならない。まずは、スタティック状態で、パイロットスクリウをSR500指定の2回と1/2にセットし、エンジンを回す。アイドリングが安定した後、耳を澄ましてアイドリングがわずかに上がった、というか、回転が力強くスムースになる位置で止める。この辺は「勘」でしかないので、ここから小さいマイナスドライバーを懐に20km程度を数回走り、ディスクの煤け状態、排気の臭い、アイドリングの安定性、アクセレーションなどを考え、火傷をしないように、1/4回転ずつぐらい戻す方向でスクリウ調整する。僕の場合は2回と3/4でOKとした。

 テスト走行時からなかなかいい。不思議なことだが、以前のクワイエットコアの時とは比べものにならない。でも静かというほどでもない。上り坂でもパルスがかかったようなパンパンパンとはじけるようなところはない。なかなかいい状態である。日頃のうっぷんが一気に飛んだようだ。(^O^) の気分だ。
 午後からは津島町北灘から宇和海の下波(したば)を通ってのコースを走ることにした。どことなく気分はいい。音質は違うがタッタッタッタッタというものに若干近づいた。不思議なものだが、自分で自分を誉めた。音と共に排気に関して気遣うところがなくなり、ごく普通に走ることが出来る。わずかにプラグが燻る程度だが、燃費も悪くないので、このままとしておく。音も乾式クラッチの方が気になるぐらいだ。どうやら成功のようだ。
 家に帰って気が付いたんだが、今回のクワイエットコア装着後はどことなくノーマルのSR400を走らせている感覚になった。しかし、5速で50km/hでは走りづらいし、全体でのトルク感などは明らかにSR500の感じは残っている。400のようなSR500とでもいうべきであろうか。
 こうやって今までSRに対して5年間も楽しめる。これまでやったことが失敗だったり、ある程度の成功を収めていたり、はたまた、そういったことの連綿とした繰り返しだったり、しかし、本当に1/1のプラモデルのようだ。極論すると、一つの点火プラグだけで変化するのだから、やっぱり止められない。
 今回のクワイエットコアは良かった方だけど、もし、以前のクワイエットコアであったらこうはなっていなかった、ということである。

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