アクティブ製は、消音はいいのだが、ここ一歩、という場合のときダメになる。おもしろいものだが、効率が悪くなるように感じるのである。どうもストレートのパイプを使用しているからかもしれない。
ライディングスポット製は、この逆までは行かないが、装着していても主にアクセレーションの変化がない。ニップル部分で押し殺した排気を、コアの後ろで一気に放出するためであろう。何しろエンド部分はパイプがディスクの穴の1/3ほどもある。このことが功を奏しているのではないだろうか。
ここで考えを変えて、前回の引き算の実際を行うこととする。つまり、ライディングスポット製の後ろにアクティブ製のコアを挿入するわけだ。その後にディスクを8枚装着する。
これがなかなかいい。残念ながら、しばらく走ると、音とエンジン回転フィーリングからライディングスポット製の効果にアクティブ製が支配される気分になってくる。実際に行ってみないと分からないであろうが、僕のこの時点で感じたこととしては、クワイエットコア本来の行き方からすると、ライディングスポット製がいい、ということにも繋がるようだ。
あくまで実験であるから、ライディングスポット製に戻した。
吸入側は、僕のキャブは少しばかり触ってあるから、一概に全てのSRに当てはまるということにはならないだろうが、この改造キャブと排気面について、とりあえず、ライディングスポットとオレンジブルバードへディスクの枚数、プラグの状況について問い合わせをしてみることとした。
結果、オレンジブルバードの返答は、歯切れが悪かった。ここは応対してくれる担当者によって、ずいぶんと印象が異なる。スーパーサンダーの時は今回と同様、割り切れない感じであったし...
、今回も各人の使用状況で違う(そのために、こちらで任せてくれ、と言わんばかり...
)、といいながら、セッティングには多額の費用がかかるから.... 、という始末。
メガトラップの時と雑誌(バイカーズステーション誌だったかな?)の報告文に出ていたジェットのセッティングとディスクの枚数に対して、僕がやったリサーチでの問い合わせをした時はすごく明快な解答が得られたのに。
ライディングスポット、ここは素晴らしくよかった。自身の発売しているインナーコアのことはもちろんのこと、なかなかスーパートラップのことを知っていらっしゃる。
そこでの回答の要旨は次のとおりだ。
たまたま「松さんの何でも質問箱」で僕と同じような実験を行われていたhさんに、僕のやってきたことを少しメールにしてお送りしたところ、逆に参考になる結果を送っていただき感謝、感謝。
hさんのマフラーはPOSHのキャブトンタイプ、ご自身に言わせるとヌケは最高らしい。K&Nのパワーフィルター装備だから、吸気、排気は僕のものと少々異なる、といった状況だ。その中での結果は下記のとおりだ。
PJ : 47.5
NJ : 下から3段目
MJ : 180
PS : 3回戻し
プラグ : BPR6ES
焼色 : きつね色
最高速 : 152〜153Km/h
400にしろ500にしろ、排気こそ違うが、ノーマルのキャブレターでここまでになる。僕が関心を持つのはプラグの焼け具合だ。夏場で、この状態なら、かなりいいはずである。僕の500ではプラグの焼け具合は白っぽい灰色だが、その他はノーマルマフラーでの最初の使用状態がこういった感じであった。トライアンフのT-140Vが、プラグは白っぽい灰色だが現在こういった状態である。僕のように長年オートバイに乗っていると、およその感覚でフィーリングっていうのは、どういったものかは分かるから。
通常、燃焼室の中心付近で点火してやると、かなり効率がいい。特に国内仕様の500ではピストンがフラット気味だから、プラグの焼け具合も白っぽい灰色なのかもしれない。突出タイプは燃焼効率を上げるため、と推測する。最近のエボリューションシリーズのハーレーもPタイプを使用している。
一方、ディトナのスーパーフローヘッドでもツインプラグにしてもあまり変化がない、といわれる。オレブルでも、スーパーサンダーを生産中止にしたし、効率そのものもスーパーサンダーのツインコイルにフィットさせての改造だったから、生産中止に合わせてツインプラグ化の改造を止めた、と聞く。もちろん、ここ一発、というときはツインプラグの効果はよく分かる。XJR-1300にしてもツインプラグにしている。
が、僕としては吸排気系を少し触っただけのエンジンだから、ごく普通の状態で結果を出したいのである。見回せばキリはないが、乾式クラッチにしたために、オイルはクラッチの削りカスなどを含まなくなっているし、仮に微量のオイルが燃焼室に回り込むとしても、通常のオイルよりも綺麗なものが入ることになるわけだ。
としても、排気効率が高くなると、自然に燃焼室内は薄い混合気でもって爆発が繰り返される。それを冷却する役目も持っているオイルは重要になってくる。僕のSR500にしても、走りはじめと100km程度走った後では音質が変わる、後になるほどうるさくなる。同様に自然にプラグの温度も上昇する。点火コイルもスーパーサンダーで容量の大きいものになっていることも影響しているであろう。よく言われることだが、プラグの電極先端部の焼け具合ではなく、奥まった碍子の部分もどういった状況になっているか、これらを注視しなければならない、と考える。
では、前回までの僕のSR500のBPR6ESは焼けすぎであろうか。このプラグ自体からすると、下が濃くって、上が薄い、という状況ではないだろうか。このことに加えて、碍子の燻り方に少々問題がある。テストしたプラグにマークすると、L型電極の部分と、もう一か所、必ず燻っているところがあった。どんなにしてしても示し合わせたように現れていた。どうやら排気、吸気のディレーが確実に存在するのではないか、それに荒い混合気が一部分残るのではないだろうか、などと考えを巡らせていた。
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パイロットジェット | #47.5 |
ニードルジェットクリップ | 上から2段目 |
メインジェット | #185 |
パイロットスクリウ戻し回転数 | 2回と5/8〜3回と3/4ぐらい |
プラグ | BPR6ES |
マフラー | ホワイトブロス・スーパートラップディスク8枚 |
吸気状況 | エアクリーナーカバー穴開け加工 |
上が薄いとはいえ、やはり、一定、下(パイロット)側もリッチ(濃いではない)でなければならない。つまり多くの要因に対処できるキャパシティーを持たせよう、とする方向でのセッティングが必要だ。
申し上げたように、最初はパイロットジェットを触らずにしておく。スクリウはプリセット以外なら、アイドリングの回転が上がる時、と下がる時の中間に位置させておけばいい。なかなか難しいため、プリセット方式で1/4回転ずつ動かして調子を見た方がいい。
その状態でテストを行う。プラグの状態を見てみる。この時も奥まった碍子の部分を見てみることが大切である。下側が濃いままだと、電極周辺の平面になった金属部分が黒く煤けているはずだ。この状態で本来はパイロットジェットを下げるべきだろうが、今回はパイロットを一定とするセッティングのため、メインジェットを上げるか、下げるかを検討する。上げる場合は10番単位、下げる場合は5番単位で行ける。
スーパートラップなら8枚を基本として、増やすか減すか...
。これによってキャブレターのセッティングも変化する。気象状況を加味しないまでも、ガソリンタンク内の燃料の量でも変化する。
その上にパイロットジェット、次はジェットニードルとなると、数個同じキャブがあればまだしも、調整範囲は大幅に増大する。雑誌とかで公表しないのも、雑誌の通りに読者が行ったとしても結果が出ない場合もあるからだろうし、一介のアマチュアが完璧を目指して、など、軽々しく言えないのも同じだ。ネット上でこういった実験結果を発表しているものも少ないのはご存知の通りだろう。やればやるほど本当に気の遠くなるような作業だ。
しかし、今回はパイロットジェットは一定としているのだし、今までの実験である程度のことは出しているから、そんなに苦労は伴わない。
強いて言えば、ノーマルキャブの場合は、メインジェットが簡単に交換できないため、キャブレターのフロート部分をはずすときに苦労するだけだ。僕はタンクを外し、バンドを緩め、ケーブルを外して、キャブの頭を左に倒し、横向きにしてフロート部分をはずしている。慣れれば20分だ。ニードルクリップは右に倒して、シリンダーヘッドから少し外してドライバーでトップカバーを外せばいい。
どうして、ニードルジェットを交換しないか?、これには様々な要因が出てきたからに他ならない。
すでに2001年モデル、しかも400ccだけになってしまっているし、キャブも違うから参考にはならないかもしれないが、現在の円柱形のピストンの方が2000年モデルまでのフラットピストンより対処しよい。ライディングスポットさんも言っていたが、BSTのノーマルキャブレターで、厳密に言うと、クリップ下の合成樹脂製スペーサーワッシャー自体の厚みが異なるだけでも変化するのである。通常のVMキャブのニードルなら、クリップそのものがピストンの凹部分にピッタリ収める方式だから気にならないだろうが、こんなことでも、この樹脂ワッシャーを削るなどに至ると気が遠くなってしまう。
作業を終了して走ってみると、
プラグは灰色になっている。プラグ自体の温度、シリンダー(ヘッド)の温度も以前より低い。2000回転辺りから急激にアクセルを開けると、「ボボボボッ・・・」と回転が上がらない。明らかに空気の流入不足である。どうやら、先に記したように、パイロット、メインの各ジェットの働きは急激なアクセルワーク以外では順調だが、厳密に言うと、どうも荒い混合気が迷走しているのではないか、と思われる。
いわゆる、ダイノジェット風の改造によって、VMタイプのキャブに近くなっているからだろうか、空気の流入量を多くしなければならない。SU(CV)のキャブでは、コンスタントベロティシー、つまり、混合気を送り込む条件を常に一定保つように作動する仕組みだから、僕の改造したキャブでは、そのバランスが狂っているのは言うまでもなく、ガスの流入が増えても空気の流入が増えなければ、排気に対して吸気(混合気)が追いつかなくなる。そのため、ガソリンの粒子はともかく、荒い混合気が残ってしまうことになるのではないか、と考えるわけである。
その上に、別項のブローバイガスの問題も関係がありそうだ。この項を一読願えれば状況はお分かりになるだろうが、温かいブリーザーからのガスがフレッシュ空気の前に入り込むわけだから、この時点でフレッシュとは言い難いし、キャブレター後の混合気もオイルが混入していることは明白だ。エアクリーナーエレメントのオイルをK&Nとか、ツインエアーに変更するだけでも変わるのだから、シビアに考えると、エアクリーナーボックスを外してやった方が確実に効果が出るはずである。
理論と実際、試しに今開けているエアクリーナーボックスカバーの後ろの穴を全て連結することにした。調整の手前、永井モータースのK君にハンドジグソーでカットしてもらい、僕がヤスリで仕上げる。再び、装着して走行テスト。今度は少しもたつくが、ボボボボ... 、というものは消えた。
ノーマル状態ではマフラーで押さえつつ、サブチャンバーで排気効率を高め、比較的薄い状況で吸気をまかなう。しかもラフに操作してもエンジンが止まらないSU(CV)方式のBSTキャブレターを装備して、一定の高性能を出しているのが現在のSRではないだろうか。
クワイエットコアを外すと、また狂う。メインジェットを#180にするとまた狂う。一応、BST34と、ホワイトブロスのスーパートラップで、エアクリーナーボックスを装着しての最終セットぐらいだろうか。
と感じながら、もしかして... 、と思い、再びメガトラップに着目して装着したのだが、これは次回に回すこととしよう。それに、一時期調子の良かったノーマル電極のプラグのこと、SRに対してのオイルの品質の件など、まだまだ終わりそうにもない。
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