2002年5月5日
天候の関係から本日テスト走行も兼ねてプラグの点検をする。先に言っておきたいのは、キャブレターはノーマルのBST34の負圧関係に手を加え、若干アクセルに対するレスポンスを向上させている。点火コイルはオレンジブルバードのスーパーサンダー(現在はディスコン)にしてある。キャブセットは#47.5のパイロット、#185のメインジェット。エアクリーナーカバーには空気取り入れ口が開けてある。ホワイトブロスのスーパートラップ仕様のままである。 どのように走行してもプラグは写真のような焼け方を示す。煤けたところは排気側である。プラグをどのように変更しても変わりない。不思議なことが起こり始めているのではないか。 その日の夜、疑問を纏めてみた。そろそろSRも止めようか、そういった感覚が支配し始めて来だしたのも事実だ。トライアンフに比べてなかなか結果が得られない。今回の状態に対しても、どーやったら、どーいった結果が出そうだ、ということがなかなか纏まらない。 そういった中、保管しておいた最初の3インチスーパートラップを引っ張り出してきた。今のモデルがこれほど丁寧に作られているかどうかは別として、自作のエクステンションパイプがヒントとなった。(このことが新たな疑問になるのだが。) 再び点火プラグの点検を始める。まずはどのプラグでも排気側が煤けているのは、排気の流れが悪いから?、あるいは吸入側が濃いから?の二題がヒッカカル。 とりあえず簡単にエアクリーナーケースカバー(キャップ)に開けた穴をガムテープでふさいでテストすればいい。こういったことから始めてみよう、というところで本日は終了。明日は早朝から少しずつやることとしよう。雨模様の天候は待ってくれない。 |
こういったことがリモーションのマフラーに交換しての最初の印象であった。なーに、簡単なことさ、スーパートラップであれだけ苦しんだのだから気にすることもありゃしない。とりあえずは、白っぽいところを黒くするんだし、燃えていないところを良く燃やすようにするのが最初だ。
のんきに考えて、翌日のこと... 。
2002年5月6日
午前7時20分から作業開始。ガムテープでエアクリーナーボックスの蓋に開けた穴をふさぐ。とりあえずは吸入関係は手を入れていない。いつものテストコースに入れる。走行上何ら変化ない。当然帰ってきても点火プラグの状態は同じだ。 次はメインジェットを#185から#175に下げる。結果は全体のくすぶりは小さくなったが、体制に影響なし。若干プラグの先端部がおかしい。かなりアクセルオンの時は良好に燃えている、ということだろう。 もしかして火花が強すぎるからこの現象が出るのかもしれない、と考えてスーパーサンダーをノーマルのコイルに戻し再びテスト。振動が若干減る。プラグには何ら変化がない。次に思いついたのは6番のプラグで先端が白っぽいということは、解決策にはならないだろうがプラグを7番に上げてやってみてはどうだろう、ということだ。 すでに3回も同じテストコースを走っている。すでにお昼を過ぎてしまった。雨が降り始めたので、鳥越峠を越えて戻ってきた。結果は変化なし。そんな馬鹿な。結果を予想しての対処、その結果が得られないのだから、フィーリングも何も頭の中から消え去ってしまっていた。一体これまでに費やした時間は何だったんだろうか?。バカげた自問自答を繰り返している。 小雨が降り始めたので遅くなった昼食を摂ったが、外が雨模様になったのも手伝って、今日はこれまで... 、と、間もなく30分ほどウトウトしてしまった。 フッと目が覚める、昼寝の効果からか若干すっきりした頭をフル回転させる。降っていた雨も上がっている。今しかない!、とテストを再開する。 これまでのことを少し纏めると点火系、排気系はあまり影響はない。すると吸入側だ。プラグの焼け方からすると、下が濃くて上が薄いということになる。これまで行っていたテストの主眼である空気の流れ、燃焼ガスの流れはそんなに関係ない。マフラー購入の際、リモーションとの話で「ノーマルのままでも行けます」と言われたのを思い出した。 そうか、今の状態はとにかくホワイトブロスのスーパートラップ仕様に合わせてのセッティングだ。言葉を信じてノーマルと大差ないリモーションのマフラーならストックに近いところまで戻そう。とりあえずは#45のパイロット、#165のメインジェット、スクリウプリセットは2回と3/4戻し、点火コイルもスーパーサンダーに戻すこととした。作業開始。手慣れたもので20分で終了。 若干途切れた交通の流れ、テストコース1周30分の走行の後、帰ってプラグを見ると、見事に突出碍子の部分の全体が白く焼けていた。ひとまずはOK。 まずは、燻ぶったBPR7ESからだ。若干良くはなったが、やはり7番では今の吸排気系では無理。次いでスプリットファイアーのSF-426C、これもなかなかいい。力強さはピカイチだ。次はBOSHの中心電極がシールドされた6番相当。これもなかなかいい結果を得た。 このことから、とりあえずは新品のBPR6EVXを装着してしばらく使うこととした。 ここからが本来のセッティング作業になるわけだが、本日これ以上は僕の精神力が持続しない。 時に午後5時20分。テスト項目7、タンクを外したこと2回、テスト走行8回(内テストコース7回の走行)、走行距離154kmに及ぶ。流石に疲れた。 |
2002年 5月11日
相当に気が重い。二日酔いとかそういった類のものではない。どれだけバカやって、というか、こうやれば、こうなる、が全く見えなくなってきている。6日のテストの結果から、実は新たな疑問も生じてきているのだが、これはここではやらないこととしたい。 何しろリモーション側の言った「ノーマルのままで行けますよ」という発言が頭の中から離れないのである。こういった頭の隅から離れない言葉などは半年過ぎようが一向に消えやしない。 前回最後に交換したBPR6EVXの状態を兼ねてのテストを行う。なかなかリッチというか、いい気分で走っていた状態での走行だったが、水分(みずわかれ)の手前でストップして塞いだテープを取り去る。あれれ、振動とかそういったものが増えてきたぞ。こんなことがあるんだな。が、これがダクトを切ったことに原因があるのか、キャップに開けた穴が原因にあるのかは不明だ。しかし、空気の流入の変化は確実に結果に現れる。が、本来は上下左右均等に空気取り入れ口を設定しなければならないのは言うまでもない。その点K&Nのフィルターはなかなかのものがあるように感じるし、純正のダクトが結構空気の流入を考慮してあることに気付く。 帰宅前に、発注しておいたキャップとダクトをオートショップワタナベで受け取って帰宅。 ダクトの取り付けには、ボックスとの合わせ目を一致させるのに苦労した。落ち着けば、再度はずして最初のように接着するのがいいようだ。昼が近いのだが、今日は朝食も十分に摂っているし、このままテストを続けることとする。 またもやリモーション側の言った「ノーマルのままで行けますよ」が頭を持ち上げてきた。 そうだ、最初のSR500に今は会社が無いけど、スポーツショップヤジマの3インチロングスーパートラップを取り付けたとき、説明書に「キャブレターなどに手を加えないでください」というのがあったのを思い出した。その時はXT500のVM34のキャブを付けていたが、ストックのSR500用の加速ポンプの付いたものに戻して調子が良かったのだ。 ということは、今回のリモーションのマフラーの場合でも「ジェット関係も元に戻した方がいいのではないか」、メインジェットなどわずか今の#165から#2.5下がるだけの違いだが、SR用に#162.5などというものをセッティングしているということは、何かの確証があるに違いないのではないか。午後はこの辺からやってみることとしたい、として遅めの昼食を摂る。 メインジェット#162.5、パイロットジェット#45、スクリウ戻し回転2回と1/2のプリセット。吸排気系はマフラー以外キャブの改造を除いて全てストック状態になった。 本来の確認の意味合いを込めて、テストコースへ入れる。走り出してすぐ調子のいいのにびっくりする。ピックアップはいいのだが回転の上がりが緩やかだ。これはキャブの特性かもしれないし、マフラーの特性かもしれない。水分の下りでもバスバスッという音とババッバという音が出る。これはビッグボアのシングルではある程度仕方のないものかもしれないな。もちろんパ〜ンという、明らかにガスが薄いとか点火時期が狂っているなどの症状を示す音は出ない。 快調な気分で帰ってきた。もはやプラグを見るまでもないだろう。 相当に疲れている上に、言いようのないつまらないものが僕を支配し始めた。つまり「今まで何をやっていたのだろうか?」ということである。あれだけ入れ込んでいたSRのことがガタガタと崩れ去る思いがしだした。もちろん、これが僕の思いをクリアーできた完全なリザルトではないのは事実だし、かえって疑問が広がったというのも事実である。 |
次なるテストを前に
その夜、どちらかというと打ちひしがれた気分に陥ってしまった。はっきり言って「今まで何をしていたのだろうか?」というものである。次々と苦労したあの頃のことがずっと頭の中を巡って来だした。ノーマルに戻しての良好な結果なんて、消え果てていた。
早々にシャワーを浴びて酒道場で酎ハイを2杯あおって、次なるスナック「ゆめ」の開店5周年記念の席へ出かける。ここのママさんに特別にお願いして、サントリーのスペシャル・リザーブの空き瓶を取っておいていただいて、現在のロイヤルをその中に移し替えさせてもらっている。そう!、スペシャルリザーブの瓶のレーベルには「SR」の文字が入っている次第。そういったわけでのことだ(爆)。
本日はさっきまでのテスト結果からと、酎ハイ2杯でもう何ともいえない気持ちになって、ハイでも何でもない気分だ。同級生のY君、Oさんと合流して、少しは気分が良くなっては来たが、僕は水割りを4杯ほど開け、お唄いを数曲やって散会、帰宅する。
本当にSRはこれで良かったのか。何かおかしい。
翌12日、午後からSRを出して宇和から、歯長峠を通って、三間、広見を走らせる。ほぼ満足だ。しかし、あまりにノーマルすぎる。若干マフラー内部が馴染んできたのだろうか、ポンポンという音が大きくなる。SRの排圧はトライアンフのごときではない。相当に強い。それが一次アクセルオフで減速すると悶絶状態からの解放とばかりにバッバという音とともに改造したキャブからの混合気が異常燃焼するような感じになってしまうのではないだろうか。ガスが薄いために出る音ではない。明らかにマフラーの容量不足であろう、と推測した。
そして、多くのリプレースマフラーが短いタイプを採用してはいるのだが、その時に装着するエキゾーストパイプ部分の長さが微妙に関係あるのではないか、という3インチスーパートラップを使っていたときの疑問が持ち上がってきた。
そして、今のキャブセッティングで、再びホワイトブロスのスーパートラップを装着するとどうなるのだろうか?。思わずこのような数種の考えが浮かんできたのである。
次のテストはWBのスーパートラップを装着してみよう、とした。
2002年5月16日
午後1時、リモーションのマフラーからホワイトブロスのスーパートラップ(以下WB)に変換してテストを行うために、早速作業開始。もしかして?の確認のためというと聞こえがいいが、これまでの経緯を思い出すと何となく後ろめたい気分もしてくる。 まずは、リモーションのマフラーを取り外す。純正のエキパイを外したとき、カーボンなどの着き方から良好な燃焼であったことが伺える。一部に調整ミス、各パーツのエンジンに対してのフィッティング状況などを煮詰めていないが、まずは調整が比較的簡単なリプレースマフラーとうことは確認できた。 WBは前回の装着状態と大差はないが、トルクバルブの装着状況が少しばかりアマイために、エキパイ装着用プレートとエキパイとの間隙が均等になるよう仮組みし、リアステップ部分を動かない程度に止める。その後、エキパイクランプを均等に閉めた後、リアステップ部を確実に止めOKとした。 マフラー慣らしのために宮下方面へのショートテストコースへ。
缶コーヒーを飲んだ後、青空工房再開。通りがかりの人が怪訝な顔で僕を覗く。若いのにズルこいて、と言わんばかりに。れっきとした有給休暇を取得してんだ。お前さんに関係あるか、って〜の。そんなことはどうでもいい。
この状態で再びテストラン。時刻は午後4時をはるかに越えている。これ以後はウィークディでのこと、帰宅の自動車でテストコースは満足に走れないから、今日のテストは最後だな、と感じる。おまけに雨も感じるようになってきた。
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ここまで申し上げると、リモーションのマフラーのテストをWBのテストにすり替えをしたのではないか、とおっしゃる向きが多いだろう。そうかもしれないが、実はエポックメーキングだったんだ。その裏には後述の難問が控えているのだが、リモーションのマフラーを装着して確認が取れた結果をフィードバックしてみたこととして理解願いたい。
ベストではないが、下記のデータをストックのSR500にWBのエキゾーストシステムを取り付けたときの参考としていただきたい。
○スタータージェット#45
○メインジェット#165
○スクリウ戻し回転3回と1/2〜3/4
○スーパートラップのディスク8枚とトルクバルブ
話を再びリモーションのマフラーに変更することとした。WBの途中装着はいずれにしても仮のテスト、結果はエポックメーキングというものである。車検も近いし、何とかエキゾーストノートの音量も若干なりとも下げたいし、本当の意味でのマフラー然としたマフラーとして、リモーションのマフラーがとこまで僕の要求を受け入れるところまで持っていけるか、このテストを行わないと、主題からずれてしまう。
5月25日、午後から再びリモーションのマフラーに変更した。残念ながら永井モータースのK君が会議のため不在だったから僕だけでキャブのセットを行わないとならない。ここが結果を唯一上手いところへ持って行けないところである。とりあえずはWB装着時のままのセットとした。
若干の不安は残るが、まま、このままで乗れる状態とした。明日はこれで松山まで出かけることとした。しばらくはこのマフラーで遠そうと考えていることもあって、何とか結果を出すことが出来て安心してはいたのだが...
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2002年 5月26日
最終確認のつもりで県のオリエンテーリング総会に主席する手前、松山まで走らせる。昨日までに最終仕上げを行ってある。 午前7時出発。比較的気温は低いが、昨日同様にからりとした晴天が期待できそうだ。SRは昨日と同様に始動し、1分半のウォーミングアップをして走らせる。途中、高光(たかみつ)のローソンで買ったサンドウィッチを宇和の運動公園でパクつき、最初の難関、大洲道での高速テストだ。 入りはいいが出口手前でパーン、パンと大音響が響きわたり、にわかに赤面してしまった。幸い後続の自動車がいなかったからいいようなものの、多いに困ってしまった。一般国道56号線へ入るときも妙にバス、バスッと鳴る。どうしてだろう。ま、気にせずに走ろう、としたが、原因究明の脳味ミソのどこかの回路が動き始めてライディングに集中できない。 新谷(にいや)を過ぎた辺りから普通の走行になって数台の自動車の最後尾に陣取る。これは前車との車間距離だけ気にしていればいいので楽だ。が、僕の後ろにハシ痒いのがいると、すぐさま割り込みをしてきやがるから、後方も一応確認しておく必要がある。このように五感を働かせなければならない上の原因究明だ。 ふと思いついたのは五十崎(いかざき)手前の広い下りだ。ここでも少しばかりパンパン鳴る。全閉にしていないぞ、どうしてだ?。おまけに燃えづらいハイオクを入れているのに?。まさか?。U-マグが逆に働いているのではないだろうな、と思ったのだ。もちろん、U-マグは燃料の道に地場を作ることによって燃料の噴霧化を促進、空気中の酸素との接合面を大きくすることにより、完全燃焼を促進させる、というものであった。 しかし、これはどうもキャブレターまでの燃料供給経路が長くなければ、なかなかうまい具合には働かない。そういえばキャブレターまで6cm以上離れていることが必要と記載があった。SRのストックキャブの場合はギリギリの距離だ。それ以上にすると、燃料タンクまでが近くなりすぎるし、上手くキャブに燃料が導かれない。 そのU-マグが逆効果というのは、キャブレターが負圧のタイプだから、燃料必要量がアクセル開度どおりにはならない。したがって空気との結びつきがよくなるように、キャブレターで混合気をつくる前に霧化が促進されてくると確実に希薄燃焼になるのではないか、と考えたのだ。もう一つの理由はミクニ、ケーヒンのキャブレターが持つ固有の特徴に微妙に作用するのではないか、ということも含まれる。ミクニは混合気の流速を優先し、ケーヒンは霧化を優先する、といったことなどだ。これが影響していることは確かであろう。 そういえば、VMキャブレターではこれがU-マグ独特のいい面での症状として現れやすいし、特に燃料をフロート室の下方から注ぐタイプでは有効になってくるだろう。同様にツーサイクルエンジンだと、いきなりシリンダーに混合気が送り込まれるし、ピストンリードバルブなどの吸入システムでは、キャブのフロート部分はクランクケースの真上だから、U-マグにとっては打ってつけのシステムであろうことは僕の考えからも、ネット上でのヤマハR-1Zに装着しているユーザーのレポートからも性能アップの確認は明白だ。 これらのことが数分の内に考えとして纏まり、中山の紅葉谷でU-マグを外した。キャブレターのスクリウをわずかに開く。再始動して驚いた。何とアイドリングがメチャクソ安定しているではないか。スクリウも締め込みの反応に敏感になっている。今までは上がったら上がった、下がったら下がったで、その中間というのが出しづらかった。 ま、往路はそれなりの成果を上げて松山着。総会も無事に終わって、帰路にかかる。ガソリンが少ない。同じモービルを入れるが、ちょいとヒントとして、レギュラーに戻しても大丈夫、という結論を導き出し、これまたついでに実験しよう、とレギュラーガソリンを満タンにした。なかなかいいではないか。 帰路も中山でストップして最終スクリウ設定。後はどういうか、カムに乗って来だした、という表現が強い。なかなかの走りをする。アクセルオフはどうしてもババッというビッグボアシングル特有の音は出るが、これはこれで致し方ないだろう。 大洲道も確実にこなせた。出口4000から少しジワリと2000ぐらいまで落としても影響なかった。ましてや下り坂でだ。同じように法華津(ほけつ)峠の下りでもパーンという音は出なかった。 比較的静かな音量をはじめ、リモーションのマフラーに変更していないときまでの総てのことが否定されるような格好で帰宅した。何もかもが間違っていたのか、いい、と思ってやったことが覆されたのかどうか、大きなものが支配し始めた。 |
次なる実験を前に
どうして、SR500/400のBSTのキャブは性格が悪いのだろうか。こと僕の場合は、いつも穏やかなはずのSU(CV)キャブが全く逆の支配をしているようでならない。
ご存知のようにこれはヤマハセローにも使用されているキャブだ。口径は違うかもしれないが、機能は同一である。ダイノジェットもこのセロー用はあるが、SR用はない。このことをリリース先に問うてみたが、「SRがこれだけ売れるとは思わなかった」とSRのことを評し、次回はリリースしたい、とのこと。その後2001年モデルが違うキャブでリリースされたから、ダイノジェットもSR用の旧BSTのこよは知っていたのかもしれない。
僕自身は、こういったSU(CV)のキャブは暴れるエンジンをある程度押さえることに対しては非常に有効であることはXS650の時から知っている。それ以来、現在のXJR1300にしてもこの手のキャブレターを使用している。
が、その手のキャブでもSRに対しては失敗であった。少なくとも500にはだ。「えっ、どうして?」と思われるだろう。そうなんだ。この答が明確に現れるまでにはTMRがSRにニアフィットするまではダメだろうが、BST34がもっている問題の根本はこのキャブが持つフラットスライドバルブにあるようでならない。
2002年 5月31日
この間から5日が過ぎた。間もなく僕のSR500は6年目を迎える。外観もずいぶんとくたびれて来だした。掃除をする暇がないほど乗りまわしている。最終確認の後、どうもおかしいところが見受けられる。確かにいい状態で速い、と感じる。が、落ち着きが一切ない。こういったところを何とかしなくては... 、と感じて作業を行った。 まずは、スタータージェットを#50に上げてみた。すごい感覚で突っ走る。が、直ちにしっぺ返しだ。プラグは真っ黒、カーボン一杯。スクリウ戻し回転なんぞ無視されてしまう。 急遽#47.5に落とす。必死になってスクリウをいじるが、どんなにやっても下がる位置は分かるが、上がる位置は一切ない。不思議な現象だ。とにかく走るが、帰ってきても何とも不思議な気分で、これ以上乗る気にならない。 頭の中真っ白。マフラーの状態とかそういったことは全く変化がないのに、とにかく何かがおかしいのである。サッカーのワールドカップの関係で、残りは明日回しにした。でも、一向に眠れない。身体は疲れているのに頭がモヤモヤしているのだ。当然、考えも纏まることはない。 |
このことは一応おいといて、僕が僕のSR500に求めようとしたものは何だったのか、マフラーにフィットさせた速さが主になってしまって、もっと違うSR独特の「何か」を全面に引き出すことを主眼においていたのではないか、をすっかり忘れていた。その「何か」は一概には言えない。400の完成された良さではない、もちろん荒々しさでもない。ガンとして受け付けない500固有のものをある程度殺し、そうではないものを全面に出す、そういった方向付けをしていたわけだ。それをすっかり忘れてしまっていた。
今回リモーションのマフラーを再び装着してみて、いろいろな結果を得た。しかし、忘れてしまっていた何かを今出しておかないと、ノーマルに戻すこと自体は僕としてもナサケナイ、と感じて再び最初からやってみることにした。
2002年 6月 1日
昔の写真とか資料を引っ張り出す。色々見ていると、どうも大半のSRはマフラー交換とともにキャブ交換を前提としての性能アップ(と思う)カスタマイジングをしているように思えてきだした。 はっきり言って、僕はそういった気分からカスタマイジングをし始めたわけではない。何らかの策を講じて、ごく普通のSR500を少し自分流に、というか、僕用のSR500にしようとしたからだ。最初にやったのはマフラーの穴開けから確認し、スーパートラップならと思い、ホワイトブロスのをチョイスした。カンリンの重量フライホイール、ダイシンの乾式クラッチなど、乗りやすいSR500を目指していた。 ホワイトブロスのスーパートラップは一定成果を収めたが、その音が何ともしがたかった。それでリモーションのマフラーにした。が、ここから思った結果が出なくなった、というのがこの項の疑問が生じた最初だったろう。 そういった資料を見ながら、僕の思いをこのBSTのキャブレターで実現するためにはどうすればいいか、最初から見つめ直してみた。 まずはキャブで触ったのはダイノジェット風の改造だ。この改造は一定成果を出した。このことをすっかり忘れていた次第。で、最初の状態でリモーションのマフラーに変更して、テストした結果、メインジェットは#165、スタータージェットは#45でやったときがよかった。もちろん、スーパートラップでもこの組み合わせが一番だった。
午前9時出発。そういえば腹ごしらえもまだだから、ローソンでサンドウィッチを買うこととして、そこまでの数キロを最初の確認。そこでまずは1/4回転開く。ままよろしい。
歯長峠へかかる前に、プラグを改造したスタンダードのBPR6ESに変更した。途端におかしくなる。おかしいと言っても下りでバスバス音が大きくなる。三間へ入る前に元のBPR6EVXに交換する。おかしいことだがバスバス音が少し穏やかになるんだ。この辺のところをストックのSR500では一切出さない。出たとしてもパスパスという音にしかならないのだから。
走りながら考えていたことは「音」である。そのサウンドというのは、速い方向に調子が向いているとマフラーエンドの方でパッパッパッパという音が出る。これはこれで3500回転以上回し続けるのならいい。が、2000回転ぐらいでは何にもならないほどダルだ。
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テスト結果から
リモーションのマフラーから学んだものは何だったのか?。最大の収穫はストック(ノーマル)の素晴らしさだ。このことは確実である。一方WBをポン付けで、あれだけの変化があったのだからWBの性能も認めざるを得ない。スーパートラップ自体がリリースしているスリップオンはリプレースマフラーとしては合格点が与えられるが、排気システムづくりからするとWBの方が一枚上手ではないだろうか、と考える次第だ。
ただし、僕が今回までテストした結果でもお分かりのように、VMキャブ時代のSR500になら、こういった結果以上にいいものが出るはずだし、400にこの結果が合致するとは考えられない。悲観ではなく、400の場合はもっと簡単に性能アップが図れるし、もっと突っ込ましていただくと、問題対処も簡単なのではないか、と考えるのである。それだけSR400は完成されたモデルである。
最後の最後で補機類のことも考えさせられた。はっきりしていることは、シグマエレクトロニクスのボンファイアのようなコンデンサーの逸品が出ないことにある。もちろん、専用設計となれば話は違うが、ボンファイアーは汎用である。にもかかわらず、少なくともイギリスの車用のポジアース用に特別設計になっているものもあるのだ。こういったものがほしい、と思うのである。
もちろん、ハスコーが一時期出していた「ガンスパーク」も惜しまれながら消えた。原因は全てに渡って性能アップにはならなかった結果が存在したからに他ならない。90%よかっても10%良くなかった、とすれば、それはそれでハスコーとして判断とすると、謳い文句に合致しないから製品の生産をストップしたのであろう。
今回はU-マグをはずして結果を得たが、U-マグそのものの性能は十分認識しているし内容も理解できるが、ことSR、僕の持っているSRにはフィットしなかった、ということだ。
新たな疑問に対して
しかしながら、XT500からSR500に乗り換えて以来僕の頭から消えないものがある。XT500はオフロードモデルということと、電装が6Vなどという少しの問題点を除いて、非常に完成されたビッグシングルだった。あのとき、もし同じエンジン形式でXT400が出ていれば、今のSR400の状況は変わっていただろう。その後もテネレのXT600がSRX6として出た。いずれもエキゾースト関係は非常に大きい容量のチャンバー部分を持っている。ここに注目すべきだろう。SRX用にヨシムラはサンパーというエキゾーストシステムをリリースしたことがある。もし、SRX6のキャブレターをツインにしなかった場合、マフラー変更後のセッティングは相当苦労されていらっしゃるのではないだろうか、と想像する。
僕はここが疑問なのである。その疑問は単純に、SR用ヨシムラサイクロンのエキゾーストパイプ部分がどうしてあのように長いのか?、であり、もう一つはSR400/500のマフラーにはどうしてサブチャンバーが装備されているのだろうか?、ということである。
この疑問に対しての明解な答とか考えを持っておられれば、おそらく国内で販売されているリプレースマフラーはSR400を対象にして開発されている、ということがお分かりになるはずだし、わずか100ccの違いではあろうけれど、僕のレポートでも出したように500と400では全く違うオートバイなのだ、ということに愕然となるのではないか、と考える。
やることは分かっているのだが、「モノ」を作ってくださるところが今のところ見つかっていない。この「モノ」に対して数千円も出費するのは少々考えものだ、と僕は思っている。とりあえずは、現在のままで車検を取って、このことは、この秋頃までにはレポートしたいものだ、と考えているが、ストックのマフラーに変更すれば、こんな疑問は即座に忘れてしまうのも事実なのだ。
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