純正48Uのシートを取り付ける
 ときは10年前にさかのぼる。今のSR400/500の形になる手前、ソニー出版からSRのムック本が出た。ドイツ仕様のSR500でスコットランドを走って云々のグラフィックが最初にあった。ライダーは現在でもBSA-SRに乗ってらっしゃる小野カツジさんだった、と記憶する。
 
 そのとき、こいつはいいなーとドイツ仕様のSRをうらやましく思った。それからしばらくして、ドラムブレーキになったモデルが国内販売されるわけだ。当時はディスク関係が今のように高性能じゃなかったんで、同等の制動力ならドラムでも差し支えないし、ハンドル回りがシンプルになる、というヤマハのもくろみだったのかもしれない。

 僕も4年間にようやくSR500を購入したとき、これらドイツを含めてヨーロッパ向けのSRの資料などを何とか入手したいと考えたが、いつものように、ここら辺ではそういったことをすること自体無理、ましてや少数派のSR500だ。たとえ400であっても、オーナーはもっとアフターマーケットのパーツを取り寄せるに違いない、と思われたんで、パーツナンバーの最初の三桁でSR関係のものを価格表から引っぱり出すという、気の遠くなるような作業を自分でやった。

 そういった中で、最近ジワリと人気の出てきたXT500のマグネシウム製右クランクケースカバー一式は何とかパーツとして取りそろえることができることも分かった。が、SRに限るとおおよそ48Uがそれであるということが分かって、取りそろえるものは入手できた。エンジン内部では圧縮比の少し上がるピストン、車体ではリアのアルミ製フットレストベース、フロントフォワードステップなど。完全なパーツリストが無いため不明となったものは、テールライト周りだ。これは現在のようにモドキとしている。

 その中で少しだけ高価なものとして、シートがあった。どうせベースが鉄板であろう、と想像していたので購入はしなかったんだが、ワイズ・ギアがSR発売20周年記念のシートを出したとき、再び意識したのだが、どうにも白のパイピングが気に入らず、購入は断念した。そのかわり48Uのパーツナンバーはしっかり控えていたんで、いつでも購入可能の状態にはしておいた。
 僕が抱えているローン関係が少しずつ完済できて来だしたので、5月の末にようやく純正の48Uシートを購入した。が、箱を開けてびっくり。
 
 ●シートベースが樹脂製でシートも軽い
 ●ガソリンタンク下のダンパへインサートするブラケットがない
 ●アセンブリといいながらパーツが取り付けられていない
 ●どことなくパーツ関係の取り付けが違う

 と、こんな調子だ。ダンパの関係は今のシートに装着してあるものをはずして取り付ければいいが、ブラケットだけはどうすることもできない。関連の2J2、1JR、3GW、「ブラケット・シート」の名称などで徹底して探し出したがダメだった。
 で、困ったときはSR I.O.Aの関係からしてオレンジブルバードさんに相談する。祈るような気持ちでフリーダイアル。結果は「ございます」とのこと。早速発注をした。たかがブラケットのみ、元のシートからタガネで切り放せばいい、とおっしゃるだろう。もちろん事故車のシートでやりました。が、シートベースと完全溶着になっているもので、はずすことはできなかったんだ。
 パーツとともにワイズ・ギアの取り付け方法シート(コピー)が送られてきた。あれ、もう一つパーツが不足している。さしあたっては必要ないだろう、とパーツを取り付けたシートを置いてみて、こいつが無いとリアフェンダーにシートが当たることが分かった。
 実の所、このパーツはこの間までは捨てるほどあったヤマハのミント、キュートなどのメットイン以前のシートベース下に取り付けてあったダンパラバーなのである。急遽発注をした。
 必要パーツと取り付け方法は次のとおりだ。
 
パーツ 
 ■48U-W2472-00 ダブルシートアセンブリ 1台分
 ■3F9-24748-00 ブラケット・シート 2枚
 ■1L9-24741-00 ダンパ・シート 2個
 ■6mmナット・スプリングワッシャ 各4個
 ▽2J2-24723-00 ダンパ・シート 2個(再利用)
 ▽92990-06100 ワッシャ・スプリング 4枚(再利用)
 ▽97021-06010 ボルト 4本(再利用)
 ▽2J2-24724-01 ダンパ・シート 2個(再利用)
 
 取り付け

 
 以上で終了だ。ものの30分で完了する。
 
 で、困ったことが少々起きる。ウレタンスポンジの調子がイマイチだ。特に表面のタックロール下のスポンジとベースのスポンジの弾性が違うので、表皮にしわが入ったままになってしまう。ベースのスポンジも気がつくとポジションが固定される。
 ま、先に4年間使用したノーマルシートとの比較なので致し方ないが、タックロールのしわには少々閉口する。当然、ポジションも若干の修正を必要とする。僕の場合なら、フロントフォークの突き出し長を短くした。
 シートの高さからか、後ろ部分がフレームの2/3の位置にしか来ないので、フレームがはみ出す。スタイル上は国内仕様のグラブバーが湾曲しているため、間延びして見える。ドイツ仕様では直線状だから日本仕様のウインカーラグに止めるのではなく、フレーム取り付けとなり、精悍な感じになる。
 その他はSR本来のスタイルになって車体そのものがグレードアップしたように感じる。
 機能上からも、シートベースが樹脂製だから、シート表皮の張り替えも簡単だ。エアカッターがあれば簡単に張り替えできるしベースがさびて腐ることもない。あくまで純正のシートにこだわるのなら、サンバーストカラーの限定400ccモデルのデッドストックものをねらうよりいいように感じる。一定用件を満たしていて比較的廉価、後々のシート修正もできる。あえて純正ということにこだわるのなら、この48Uのシートはお勧めである。

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