T-140V考
 ここへ来て、このオートバイへの何というか、いいものめいたものを感じるようになってきた。外観 は相当にくたびれてはいるが、これなどは何とかすれば治る。したがって、気づくところは手を入れるが、いつもはこの汚いというか、年相応の外観を有してい る。
 このオートバイに乗っていて最初に気づいたのは、アルミパーツの国産との材質の違いだ。どうしてバフ掛けだけなんだろう?と感じたが、半年もたたない内 に1円玉のようになってくるのが分かって、大いに安心した。つまり、表面が自然に酸化アルミになっていくからである。シフトのリターンスプリングが折れた ときなど、ギアボックスのカバーをはずしたが、相当に粘りのあるアルミだな、ということが理解できた。
 シリンダーヘッドをばらしたときも同様の感じがした。ピストンがわずかに下がって、シリンダー内壁が見えると、まだホーニングの跡があったり、ここら辺 も相当に気遣いして作られているのだ、ということが分かった。
 よく、ホンだのカブの定義で言われることだが、キックしてエンジンが回るようなら、ガソリン入れればOKの類通り、このトライアンフはそういった世界を 相手にしたオートバイではなかったのか、と思わざるを得ない。
 数年前に点火はボイヤーの無接点トランジスタ方式に改造したが、これとて、現在はダイナコイルだが、コイル如何によっては性能が上がるかどうか、若干分 からないところもある次第だ。
 キャブレターはSUDCOミクニのVM32としている。調整代など34mmの方が楽だったかもしれない。32は明らかに650用だ。
 ま、こういったことから今のこのオートバイがあるのだけど、ここしばらくエンジンを回していないから、またそろそろエンジンを回して何とかしたいな、と いうのが今の心境である。ゴムのパイプ類も相当にくたびれているし、全体のリフレッシュも行うべきかもしれない。幸いにもタンクのリペイントがうまいこと いったので、こういった気持ちになってくるのかもしれない。そう、オーバーデコレートではなく、タンク単体からしたらよくなかった、というべきだったが、 取り付けてみると、上下に高いはずのタンクがそう見えなくなってくるから不思議である。
 で、今のT-100ボンネヴィルのオーナーには少々申し訳ないが、僕はどうも好きになれない。スタイルとかそういったものはいいのだが、どうも全体から 受ける感覚がファットなのである。それが平均の日本人の体格からすると、どうも合わないな、と僕自身は思うところである。
 少しでもそれを解消するためには、少なくともシートのテールエンドをまとめる意味から、オプションのグラブバーは装着すべきと考える。これだけでも大き な違いになることは確かだ。
 女にたとえると、小股の切れ上がったいい女、と紅毛碧眼の女には言えない。少なくともクール・ストラッティンのジャケットのような感じとか、前からはボ ニーという名称からスタイルは分かるが、後ろ姿が粋なタイプの女に見られるようにするための一助としてのグラブバーの装着は大切、と考えるがな〜。
 そんなこと思いつつ、こういった点から、またぞろ僕のT-140Vを触ってみようか、と心を動かされているところである。間もなく2002年12月26 日が来る。このオートバイとつきあって26年目となるところだ。

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