春のBritish Run参加記

プ ロローグ
 12年前になるだろうか、花園村で参加者のノートンコマンドのTさんが宇和島市役所と少し関連のある仕事をしている、という話をしているとき、この手の ミーティングは関西で春も走ってるよ、と言われた。 「いつ頃ですか?」には4月の3週目か4週目だ、ということであった。
 主宰は大阪のNさん。秋の花園村での「英車を愛でる会」に対してはBritish Run=「英車の集い」ということだった。初参加の年、場所は倉敷のアイビースクェア。意気揚々乗り込んだはいいが、帰路は今治から片排状態になって、這 々の体で帰宅 した。あれから随分と時が過ぎた。今年の期日は4月28・29日。香川は五色台だ。
 もう一点、ココでの強烈な思い出は四国自動二輪交友会での一件だ。3月中旬にもかかわらず、我々の後を雪が追いかけてきて、到着後30分を待たずして積 雪が始まる。そのため会場まで来られないライダーも出たとこ ろだ。翌日はグレーダーが出て雪かきをしていたのだから。
 あの時はRD250で参加したんだよな〜。これまた10年以上前だ。

 今年はというと、これまでしばしば記載しているが、僕が4月1日付の人事異動で、これまでと180°異なった職場へ変わったものだから全くオートバイに 手が付けられなかったところだ。
  そういったわけで実際のところはトライアンフの方が調子が良いものの、今回、往復ほぼ500km程度の走行に対して車体各部の状況把握が出来ていない。準 備走行などもやっていないな ど、T-140Vに対してはネガティヴなものが支配しているため、SR500での参加となった。
 かといって、SRに不安がないわけではない。最大の要因は突如滑りはじめる乾式クラッチの状態である。悪いことに参加する前の週は通常勤務に加えて夜の 会議が立て込み、全く休みが取れない状態。SR500は夜間作業をしてまでの整備は必要がないため、ともかくメンテナンスはクラッチのクリーニングとアク セルワイヤーへの注油、各部の作動点検だけに止めるのみとした。

2007.4.28
 出発の前日、孫が3歳になるため、久しぶりに四国中央市小松の香園寺(こうおんじ)さんへ参拝しようと決め、一般路の国道56・11号線を走ることとし た。
 クラッチに異常がなければ、Web上でお誘いがあった、Bike On Dayに参加するため、帰路は高速の高知道から高知県香南市野市の自動車博物館へ行って、高知インターから高知道一本で須崎。それから国道197号線を 通って帰宅する路程をサブ行程として用意した。

 明けて4月28日午前10時、上天気の中、初夏の服装でSR500を走らせる。流石にゴールデンウィーク前半の土曜日だから、自動車が結構多い。知永峠 を下りると早くも渋滞。先が思いやられる。クラッチの頻繁な操作は少々心配だ。
 大洲道を通って一般道へ入る頃、エンジンのオカシイ動きが感じられはじめた。イヤ、異音がするとかではなくって、何というかしっとり感がないエンジンの 周り方なのである。微々たるものだが、速度域が遅いためある程度の速度域を想定してBR7EVXにしていたのだが、中山のコーヒーブレイク場所で、スプ リットファイアのSF-426Cへ換えた。
 ここは松山での用務で出かけるときは随分と止まって缶コーヒーを飲む場所にしていたが、紅葉谷の食堂は今でも大型トラックの客が多い。本日はいつもの時 間より1時間以上遅いから静かである。
 交換後のエンジンは快調。ただし、国道11号線へ入ると少しばかりエンジンがパサつく。この件に関しては後日別項で。
 桜三里の下りは何を考えて運転しているのか解らないオッチャンドライバーのクラウンの走りに閉口。こっちは昼食時間を時間調整してライディングしている のだし、それをわかってくれとは言わないが、信号待ちで前車との間隔が開いて、青信号でザーっと詰めるという走り方はいかがと思う。

 旧周桑のまっすぐの道がわずかに広がり出すと右手に香園寺だ。久しく訪れていないが、いつもどおりの境内だ。今年は春のお遍路が多い。ワゴンタイプのた め団体ではないが、般 若心経も意味を理解して唱えてもらわないと... 。
 聞くうちにお経の声イヤミに感じるのは言い過ぎだろうか。
 参拝を終えて時計は午後1時を過ぎているが、ここで持参のパンでの昼食。上手い具合に自販機でヴィッテルがあったので購入。参拝客の中に城川郷(日本 酒)の袋を持ってらっ しゃる親子連れを見つける。西予市からの方に違いない。
 僕が息子の誕生前、子授かりの何かを求めて香園寺を訪ねてから28年になるんだな、と思うと、この親子連れの親が僕と同じ頃になると、僕自身は80歳 代。 その頃は曾孫の誕生を前にしているのだろうかな、などと考えると何とも時の流れが速いと感じてしまった。

 

 西条から新居浜のバイパスを通る前が込んでいたのを除いて、四国中央市川之江から国道11号線を讃岐路に入る。若干でも走りやすい。しかし、時間が時間 だけに高速へ入 ろうかとも感じるが、とうとう坂出まで来てしまったので、このまま五色台へ。
 ルートを少し間違って「かんぽの宿」方向からだったので遅くなってしまい、午後5時過ぎに到着した。Nさんをはじめ、いつもの面々は見受けられるが、イ ヤに参加台数が少 ない。通常はもう少し多いのだけど、聞くところによると、前週はBMWのミーティングあったりで、やはり本年は曜日の周りが悪いのであろう。昨年は4月1 日・2日の開催で大いにひんしゅくを買った、とNさんが仰ってたから、開催日の設定が難しい年も確かにあるわけだ。

 岡山組と同部屋というのを確認して、即座に入浴。何しろ2日間もお風呂へ入っていない。理由は簡単。昨日は連合地協のメーデー、一昨日は全労済の会議で 午後11時近くまで一杯やってたから入浴することが出来ない。シャワーでは垢が落ちた気分にならないのである。
 さっぱりしたところで懇親会。料理も十分。ビールは久々のキリンクラシックラガー。それに地元金陵の冷酒。これで十分。
 宴席はいつもどおり。オートバイの話をするでもなく、同好の士がココに居る。「オーまた来たな」。あるいは「元気そうでなにより」というのが無言のウチ に通じ合う。これでいいんだ。
 2〜3回来ていると自然にどれがどなたの愛車かなどが自然に解る。このへんのところが1台のオートバイを楽しみや道楽、時にはスポーツライディング、 ツーリングに長年使っているライダーと、数年で他車に買い換えなどを行う方々の違いであろう。逆に言うと、長年楽しめるオートバイも少なくなったのではな いか、とも感じるところだ。ハーレーにしても年ごとのモデルチェンジが激しく、前年モデルが陳腐化するのが日常茶飯事になってしまっているようにも感じ る。
 3月にNさんとお仲間が英国へパーツなどを買い付けに行ったらしく、プレゼントでトライアンフのTシャツが当たった。残念なるかなサイズがS(国内のM サイズ)のため、妻へのおみやげになってし まう。
 高知の御常連Kさんに野市でBike On Dayが明日開催されるがどうか、と訪ねると、時間があれば行ってみるとのこと。高知道を通って南国インターからの道順を聞いておいた。Webでの知人に 会えればいいが、と思いつつ1日を終えた。
 本日の走行282km。

 

2007.4.29
 朝は気分がいい。近くを散歩した後、展望台から瀬戸大橋の日の出前をショット。デジカメではニュアンスが出づらい。こういったシーンを簡単に撮影できる 銀塩カメラが欲しいな、と思ったが後の祭りだ。
 高い買い物になるかもしれないが、6月のボーナスで一般デジカメ的なコンパクト銀塩カメラを購入しておくべきかもしれない。
 クラッチを若干調整しておく。



 朝食はバイキングだが、種類が多い代わりに食する量が少なくなっている。決して食べられないというのではない。原因は4月の月初めからの一変した生活環 境のためだが、少しずつ回復してはいるものの以前のようにガツガツ食べることが出 来ない。
 不思議だけれど食事の時間も長めになって来だした。これも好ましい変化のように感じる。

 記念撮影の後、帰路につくのだが、ここで大あわて。キーが見あたらない!。
 クラッチ調整の後にウインドブレーカーのポケットに入れたのに... 。それが無い。部屋にも無い。途中の道順を回って探したが無い。で、ウインドブレーカーを触ってみると... 、ン、背中に何かあるじゃないか。
 何と、ポケットの縫い目のほつれからキーが裏地のメッシュに入り込んでいたのだ。ホッと一安心。ウインドブレーカーも表地のツヤがなくなると寿命かもし れないな。

 昨日より1時間早い出発だし、海側の道を通って坂出から高速に乗ることとしたのはいいが、ガソリンスタンドの多くがセルフになってしまっている。あそこ しかないな、と高速のランプウェイ手前のモービルで補給。
 初めての高知道。なかなか走りやすい。徳島道に比べると後続の自動車がオートバイにかかってこない。これがいい。
 ところが故障車両が多く、その都度スピードダウンしてしまう。今回はトンネル内でもあったから、スピードダウンに伴って前車との距離感覚に一瞬迷いを生 じる。晴 天時のトンネル内の光量の差から生じるのだろうが、危ない危ない。
 クラッチが若干滑り始める。綺麗にしていたはずなのだが、フリクションプレートのカスが落ちていない。トリクロロエチレンなど手に入らないから、ラッ カーシンナーででもぬぐい取らなければならない。
 昔オーディオの世界でアルコールの不思議として、アナログレコードのクリーニングにおいて、アルコールで は汚れは取れない。単に汚れが異動するだけである、という実験結果が出ていた。現在のアルコール系のブレーキクリーナーは多量のスプレー剤で洗い流さなけ ればならない。したがって、オイル分が付着するとその除去は脱脂以外にない訳だ。

 道を間違ったりして、正午前に野市の自動車博物館へ到着。しばらく参加車両を見ていた。違和感が多い。綺麗すぎる。ことにレストアした車両はオーバーレ ストア気味 になってしまってる。カワサキKA-1などアメリカ仕様だし、スズキのGT-750など、最近ロールアウトしたように感じる。決して悪いとは言わないが、 何かがが感じられない。

 

 その点、H2など、今流のものが注入されてバリバリ走らされている物は好ましいと感じる。
 僕は少しずつやりきれない感じを受けてしまうのだ。

 そのうち、高知のKさんが到着。彼の別体T-120Rは綺麗だが、レストアはやっていない。お仲間のMさんのBSAも同様だ。同じBSAでも西土佐から の参加者は350だ。その350君が、そこで食らいついてMさんへ話しかければいいのに、ダメだ。
 膝をわざと開けたジーンズにスニーカーでは、ゴルディを乗るに際して服装から何か らこの若者は話にならない。Mさんはそういったところが気がかりなんだろう。
 Mさんの500のゴルディ(DBD34)の速さを見せつけられたとき、350の彼ははっきり理解するだろうけど、350には350の良い面が確実に存在 する。すでにキャブ自体もコンセントリックに換装されているのだから。はたして、この350を彼がいつまで維持できる か、こういった心配もしてしまうものだ。
 Kさんが上手いことを言っていた。「綺麗なのはいいが、何というか汚れている部分、さびが出ても性能には影響のない部分などがあってこそ、今を走ってい る古いオートバイではないか。綺 麗な車両でも日常乗って いるという車歴というものが感じられないオートバイが多すぎる。これではダメだ」とね。
 そう、ここなんだ。ここが、H2には感じられるが、KA-1やGT-750には感じられないのである。もし、レストアされてピカピカ車両なら、向こう2 年後の車検時まで数千キロ走って、適度に汚れも出るし、よく乗っているのに綺麗と感じられるようになってくれればいいわけだが、それだけ走らせるとは思わ れない。
 コンビニで昼食を食べつつ、(後で会場にいらっしたことが判ったものの)松山のお仲間を捜したがダメだった。
 今回は第一回目のBike On Dayということであったが、かつて伊予市でやってた、このテのミーティング「モーターサイクルミュージアム」の二の舞にならないよう願って、午後1時 30分、会場を後にした。

 帰路、ここは高知だ。高知市より東側の伊野町から西へ向かって進行しているから、海は左手だ。人間の感覚はおかしなもので、太陽の向こう側にはリバーサ ルの地球 があって... という古いSF映画を思い出した。
 四国では目的地に対して、外周では左か右が海となる。野市から高知へは左手に海を見つつ走る。東から西へ行くには右は山。これさえ憶えておけばいい。会 場への到着が遅れたのは、南国インターを下りてからの路程に愛媛での日常に当てはめて進行したからだった。つまり、通常と逆をついついやってしまってい た、というわけ。
 会場を後にして、高知インターから須崎までは高速を走る。これまた快調。須崎からは国道197号線を走り檮原から鬼北町日吉を通るいつものコースで2時 間の道程だ。檮原から長い県境を夾むトンネルを越えると愛媛県へ。
 日吉の夢産地で「天下のひげ店」のUさんに会う。この業界もなかなか厳しいようだ。ことに宇和島の商店街など、一桁の顧客の動向で店の経営が左右される などが本 当になっているのではないだろうか。
 鬼北路を比較的速い速度で走り午後5時過ぎに帰着した。

 帰着して丸穂温泉へ行く。湯船に身体を浮かべて不思議な現象に気付く。昨日の今頃、五色台の大浴場でノンビリしていたよな、と。
 疲れたときはゲルマンでニラモヤシと一杯。これをやったところ、冷酒が金陵ときたね。ナンダナンダ、この2日間同じことをやったのではないか。違いは何 か?
 そうそう、行きは瀬戸内海。帰りは太平洋。徳島は通らなかったが、四国を一まわりしたんだ。しかもほぼ同じことをして... 。
 人間の不思議な営みを感じつつ2日間を終わった。本日の走行距離319km。燃費は27km/Lであった。メーター誤差があるだろうけど25km/Lは 確実に行く。SR500の隠れた美点でもある。
 
 

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