N-1のディスク1枚

 スーパートラップの4インチ、5インチディスクに関して、Boneの日記でおもしろいことを少しばかり申し上げた。
 いきなり数学から始まって申し訳ないが、「駅からA君までの道のりで電柱が5本あった。電柱と電柱の間隔は20mだ。駅から最初の電柱までは14mで、最後の電柱からA君の家までは16mである。駅からA君までの距離は何メーターか?」という問題に対し、[14+20(5-1)+16]で、答は110mである。この数学で言うところのN-1の計算式に起因する内容だ。
 話は遡って、ホワイトブロスのSR用スーパートラップエキゾーストシステムでは、エンドにアルミのキャップを使用している。僕は違和感なく使用しいていたのだが、どうも音の感覚として「パンパン」というものが強い。そういえば、3インチではエンドキャップがカーボンコレクターの役目を果たしている、ということも一因としてあげられていて、4インチ用のアルミエンドキャップはこの意味合いは成してない(と確信している)。で、ステンレスのエンドキャップに取り替えてみたわけだ。
 僕も当初はスーパートラップのディフューザーディスクに関して、このことに気付いていなかった。おかしい、と感じ始めたのは3インチのスーパートラップ、しかも旧タイプ、ニッケルメッキのディフューザーディスクを引っ張り出したときのことだ。この時代はディスクはセンターボルトだけで止めるようになっていたから、ディスクの安定は現在のボルトの穴と、ディスクエッジにプレスされていた▼の溝の二点であった。僕はこの方法は4インチ時代も初期のセンターボルト止め方式の時でも使われていた、と記憶している。なかなかいい方法でもあったわけだ。
 が、それが無くなった今では、単にボルト止めのバリをディスク間のスぺーサーにい利用している。さいわいなことにアルミのエンドキャップもセンターホールにプレートが溶接されたディフューザーディスクが使われている。したがって、最終ディスクの後もサイドのスリットから排気は出ることになる。メガホン部分のインナーコアのエンドプレートに1枚目のディフューザーディスクが取り付くためこの部分は排気は出ない。SR500の標準であるディスク装着を8枚とすると、次のことが成り立つ。
 まず、1枚目の後にスリット、2枚目の後にスリット、3枚目... 、と数えると8枚目の後はいかがだろうか。先ほどのN-1の計算式と違って、エンドがアルミキャップなら、8枚目の後もスリットは設けられることになる。したがって、アルミのエンドキャップで8枚のディスク装着なら排気スリットも8か所になるわけだ。
 ところが、8枚のディスクを装着してステンレスのエンドキャップを使用すると、最終のディスクのスリット側にエンドキャップがピッタリ収まるようになるから、N-1の計算式のとおり、排気スリットは7か所ということになるのである。
 日常よく乗られている方はお分かりになると思うが、ディスク1枚の違いは大きいものがある。最初はいいがエンジンが温もって来始めると、どことなくおかしい感覚になったりする。SR500でストックのエンジンだったら、6枚でやってみて、どうしても調子が出ない場合は8枚にすると調子よくなることが分かっている。SSTではディスクが若干小さいから9枚が標準とされているようだ。
 同じようなエンドキャップだが、アルミとステンレスでは微妙に方向付けが異なるのである。
 そこで考えを纏めるのだが、「およそ4枚でエキゾーストパイプの直径に合致する」とスーパートラップでは言っている。違うかもしれないが、恒常の使用回転域で4枚のディフューザーディスクを装着すれば、排気面ではほぼ効果が現れますよ、というわけだろう。ストックのエキパイ径を測定したことはないが、長さ、メガホン部分の兼ね合いもあって、SR500は通常では8枚としている。ホワイトブロスのシステムをご覧になれば分かると思うが、インナーコアのエンドプレートの穴の大きさがエキゾーストパイプの穴の大きさに酷似しているのはそのためだろう。ブルックランズの3インチ用エキパイも心なしかその傾向になっている。ところがホワイトブロスではメガホン内部に入り込むエキパイがずいぶんと長い。こういう点もホワイトブロスの考え方の一つかもしれないのである。
 N-1の計算式から始まったこのことも、エキゾーストパイプの直(内)径を再び見直し、マフラー内での排気の反転を含めたマフラー容量、アイドリング時の排気ガスのスピード、5000回転からアクセルをオフしたときの折り返しの排気ガスの逆流速度の変化、マフラー内部のどの位置まで排気をストレートに流すようにしているかなどなど、効率よい排気を求めるのはなかなか難しいように感じる。
 振り返ると、エキゾーストパイプは焼けるが、内径をもう少し太くしてノーマルのマフラーと併せて使用する方が効率としてはいいのかもしれない、と感じる昨今である。

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