燃焼室の怪
1976年春、ヤマハからGX750という今までのコンセプトとは全く
違うオートバイがリリースされることを知り、急遽発注をしました。ツインカム、並列3気筒750cc、シャフトドライブ。概要はこれだけですが、対米仕様
は世界で始めて7本スポークのキャストホイールを履いていました。
入手して以来、凄まじいほどではないのですが、非常に安心できるオートバイであったことは事実です。
ところが、翌年にⅡ型がリリースされたのです。Ⅰ型に比べると、ずいぶんとソフィスティケートされた姿にマイッテしまい、シリーズ化して入手してもい
いのではないか、と考え、購入したところです。
しばらく併用していましたが、結局、Ⅰ型は他人に譲ってしまいました。ただ嬉しかったのは、嫁ぎ先が知人で先輩だったため、次に売るときは私にお願いし
ます、という念書を入れての売却でした。
Ⅱ型を乗り始めて直ぐに、どうも気に食わない面が出てきたのです。それは、何から何までラフであり、1万キロ走行前に、マフラーがボロボロになる始
末。とんでもないオートバイであったわけです。
すでに、T-140Vも手元にありましたし、直ちに、友人に売却しました。それから1年後、売却したⅠ型が戻ってきたのです。嬉しかった以上に、
その堅牢さに少々びっくりしつつ、それから8年間ほど乗ったわけです。
私にはピンと来なかったのですが、Ⅱ型がリリースされるときの変更点を見たときのことでした。燃焼室が多球式になって60馬力から67馬力までアップ
されていました。このことが発熱量の多いエンジンに、2in1と1in1で後部で集合タイプの両出しマフラーがすぐさまボロボロになるのがわかった次第で
す。
もちろん、Ⅰ型のエンジンにⅡ型のマフラーを組み合わせたヨーロッパ仕様は64馬力でしたから、マフラーで効率は結構変わるものだ、ということも理解
していました。すると、多球式の燃焼室の効用はあまり無かったのではないか、とも考えられたのです。
意外に知られていませんが、このオートバイはヨーロッパ向けではあったもののXS850というかなり素晴らしいオートバイに昇華しましたが、国内では再
び馬力ダウンでGX750 Ⅳ型としてリリースされました。Ⅲ型はカラーとハンドル形状が選べなかくなったモデルになります。
おかしな話ではありますが、Ⅰ型とⅣ型がGX750では一番耐久性がある、というのは馬力競争だけが問題ではない、ということでしょうね。
このことから、SRの燃焼室は多球式ではないのか、と一瞬考えたの
です。XT500はイン・アウトとも同じ大きさのバルブですので、おそらく
単球式の燃焼室でしょう。
そうなると、吸入バルブの方が大きいSRは多球式の燃焼室にしているはずです。
私はここに注目したのです。手っ取り早いのはSR400のピストン形状です。このピストンで単球式の燃焼室なら、少々走らないオートバイになってしまっ
たのではないか、と考えたのです。
エンジン自体の形状は同じようですが、XT-500とSRとでは全く違うものなんだ、というわけです。私のようにXT-500に乗っていた古いユーザー
の戯言かもしれません。しかし、2J2のSR500に乗ったときはXT-500を売るべきではなかった、と反省したのも事実です。それほど最初期の
SR500はダメマシンだったんです。
今はキレイな初期型のSR500が相当高価になっています。過去のことがあって、私は乗りたいとも思いません。私の'96年式のSR500でもまぁまぁ
かな、と感じています。オイルクーラーを装着する前までは、エンジンが高温になるとカチャカチャとロッカーアーム付近から音が出ていました。
オイルの粘度を上げたり、STPのオイルトリートメントを添加したりもしましたが、焼け石に水。特にこの地方の夏場は少々ヤバイ事態になっていました。
この状態を長く続けると歪などから、頻繁に異音が出るのは目に見えているからです。そこで、摂氏10℃を超える気象状態なら、SR500にはオイルクー
ラーは必須ですね、と申し上げているところです。
堂々巡りで申し訳ありませんが、これらの推察から、XT-500のシリンダーヘッ
ドを私のSR500に装着したら... 、ということになるわけです。
これからは推論の域を出ませんが、私は非常にフレキシブルで使いやすいエンジンになるのではないか、と考えるのです。
もちろん、キャブレターなどもチョイスすべきかもしれませんが、現状ならCR、FCRが十分にフィットするのではないか、と考えるのです。
今回はピストン形状などには及びませんでした。が、スーパーカブのピストン形状と燃焼室の関係はストックの状態では奇異に感じますが、実際はどうなので
しょう?
こういったところも考えねばならないのではないでしょうか。思わぬところが着陸点になってしまいました。