SR400/500に僕が思うこと

 昨年11月辺りから急激にオートバイのコラムにある、「SR500オーナーよ、奮起せよ」という記事にえらく打たれました、というメールが届く。
 一つにはなくなった(生産中止された)ものへの願望というか、そういった感覚でのもの。これが一番多い。もう一つは時代との整合性の問題。つまり、免許制度で大型自動二輪が教習所で取得できるようになったのはいいが、現実には希望のオートバイは無い、という点に集約される。
 特にSRにおいては400が圧倒的に多く、500は発売当時からでも少数派であった。ドイツで人気が出る前にフランスなどでも400が遅れてリリースされていたが、いくつかの制度上から500の方が圧倒的に多かった、と思う。
 また、日本ではアメリカ向けのものをヨーロッパ仕様に近づけたもの、と解釈できる車体構成であり、当時のモトコでも、リアディスクは暴れて仕方がなかった、という事実を聞いた。最初期型のスイングアームを見れば、リアにディスク用のキャリパーが装着できるようにトルクロッドが上側に位置している。右のチェーンプーラーもガイド付きのものだから、このことは容易に想像できる。
 原型となったXT500と比べると、ヤマハでは更に出力を上げるため、エンジンの吸入側のバルブを大きくし、エアクリーナーボックスも大型化した。出てくる排気に対しては、少々高速型にするためエキゾーストパイプを短めに設定し、マフラー容量を稼ぐためにサブチャンバーをフレームの下側になるように設定している。もう一点大きな変更点は点火システムをCDIとしたことだろう。そして、クランクウェブも大きくされている。
 これらを加味すると、絶対にXT500より強力なロードモデルになるはず、と多くの方々には見受けられた。が、さにあらず。圧倒的に400の方が、当時から良かったのである。同じ時に当時の内田自転車商会のS君が400を購入した。が乗り比べるまでもなく、400の方が安定していたのである。この500のエンジン関係の改良は、ヨーロッパ向けはピストン形状から始まって、対策が多く採られたが、国内仕様はいつまで経っても1E6のXT500のままだった。最終のモデルまでシリンダーとピストンはXT500のままだったのである。そういった意味から国内仕様の500は完全に見捨てられた車種と言ってもよかった、と僕は感じている。
 「SR500オーナーよ、奮起せよ」をホームページに記載したのも、ピストンとかそういった諸々の状況から500は400とは全く異なるもの、と多くの雑誌などで紹介されているが、走っているSR500は全くのストック仕様でのものはなかなかお目にかからないし、記事の内容からすれば現在の時点で400と乗り比べての結果から導き出されたものではない、と思えるため、たまたま僕の思い入れが強くて記載したまでのことだったのである。

 500に乗っていても優越感は全然感じない。それは400の方がストックの状態では速いしクイックだからだ。500に対してどういったことをすればいいか、は僕のSR500を主に、あまりお金をかけないで実施しているところを紹介している。もちろん、カンリンの重量フライホイールなど400に付けると途端に乗りづらくなるのはクランクウェブの重さなどから、400のエンジンが500のスケールダウンではない、と言うことが分かるはずだ。苦しい言い訳だが、500は500なりの楽しみ方をオーナー自らが導き出さねばならない、とも言える。
 乾式クラッチなども、金額はかかっているが、定期的にオイル交換するオイルの働きが純然たるエンジン内部の潤滑系に振り向けられ、中でも駆動系でオイルを一番汚すものが無い状態からすると、この方面では良好な結果から乾式クラッチキットそのものの(ランニング)コストパフォーマンスは高いのではないだろうか。

 一般に、ブルックランズの宮崎氏が言った「1/1のプラモデル」の考えどおり、SRをいじるのは自由だが、関係雑誌もこの面での改造記事も凄まじく、これを手本としたものは、ライダーであるご自身の容姿と、ご自身がライディングして、周りがどう反応するかを全く無視したオートバイが多い。「こいつ、アホかいな?」と思うようなライダー、SRとライダーが全くミスマッチ、という方向が非常に多く見受けられる。そういった方々に限って言わしていただければ、いわゆる日本のストリートライダーなんだな。
 アメリカやヨーロッパのストリートライダーとは少々走行距離、絶対速度、乗っていてのフィーリング感覚は全く異なるものであろう。ダートトラックのレースでも、実際に乗ってみると、身体全体を使っての非常な体力を有しての勝負のところもあるわけだから、その時のシートがいきなりストリートで有効、と言うわけではない。
 ともかく、外装をはぎ取るのは簡単だが、エンジン周りなどにすぐにさま手を入れられるが、元のストックの状態を熟知してからでないと絶対に失敗する。マフラー交換などはもっともたるものだ。どうすれば、軽量化できるか、そして一度に500km程度は無理なく走ることが出来るかなどをもっともっと研究すれば、外観と中身はほとんどさわっていないようでも、確実にそのSRはそんじょそこらのSRとは全く別のSRになってくる。そうすれば、自然にどういったスタイルで乗りたいから、どういった外装パーツをチョイスする。で、同じようなものだったらコスト的に考えたり、安全面、耐久性などを一心に考えて選ぶようになるはずだ。今はそういった方向で記事を纏めている関係雑誌も少ないし、ライダー自身が勉強したりする様子も乏しい。第一に、願望が大きすぎるから、実際とのギャップで悩んでしまうわけだろうか。
 雑誌などで紹介されているものでも、僕が言うような方向付けの記事、内容は全く蚊帳の外におかれているようでならないのである。
 全くのストック状態で4000kmほど走行されれば、何処をどうしたいか、機関の関係はそのままにしても自然とお分かりになる、と確信する。それからことをやろうとしても、今のSRを取り巻く環境なら絶対遅くはない、と確信する。

 奮起せよ、とは言えないが、もう少しじっくりとSRとつき合っていただきたい、と切に願うのみである。特にキャタライザーが装着された2001年モデルからのSR400は不当に低い評価が出されているようでならない。

 終わりに、僕がもしやるとするなら、次のような方法を講じたい。

1.1000km点検まではごく普通に乗る。
2.1000km点検で、オイルフィルター、とクランクケース下部のストレーナーを掃除する。
3.この時にプラグコードをスタンダードの長いものに変更する。コードを後ろ側から行くように取り回しを変更した方がコードに負担がかからずいいようだ。
4.乗りやすいハンドル(ワイヤー類とも)と交換する。
5.フロントブレーキのローターをフローティング化、ホースをテフロンにする。
6.4000km走行時のオイル交換で、サスペンションスプリングを良質のものと交換する。

 この程度で全く最初のSRとは違ったものになるはずだ。マフラー交換によって、いきなりキャブレターをさわって、アフターバーンでパンパン音が出たりして調子が出ない、と悩むより、ずっと得策ではないだろうか、と考えるのだが、どうであろうか。

[もどる]

inserted by FC2 system