スーパートラップのディフューザーディスクについて

 実のところ、この「皿」については、ごく最近まで話題に乏しかったよう に思います。一般に言われるのは、「お皿とお皿の合わせ目には巧妙に検討されたミゾ が出来る。排気はこの間(スリット)から大気中へ放出される」という仕組みであり、「お皿の枚数が増えると、排気が効率よく放出されるため、パワーアップには有効である」と いうものでした。
 当然のごとく、レーシングユースを前提としているために、ストリートセッティングにはかなりの労力を要するのですが、お皿自体の機能はともかく、取り付 け方法などは簡単にとばされているのが現状ではないでしょうか。

 ここに古い4インチのディスクがあります。どこがどうといって、現在のディスクと変わりはありません。が、実際に取り付けると、同じ枚数でありながら、 効率がまるで変わります。

 

 両方のディスクを見比べてみて何か感じませんか?。古いディスクはアメリカで最初のスーパートラップの発売元であるディスコジェットが扱っていた頃のも ので す。SR500への装着は別項で報告しているので割愛しますが、古いディスクには▼の切欠が刻まれています。今ではエンスーには絶大な人気がありますが、 3インチタイプのスーパートラップのディスクに切欠があったのを思い出されるかもしれません。
 この切欠が現実には重要な意味を持ってくるのですが、このことは後ほどとします。もう一点は右の写真のとおり、今のディスクに比べて一回り大きいので す。
 現在のディスクはどうやってディスク間の隙間を確保しているのだろうか?。 素朴な疑問ですね。
 実は、一般的なボルト6本でインナーコアに取り付けるタイ プでは、ディスクの裏側をご覧になるとお判りのとおり、ボルトが通る穴にバリがあります。この部分が、次に来るディスクの表面のボルト取り付け穴にある小 さい段差に入り込むことに よって、ディスク間の隙間(スリット)を確保しているのです。
 そのため、少しばかり取り付けにミスが生じると、ディスク間のスリットの一定性が無くなってしまうことにもなるのです。意外かもしれませんが事実です。 特に生じやすいのが、思いっきり取り付けボルトを締め付けたようなときではないでしょうか。
 これを回避する方法などは後ほどとして、単にディスクを揃えるための▼の切欠が、ディスク間のスリットをホールドするためにあった、とは信じがたいかも しれませんが事実です。
 もう一つミスる要因は、ディスクを取り付けるときに、丁寧にディスクをインナーコアのエンドにあてがって、均等にボルトをねじ込まない結果生ずるディス クのソリなどで、スリットが均一にならない結果になる場合です。

 さて、ディスクは先に記したように▼の切欠があったものが最初でした。おまけにセンターボルトの取り付け方式でしたから、3インチのスーパートラップ で、マフラー容量の不足で不満のユーザーには なかなか好評であったのを思い起こします。
 ところが、その切欠のあるディスクにも、当初はニッケルメッキのものが使用されていました。このディスクもナカナカ仕上げが良好で、好評でしたが、スト リート走行ではどうしてもサビの発生を食い止めることは出来ないため、徐々にステンレス製に替わってきたところです。

 切欠のあるディスクを装備しますと、ヌケが良くなって少しばかり音量も上がります。1〜2枚ディスクを減らすと落ち着くようですが、その頃の状況で各車 種へのディ スクの使用枚数を決定していたわけですから、今の切欠の無いディスクではシャシーダイナモでのテストがベストですが、通常はポン付けを第一として、4枚以 上を基本に実走行などで枚数決定をするのが最適の方法では ないでしょうか。

 無い物ねだりはダメですから、現行のステンレスディスクを使用して、古いスリップオンタイプのスーパートラップを使用して、私なりのディスクの取り付け 方法を紹介することとします。
 過去、何度も付け たり外したりの結果から得られたことですが、これがベストとは言い切れません。この点をご了承ください。


 8枚のディスクを用意します。
 60°(ボルト穴1か所)ずつズラせて重ねておきます。(ディスク裏側の"SUPER"の刻印の次の穴に、重なるディスクのSUPERの刻印の手前の穴 をもってくるようにすればOKです。)


 取り付けボルトを用意し、モリブデングリスを塗布して、6か所 全てに、あらかじめインナーコアのナット部分に2cm程度ねじ込んでおきます。
 特に受けのナット部分がローレットタイ プでインナーコアのエンドに圧入してあるタイプは、長期間の使用でナット部分がポロリと空回りする可能性があるので、その際はタップを立てておく方が良い かもしれませ ん。

 ディスクの表側の取り付けボルト穴部分にモリブデングリスを薄 く塗布しておきます。(スリット確保のバリが壊れないようにするためと、取り付け時にディスク同士の取り付けをスムースに運ばせるようにするためです。)

 最初に3本のボルトにモリブデングリスをねじ山が隠れる程度 で、ボルト全体に塗布しておきます。(先ほどのディスクの穴への処理を行わ ず、このボルト全体にモリブデングリスを塗布しないために、かなりボルトとディスクが 変形する場合が多いようです。)
 60°ずつずらせてまとめたディスクの下側をホールドして、最初に上側の2か所のボルト穴へエンドキャップを通してボルトを少しね じ込みます。
 次に残りの1本のボルトを最初の2本のボルト位置を辺とした下側の1か所の頂点の穴にボルトをねじ込みます。

 注)ディスクの下側をホールドすることと、上2本のボルトをを最初にねじ 込むのは、車体に装着したままでの取り付け時、ディスクの重量を分散均等化するためです。

 最初の3本を止めたのと同様に、残りの3本のボルトを組み付け ます。この時は下側の2本から取り付けます。

 再びディスクの下側をホールドしたまま、アーレンキーの長手方向を使用してトライアングル状に、わずかにガタがある程度までボルトをねじ込みます。 (きつくなったら、必ず次のボルトへ移るようにしてください。)

 


 あらゆるエンドキャップが発売されているため、取り付けボルト の締めつけ順はイラストにしました。
 現在、総代理店的なアクティブの説明の「対角線に締めつける」のとは違い、古いスーパートラップの説明通りとしました。
 私の経験からすると、この締めつけ順の方がディスクが安定して取り付けができるようです。
  規定トルクは0.7kgぐらいで十分ですが、トルクレンチのない場合は、きっちり締まったと感じるところから1/6〜1/4程度締め付けをすればOKで す。
 軽いトルクのため、ディスクの変形は防げますが、数千キロ走行時毎の締めつけ点検を要します。

 以上で取り付けが完了です。かなり神経を使うことがお解りになると思いますし、もしも今のディスクに▼の切欠があったら相当に楽なのに... 、と思われたはずです。
 また、このややこしいボルト装着に対しては、メガホン部分をエキパイから外して、立てた状態でディスクを装着すると、相当に簡単に取り付けできるものだ な〜、と感じら れるはずです。
 また、ボルトの締め付けも、そんなにギュ〜ギュ〜締めつけるものでもない、という理由もお解りいただけたのではないでしょうか。

 次はディスクの耐久性です。おそらく、半永久的に使用できるのではないか、とお思いでしょうが、さにあらず。
 ディスクは消耗品とお考えください。 最初に60°ずつズラせるのは、締め付けのトルク如何によって、ディスク間のスリットに変化が出ることを少なくするためで、取り付け変更を何度となく行う のであれば、各ディスクが元の位置に戻る頃にはディスクを全て交換し てやった方が好ましいようです。
 先ほども申しましたが、今のディスクでは、ディスク間のスリットホールドのためのバリが熱と振動、それに取り付けトルクの変動から減ってくるのです。そ のための方法としては次の方法を推奨します。
 ともかく、取り外した後の再取り付けは、インナーコア側の1枚を一番後ろへ60°(取り付けボルト穴1か所分)回転させてもってきます。
 また、インナーコアのセラミックウールなどが吹き飛んでしまう率がかなり高いため、その交換のため にはどうしてもディスクの取り外し、再取り付けを行う必要が多くなるのではないでしょうか。
 現在、ススだらけで長期間取り付けたままのディスクであれば、掃除がてら点検し、できればディスクを交換されるようお奨めします。

 蛇足ですが、スーパートラップのもう一つの良い機能である、アメリカ森林警備隊が認めたスパークアレスターの目的を果たすためにも、ステンドームのエン ドを使用されるよう、お奨めします。これによって、カーボンコレクトも行えますし、音質も若干丸みのあるものになります。
 もちろん、アルミのエンドキャップにも装着可能です。



 以上、つたない説明でしたが、意外に気が付かないところのポイントとして紹介しました。参考になれば幸いです。

inserted by FC2 system