ドライサンプ考

XS -650Eから
 1972年、前のオーナーが「ぜひ、僕に使っていただきたい」ということでXS-650Eを乗ることになりました。これに手を入れることは凄まじかった です。全てはオートバイのために、という考え方で毎日を生きていましたから... 。
 XS-650Eでどうしてもクリアーできない点がエンジンオイルの量です。当初はセルモーターが付いていなかったので3リッターのオイル量でしたが、E は2.7リッターのオイル量でした。XS650に乗っていらっした方ならお解かりと思いますが、油温がかなり高い状況でのライディングが常でしたので、時 として40番シングルで年間を通したこともありました。そういった状況においてでも吐出量を増大させたトロコイドポンプを装着したXS-650Eでは大丈 夫だったようで、XS-650にもこのポンプが装着されているモデルも存在するようです。
 この点は右のクランクケースカバーを見ればオイルフィルターの取り付けボルトの位置が水平に変わっていることで確認ができるはずです。
 その前に私はメグロのS-3に乗っていましたから、もし、XS-650がCB-750のようにドライサンプなら熱的には相当有利になるのに... 、と思っていました。それほどドライサンプの感覚はなかなか捨てがたいものを感じていたところです。
 XS-650もTX-650に変更しましたが、TXになると、ようやくオイル面でも万全策が講じられてきたように感じました。その代わりエンジンそのも のの出力などは下げられましたけれど。

ウォーミングアップ
 その後、GX-750、トライアンフT-140V、XT-500そして、SR-500となっていくのですが、最近になってふとしたことが頭の中を過ぎり ました。SRに乗っていらっしゃる方は暖機運転なんてやってらっしゃるのだろうか?、という疑問です。
 SRのエンジンの潤滑方式はオイルタンクを別に持つドライサンプの形式であることは確実です。しかし、完全なドライサンプではなく、通常はギアボックス とクラッチ系統は半分程度オイルに浸かっている、いわばハーフドライサンプです。
 オイルタンクはフレームのダウンチューブを利用しています。オイル交換のときにストーンガードとの間にオイルが流れ込むことで閉口されているオーナーも 多いように感じております。そのオイルをトロコイドポンプでエンジン各部に圧送されています。
 私はですね、このドライサンプっていうのはオイルの循環経路如何によっては、エンジン各部に大きなダメージを加えることになりかねない、と思っているん です。ま、SRの場合はそう神経質になる必要もないでしょうが、それでも四輪自動車のように、エンジン回してすぐに走るって行為は避けたほうが良いように 感じます。理由はオイル自体が温もっていないためです。
 で、どの程度の暖機運転が必要か、ということになるのですが、一番良いのはヤマハの指示に従うことではないでしょうか。SRの場合なら、チョークを引い て30秒、1段つまみを戻して30秒。そしてチョークを戻して900回転ぐらいでストールしなければ走らせてOK、ということではないでしょうか。私の場 合はズ〜ットこの方法で行っています。
 難しい表現ですが、これ以上になると、シリンダー内にカーボンなどの付着に対して不利になるように感じます。この辺が四輪自動車とのちがいではないか、 と感じるところです。
 もう一点はSR400に比べて500は発熱量が大きいことが上げられます。こと、夏場に関してはひどいものがありますから、この点はオイルの管理が結構 シビアになってきます。夏前にオイル交換をすればよいでしょうが、春に交換して真夏を乗り切ることができるかどうか、今夏の状況からすると無理であったろ うことが容易に想像できます。
 ま、こういったことが500では頻繁に出てきますから、400のオーナーが500を400と同等に扱うことには配慮が必要ではないか、と感じます。
 これらのことが、関係雑誌しも記載されないし、現実には500のオーナーでも案外と知られていないことかもしれません。
 ドライサンプのことからSR500を良くないもののようにしてしまう、いつもの私の表現になってしまいましたが、400のオーナーにしても、ぜひ1分半のウォーミングアップを実施していただきたい、とお願いして終わることと します。


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