雑 談

 SR500のアマチャンレポートのためにテスト走行を繰り返していて、永井モータースのK君にキャブ調整をしてもらったときのことだ。

 「多くのバイクの場合は、アイドリング1000rpmほどのときに進角に追い込まれたり、はずれたりする。その回転域をタコメーターで見ると、1000を越えたり越えなかったりで不安定な場合が多い。したがって、そこ(1000回転付近)で調整を取ってやる。取り切れなければ少し回転を上げて調整する。だから、1000回転なら1100回転ぐらいにして、出来る限りスムースな針の動きが出来るようにするのがいい。でも、SRのアイドリングは1350だ。このことに対しては、ノーマルの時に過不足ないアイドリング回転数だから、どこかを触ればこの回転数では必ずアラが出る。エンジン関係をさわると、アイドリング調整は標準値ではいけない。」

 このことは、なかなか的を得ている、と思う。僕なんかも触るのは古いタイプのVMタイプが多いものだから、パイロットジェット、メインジェット交換してエアースクリウを絞ったり、開いたり、ニードルポジションを変更したりしているのだけど、こと最近のキャブレターではそれが通用しないようだ。そのために、SRのキャブレターの調整でも、通常ならパイロットスクリウを3回転も戻す場合は無いわけだが、ノーマル設定が2回と1/2回転戻しだから、マフラー交換などによって現実として[2000年までのSU(CV)タイプ]SRのノーマルキャブでは、こういった大きい調整代も出てくるわけだ。
 でも、そういった1000回転などの低い回転数だと、どこかギクシャクするところがあるのではないか。もちろん、昔のコンタクトポイント(ブレーカー)が無接点に変わっただけだから、ここはいたしかたなくノーマルのアイドリング数を上げている。むしろ、ポイント形式で開発されたXT500がベースのSRだから、点火方式だけを取り上げるとポイントの方が断然有利、と考えられなくもないのだ。
 トライアンフにはボイヤーのトランジスタ点火システムを装備している。装備して2年以上になるが大変快調だ。振動なども非常に少ない。じゃ、トランジスタ点火と、SRのようなCDIではどう違うのか、ということになるが、これまた古い話だけど、カワサキのMACH IIIの初期KA-1と最後のKH500との違いだろう、と思う。もちろん、これは形式こそ同じCDIだけど、後者は今のSRと全く同じである。妙にごつごつしているが、安定性がある。前者はスムースだが、時としてイカレル可能性が強い。特筆すべきはその加速と高回転域の安定性だった。
 そうか、トランジスタなら、アンプ(ブラックボックス)で増幅するから、ピックアップ部分は単なる電気的信号を送るだけの通過点だけである。したがって、進角などはアンプのコンピューター(チップ)の方で制御できる。したがって、技術的向上と構成パーツの精度向上から現在の製品は非常に安定している、というわけだ。
 SRのウェブリンクでもトランジスタ点火のことが一時期言われていたが、意外や意外、このシステムの方が全てに渡って電気的信号を電気的制御するから都合がいいのではないか。トランジスタシステムから点火の全てのチューニングが可能になるのではないか、ということがおぼろげながら解り始めた次第だ。

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