SUDCO MIKUNI セッティングの不思議(4)
/// 天国気分からの帰還 ///

あれから1か月後
 2006年12月は、休日が雨と行事にぶつかったため、前回(1〜3回)で一定結果を出していて良かった、と感じていました。その後は、ノンビリとやろ うとしていた ところだったんです。
 12月の下旬。年末年始の天気予報は、ま、よろしいとなっていたのですが、年末の予報では1月2日以降はダメといったような予報に変わっていたので、年 末も押し 迫った30日に燃料補給とともに、年末の挨拶と、細々したものを購入するために、近所を走り回ったところでした。

異変は意外なところで
 近所を走り回ると言っても、ソコソコの距離は数キロあるわけです。国道を南下して320号線のバイパスを通って柿原の信号待ちの後に、ことは起こりまし た。
 あれ、いつもより高い回転域でウウ〜っとストールする。スタートは難しくないのだけど、どうして?。ガソリンもエネオスのままだし、メインジェットも #180のま ま。何も変わっていないものでしたから、こんな回転域でストールというかモタツキが気になってしまったのです。
 もしかして、ツチノコのせい?。そんなことあるものか!。(この時は確かにそう思っていました。)
 たしかに、これまででメインジェットを#180にして、インシュレーターを45mmに変更した結果、良好になってきたのでした。シートも新しくなっ たし、何というか、上手く同期がが取れたときは、まるで並列四気筒のような感覚が支配していたのです。
 私のような古いものにはCB 750 K1(K0なんて知りませんでした)が出た当時を知っていますし、実際その後に出たZ2に乗ったことがありますから、そのスムースさは特筆ものだった んです。同時期のXS-1(650)の振動たるや、生半可なものではなかったんだな、と今になって感じるのですから、並列四気筒のオートバイの表現はお解 りにな るだろうと思います。まさに天国。当時はやったエキゾーストノートは「ジェットストリームサウンド」と呼ばれていました。最も、今のモデルより全てはガサ ゴソしていますけど。
 逆に今の若い方には、それは力強さなどと解釈されているようですが... 。
 今回、それがスピードを上げようとする時にウウ〜ですから、まさに天国気分の走りから引きづり下ろされた気分でした。

ふたたび計算式が
 12月30日の走行後、何だろうな?、と考えていました。頭の中を整理しますと、思い浮かぶのは燃料の変化です。
 そう、火付きが良くなっているようなんです。ハイオクガソリン、それもエネオスの重いというか、粘りけがあるような感じがついてまわる感じのものなので す。同じエネオスの 追加をした、というだけのことですから、今日の変化はツチノコだろうか?。たしかに「促進」というコトバが能書の中にあったのを思い出しました。そして、 燃料タンク内のサビの発生防止効果。こういったものの相乗効果もある、と能書にありました。
 すると、点火促進は(燃料の粒子が細かくなって)空気との結びつきが良くなるってことだろうし、防錆ということはスラッジ分にも、ある程度効果があるの ではないか?。
 #180で発進 時のモタツキではなく、途中のアクセルを捻ったときに起きる現象となれば、これらの効果が理解できる。おそらく、アクセルを捻った時のモタツキは(燃料の 改善か?)ガスが通常より多く流入する からではないか。その原因はツチノコかもしれない。
 これが本当としたら、メインジェットを下げる。これまでのテストで、#170が現状では最低線だろうから、#175でやってみるのはどうだろうか?こん なことを考えていまし た。
 丸穂温泉の湯船で自問自答をしていたとき、#175って、仮定の計算値じゃなかったか?。松山氏のヴィンセント コメット(排気量500cc)の同じSUDCO MIKUNIのメインジェットが#260。排気量750ccのT-140Vの片側が375ccだから、その2/3程度とすると#173... 。
 そう、あの計算式での答が173でしたから、近似値で#175にしてみればいい!。これに合致するではありませんか。逆上せそうになって湯船から上がっ たところです。

わずか5番、とそれに...
 大晦日、今度こそ最後と思って午前中に#175へメインジェットを交換します。昼前から近所を走ることにしました。といっても10数キロは走るんです よ。場所は秘密ですが、国道 56号線を南へ。北は帰りの道が大変です。この時は想像だにしていなかったのですが、数時間後の火事で渋滞がもっとひどくなるため、南へのルートは一応成 功でした。
 最初からいきなり来ましたね。発進直後のことですから若干のモタツキはありますが、結構良い線で走っています。吸気の音がいつもより大きい。そして生ガ スの臭いが若干ながら少 なくなっています。30分ほど停車して用向きの件を終えて再始動をするのですが、始動できません。いつもの始動方法をヤルとOK。そう、AMALキャブの 時と同じように、結構効率の良いエ ンジンになっているようです。
 帰路は海岸回りを走ってみることとしました。30〜40km/hでの走行ですが、ストレスがありません。往路の70km/h程度まで引っ張ったときでも 破綻がなかった ので、帰路のローギアでの件と合わせて、この辺が妥当だろう、ということで大まかなテストを終えました。
 これ以降、自動車の数が多すぎて走ることが出来なくなります。そして前述の火事。2006年はこれまでというところでしょう。この瞬間、「帰ってきた 酔っぱらい」ではあり ませんが、フワ〜フワ〜と走ってしまう天国気分から一般の普通のオートバイに戻った感じになりました。

一般論は該当しないのが本当のところだ
 最近のキャブレターセッティングの雑誌などを読むと、どうもノーマルのエンジンとノーマルキャブレターに対してのことは記載されていないように感じま す。
 私のSUDCO MIKUNI 32mmVMキャブにしてもフィットしない面が多数ありました。以前の項を一読されるとお解りのとおりですし、メインジェットを下げる行為をするまでの大 半のテストは、私もこれら書物に記載されているとおり、右へならえ的にしていたことは否 めません。そう、マフラーの排気効率が高くなっているので、吸気もそれにフィットさせるという、参考になる一文はいずれも数値を「上げる」方向でしかあり ませ ん。
 通常、こういった参考書に数値を「下げる」方法はほとんど記載されていないのが現実ではないでしょうか。
 そもそも、このような雑誌の一文は、希薄燃焼システムが大半を占める現代のオートバイ群に対してのキャブレターに関しての記ものであります。大半のキャ ブレターはその線を一定守ってはいるもの の、膨大なノウハウを実験の結果を得てキャブレターを決定しいるメーカーには及びませんし、キャブレターメーカーの推奨数値も多くの結果から出した一応の セッティングです。
 そんな中で、トータルとしての性能をアップするためには、やはりどこかを固定しておかなければなりません。
 私の場合、T-140Vでは排気系がほぼ、ノーマルに近い感じになっています。強いて言いますと、ノーマルより若干高速向けのマフラーに変えてある、と いうところです。それに対して吸気はSUDCO MIKUNI VMキャブという全く未知な世界を持ってきました。それでも、ここまでたどり着きましたから、これは私のメモと頭の中に刻み込んだもの とが今後の経験として応用されることになります。
 カテゴリーは異なりますが、SR500にしてもマフラー交換から結構悩んだ上で、実験を繰り返して導き出されたのは、ノーマルのキャブセッティングとし ては随分と違う結 果になっていました。でも、その方が調子が良いのです。
 やはり、ある程度の予想を立てて、実際に装着して実験を重ねて結果を導き出さねばならない。これ以外には最良の方法が無いようにも感じたところです。
 次は春の季節での変化でしょうか。SUDCO MIKUNI 32mmVMキャブの件に関して、今年は、これで一応の纏めとします。



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