SUDCO MIKUNI セッティングの不思議(5)
/// ようやくオーディナリー ///

 T-140Vは1月からの2か月間快調なウチに過ごすことが出来ました。しかしです ね、始動後の発進は、ま、許せる範囲になりました。問題は途中の加速です。
 どうすればいいのか?。もう慌てません。メインジェットの番手を下げればいいんですから。
 何よりも先に、2007年1月中旬、メインジェットを#175から#170へ落としたところです。理由は次によります。
 まずは、走行開始後の取り掛かりがイマイチ。つまり回転を上げ、半クラッチの操作を長く続けさせられることでした。もう一点は、走行途中に通常のアクセ ルワークでもたつくように感じられた、この二点の解決策から#170にさげたところでした。
 当然ですが、いずれも限界点を目指してのセッティングではありませんし、メインジェットの有効範囲の上の部分は確認しておりません。100km/h程度 まではツーっと上がるのですが、3速で50km/h程度に上げるときに...、といった感じのところです。
 #170にした結果はどうであったか?になりますが、若干低速域での力強さが増したような感じがしてきました。同時に、オーディナリーな状態に近づきつ つあるのは事実ではないか、と思ったところです。
 この状況からすると、キャブレターのコントロールはアクセルグリップにゆだねられる分が多くなったわけですが、大半のところはキャブレターのリッチさに 助けられているので、この部分のコントロールをライダー側で行わなければならない、ということかもしれません。
 しかし、SUDCO MIKUNIに交換してからこれまでの間、どうしてこういった気分にならなかったのか?という疑問が生じてくるのです。

AMALの時から
 いくらページを戻しても合点がいく事実がないのです。ということは、AMAL コンセントリックキャブにまで戻さねばならないのでは…、と感じ始めたところです。
 T-140VにはAMALコンセントリックのMK-I(30mm)が2連装です。パイロットジェットは装備されていませんが一説によると#25程度が圧 入されていると聞き及びま す。当時の指定点火プラグであるチャンピオンのN3(NGKのB8ES)という高熱価も関連があるでしょうが、このキャブレターで点火プラグが満足な焼け 方を示した時はありませんでしたし、加速時のスムースさとか、そんな状態は感じられなかったように感じます。
 SUDCO MIKUNIに変更した最大の理由は夏場にフロート部分が暑くなってしまうことからでした。それがちょうど7年前であった、というわけです。ここから再び 悪戦苦闘が始まったのは過去に記載しているとおりです。
 ようやく調子が出始めた2006年の暮から2007年の1月頃にかけて、SUDCO MIKUNI 32mm VMキャブレターのメインジェットを下げることで調子が出始めたときから、これまでのおかしな状態は、単にキャブレターだけではなく、何か別の面が影響し ているのではないか?と思い、再びページを遡って見ますと、ボイヤーのトランジスタ点火システムに変更してから、若干良い方向へ影響 が出始めたかな、というのが思い当たる最初の時であったとうに思います。

電装なのか?
 ご存知のように、T-140Vはコンタクトポイントによるバッテリー点火方式です。点火プラグへの高圧供給の断続方法はコンタクトブレーカー(ポイン ト)方式です。ちょうどカメラのストロボと同じく、電気の一時補給はコンデンサーです。回転数に対しての点火時期(タイミング)はスプリングと錘でのオー トアドバンサーです。
 今の時代「ちょっとポイント見てくれる?」とオートバイショップの若いメカニックに言ったところで、「ソレ何ですか?」と返されるのではないか、と言わ れるほど過去のものになってしまいました。
 ちなみに、若い方にはなじみがないかもしれませんが、このポイント調整を簡便な方法でやるのは、次の要領です。
 ドライバーを点火プラグ穴から突っ込んで上死点を出し、ポイントベースの位置を粗方決定。次にトップギアに入れ て、後輪を回しつつ、ポイント面の開いた間隙をシックネスゲージで計り耐水ペーパーを二つ折りにして、コンタクトポイント間に入れて数回研磨した後でポイ ント面をガソリンなどで拭き、再び後輪を回しつつ、上死点での位置でポイントが開くタイミングに狂いがなければ、ビスを締めて終了、という作業が必要で あったわけです。その後タイミングライトを点灯して、となりますが、これはほとんどカンの世界でOKだったので省略でした。

 このポイント点火方式の最大の利点は、点火を司る部分はアナログの極みですが、フライホイールマグネトー(フラマグ)の点火方式なら、燃料と空気があれ ば、エンジンは回転を始めるという極めて簡単で良好な点火方法であったわけです。

 T-140Vはバッテリー点火と言うところが違いますが、マイナスからプラスへ電気が流れるポジアースで、発電された交流電源はブリッジ接合のレクチ ファイアで 整流され、電圧増減はツェナーダイオードで制御されるという極めて簡単なメインの電気回路でした。前回報告していますが、このブリッジ整流の素子(ダイ オード)がセレン(セレニウム)であったことから調子が悪くなったのではなかったか。もし、今流のシリコンダイオードで四角い樹脂で固めた物であったら、 おそらく壊れるということは希であったのではないか、と感じたところです。
 
 これを、トランジスタ点火方式に変更したわけです。別段変化はなかったのですが、点火の確実さは完全になりました。
 これを機に点火コイルはシリーズ接続となり、両シリンダーとも同時点火となったところです。

 が、次なる問題はここから始まったのではないかと感じます。これは私の推論ですが、ボイヤーの説明書では「12Vの点火コイルでもOK」とされていまし たが、この時点で不思議な動作をするダイナコイルに交換しました。
 おそらくでしょうが、ルーカスリタのトランジスタ点火システムのT-140Eでも6Vコイルになっているのだから、これによって、本来なら6Vコイルに 交換すべきでしょうが、点火系は最新になっているものの、電力供給・整流面では旧態依然のものであったため、レクチファイアとツェナーダイオードとのマッ チングが悪くなったのではないか、と感じました。
 当然ダイナコイルに換装しても良くなったという変化は感じられないままで、昨年末にレクチファイアの(レアショートとか)パンク状態になったことに伴 い、電力供給部分を電子化したところです。これらの改善によって、バッテリーの負担などが激減したのは言うまでもありません。

もう少し追い詰めてみる
 再び話を元に戻して、今回のキャブレターの一件から、この電装関係の変更は切っても切れない間柄にあるのではないか、と感じ始めたところです。
 確かに、当時の道路(’76当事)やオートバイを取り巻く環境が現在とでは大きく異なります。仮にコンタクトポイント方式のまま、AMALのキャブで あっても、電装関係、とりわけ整流制御関係の近代化によるパフォーマンスは良好な結果をもたらすものと思います。
 この電装関係の見直しから、SUDCO MIKUNIのキャブレターの変化が一層明確になってきだし、#170にまで落として落ち着いているところです。


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