はじめに仮説
この見えない現象に今まで散々苦労したのではないか。もちろんそれを克服することは楽しみでもあったがなど、ぶつくさ言いながら早速キャブのセットパーツを引っ張り出して、あれこれ考えを巡らせていた。ページ中のキャブレターの断面図を見ながら、混合気の流れをどこで押さえるか、僕がいつも使う通常のスロットルに反応を良くするには....
、などなどと。
「まさか?!」。各ジェットからの燃料の流れはキャブ本体の下からだ。吸い上げられた燃料はまっすぐに入ってくる空気と混ざる。霧吹きの原理通りだ。だったら、混合気の流れを阻害することなく効率をわずかに落としてやる方法なら行けるのではないか。
ちょうど数ヶ月前のモーターサイクリスト誌に出ていた、ホンダのX-11のフルパワー仕様にする記事に出ていたキャブレターに付けられていたような遮蔽板のようなものでもいいではないか。その時の記事はそれを取っ払うのだが、僕の場合は手っ取り早くそれを装着するには....
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そのためには見かけの30mm口径で使ったアルミパイプを加工すれば....
。ン、間違いないはずだ。少しだけ混合気を濃くシリンダーに送り込むようにすればいいのではないか、と考えた。
しかも、トライアンフの場合はSRなどと違って、混合気はほぼ真っ直ぐにシリンダーに送り込まれる。効率は非常にいいもののように感じる。
実験開始
それでパイプを略図のような形に加工した。山勘だがシリンダーへの吸入口は28mmから26mm口径の表面積になる。この曲げた部分をインシュレーターフランジの上側に来るようにして装着する。
プラグはB6ESのケルン石塚風チューニングモデルだ。プラグキャップはNGKの抵抗入りを使用する。ボイヤーのトランジスタ点火システム、ダイナコイル、と変更はない。電装系の確認の意味から先にプラグからの火花を確認。ふるえが出るほどのスパークだ。音までバチバチと聞こえる。いよいよエンジン始動の後、走行を行う。
走行フィーリング
エンジン始動はいつも通り、何の変化もない。ところが、びっくりすることは、2000rpmで、ものの1分もエンジンを回し、アイドリングが900rpm辺りになった時を見計らってプレップしても、スロットルにエンジンが付いてくる。アレレ、今までこんなことはなかったんだが。この天候だと、もう少しウォーミングアップに時間がかかるはずだが....
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このバイクの性格上、数日乗らないとクラッチディスクはフリクションプレートとぴったりくっついてる。そのクラッチの切れを確認して、エンジンが完全にスロットルに付いてくる頃を見計らって走行を開始した。すぐ先の国道へはエンジンストールするかもしれない不安から遠慮して、裏道を走る。ことはすぐ近くの交差点を過ぎて起き始めた。
おお、スムースに走る。今までのように回転を上げてクラッチミートする必要もないし、いつもの走行を行えばいい。何も気にすることはない。ちょうどノーマルマフラーでAMALのMK-Iを装着していたストック当時の感覚だ。まずはショートトラック(周回コース)のテストコースへ、と思ったが、雨上がりのためか車が多い。したがって、城山半周の後、吉田町まで走る。往路は緩やかな知永(ちなが)峠への道も苦もなく上っている。今までの残留ガスのためか少し重い。
帰路はどうだろう。僕の感覚としては申し分ない、と思えるものであった。どうやら今回のことでこのキャブは満足行くところまで来た。
考 察
誰も考えるのは「それなら最初から28mm口径のSUDCO MIKUNIにしておけばいいのに」とおっしゃるであろう。確かに、あらゆる記事を読んでも、28mm口径の方がいいという、そういった結果報告がなされている。それほどのものであろう。
しかし、先に記したがSUDCO MIKUNIのVMは形こそスタンダードであるが、どうも一般のツーサイクルエンジン用のキャブレターに手を入れたもののようだ。当然、フロート部分、メインジェットの装着部分など、ヤマハのモトクロッサーに装着されているミクニのキャブによく似ている。考え方がレーシングキャブレターのようである。ストックのAMAL
MK-Iは30mmで、このキャブもラフであったが、効率はいい。このAMAL以上にSUDCO
MIKUNIは効率が高いように感じるのだ。
が、今回の手っ取り早い方法ではなくって、何とかできないものか、とまたまた考えを巡らし始めるのが。
続く....