細々したものが出来るものだ
2007年4月、そろそろT-140Vをさわろうかな~と小誌に記載し
たところです。実のところ、サイドスタンドを立ててT-140Vのエンジンを始動させるのは少し困難なところがあります。キックアーム自体にしても
結構緩やかな傾斜で地面に近い部分でギアボックスのピボットに止められています。
そのため、センタースタンドを立ててエンジンを始動する。このことから始まった一件から記載することとします。
まず、トライアンフツインのセンタースタンドの大半が、ピボット部分はフレームに接している部分も円形で、脚部分がフレームの補強部分に当たるか当たら
ないかで止まる仕組みになっています。
車体そのものの前後のバランス配分が50-50に近いためと、センタースタンドを立てやすくすることから、の地面への設置面が扇型をしています。
が、残念なるかな、センタースタンドを立てると、T-140Vの大半はリアホイールが接地して、フロントホイールが浮いた状態になってしまいます。想像
ですが、ブレーキキャリパーが鋳鉄製で重いために起きるのではないか、と考えます。
ところが、長年使用してきますと、センタースタンドのピボットの円形部分が磨り減って来始めるため、ストッパー部分が用を為さなくなってくるのです。と
なるとギリギリのところでクリアできていたのがフレームに当たることになってしまいます。
SR400/500のように、センタースタンドストッパーを用いる必要はないし、そのためでしょうか、1971年製の650ツインモデルから採用されて
いる、メインチューブがオイルラインになっているオイルベアリングフレームですが、T-140Vでは、センタースタンドのストッパーとして、鉄板がメイン
チューブ下部の左側にスポット溶接されています。
本来ならセンタースタンドをはずして、ストッパー部分にアルゴン溶接して平らに整形すればいいのでしょうが、センタースタンド自体が鋳造のようでもあり、
作業が難しくなるのではないか、考えるところです。
よほどハネ上げ角度の強いエキパイでなければ、センタースタンドを下ろしたときに当たることはないのですけど、このストッパー部分に当たるため、少しず
つですが音が大きくなるのです。
写真でもお分かりのように、この部分はプライマリーの下側であり、ドライブスプロケットの部分でもあります。残念なことに、私の車体ではプライマリー
ケースの下側に若干の傷があり、おまけにヒーバーパッキンでの自作ガスケットですから少々オイル漏れを起こしています。
少しなのですが、走行すると、道路の埃などが付着して結構汚れる部分でもあります。そのために、ラバーを接着剤で取り付けるなど、二の足を踏むわけで、
ストッパーのいい案が浮かばなかったところです。
先日、百均ショップでステキな両面テープを購入しました。しばらくPower Book
Pismoの底の部分にアルミの台をこのテープでくっつけていたのですが、ファンが回るぐらいの熱(触って熱っ!)でもびくともしなかったため、エンジン
オイルの上昇程度でも大丈夫と感じました。
もう一つの救いは、ストッパーの鉄板にスケールを当てて見ますと、何と25mmの正方形なんです。そう、1平方インチの大きさなんですね。これは便利。
つまり25.45mm=1インチですから、25mm四方でダンパーラバーをカットすればOKです。多少の歪みも大丈夫です。
次はダンパーラバーですが、この選択は悩みました。15cm四方のラバーは安価ですが、ゴム自体が良くないし、両面テープの状態も完全ではありません。
ましてや、オイルの付着がある部分ですから、接着剤は完全なものでなければなりません。
そういったところを考慮して、少々高価でしたがゴム質の良好な長方形のものを購入しました。当然、両面テープではなく接着面はダイレクトにゴムに塗布さ
れています。
このゴムダンパーを25mm角にカットしたものを2枚張り合わせたものに、両面テープを貼り付けたものを用意しておきます。
フレームの脱脂は結構手間がかかります。トリクロロエチレンなど入手できません。苦肉の策で、ガソリンでオイル分を拭き取った後、ラッカーシンナーで拭
き取ります。その上に、スタンド本体が当たった部分は水性の消えないフェルトペンで塗装しておきます。
両面テープのセパレーターをはずして、ダンパーの鉄板へ貼付、ハンマーで軽く叩いて落ち着かせます。
これで完成です。結果は高価満点。今のところ剥がれ落ちそうになったこともありません。
次イキマス。
T-140Vをはじめ、トライアンフのツインで一番錆びる部分はエキパイのバランスパイプのバンド取り付けボルト(ナット)であろうと思います。給排気
系がいい状態なら、この部分が一番熱い状態になっていると感じます。当然ユニクロメッキのボルトはサビが早くやってくることになります。
この部分をステンレスに変えたい。が、大げさなものになるのは願い下げ。だとすると… 。
誰でも判るとおり、ステンレスのボルト(ナット)を用いればいいんです。が、待ってくださいよ、このボルトはスパナの径は1/2です。日本では13mm
のヘッドです。ボルトの径は7.5mm、長さは32mm。何とか8mmのボルトがフィットするのでしょうが、半円柱形のスペーサーの穴が問題になってきま
す。何とかいいものはないものか… 。
まずは確認しますと、スペーサーはアルミでユニバーサルというのが判りました。つまり8mmのボルトが通るのです。となれば、日本流に8mm×35mm
のボルトがジャストフィットです。ついでに、フラン時取り付けのボルトも5mm×25mmがフィットしますので、これに交換することとしました。
話は前後しますが、このボルト類を交換するに際しては、アメリカのプレーイングファームの旧海軍戦闘機の零戦52型の栄21型エンジンの改修記事のこと
が頭に浮かびました。
「各シリンダーをスクイーズして、ボルト類をインチサイズに交換しただけでOKだった」というくだりです。当時のネジは「分」ですからニア・インチで
す。
そのため、インチサイズの豊富なアメリカで活かすための処置であったと感じています。
私のT-140Vでは主要部分を除いて、多くの面で、これと同じようなことを行っています。何ら不都合ありません。
これが、SRなどになると、90%近くがISOネジですから、アメリカのパーツ屋さんなどがリリースするキットを装着する場合など、T-140Vに施し
たことが出来ないことになる可能性が非常に大きいんです。
やはり、オートバイは走ってナンボの世界であろうと思います。T-140Vではこういったことをやって調子が良くなることも往々にして存在するわけです
から、今でも走っているトライアンフが多いし人気があるのではないか、と感じるところです。