T-140V 再び車検を取得して... (車検前)
プ
ロローグ
2006年の最初の四半期は年末の天候とはうって変わって、厳しい冬の状況が随分と続きました。私の仕事と日常生活も自治体合併後のシワ寄せがジワジワ
押し寄せ、おまけに妻の婦人病での手術入院、それに退院後の療養など、とてもオートバイどころではなかった、というのが実情です。
「それでもiBookなんかに力入れてたじゃないか」とおっしゃるのは当然と思いますが、これとて正に勢いに乗ってやった次第です。実際は文章以上に大
変な労力だったんです。理由付けにはなりませんが、iBookは室内でも作業が行えますが、オートバイは、我が家が青空工房ゆえ、作業の規模が大きく異な
る
ことと、天候状況が一定安定していないと継続作業が行えないのです。
ようやく整備を行おうとして取りかかったのが2006年2月中旬。しかしながら、前述のとおり自治体合併後の新しいコンピューターシステムのため、仕事
が思い通りに
運ばないモヤモヤが職場内に起きまして、このままでは4月からの新年度に対応できないため、毎日遅くまで、これにかかりっきりになる。その上、天候が安定
しない。
加えて、T-140Vも当初は簡単に事が運ぶ、と考えていたのですが、このイギリス女性は、こちらの気持ちをそう簡単に受け入れることはありませんでし
た。そんなことから、本腰を入れての実際の作業は、車検終了まで2週間となった3月5日の日曜日から始まったのです。
バッテリー顛末(1)
とにかく、エンジンを始動しなければ話になりません。まずは、バッテリー関係からといたしましょう。
2年前の2004年、何とかメンテナンスフリー化を考えつつ、春のブリティッシュランに合わせてGS(現
GS-YUASA)12N9-4BからGTX7L-BSのシールバッテリーに交換しました。一抹の不安はありましたが、問題が発生はしていなかったんで
す。
昨年11月、シートカバーにタバコの火が投げ捨てられて、焼け跡がシートそのものにまで影響していることを発見し、そのときに、シートとバッテリーを外
して保管していたところです。
とにかく、3月21日までには何とかしなければ、と考えてはみたものの、18日の土曜日は氷雨が降る状態。
バッテリーでは、いつもお世話になっている南海電業さんへお願いしているのですが、18日の夕刻、雨は上がったものの同社は閉店。万事休す。21日も休
業
でしたから、天気予報通りとするなら、仕事仲間に石を投げられることを覚悟して24日に休暇を取って車検に間に合わさなければ...
、と不安が過ぎります。
※ご覧のように、12N9-4Bでは、プラス端子とマイナス端子(それにブリーザー)が通常のマイナスアース用のバッテリーと逆になっているのがお分かり
と思います。
インマニの交換
話は前後しますが、今回の車検整備に付随した最初の件はインレットマニフォールドの件だったのです。
これまで、SUDCO
MIKUNIに付属していたインマニの(全長ををカットした)改造品を装着していたのですが、昨年夏以降、キャブとのジョイント(耐油ゴムホース)の変形
が大きいことが見受けられていましたので、SUDCOの製品そのものが、どうも外形が大きいように感じていました。
1年前ぐらいからCafe British Bikeさんの方で、AMAL
MK-IIの装着用に、少し内側へ角度の付いた30mm径の良いものがあったのですが、これが売り切れ続きでカタログから姿を消していました。(最近に
なっ
て復活しましたが、内側への角度の付いたものは無くなっています。)
ダメモトとして、いつもお世話になっているサイドバルブさんへ問い合わせますと、角度付きはないが、少し高価ですがインマニはございます、との返答を得
て取り寄せをしていたところです。
今回、純正のパッキンを使用して交換することにしました。写真を見ていかがでしょうか?。
私にはどうも角度がついてんじゃない?、と感じるのですが... 。
そういったことを考慮して、3月19日左右の位置決定をして取り付けを修了しました。当然、取り付け前にバリなどをヤスリで整形しておいたのはいうまで
もありません。
インマニの凸凹クランプ部分が平滑化したため、ABAのホースバンドをIDEALのステンレスへ変更して、キャブレターを装着しました。
写真では、右のキャブがSUDCOのインマニです。
エンジン始動へ向けて(汗)
いつも感じるのですが、長期間置きっぱなしのT-140Vのエンジンをキックすると、あまりのスカスカ感に少しばかり驚きます。このままでエンジン再始
動は負担が結構大きいことが解ります。
オイル自体も、和風料理の「餡かけ
みぞれ汁」を国産のオートバイの使用エンジンオイルとすると、T-140Vのオイルは中華料理で言う、「水溶き片栗粉が入った、とろみの多いカニ玉」です
から、長期間動かしていない場合は、なかなか手間がかかります。
このオイルをエンジン各部全般に行き渡せるためには、点火プラグを外して空キックを100回程度、目安としては、バルブ回りのカチャカチャがカチカチと
いう音になって、「潤ってきた」と感じればOKです。
張り付いているのが常のクラッチもT-140Vでは同じエンジンオイルで(噴霧)共用しているため、ここでフリーにしておきたいのですが、まず無理で
しょうから、センタースタンドを立てて、エンジン始動して、クラッチを1速と2速で繋いだり外したりして解除しなければ、フリー化は無理ではないか、と考
えます。
マニュアル通りクラッチレバーを握ってキックし続けるとしても、急にフリーになるときがありますから、その時は膝から下が抜けたようになってしまい、ひ
どい場合は病院へ... 、ということになる次第です。私が何度も経験していますのでウソではないんです。
インマニも新しくなって、バッテリーを繋ぎ、ヘッドランプが点ったためOKと確認し、いざ、エンジンを始動すると、ブリブリ...
、と回りました。サスガ〜、と感じたのもつかの間、ウンともスンとも言わなくなってしまいました。
ランプはおろか、LED化しているチャージランプも薄暗く点っています。これ以上、エンジンへ火を入れることは無理です。
この日の夜、私の身体へも異変が出てきて、妙に鼻の奥がムズムズして来始め、喉がおかしくなってきているのを感じたんです。エッ!、風邪かもしれない。
バッテリー顛末(2)
21日にはテスト走行しなければならない、として、エンジン始動の確認の後、20日に南海電業社へGTX7L-BSの追充電をお願いしました。夕刻には
OKだろうと考えていたのですが、その日は運悪く仕事で手が離されず、業務終了時刻と南海電業社の閉店時間が同一という始末。結局この日にバッテリーの件
は手つかずでした。
こういったことは重なるもので、21日は同社はお休み。WBCで日本が勝ったので良いようなものの、翌22日は雨。追充電したバッテリーは受け取ったも
ののどうしてくれるんだ。
翌23日。多忙を極める職場に24日は午後から休暇を取ることを知らせて、この日の夜、自治会の総会前の2時間、再びエンジン始動を試みました。
エンジン始動へ向けて(冷や汗)
23日、再び調整されたシールバッテリーを接続してエンジン始動。ブリブリブリブリ〜っといつもの始動です。が、ものの3分もしないうちにエ
ンジンストール。いつもの始動後のアクセルのツキの悪さではありません。キックしてブリッ。
その「2時間」も同じ結果でした。これでオシマイです。完全にウンともスンとも言わなくなりまし
た。バッテリー残量無し... 。
まさか配線上の何かが間違っているんじゃないだろうな?。自問自答します。まずは、イギリス車を主とした当時までの常識であるポジアース
のT-140Vではフューズを介してバッテリーのマイナス電極からグランドのブラス電極へ電気が流れます。
バッテリーを外して充電する時は、プラスはプラス。マイナスはマイナスで接続するんです。決して笑い話ではないんですが、イギリス車のポジアースをまと
もに受け取って、充電するときもこれをやってしまった方も多いんです。幸い充電器にフューズが入っていますから大丈夫とは思いますが、こういったことも無
きにしもあらず、と、いつものように電気に詳しい西予市のT君へ電話で問い合わせました。
間違いは無いとのこと。とすると、シールバッテリー特有のものだろうか?。
その日の夜、和気あいあいの自治会総会の後、再び回路図とにらめっこ。どこといって間違いはないことを確認しました。
どんなに調べてみても、最大の要因はバッテリーの不良ということに行き着きます。やはり極端な変更は好ましくないのではないか、として、今回は再び
12N9-4Bを装着することとしたところです。
本当に大丈夫だろうか(パーツと配線)
ポジアースでの笑い話ではないですが、もう一度配線を見直すこととしました。
T-140Vの配線は国産では組み付けと整備効率が悪いために行われていない方法が採られています。
国産の場合は回路上の流れが一定方向なら、メインラインは中心部分のみとして、極力省力化して周辺からのラインはコ
ネクターで結ぶ、という車両製作と整備の作業効率を上げるための方法を採っているように感じます。
ところが、T-140Vの場合は、各パーツ間の配線は1本で済ませ、なるべく電気の流れに抵抗が生じないようにしています。同一配線が二系統のものは1
箇所、完全接続するものは2箇所ではないか、と感じています。
確かに「整備効率」では悪いとされますが、我々ユーザーからしてみると、実際のところはT-140Vの方法が好ましいのですが、昨今の厳しい環境状況で
は、国産メーカーのような完全防備の配線で
なければ、お上の許しが得られないのでしょう。
その結果、「私売る人」、「あなた乗る人」、「私なおす人」といった状況を創りだしてしまっているのが現状でしょう。カテゴリーは違いますが、知らない
間に四輪自動車と同じ状況下へユーザーも鼻先を向けられているように感じられます。
余談が過ぎましたが、再度配線を確認すると、ダイナコイルに変更したときに配線変更したのはコイルの直列化は変わりませんが、国産オートバイ並に、点火
コ
イルもシャシー(フレーム)へアースするように指示があったため、これを行いました。したがって、コイルはシャシーに鉄板を介してコイルの鉄心をアースし
ています。
ウインカーはヤマハのV-MAXの2本ライン仕様ですから、片方は確実にシャシーへアースしています。
ではスイッチングパーツ以外のパーツでグランド(アース)になっていないものは何か?。何と一つだけ存在していました。
ボイヤーの点火システムのうち、トランジスタボックスのグランド端子(赤色)のラインがバッテリーのグランド(ポジアースのこの場合はプラス端子)に
入っているじゃないですか。
何とこれが初めからなんですよ。嫌になってしまいます。そう、配線上は間違いではないんですが、オーディオで言うところの、アースがループしているんで
す。
そこで、トランジスタボックスからの赤のラインをシャシーアースに変更しました。場所は元の点火コイルとコンデンサーのサポート板の取り付け部分です。
以前紹介したツェナーダイオードの取り付け部分の反対側です。
すると...
?。もうお解りでしょう。一番重要かもしれないバッテリーそのもの(グランド)のアース部分はシャシーにアースされたものとの同位が... 。
これは別項で紹介したいと思います。すでにSR500の項で述べておりますが、おそらく間違いはありませんし、効果はコヴェントリーの清水さん愛用のT
-140Eに施されていることでも明白でしょう。
残るはキャブ調整
3月24日(金)午後、バッテリーを再び12N9-4Bに交換、点火プラグも新品のNGK B7ESに変更し、エンジンに火を入れます。
回りました。いつも通りのエンジンストール気味でアイドリングを繰り返しつつ4〜5分。アクセルについてくるようになって、例のクラッチをフリー化しま
す。
アクセルについてくるようにいなったところで、発進できます。高めの回転と比較的長い半クラッチ。いつも通りです。もう少し何とか出来たら、と感じてい
ます。これの完全調整が今後の課題でしょうが、例のキャブレターの熱問題が解決したし、今回の良好なインマニが入手できましたからAMALのキャブをテス
トしても良いな、と感じているところです。
車検をお願いしている末広モータースまでT-140Vを走らせます。信号待ちからの発進はレーシングマシン並みです。クラッチの切れが少し悪い程度で、
エンジンそのものはOKです。5月には全てのオイルを交換しなければなりません。
キャブレターはもう少し調子を見てみます。末広モータースの女性スタッフから年式にしては綺麗!と言われて一安心。再び乗れる喜びが支配して、車検へ向
けての顛末記を終えます。
「な〜んだ、バッテリーだけ先に交換してりゃ良かったんじゃないの。」たしかにその通りですが、キャブ調整とともに、バッテリーや電気の取り扱いにも問
題があるんですよ、ということが解り始めたんです。