SUDCO MIKUNI 32mmVMキャブ関連のもろもろ(その2)
/// 再び悶々の日々 ///

車検を取得して
 多忙な業務も一段落した後4日4目、中休みするぞ、と休暇をとりました。右脚のふくらはぎが痛むのですが、リハビリも兼ねていますので、継続車検が終了 したT-140Vを受取るために、モータースまで歩いて出かけました。
 エンジンを始動する際、再びパチンときてエンジンが回り始めました。以後は事なきを得ています...と、ここまでで終わればメデタシだったのですが、そ うはいきません。
 帰りに永井モータースへ寄って、K君に症状を言いますと、「下が濃いようだ」との判断をいただきました。ということは、パイロットジェットかい?。「そ う、これを下げてみたら...」とのことでした。
 その日は実に4日目にお風呂へ入ったものですから、作業を行いませんでした。4月12日は、4日のK君の言葉から、そんなものだろうか、と思い、 #27.5でやってみることとしました。この日の最終は、#32.5で終わったのですが、若干良くなったものの、パチンは相変わらず来ます。点火プラグの 状態もイマイチ。
 ま、こんなところだろうか、と自分に納得させていました。
 それから一週間後の20日、再びパチン、ブルルルでエンジンストップ。再び同じ現象がが始まったわけです。
 脚のほうはずいぶんと良くなってきましたが、エンジンが回らないことに愕然となるほうが精神衛生上よろしくない、と感じています。
 なぜ、こうなってしまうのか?。再び迷路に足を踏み入れるところでしたが、ダメもとで、再び過去の実験を反復してみることとしました。

実験を前に
 私の記憶からすると、このSUDCO MIKUNIのVM32mmキットはパッケージの箱にTBR650と記されていますから、インマニのアダプター形状からすると、リアブレーキがドラム、右 シフトのT-120系の650とT-140系の750用である、と判断していました。
 というところから、当初のジェットセットはメインジェットが#210、パイロットジェットが#30とされていたのでしょう。
 この状態では、本当に走らなかった。そこからメインジェットを上げていった。これはあまり関係なかったように感じています。その当時は発進時にウウ~ッ となってストールしてしまう。この解決策が難題だったわけです。
 もしかしたら、と思い、パイロットジェットもどんどん上げていき、#40近辺を取り付け、アイドリングで走ってしまう現象まで起こってしまいました。
 そういったときに、コマンド大阪の松山氏が教えてくれた「メインジェットを下げろ」という方法を知ったわけです。この方法で少しは救われましたが、やは りダメでした。
 この方法をやるまでのセットは次のようなものでした。

項目
状況
内容
キャブレター
SUDCO MIKUNI VM32
ハイパフォーマンスキャブレターキット
メインジェット
#170
キタコより購入(ミクニ純正)
パイロットジェット
#35
キタコより(ミクニ純正)
ニードルジェット
6DP17 SUDCOのキットに付属(ミクニ純正)
ニードルクリップ位置
下から2段目

インマニアダプター
30mmアフターパーツ AMAL MK-Ⅱ用リプレース品
インシュレーターラバー
45mm長
東洋ゴム製耐油(耐熱) 内径38mm
エアクリーナー K&Nラウンドタイプ
エキパイ
ノーマル

マフラー
メガホンタイプ
リプレース品

 とにかく、エンジン始動はできるが発進できない、という現象から、様々な数値のジェットを装着して実験し、パイロットジェットを上げて#35にした後 で、松山氏の意見を参考に、稚拙な計算からメインジェットを#170として、最終は#165まで下げ、車検を受ける前に再び#180へ引き上げたところで す。

小さ過ぎてもいけない
 今回のプロローグで申しましたように、パイロットジェットを#35にした経緯は最低の#22.5から引き上げながら検討した結果と、このVM32単体の 標準仕様である#35という値にフィットさせたところです。
 ここで、4月25日の実験について報告させていただきます。
 これまで、パイロットジェットはある程度大きい番手を必要とすることを決して忘れていたわけではありません。幸いなことにミクニのパイロットジェット は、ある程度の番手までは2.5刻みで存在します。したがって、手持ちのものは25、27.5、30、32.5、35があります。42ぐらいもあるのです が、過去の経験から、もはや#40以上は必要ないものになっています。
 それでは、SUDCOのキットに付属している最低が#25です。これでは走らなかったのを良く覚えています。まじめに発進は困難です。27.5では 3000回転ぐらいで半クラッチを多用すればスタートできますが、タイヤ摩擦の白煙は出ないものの、まるでレーシングマシンになってしまいます。
 が、この時のメインジェットは#220ぐらいにしていましたから、正確な動作は望めなかったのではないか、と思います。
 したがって、メインジェットを#180、パイロットジェットを#32.5にした今、メインジェットを仮固定して実験が出来るのですから、どこからテスト を始めればいいか。過去の一件と照らし合わせて、#27.5から開始することとしました。

パイロットジェット#27.5で
 4月20日、早速パイロットジェットを#27.5に入れ替えをしました。エンジン始動は相変わらずパチンが伴います。が、始動後はなかなかいいフィーリ ングです。
 不安が無きにしも非ずだったので、裏道を走るのですが、簡単にスタートしたものの、500mも走らないうちに「バスッバスッ」とエンジンが息衝きを始め ました。ゲッ、あの時と同じじゃないかよ。ここからあーでもないこーでもないが始まったんだ。
 薄い薄いでも限度があるんだ。バスッバスッと言いながら走る珍しいオートバイを周囲はおかしな目で見つめます。そんな中、這う這うの体で戻ってきまし た。
 このときの点火プラグはB7ESでした。別段おかしい焼けをしているでもありません。むしろ全体に煤けた状況でした。中心電極の火花が飛ぶ部分がイイ色 をしている状況で、いつもどおり、と思われます。ここから進みますと異常発火となって、点火プラグが死ぬわけです。簡単な清掃を行いました。

 #32.5から#27.5へ5番下げたことになります。やはり、#27.5では小さすぎる、ということでしょうか。少々気温も上昇しています。この前の 一件から水分補給は必須です。小休止しながら次はどうする?。考えを巡らしながらですけど、再び迷路に入っていくような嫌な予感が走ったわけです...。

もう少し何かがあるような
 パイロットジェットは最低が#27.5ということは判りました。しかし、通常の発進は可能だが一般走行は役不足。メインジェットを上げると、今度はエン ジンストールなど、おかしい現象が伴うことは解っていますので、仮固定の#180のままで意識していません。
 したがって#27.5はエンジンが普通に回る下限ですから、もう少しパイロットジェットをアップさせる必要があります。
 それではストックのVM32mmキャブの標準である#35ではどうか。これは前回の状況と今回モータースから引上げるときに濃いことが判りました。 SUDCOのこのキットではパイロットジェットは#35、#30、#25が付属していることから、この値から極端に外れたものは必要ない、ということでは ないでしょうか。
 ということから#30を装着することとしました。エアスクリューの戻し回転は1回と3/4としました。

 この時点で、ストックの状態からするとメインジェットは20番、パイロットジェットは5番下げたことになりますが、ま、これはT-140Vのカム、ピス トンヘッド、圧縮比、それに問題の空燃費などの状況が、表現は適当ではないでしょうが、T-140をして、いわゆる駄馬的なエンジン性格とされたことによ るものですから、650モデルのエンジンとは合わせる数値が大きく異なることもしかりです。
 このとき、パイロットジェットを#30に決定して換装したのですが、どうも割り切れません。これで上手く行くとは思われない。そういったものがジワ~っ と頭の中を支配し始めたのです。
 すると、もう少し違う何かが存在するのではないか?。フ~ム?

その1 ジェットの数値
 キャブレターの調整はスロー系から...、と言われます。通常はそのとおりだろうと思います。が、SUDCO MIKUNIのこのキットを装着して以来、それをやろうとしても出来なかったわけです。
 一つのヒントは松山氏の「メインジェットは下げる方向でやってみる」でした。パイロットはそのままでいい。ここです!。
 「そのままでいい」ということはキットの標準値#30でよかったのではないか。しかし、何かおかしい。その証拠にエンジン始動の際にパチンと来ること と、点火プラグの外周電極が燻っているのはパイロットジェットが大きすぎる。が、#27.5では役不足。こういった状況です。
 これらのことから考えられることは、このMIKUNI VM32はエンジンを始動してアイドリングなどの無賦課な状態でも、ある程度ニードルジェット部分から燃料供給をやっている。したがって、メインジェット も2000回転程度であっても作動しているのではないか、と感じたのです。
 それを防ぐのなら、ニードルジェットをストレート系に替える方法もありますが、今のところは出来そうにありません。
 したがって、このキャブレターの性格からするとVM32自体は汎用性の高いキャブレターであることだけで、それをセットにしたSUDCOのキットですか ら、各ジェットの数値は結構アバウトなものであることが判りました。そのため、私が経験したようなことは日常茶飯事...、までは行かないまでも、ある程 度は致し方ない結果であるとすべきかな、とも感じました。
 しかし、ポン付けである程度の結果が得られないのは、このキットの欠点でもあることは事実でしょう。
 このことから、パイロットジェットは#30で固定をしてもいいのではないか、と感じました。
 今のところは#180のメインジェットはOKと思いますが、今後の走行テストからセレクトしなければならないと思います。

その2 電気
 もう一つは目に見えない電気です。
 ツインコアのプラグコードに変更して1年6か月ほどが経過しました。プラグキャップの赤いシリコンが少しばかり退色している以外、異常なく使用できてい ます。そんなとき、気にしているほどではなかったのですが、何気ない二つの文章を見つけました。
 その一つは主に自動車のサイトですが、ツインコアのリプレースコードのセットを装着しても、状況はそんなに良くならない。むしろ悪い結果が出る、という ものでした。
 かつて、カーボンインダクター、いわゆる普通のハイテンションコードを超えるもの、といった内容での文章にもあったのですが、私が行うプラグのテストな どからすると、大きい火が勢いよく出ることが目視できますので、悪いはずは無い、と思っていました。
 もちろん、それらのサイトにある火花の写真などはシャッター速度などの変更で表現できたり、写真自体が無負荷状態でのものであったりですので、実際の燃 焼促進に効果があるかどうかは、装着しないとわからないのも事実です。

 ツインコアが好ましくない、の記事に対して、ボア・エースのホームページには、このツインコアを「点火プラグに優しいコード」と記しています。何がどう なのか?
 フッと思い出したのは、テイラーのコードがハーレーを主として結構多くのオートバイに使用されているんです。私もテイラーとツインコアとをT-140V で比べてみたことがあります。テイラーのコードでは若干振動が多く感じられました。比べてツインコアではスムースさが増幅されます。振動が多いとはいえ、 決して暴れるようなものではなかった、というのが実際です。
 現在、SR500にもツインコアを装着していますが、しばらく前までのテイラーを装着していたときから比べると穏やかさが勝るようです。

 話をT-140Vに戻しますと、ツインコアはシリコンのプラグキャップには5~10Ωの抵抗が入っています。ツインコアの特性からすると、この抵抗値が 力強さを若干スポイルする要因の一つかもしれません。ところが、当初、チャンピオンのプラグキャップは単にキャップというカバーだけで、点火コイルからプ ラグまでは無抵抗で結ばれていました。
 点火系をトランジスタに変更すると、ダイナコイルなら3Ωが適しているようで、旧来のコンタクトポイントなら5Ωということがいわれているようです。私 はグリーンの2本出し3Ωを使用しています。コイル側はすでにテイラーのコードをカシメて取り付け、NGKのジョイントでツインコアを接続していました。
 今回ここに、再びテイラーのコードに変換をしてみるのはどうだろう、という考えが浮かんだわけです。接続も見直しを行って、スタンダードの矢崎電線の カーボンコードにPLOTのターミナルキット、それにNGKのジョイントを使用しています。ダイナコイルの位置はそのままですが、若干テイラーのコードが 短いかな、と感じるところです。振動はあまり受けないところなので、このままにしています。

 テイラーのコードは少々加工が必要ですが、NGKのコードアダプターキャップの圧力で少し硬いという状態であれば、取り付けはOKです。テイラーのプラ グキャップは取り外しが出来る一般の点火プラグのトップにアダプターを取り付けるタイプになります。作りは大雑把ですが、臨青銅に錫メッ キだろうと思われますので、結構しっかりと取り付きますから、これは安心です。




 もう一点は、点火プラグです。T-140Vから始まる750ツインは通常はチャンピオンのN-3、NGKのB8ESです。最終のT-140Eではプラグ はB6ESにまで下げています。ということは、ボイヤーもルーカスリタもトランジスタ点火になると、コイルは左右シリーズ(直列)接続とし、同時点火にな るため、どうやら流れる電流量(インダクタンス)とすると1/4程度になるのではないか、と宇和のT君は申していました。
 そのため、トランジスタ点火でコイルも変更していることから、この時点で現在のB7ESをB6ESに変更することとしました。
 なお、ルーカスリタでは6Vコイルのシリーズ接続です。
 もう一つ、点火プラグのギャップはHGKのストックのまま0.7mm程度にしていましたが、1mmに拡大しました。このことは、以前に私が記しています し、詳しい情報はケルン石塚氏のレストア本の中に記載されています。
 狭いと影響がまともに出ますが、広いと影響は少ないとされています。が、広すぎてもダメですから、近代の点火装置をもってすれば1mmが適正、というの が通説のようです。ギャップ ゲージに無い場合は、中心電極面に対してL字電極が平行になる程度で止めます。
 このことにより、若干ではありますが、燃焼室内での火花の出具合、伝播の良好性が促進されるのではないか、と思っています。

もう終わりにしたいのだが
 通常の方法でエンジン始動を行います。若干のパチンを伴いエンジンは始動しました。アイドリングは少々高いものの1300回転ぐらいをキープしていま す。5分ぐらいアイドリングを行って、一度エンジンをストップさせ、走行準備にかかります。
 ものの10分程度でしたが、エンジンが始動できません。チョークを引いて空キックし、戻してキックすると小さいパチンが伴ってエンジンがスタートしまし た。
 これまでの件がウソのような気分になります。燃料は少な目でしたが、まずはショートテストコースへ。変わったかな?。そんな少しのところの変化しか感じ られないのは事実です。おそらく、ラフな部類に入る点火系と給排気系を持つエンジンですから、今のエンジンのように全てに二次空気を導入して
完全燃焼をさせようとしてるものでもありませんから、点火とエンジンの回りようから、プラグコードを変更して激変した、というようなものは感じられなかっ たのではないか、と思うところです。
 が、光満街道へ入る手前の鳥越峠を下りるか...、としたとき、通常のコースを走ってみるか、という気分が大きく支配し始めたのですが... 。

 それが何であるかは、またこの次に。


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